本項では『beatmania IIDX』『substream』『2nd Style』を併せて紹介しています。
シリーズの以後の作品については『beatmania IIDXシリーズ』から各バージョンの記事を参照してください。


beatmania IIDX

【びーとまにあ つーでぃーえっくす】

ジャンル DJシミュレーション
DX筐体
II筐体
対応機種 アーケード
仕様基板 Twinkle
Victor製DVDプレーヤー
メディア 映像部分 ビデオCD
発売・開発元 コナミ
稼動開始日 1st 1999年2月26日
ss 1999年7月27日
2nd 1999年9月30日
判定 1st~ss 賛否両論
スルメゲー
2nd 良作
ポイント 5鍵上級者向けシリーズ
当初は5鍵の延長線的存在
煌びやかでキャッチーな収録曲
5鍵比で多彩なエフェクター
プレー料金などで一時期不人気に
「DX」は「DX筐体」の名残
幻の『beatmania II』筐体
beatmania IIDXシリーズ



1999 THE END OF MILLENIUM "ビートのモンスター"始動!!



概要

音楽ゲームを大衆のものにして大ヒットを飛ばした『beatmania(以下5鍵)』の兄弟作『beatmania IIDX』シリーズの初代系列作品。
タイトルロゴには『The next generation beatmania deluxe version』の表記がある。
当初からの公式略称は『IIDX』であり、ファンからの愛称としては『弐寺』が多用される。
元々は5鍵上級者向け作品として世に送り出されたのだが、実質の後継作品として現在でもシリーズが続いている為、現在『beatmania』といえばもっぱらこの作品のことを指すことが多くなっている。

初代の名称は純粋に『beatmania IIDX』だが、後発作品では『1st Style(以下1st)』としている。
同年7月27日にver.UP版である『substream(以下ss)』が、約二ヵ月後と言う早さである同年9月30日には新作である『2nd Style(以下2nd)』が稼動開始。
『ss』稼働と共に『DanceDanceRevolution 2ndMIX CLUB Version 2』との連動機能を搭載できる改装キットも販売された。

『1st』サウンドディレクターはdj nagureoこと南雲玲生。『2nd』からはdj TAKAこと石川貴之が務めている。

『1st』のキャッチコピーである「時代を震わす鼓動を刻め!!」
その名の通り、まさにこの世紀末にリリースされたこのゲームは、5鍵の色合いを残しつつも高品質スピーカーなどから出力されるエンターテイメント性など、次世代に向けた『beatmania』として音楽ゲームを成長させていきたい開発者の思惑がこれでもかというほど伝わるものである。
しかし、今でこそ多くの熱烈な支持者を集めている音楽ゲームの生きる古典を代表する老舗として讃えられているが、5鍵の延長線上扱いだった初期についてはあまり明るい話はないことは、当時を経験した者や開発者以外からは意外と知られていない。

