このページではアーケードゲームの『ディグダグ』と、家庭用アレンジ移植であるファミコン版『ディグダグ』(共に良作判定)を紹介をしています。



ディグダグ

【でぃぐだぐ】

ジャンル アクション
対応機種 アーケード
発売・開発元 ナムコ
稼動開始日 1982年3月
判定 良作
UGSFシリーズ

概要

ナムコの開発した面固定型アクションゲーム。
主人公ディグダグを操作して地面を掘り進み、地中に住むモンスターを退治するのが目的。
キャッチコピーは「戦略的穴掘りゲーム」で、それに違わぬ奥深さで人気を博した。

ゲーム内容

  • 操作方法は4方向レバー+1ボタン。レバーで主人公ディグダグを操作し、ボタンで射程制限のあるポンプ付きの銛(通称プクプクポン)を発射して攻撃する。
    • 銛は敵に命中すると突き刺さり、そのままボタン押しっぱなしか連打すると、ポンプで敵に空気を吹き込んで3段階に膨らませ、最後は破裂させて倒すことができる。膨らませている最中は移動することはできない。
    • 敵は膨らませたまま放置することもでき、その場合は一定時間ごとに萎んでいって再行動可能になる。また膨らんでいる敵には接触してもミスにならない。この特質がゲーム性を向上させている。
  • 敵は赤い風船に水中眼鏡を付けたような外観の「プーカァ」と、緑の怪獣「ファイガー」の2種類。
    • ファイガーは時折