ここではその経緯について深く掘り下げていくことにしよう。


収録曲

この表ではBGAは初出、それ以外は『2nd Style』基準で記載する。

  • 現行機種でプレー可能な曲は太字表記
    版権曲は斜体表記
    隠し曲は赤字表記
  • 初代でANOTHER譜面が用意されている曲は以下
    「Beginning of life(SPA)」「Dr.LOVE(SPA)」「GRADIUSIC CYBER(SPA)」「LUV TO ME (disco mix)(SPA)」「The Rhyme Brokers(DPA)」
+ 新曲
曲名 ジャンル アーティスト BPM 難易度 A譜面 BGA 備考
1st Style 18+4=22曲
22DUNK TECHNO SLAKE 135 ☆5 SP/DP 汎用
5.1.1. PIANO AMBIENT dj nagureo 101 ☆1 -*1 専用 現行NORMAL譜面相当*2
Be in my paradise SOUL CLASSIC BALLAD JJ COMPANY 63 ☆2 - 汎用 IIDX史上最遅BPM
been so long JAPANESE HIPHOP m-flo 96 ☆3 DP 専用
celebrate SOUL CLASSIC JJ COMPANY 134 ☆5 SP/DP 専用
diving money DRUM'N'BASS QUADRA 150 ☆3 SP 専用
Dr.LOVE DANCE POP baby weapon feat.Asuka.M 123 ☆3 SP 専用
The Theme from "Flo-jack" HIPHOP m-flo 93 ☆1 - 専用 初代(ロケテ)?のみ「flo-jack」表記
g.m.d. HIPHOP DJ mazinger featuring Muhammad 100 ☆3 - 専用
GAMBOL BIG BEAT SLAKE 102 ☆2*3 - 専用 辛判定曲*4
GRADIUSIC CYBER DIGI-ROCK TAKA 159-167 ☆6 SP 専用 ANOTHERのBPM:160-167
into the world WORLD GROOVE QUADRA 126 ☆3 - 汎用 辛判定曲
LUV TO ME(disco mix) EURO BEAT tiger YAMATO 154 ☆6 SP 汎用
Melt in my arms DANCE POP Honey P feat.Asuka.M 118 ☆3 SP/DP 専用
patsenner AMBIENT TECHNO dj nagureo 130 ☆4 - 汎用
perfect free HOUSE nite system 126 ☆4 - 専用 辛判定曲
Prince on a star ALTERNATIVE ROCK SPIRITUAL RIDE 145 ☆4 - 専用
Queen's Jamaica (astria mix) REGGAE Crunky Boy featuring Muhammad 94 ☆4 - 汎用
R3 RAVE tiger YAMATO 157 ☆5 SP/DP 専用
Special energy TRANCE TECHNO DJ FX 140 ☆5 - 専用
The Rhyme Brokers JAPANESE HIPHOP m-flo 91 ☆4 SP/DP 専用
YOU MAKE ME JAZZ HOUSE MONDAY MICHIRU 109 ☆2 - 専用
substream 3+1=4曲
gentle stress DRUM'N BASS DJ swan 175 ☆4*5 -*6 専用
Macho Gang TRIBAL HOUSE ANAL SPYDER 125 ☆6 SP/DP 専用
THE EARTH LIGHT TRANCE L.E.D. LIGHT 145 ☆6 SP/DP 専用
ちょっときいてな (ZANSHIN-NA MIX) DRUM'N BASS Laugh & Peace 164 ☆4 - 専用
2nd Style 20+6+1=27曲
.59 CHILL OUT TAKA 135 ☆6 SP 汎用 『3rd』以降とANOTHERが異なる
Bad boy DANCE POP Vivi 94 ☆3 SP/DP 汎用
Brazilian Rhyme HOUSE Satoru Shionoya + Satoshi Tomiie 110 ☆5 - 専用
踊る!福神漬(CALCUTTA) INDIE EURO DR.BOMBAY 138 ☆5 SP 専用
Dancin' Into The Night DISCO good-cool 139 ☆2 - 汎用
Digital MinD (A/T Libra mix) MINIMAL TaQ 155 ☆5 SP 専用
dong-tepo no.1 *7 TECHNO dj nagureo 125 ☆7 - 汎用 『2nd』までの唯一の☆7
Electro Tuned (the SubS mix) BIG BEAT TaQ 125 ☆5 SP 汎用 全譜面コナミ譜面搭載曲
Get on Beat HARD BAG ON 126 ☆3 SP/DP 専用
Headache HARD HOUSE good-cool 143 ☆4 SP 汎用
Hitch Hiker WARP HOUSE good-cool 136 ☆4 - 専用
I'm In Love Again SPEED GARAGE dj TAKA 134 ☆5 - 汎用
Indigo Vision (full flavour hide around mix) GOA TRANCE TaQ 154 ☆5 SP 専用
I Was The One ITALO HOUSE good-cool 124 ☆3 SP 汎用
Junglist King DRUM'N'BASS Hirofumi Asamoto(ram jam world) 169 ☆3 - 専用
Junglist King (long) DRUM'N'BASS Hirofumi Asamoto(ram jam world) 169 ☆4 - 専用 ロングバージョン
LET THE BEAT HIT EM! BASS MIX MIAMI BASS STONE BROS. 110 ☆2 - 汎用
lovin' you JAZZ DRUM'N BASS MONDAY MICHIRU 154 ☆4 - 専用
Mirrorball Satellite 2012 HIPHOP & SOUL m-flo 103 ☆3 SP 専用
morning prayer DISCO/HOUSE SILVA 124 SP 専用
S.O.S. INDIE EURO DR.BOMBAY 138 ☆6 - 専用
Panorama SOUL CLASSIC Hirofumi Asamoto(ram jam world) 112 ☆2 - 専用
PUT YOUR FAITH IN ME (for beatmania II) JAZZ FUNK dj TAKA feat. UZI-LAY 126 ☆5 - 汎用
Second Style (Hip Hop Paradise) HIP HOP dj TAKA feat. DAY BREAKERS 114 ☆4 - 専用
Shine On SOUL Shorai 111 ☆5 SP 汎用
SOFT LANDING ON THE BODY SPIRITUAL DJ SIMON 78-(159)-318 ☆5 - 汎用
SP-TRIP MACHINE (for beatmania II) JUNGLE dj TAKA feat. DE-SIRE 168 ☆4 SP 汎用
+ 移植曲
曲名 ジャンル アーティスト BPM 難易度 A譜面 BGA 初出 備考
1st Style 10曲
20,November*8 HOUSE dj nagureo 130 ☆3 SP 汎用 5鍵初代 DPは「radio edit」
Beginning of life AMBIENT QUADRA 110 ☆2*9 SP 汎用 5鍵2nd
Deep Clear Eyes DRUM'N BASS QUADRA 155 ☆3 SP 汎用 5鍵2nd
Do you love me? BALLAD reo-nagumo 110 ☆2 - 汎用 5鍵2nd
e-motion RAVE e.o.s 140-145 ☆3 - 汎用 5鍵初代
jam jam reggae REGGAE jam master '73 90 ☆1 SP/DP 汎用 5鍵初代
LOVE SO GROOVY SOUL LOVEMINTS 141 ☆3 - 汎用 5鍵初代
OVERDOSER(romo mix) TECHNO MIRAK 132 ☆3 SP 汎用 5鍵初代
Salamander Beat Crush mix KONAMIX NITE SYSTEM 134 ☆3 SP 汎用 5鍵2nd
ska a go go SKA THE BALD HEADS 144-160 ☆5 SP/DP 汎用 5鍵2nd
substream 7曲
BRILLIANT 2U EURO GROOVE NAOKI 150 ☆4 SP 汎用 DDR2nd
deep in you DANCE POP dj nagureo 126 ☆4 SP/DP 汎用 5鍵4th
GENOM SCREAMS TRANCE L.E.D. LIGHT 150 ☆5 -*10 汎用 5鍵4th
KEEP ON MOVIN' DANCE POP N.M.R. 132 ☆3 - 専用 DDR2nd
NaHaNaHa vs.Gattchoon Battle DJ BATTLE DJ Senda & Tiny.K 124-163 ☆3 SP/DP 専用 5鍵GM
PARANOiA MAX~DIRTY MIX~ JUNGLE 190 190 ☆4 SP/DP 専用 DDR2nd
RUGGED ASH FUTURE JAZZ SYMPHONIC DEFOGGERS 168 ☆3 -*11 汎用 5鍵4th
+ 後発ver.での変更点のある曲
曲名 変更内容
substream
22DUNK ANOTHER追加(SP/DP)
Be in my paradise 新譜面差替(DP)
been so long 新譜面差替(DP)
Beginning of life ANOTHER追加(SP)
celebrate ANOTHER追加(SP/DP)
BGA汎用化
Deep Clear Eyes ANOTHER追加(SP/DP)
diving money ANOTHER追加(SP)
BGA汎用化
e-motion ANOTHER追加(SP/DP)
難易度変更(☆3→☆2)
g.m.d. ANOTHER追加(SP)
BGA汎用化
GRADIUSIC CYBER ANOTHER追加(SP/DP)
jam jam reggae ANOTHER追加(SP/DP)
OVERDOSER(romo mix) ANOTHER追加(SP)
perfect free ANOTHER追加(SP/DP)
BGA汎用化
Prince on a star ANOTHER追加(SP/DP)
Queen's Jamaica (astria mix) 難易度変更(☆4→☆5)
R3 ANOTHER追加(SP/DP)
Salamander Beat Crush mix ANOTHER追加(SP)
ska a go go ANOTHER追加(SP/DP)
Special energy ANOTHER追加(SP/DP)
BGA汎用化
The Rhyme Brokers ANOTHER追加(SP)
2nd Style
been so long ANOTHER追加(DP)
譜面差替(DP)
celebrate ANOTHER追加(SP/DP)
e-motion 難易度変更(☆2→☆3)
GAMBOL 難易度変更(☆2→☆1)
GRADIUSIC CYBER 難易度変更(☆5→☆6)
jam jam reggae 新譜面差替(DP)
LUV TO ME(disco mix) DP ANOTHER追加
難易度変更(☆5→☆6)
perfect free 難易度変更(☆3→☆4)
Queen's Jamaica (astria mix) 難易度変更(☆5→☆4)
ska a go go 新譜面差替(DP)
Macho Gang 難易度変更(☆5→☆6)
Melt in my arms BGA汎用化
NaHaNaHa vs.Gattchoon Battle 新譜面差替(DP)
THE EARTH LIGHT 難易度変更(☆5→☆6)
The Rhyme Brokers 新譜面差替(SPA)

ゲーム進行

筐体概要
※下記仕様は『8th』までの共通となる。

  • 従来のボタンデバイスから2個増やした7個のボタンとターンテーブルに加え、新たに曲に自分の好きなようにエフェクトが掛けられるエフェクターが追加された。
    • ターンテーブルの位置は1P側は鍵盤の左、2P側は鍵盤の右になった。1P側は5鍵時代の配置から左右反転しているということになる。また、1P側、2P側それぞれ単独でスタートができる。
    • 筐体側の性能も大幅に向上しており、モニターには東芝製40型リアプロジェクションテレビ「フェイス40(40Z1P)」が、サイドスピーカーにはBOSE製のものが採用されている。
    • その他ネオン管付きトップスピーカー、低音域を強調させる為のウーファーとそれに合わせて連動するバスシェーカーも採用されている。
  • 筐体内部仕様として基板はPlayStationベースの「Twinkle」、基板に接続して演奏中の画面中央に表示されるBGAやアドバタイズムービーを制御した上でゲーム内に合成する為の、ビデオCD対応Victor製DVDプレーヤーが採用されている。
    • なお『1st』から『5th』のビデオデータを収録しているメディアはビデオCDである。
      • DVDプレーヤーが故障すると画面中央にはVictorのロゴしか表示されなくなってしまう。
    • I/Oボードはメインボード(以下メインI/O)とサブボード(サブI/O)の2枚1組で役割を分担。現在でもこの仕様自体は変わっていない。
      • Twinkleのメイン基板にその機能を有するメインI/Oはボタン類とボタン内蔵ランプの制御を行っている。これは全ての世代の筐体共通である。
      • メインI/Oと接続されたサブI/Oは「ターンテーブル」「エフェクタスライダ」「マーキー領域」「筐体の照明類」「コインカウンター」「テストスイッチ」「サービススイッチ」の制御をそれぞれ担っている。
      • なお、ターンテーブルがサブI/O経由なのは初期の筐体のみであり、約20年後にその相違による問題が起きている(後述、および『CANNON BALLERS』の記事を参照)。

エフェクター概要
エフェクターの仕様が現行ver.と異なっている点も見逃せないポイントである。なおこの仕様は『8th』まで引き継がれた。

  • 1P側スタートボタンの右側には、エフェクターのON/OFFを切り替える「EFFECTER」と、VEFXの切替を行う「VEFX CHANGE」が設けられている。なお曲をプレーしている時のみ切替可能である。
    • VEFXには「KEY CONTROL」「ECHO」「SURROUND 1~3」の計5種類が用意されており、「VEFX CHANGE」を押す度に左から順番に切り替えられる。
      • 「KEY CONTROL」は音の高さを調整する機能。
      • 「ECHO」は現行の同名エフェクト同様、木霊効果を追加するエフェクト。
      • 「SURROUND 1」は鋭くシャープな響きを加えるエフェクト。
      • 「SURROUND 2」はやや金属的な響きを加えるエフェクト。
      • 「SURROUND 3」はやわらかい響きを加えるエフェクト。
  • 筐体中央にはスライダが設けられており、エフェクターの出力調整及び隠し要素解禁に使用されていた。また、爆音に設定しているゲーセンで音量を下げたり、自分に合った音量に設定する際にも使用されていた。
    • 「VEFX」
      VEFX効果の大きさを調整する効果を持ち、KEY CONTROLの時はピッチシフトの大きさが変わる。
    • 「low-EQ」
      低域成分を調整する効果を持ち、一番下に設定すれば、殆ど低音を聞こえなくすることも可能である。
    • 「hi-EQ」
      高域成分を調整する為に使用し、これも一番下に設定すれば、殆ど高音を聞こえなくすることも可能である。
    • 「track volume」
      プレーヤーが干渉できないBGMのボリュームを調整する際に使用する。
    • 「play volume」
      プレーヤーが干渉できるキー音などのプレーサウンドのボリュームを調整する際に使用する。

ゲーム進行

  • 1:規定のクレジットを投入してスタートボタンを押してゲームスタート。
    • オプション設定は現行作と異なりゲームをスタートさせる前にタイトル画面で行わなければいけない点に注意。
    • また、ダブルプレーをする場合はタイトル画面で「DOUBLE」オプションを点灯させて設定した上でゲームを開始する必要がある。
  • 2:各種モードを選択。
    • 1人プレー料金でDPをプレーしている状態では「EXPERT」モードが選択できない上、2曲保証固定となる。
  • 3:曲を選択する。ターンテーブルを左右に回して曲を選び白鍵で決定。
    • 現行作と異なりゲームプレー中にゲームオプションを変更すること自体できないので注意。
    • ANOTHER譜面を選択する方法は、『1st』のみ残り時間が11秒までに対応する曲にカーソルを合わせてVEFXを押しながら選択する。『ss』以降は対応する曲に合わせてVEFXを押しながら決定するだけで良い。
    • 現行作と異なりフォルダやソートと言った便利機能は一切無く、名前順に並んでいるのが特徴である。
  • 4:曲をプレーしてクリアできたら次のステージに、失敗した場合はコンティニューで同じステージをやり直せる。
    • 「7KEYS」に限り、3曲目である「FINAL STAGE」で特定の条件を満たす曲をクリアすれば、隠し曲が選択できる4曲目「EXTRA STAGE」に進出できる。
      • 「特定の条件」とは、『1st』では「celebrate」「GRADIUSIC CYBER」「LUV TO ME(disco mix)」の3曲、『ss』では1stの3曲に「Macho Gang」を加えた4曲であり、EXTRA進出のための選曲が制限されていたが、『2nd』以降では「☆5以上の曲」に変わり選曲の幅が広くなった。
  • 5:ゲーム終了後、筐体内ランキングにランクインすれば30秒間のネームエントリー。その後プレー成果に応じて「F~A、AA、AAA」とランク付けされる。
  • 6:全てのステージをクリアーした上でゲームを終わらせればエンディング。

ゲームモード

  • 現在と異なり、使うボタンを制限する形で難易度を易しくするといった体系をとっている点が特徴である。いずれも現行機種でのHYPER譜面相当の譜面にレーン制限を掛ける形で難易度調整を行う形となっている。
    • 「4KEYS」初級~中級者向け
      • 4つの白いボタンだけを使う最も難易度の低いモード。
      • なおこのモードは『2nd』までの要素となり、『3rd』で現在のNORMAL譜面相当の簡単な譜面のみがプレー出来る「LIGHT7」と交代する形で廃止となった。
    • 「5KEYS」中級~上級者向け
      • 左側5つのボタンのみを使う伝統的なモード。5鍵時代からの経験者はまずはここからプレーしてみよう。
      • 後の『7th』にてゲームオプションに移行する形でモード廃止。そのオプション自体も『26 Rootage』で廃止に。
    • 「7KEYS」上級者向け
      • 7つのボタンを全て使う、本作の真骨頂たるメインモード。
      • 「ANOTHER譜面」「EXTRA STAGE」はこのモードでのみで出現させることができる
    • 「EXPERT」上級者向け
      • 規定順の5曲セットで構成されたコースのどれか1つで高得点を目指す上級者向けモード。このモードに限り、専用の減少型ゲージとスコアシステムが使用される。
      • 後に『20 tricoro』でモード廃止という形で初代基準の仕様としては廃止に。

ゲームルール

  • 基本的には5鍵と変わらず、赤い判定ラインに到達したらタイミングに合わせてボタンを押すorスクラッチを回し、タイミングが正確なほどスコアは3段階で加算される。
    • 『substream』までは5鍵と同様、小さくてわかり辛いものの、ゲージ残量に合ったアクションをとる「DANCER」が登場している。

ゲームオプション

  • 『1st』のゲームオプションはデフォルトで選択出来るものでは「BATTLE」「DOUBLE」「HIDDEN」のみだが、『2nd』ではそれらに加えて「HI-SPEED」が追加された。ただし、隠しコマンドを使えば「RANDOM」「MIRROR」も使用可能になる。
    • 「BATTLE」
      2人プレー及びダブルプレー時のみ適用されるオプション。
      左右でシングルプレー時と同じ譜面を降らせる。
    • 「DOUBLE」
      ダブルプレーをしたい場合にこのオプションを適用する。
      現行作と違い、当時のダブルプレーはおまけと認識されていた時代背景があり、プレーオプションとして扱われていた。
    • 「HIDDEN」
      ノートが画面1/3の辺りから見えなくなる画面下部を隠すオプション。
      5鍵時代の名残でやはり最初期から搭載されているオプションをこちらでも初代から取り入れたい開発者の思惑が見て取れる。
    • 「HI-SPEED」※『2nd』で追加
      『2nd』で追加されたオプション。ノートの降下速度が2倍になる。
      現在と異なり、『4th』までのハイスピードの倍率は2倍速のみと1段階しか存在しなかった。
    • 「RANDOM」※隠しオプション
      レーン単位でシャッフルするオプション。
      コイン投入後、エフェクトレバーを左から↑↓↑↓↑(全て目盛一杯)と設定した状態で、白鍵の1番キーと7番キーを押しながらSTARTボタンを押してゲームスタートすると適用される。
    • 「MIRROR」※隠しオプション
      正規譜面を鏡に映したような譜面にするオプション。
      1番キーと3番キーを押しながらSTARTボタンを押してゲームスタートすると適用される。
  • また、この他にプレー中のフレームカラーを変更する隠し機能も採用されている。
    • 選曲時にスタートを押してから曲を決定すると、その時に押した回数に応じてフレームカラーが変化するというもの。何回押したら何色になるかの詳細は不明である。

難易度

  • 譜面は現在と異なり、現行機種の「HYPER」相当の譜面のみと基本的には1種類、一部曲におまけ扱いとして「ANOTHER」譜面が用意されているという体系をとっている。
    • いずれもレベル表記は「DIFFICULTY欄内の☆」の個数で表記されており、ANOTHER譜面にはレベルが設定されていない。
    • また、DPのレベルも設定されておらず、SPと同じレベルが表示されていた。
  • 『1st』『ss』でのレベル上限は「☆5」であり、『2nd』でのレベル上限は「☆7」である。
    • とはいえ『2nd』でレベル☆7を付けられた曲は、隠し曲である「dong-tepo no.1」だけ。その事実から当初は該当曲の存在価値を上げる為に設けられたレベル数値と見ても良いだろう。

評価点

7個に増えた鍵盤からの恩恵

  • ボタンが7個に増えたことにより、従来から譜面の自由度に余裕ができたのか、新曲に関しては横に広がるように配置されているなど、演奏感と見やすさを両立させた。
    • ただし当時はまだ5鍵の延長線上扱いでしか無かった為「『1st』に収録されている5鍵曲は移植元と全く同じ」と言った点や、UI面において5鍵を意識した演出も多々見受けられる。
    • また、白鍵と黒鍵の降るレーンが完全独立した「セパレートフレーム」が採用されたのもこのバージョンからである。これも見やすさに貢献すると好評だった模様で後に5鍵にも逆輸入される形で採用された。
      • 従来は白鍵の降るレーンの間の線上に黒鍵が降るというものであり、特に隣接配置が来た時に非常に見辛くなるというデメリットも存在していた。

多彩でキャッチーな収録曲

  • 初代から現在に至るまで削除されずに数多くの支持を集め続けている初心者向け楽曲「5.1.1.」をはじめ、dj TAKAのBEMANI処女作「GRADUSIC CYBER」から5鍵では味わえないキャッチーで本格的なダンスミュージック「Dr.LOVE」など、今聴いても色あせない名曲はこの時点で確立している。
    • 再ブレイクを果たし、また更に人気上昇中のヒップホップ・ハウス系アーティスト『m-flo』がまだインディースとして活動していた時代の名曲「been so long」「flo-jack」、本来の古典的なハウスミュージックである「perfect free」もまた見逃せないポイント。
    • 『1st』のサウンドディレクターdj nagureoのお気に入りとして、Monday満ちるの版権曲も収録。
    • また、現在に至るまで辛判定の代名詞として語り継がれるSLAKE氏による渋めのビッグビートトラック「GAMBOL」も『1st』が初出である。
      • 上級者でもGREATがなかなか出ないほど判定が非常に厳しい為、高スコアを叩き出すのは相当な難儀といえるもの。
      • 判定の仕様が『19 Lincle』以降と異なり「PGREAT判定が1フレーム分しか無く、とても狭いGREAT判定が鍵盤側にも設定されている」というものとなっている為、最近始めたばかりのプレーヤーは注意。
  • 更に『ss』では五鍵4th・GOTTAMIXやDDRからの人気曲が移植されたり、『2nd』では当時流行していたDR.BOMBAYとのタイアップ楽曲も2曲収録されるなど、当時の流行や時代の先を見た楽曲ラインナップも魅力的。
    • 五鍵移植曲の1つである「NaHaNaHa vs. Gattchoon Battle」に至っては「Into the world」やその他一部版権曲に並んで、どの家庭用IIDXにも一切収録されていない為、相当レアなものとなっている。
    • 現IIDXのサウンドディレクターであるL.E.D.がIIDXに参加したのも『ss』から。同じく五鍵移植曲の「GENOM SCREAMS」「THE EARTH LIGHT」といったサイケトランスは難易度の高さも相まって人気だった。
    • 『ss』収録曲の中でも、DJ Swanこと上野圭一の「gentle stress」は、当時マズい状態だったIIDXの救世主と言われるほどに人気であった。
  • 『2nd』では以降レギュラーとなるTaQとgood-coolが初参戦した。
    • TaQは主に硬派なテクノやビッグビートを提供し、good-coolはハウスやディスコを中心に幅広いジャンルの楽曲を手掛け、共に人気を博す。
    • 当時最強のボス曲として「dong-tepo no.1*12』が登場。今となってはよくある難しめの譜面の一つでしかないレベルだが、ゲーム雑誌にわざわざ独立した攻略記事が記載されるほどであり、当時は相当に恐れられている存在だった。
  • 地味ながらも『2nd』までに削除された曲が1曲も無い点も見逃せないポイントである。
    • そしてなんだかんだ言って難しくても曲が良ければそれだけでも音楽ゲームとしては評価点である。
    • 故に曲数が多かった『2nd』に於いて、続編に向けたプレーヤーを徐々に増やすことに繋がっていったのだ。

実写映像とCGを用いたムービー

  • オープニングからして実写映像を巧みに活用した映像であり、5鍵時代に出来なかった多彩な表現を象徴する存在となっている。
    • そして版権曲の殆どはPVをムービーとして収録しており、アーティストファンには嬉しい仕様にもなっている。また、『1st』では上記故にコナミオリジナルの楽曲でも実写ムービーが多く充てられている。
      • その殆どがダンスムービーである一方で、70年代のアメリカを演出している「Be in my paradise」、スタッフ達出演の刑事ドラマ「GAMBOL」、どこかPUFFYを彷彿とさせる「Melt in my arms」などバラエティに富んでいる。
  • 『ss』でイメージキャラクター「トラン」、『2nd』からはIIDXの看板デザイナー・GOLIが初登場。アメコミタッチのキャラクターが楽曲に花を添える。
    • また後の『HAPPY SKY』同様、『2nd』では全ての新曲に専用ムービー若しくはレイヤーが用意されており、デザイナーチームの気合が窺える。

5鍵比で健全化された難易度

  • 5鍵の判定枠は非常に厳しいことで知られており、特に「PGREAT」が登場してからはまるで壊れているのではと言わんばかりの、他のどの音ゲーとも比べ物にならないほどの極悪さになってしまった。
    • しかし7鍵になってから「PGREAT」「GREAT」の幅がやや広がり、「GOOD」でもコンボが繋がるようにもなった。
      • ちなみにこの判定幅は『GOLD』のアップデート以降から現行のものと変わらない模様である。
    • 地味に「EXPERTゲージ」の仕様も変わっており、一度減らしたゲージを回復させる手段がなかった従来の仕様から「GREAT」以上を取った回数に応じてゲージが少し回復するように変更された。

DDRとの連動機能

  • 『DanceDanceRevolution 2ndMIX』との連動機能を搭載した『CLUB Version』が存在していた。
    • 実はこの機能が採用された経緯が賛否両論点に記されている「『1st』の人気がイマイチだった為、当時人気機種だったDDR開発チームに頼み込んで急遽制作してもらった」もの。
    • システム上、「IIDXで演奏した曲がそのままDDRでも流れてプレーできる」というもののため、DDR側でIIDXの曲はプレーできるが、DDRの収録曲をIIDXで遊ぶことはできない。
      • ただし、この機能に合わせて『ss』からは「BRILLIANT 2U」「KEEP ON MOVIN'」「PARANOIA MAX~DIRTY MIX~*13」といったDDRの人気楽曲が移植。通常はEXTRA STAGE専用隠し曲だが、DDRとのセッション時は通常選択可能になる。
      • 選曲決定権はIIDX側にあり、DDR側は収録曲の確認こそできるもののIIDX側が選んだ曲を強制的にプレーすることになる。しかし、例えるならクラブでDJがセレクトした曲をダンサーが踊るようなイメージであり、特に不自然さはなく受け入れられていた。当時はDDR側やギャラリーが口頭でIIDX側に演奏曲をリクエストするというプレー形態もあった模様。
    • 2~4人同時プレーによるセッションが必須で、IIDX側は変化が少ないという難点はあるものの、当時はIIDXの曲が遊べるということで特にDDR側のプレーヤーを中心に好評だった。
    • 『1st』と連動した初代『CLUB version』は急遽作ったもの(『1st』稼働のたった2ヶ月後、システムディスク交換のみ)であるためかシステムが明らかに粗削りで、筐体がリンクされた状態で片方がプレーを始めると強制的にセッション待ち状態になる、DDRとリンクするとIIDX側で選べる曲がセッション可能な13曲のみに減少する、DDR側の譜面はBASICのみなど様々な問題点があった。
      • 『ss』稼働開始と共に連動したバージョンアップ版『CLUB version 2』では大きく改善され、『ss』のほぼ全曲がDDR側でプレー可能になり*14、DDR側の譜面もMANIACまで完備。さらにIIDXとDDRのゲージが共有されるようになり、セッションプレーならではの緊張感も生まれた。EXPERT MODEにも対応。
      • しかし残念ながらDDRとのセッションは『CLUB version 2』で打ち止めとなり、『IIDX 2nd』は一応セッションに継続対応しているものの新曲の追加は行われず、両『3rd』にて廃止された。

ターンテーブルの位置を鍵盤の右また左で選べるようになった

  • IIDXの重要な変更点の一つがターンテーブルの位置である。1P側のターンテーブルが鍵盤の左に移され、プレーヤーは1P側に立ち左手でターンテーブルを操作するか、2P側に立ち右手でターンテーブルを操作するかを選べるようになった。利き腕とスクラッチの兼ね合いなどから、プレーヤーは自分に合った配置を選ぶ事ができる。この概念は5鍵にも影響を与え、1P側のターンテーブルと2P側の鍵盤で擬似的に左ターンテーブルを再現できるオプション「CENTER PLAY」の実装という形で、5鍵でもターンテーブル配置の選択ができるようにされた。

賛否両論点

いまいちパッとしない『substream』の立ち位置

  • ファンからは立派な新作やシリーズの1つとして数えられている『substream』なのだが、公式ではあくまでver.UP程度に取り扱いたい模様で、作品数にカウントされないのは最早恒例となっている。
    • 実はこれにはかなり曰く付きの経緯があり、dj TAKA氏が発言していた「『1st』に対してのプレーヤーの反応がイマイチであった為、上層部命令により『2nd』開発中に急遽ver.UP版を出すように指示された為に止むを得ず開発されたver.」というもの。
    • 結局『2nd』と並行して納期ギリギリで開発する羽目になってしまい、その過程で生まれた副産物が『substream』である。

純正モニターの是非

  • リアプロの特性上、外光が入る場所や照明が強い所だと画面が見えにくくなる難点があった。
  • 当時は液晶/プラズマディスプレイ*15の技術が未成熟であり、遅延も尋常ではない欠点も大きく目立つ上、ブラウン管に限っても最大で36型までしか製造できないなどの量産技術的問題もあるので、この点に関しては仕方がない部分と言える。
  • この問題は純正モニターの寿命が直接的に絡んだ『8th』以降で見過ごせない問題へと発展することに。
    • 『9th』以降は36インチワイドブラウン管、『15 DJ TROOPERS』以降は液晶ディスプレイに移行したことにより、リアプロは完全に絶滅した。
    • 液晶ディスプレイの画面サイズ・型番は出荷時期により異なる(参照)。
    • 2023年現在は液晶ディスプレイが主流となり、ブラウン管筐体は国内では1店舗のみ*16となり、こちらもほぼ絶滅した。また、『29 CastHour』以降ではSD映像出力非対応*17のため、旧作専用台として稼働中。

2nd新曲「SOFT LANDING ON THE BODY」

  • 音ゲー用語「ソフラン」の語源の由来となった曲である。作曲者はDJ SIMON(杉本清隆)氏であり、現行機種ではプレー出来ない曲である。
    • 作曲者曰く「『スピリチュアル』というジャンル名にあやかって、ゲーム上でも『スピリチュアル』な仕掛けを施してみました。」とコメントしているが…
      • その内訳はなんと「曲の途中でbpmが元のbpmである159の2倍の318に一時的に上昇した後、bpmが79(元のbpmの約1/2)に減少、そして数小節後にbpm159に戻る」というものであり、前例も無い中でこのようなギミックに遭遇したプレーヤーがどれだけ唖然したことやら。
    • その後、『beatmania completeMIX2』(2000年1月稼働)にて「Do you love me? (SOFT LANDING MIX)」が登場。本曲は『beatmania 2ndMIX』で登場した「Do you love me?」のREMIXなのだが、DOCTER S氏(上記と同じSIMON氏の別名義)が手がけており、こちらでは「bpmが本来の100の2倍である200で曲が開始され、中盤にて元の100に一旦急降下。その後再び200へ急上昇」というギミックが仕掛けられていた*18。本曲の存在により、「SOFT LANDING=急激なbpm変化」というイメージの形成に一役買ったことになる*19
    • その後もこれに味を占めたのか、同氏の曲では『pop'n music 5』(2000年11月稼働)で登場した「西新宿清掃曲」(こちらもやはりサイモン氏が作曲)などをはじめ、「曲の途中でbpmが倍速になるギミック」を濫用してしまい、凄まじい賛否を招く事態に。
      • 結局現在においては、上記のような加速ギミックの乱発は自重されることとなった…のだが、『DDR』シリーズでは特にボス曲において加減速ギミックがまだ幅を利かせていたりする。
      • さらにSOUND VOLTEX IIIにおいて、「混乱少女♥そふらんちゃん!!」というまさにソフランをテーマにした楽曲が公募入選。ネタとしてはまだ現役…かもしれない。
    • なお、「ソフラン」については元々「SOFT LANDING ON THE BODY」のように「曲のテンポとは無関係に譜面のスクロールが急激に変化する曲」の事を指していたが、現在では「曲のテンポ自体が急激に変化する曲」も含めて「ソフラン」として扱われている。
      • 本作から20年経過してのシリーズ作品『HEROIC VERSE』の新機能として楽曲の譜面傾向を六角形レーダーとして表示するノーツレーダーが追加されたが、そのうち楽曲中のBPM変化を示す項目が「SOF-LAN」とズバリそのものの名称になっている。
      • 後の『beatmania IIDX』20周年の際に「SOFT LANDING ON THE BODY」の上述の仕掛けは作曲者の意図しない挙動による偶然の産物(拍子が4/4から7/8に変わる所があるのだが、分母が倍になるとBPMまで倍になってしまうバグ)であったのだが、スタッフが「面白い」との理由でそのまま採用されてしまったことを杉本清隆氏がtwitterにて明かしている

問題点

初代に限りデフォルト設定のプレー料金が異常

  • 初代に限って工場出荷設定のプレー料金が何と「1人:300円/2人:500円」と非常に高額だった。
    • 上記の通り、筐体の巨大さと設備の豪華さからも想像つくかもしれないが、当時は2曲保証と言った各種救済措置がある訳もなく、SPとDPで別料金であった中でこれである。
    • 他に工場出荷設定で1プレー300円のゲームは『レーシングジャム』『ピコピコアンパンマンごう』くらいしかないのだから、これが如何に異常であるかは明白である。
    • その為各所で「300円投入して最初のステージでクリアー失敗→高いコンティニュー料金で続行orゲームオーバー」といった光景が頻繁にお目に掛かれる事態に。
    • 結局次作である『ss』では工場出荷設定が他の大型筐体同様の「1人:200円/2人:400円」に落ち着くことに。
    • その後プレーする人も徐々に現れたのか「1人:100円/2人:200円」に設定する店舗も登場し、段々と浸透していくことに。

時代背景を踏まえても不親切な要素

  • 現在の機能が充実したゲームと比べるのは流石に酷だが、当時基準で見ても不親切な要素がかなり散見されていた。
    • まず難易度低下措置が「そもそも譜面自体の難易度を低下させる」「使用するボタンを制限させる」のみであり、それ以外で難易度を低下させる要素が一切無い。
      • どういうことかと言えば、視認性を上げるオプションどころか、現在でいう「BEGINNER譜面」どころか「NORMAL譜面」すら無く、ゲージの減少率やボーダーラインを下げるオプションすら無かったのだ。
      • 上記の措置があったとしても現行HYPER譜面と何も変わらない譜面からボタン数を制限させているだけなので、自動演奏ではないレーンに難しい配置が来たらどうしようもないし、何より音ゲーで重要な演奏感が激減である。
    • これは「音楽ゲームと言う概念自体がまだ広く認知されたばかりな故に、情報が多すぎるとハードルが高くなってしまいプレーして貰えない」という時代背景が非常に強い側面がある。
      • 当時メジャー音ゲーなんて他に存在しない状況だった。今となっては信じがたい話だが「ハイスピードを付けて視認性向上」「画面上部を隠して視線矯正」といった対策も一般的ではなく、上級者の余興やネタプレーと認識されていたのだ。
      • ハイスピートオプションも、当時(と現在でいうノースピで)活用されている視線合わせのやり方である「判定ラインをガン見しながらタイミングを合わせる」と、非常に相性が悪いという側面もあった。
      • とはいえ、流石に『5鍵2nd』が出てからそろそろ1年も経過する訳なのだから、流石に上級者(当時基準)もちらほら出ている上、上記の通りゲームとしての難易度やゲームシステム自体のハードルが相応に高いと言う事実があるのだが。
    • 結局上記の仕様では最低限配慮するべき措置すら満足にとれているとは言えないので、「難しい」と敬遠されても仕方がない。これでは本末転倒と言わざるを得ない。

筐体の構造

  • 筐体の見栄えを重視する為か、ターンテーブルと鍵盤の距離が「約10cm程」と非常に大きく離れており、特に手の小さなプレーヤーやダブルプレーでは相当難儀することとなる。
    • これでも5鍵よりは近づいているので、配慮されている方ではあるのだが、それでも遠いのに変わりはない。
    • もっとも当時のプレーヤーは基本的に「スクラッチと鍵盤のノートが同時に降って来る場合、片手でスクラッチ・片手で鍵盤を操作する」ことが基本であり「スクラッチを小指ではじく感覚で取る」ことをしていたのは極少数の最上級者のみ。
      • 2ndの後期になるとアルカディアにも記載があった事で「親指と小指を広げて気持ち前か後ろに動かしながら叩いてスクラッチと1鍵を片手で同時に取る」テクニックがやっと普及するレベル。
      • 手を開いて親指から小指までが16cm強ほどに手が相当小さくとも、2+S(6+S)まではなんとかあるが、固定に必要な3+Sになると相当に手の大きさが重要となる為、無視できない壁と変貌する。
    • 更に当時は「1048式」「手首皿」などをはじめとした固定運指も確立しておらず、プレーヤー各自で北斗だの自由運指を活用していたのだ。
    • ただ、そうでなくてもターンテーブルと鍵盤の距離が相当離れている事実は覆せてない訳なのだから、ターンテーブルと鍵盤の距離を近づけることが出来るような機構を設ければ良いだけの話である。
      • 結局これも後発作品で「手が小さくてスクラッチノートを取りこぼす」「誤って小指を突き指するなどで怪我する」という形でゲーム外の問題としても露呈することとなってしまう。
  • 内部的な問題として、工場出荷時のボタンが非常に重く「バネ:100g/スイッチ:100g」と、メーカーこそ現行と同じであるが、操作性の観点で言えばかなり人を選ぶ仕様である。
    • ただしボタン類の交換に関しては、知識さえあれば誰でもできるレベルなので、店舗側で交換すれば問題にはならなかったのが救いか。
    • バネを抜いたりカットする事により、だいぶ軽くなるのだが、そうするとスイッチにかかる負担が相当なものになり、短期間でのメンテを余儀なくされたのがオペレーターを悩ませた。
      • 曰く「プレー時間が短いのでインカムはあるけどメンテサイクルが短くて収益的にはイマイチ」。
    • 結局メンテとの折り合いを付ける為のバランスとして、「バネ:20 or 60g/スイッチ:20 or 50g」に換装することがメジャーとなった。
  • また、サブI/O側にターンテーブルを制御する機構が組み込まれているのとフォトセンサーの性能の問題の為、稀ではあるが無反応による取りこぼしが発生することがある。
    • これは初代筐体(『1st』-『9th』に出荷された筐体)特有の現象であり、コンパネ右上の年代表記が1999年で、筐体下側の扉が白いのが特徴。
    • 店舗独自でこの配線を変えれば良いとはいえ、上記ボタン交換よりも更にハードルの高い改造である。このような不備を企業が出すゲームでやらかすのはいかがなものか。
    • そしてこの仕様が『1st』稼動から19年後の『25 CANNON BALLERS』にて大掛かりな内部仕様変更がなされた際に大きな問題に。ただしこれはその次作『26 Rootage』でメインI/Oに直接接続出来るようになったことで解消された*20
      • 『10th』以降出荷された筐体(コンパネの年代表記が2004年で、扉が黒いのが特徴)では、最初からターンテーブル・テストスイッチ・サービススイッチがメインI/Oに直接接続されている。この筐体以降のサブI/Oは16セグメント・ネオン・スポットライトの制御のみ担当する。
      • 『14 GOLD』以降出荷された筐体(カードリーダーの注意書きのシールが、黒地で白色の文字であるのが特徴)*21では、USB入出力が1.1から2.0に変更されているため、従来と比べて鍵盤のレスポンスが改善されている。そのため、プレーヤーの間では『14 GOLD』以降出荷された筐体が理想とされている。
      • 『25 CANNON BALLERS』ではPCBと共にメインI/Oも一新されているため、筐体の違いによる鍵盤のブレは改善されている。なので、現在では筐体の違いを気にする必要は無いと思われる。

その他

  • 『ss』のダブルプレーに限り、1P側だけが判定の対象となってしまい、2P側の判定は全て無効化されてしまう致命的なバグがあった。1P側だけプレーすればゲージが増えるのだが、DPを選んだ意味が全く無いことは言うまでもない。
  • 『1st』ではボム*22のエフェクトが半透明とは言えとても大きい上に透過性も悪く、譜面の視認性に影響を及ぼすこともあった。一応現行機種における初代のものを再現したボムよりは遮断時間は1/2と短いのが救いとは言えるか。『ss』からは『5th』まで使用された自重したものに変更された。
  • ディスクドライブが不調になりやすく、ムービーの読み込みに失敗するとプレー中の画面中央に「Victor」のロゴがデカデカと表示されてしまう。あまりのインパクトから印象に残ったプレーヤーも多く「Victor汎用ムービー」等とネタにされた。

総評

現行機種とは全く雰囲気も違う初期作品ではあるが、根本的なゲームシステムは既に完成されている。結果論とはいえ、未来に繋げたという意味ではアーケードゲーム界においての貢献度は非常に高い。
収録曲も5鍵とは打って変わって当時の流行に沿ったキャッチーな曲を積極的に取り入れた点も非常に大きい。 しかし、時代的に仕方ない点もあるが、かなりハードルの高い仕様を改善するのにてこずってしまったのか、評判を覆すのにはやや時間を要することに。
それでも『2nd』に関しては、初代で指摘されていた問題点がやや改善されている上、後発の家庭用にも移植されていない要素もあるなど、今の基準で見ても需要のある要素は見逃せない。

…とはいえ上記の問題も相まって本当の意味で人気機種になったのは、イメージをガラリと一新した『3rd』からとなった。


余談

家庭用について

  • 『1st』及び『2nd』の家庭用移植作は制作されておらず、2000年にPS2で発売された『3rd style』(以下、CS3rd)が家庭用版IIDX第1作目である。
    • 『CS3rd』はAC版『3rd』をベースに『2nd』までの楽曲も一部収録されているが、未収録となった楽曲も多い。
      • この内、「into the world」「Queen's Jamaica (astria mix)」「Junglist King(LONG)」と版権曲の殆どは、5鍵も含め家庭用beatmaniaシリーズで遊ぶことはできない。
      • また、一部の曲は隠し曲扱いで最初はプレー不可能。LIGHT7/7KEYS/EXPERTモードのいずれかをクリアするたびに、1曲ずつ解禁される。
      • ゲームは全く異なるものの、『1st』『ss』までのCSIIDX未収録曲の一部はPSとDCで発売された『Dance Dance Revolution 2ndReMIX CLUB VERSION』でプレー可能*23。音源は筐体から直接収録した物が使われている。ただしPS版はアペンドディスクなので、起動には『2ndReMIX』もしくは『3rdMIX』が必要なので注意。DC版は単体で起動可能。

サウンドトラック

  • 『1st』のサントラのみ何故かゲーム音源のまま収録されている他、隠し曲が一切収録されていない。ただし、当時はゲーム音源とサントラ音源では全くの別物と言えるレベルで変化している曲も多いため、ある意味貴重。
  • 『ss』と『2nd』は単体のサントラはないものの、『beatmania maniac-tracks』に楽曲が収録されている。
  • また、PS版『Dance Dance Revolution 2ndReMIX APPEND CLUB VERSION Vol.1』および『Vol.2』は音楽部分が通常の音楽CDと同じCD-DAで録音されているため、データ領域を読まないよう注意すれば『1st』『ss』のサントラ代わりに使う事が可能。これらもゲーム音源である。

幻の筐体『beatmania II』

  • このゲームを語る上で欠かせない事柄として通常版筐体の存在がある。『CS6th』の達人ムービーで使用されている筐体であるため、これで知ったユーザーも少なくないだろう。
    • 元々シリーズ開始当初は『beatmania』の「mini筐体」のようにやや小型化された「通常筐体(以下II筐体)」と、大型店舗向けとして現行の『IIDX』の名を冠した「DX筐体」のリリースを同時販売して全国展開するつもりだった。
    • このII筐体とDX筐体の違いとして「STARTボタンは中央のコイン投入口の両側に存在すること」「ターンテーブルが小さく鍵盤と距離が近い」「バスシェーカーやマーキーが搭載されていない」が挙げられ、かなりシンプルなものだった。このため『CS6th』の達人ムービーのプレーヤーは「筐体のデザインの違いに違和感を感じた」と『CS6th』公式サイト(アーカイブ、「BONUS」ページを参照)でコメントしている。
    • しかし、DX筐体を先行出荷したことにより、そのインパクトに見惚れた店舗関係者や消費者などにより、そちらへの受注が殺到。結果、II筐体に受注が集まらなくなり売れなくなると判断されたのか、急遽II筐体の発売は中止された。
      • このような経緯がある為、商標表記の付き方が『5th』以降だと「DXの右下に登録商標のRマークが付いている」のに対して『4th』までは「IIの右下に(TM)マークが付いている」というものとなっている。つまり当初は「beatmania II」までがゲームタイトルで「DX」は筐体バージョンだったのである。
      • ただし小型筐体も一応完成まではしていたらしく、1999年のアミューズメントマシンショー(AMショー)では2nd styleのII筐体が参考出展され一般入場者もプレーできた。
        また、韓国版『2nd』にあたる『beatstageII 2nd style』発売の際にごく少数ではあるが、この筐体が正式に市場へ出回ったようで、一部熱心なコレクターにより保有している人物が確認されている。
      • 日本国内では東京都立川市羽衣町にある個人経営のゲームセンター「WGC -World Game Circus-」で、唯一小型筐体が旧作を入れて稼働している。ただしブラウン管の経年劣化により液晶に交換されている。他にも海外製の音楽ゲームや他のBEMANIシリーズ旧作も稼働中。
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最終更新:2023年12月17日 16:32

*1 ANOTHER譜面が追加されたのは7thから。

*2 現行HYPER譜面が追加されたのは『12 HAPPY SKY』から。それに伴い当時のHYPER(7KEYS)譜面はNORMAL譜面へ降格。SPN譜面は『27 HEROIC VERSE』で☆1→☆2へ難易度変更。

*3 『2nd』、『9th』、『IIDX RED』-『26 Rootage』では☆1だったが、『27 HEROIC VERSE』で☆1→☆2へ難易度変更。

*4 『12 HAPPY SKY』で判定が通常通りのNORMAL譜面が追加。

*5 『27 HEROIC VERSE』で復活した際にNORMAL、HYPER譜面が変更されている。

*6 『CS15 DJTROOPERS』初出。後に『27 HEROIC VERSE』で復活した際に移植。

*7 韓国版『beatstageII 2nd style』では曲名が「rocket factory」に変更されている。

*8 『3rd』で一旦削除されたが、『6th』での復活時に音源、譜面が変更された。

*9 『CS14 GOLD』では、全譜面が変更されて収録された。

*10 ANOTHERが追加されたのは、その後復活した『9th』から。

*11 ANOTHERが追加されたのは、その後復活した『13 DistorteD』から

*12 『IIDX RED』を最後に削除され、現行機種ではプレー不可能。また同時期に稼動していた『2nd』韓国版では、元ネタである「テポドン」に抵触した為か、曲名が「Rocket Factory」に変更されている。

*13 実質5鍵4thからの移植だが、曲の長さがきちんとDDR版準拠になっている。

*14 唯一「NaHaNaHa vs. Gattchoon Battle」のみ対象外

*15 液晶ディスプレイが普及したことにより、プラズマディスプレイは2010年代に終焉を迎えた。

*16 現在ブラウン管筐体が稼働しているのは石川県七尾市の「ゲームセンターベティ」のみである。新潟県新潟市の「プレイハウスエリナ」のブラウン管筐体は2023年9月16日現在稼働停止中。

*17 「SD」映像出力設定自体が削除されているため、ブラウン管だと画面が正常に表示されない。

*18 過去に存在した公式ページ内のアナザー譜面に関するコメントにて「タイトルの『SOFT LANDING MIX』というのを見て、このアナザーの仕掛けが予想できてしまったあなたは立派なビーマーです。」と書かれていた。ちなみにこの音源を原曲の作曲者であるdj nagureo氏に聞かせたところ「ひどい・・・」の返事が返ってきた模様。

*19 ちなみに、曲の途中でbpmが2倍になるギミック自体は、CS版『beatmania APPEND GOTTAMIX』(1999年5月発売)に収録された「LOVERGIRL IN SUMMER~GUHROOVY HARD CORE MIX~ (LUV 2 SHY featuring SONOMI)」でも使われている。

*20 『26 Rootage』稼働時に初代筐体でのスクラッチの問題を解消するハーネスが提供された。ただし事前の申請が必要で、店舗によっては対処されていない場合がある。

*21 ただし故障により交換された場合、『13 DistorteD』以前の筐体でもこれである場合がある。『20 tricoro』以降ではコンパネにカードリーダーが内蔵されている。

*22 ノーツをGREATで叩いた際に出る爆発エフェクト

*23 当時は存在しなかったCS版IIDXの代わりとして楽しんでいたユーザーがいる。「ちょっときいてな (ZANSHIN-NA MIX)」および元々非対応の「NaHaNaHa vs. Gattchoon Battle」は未収録。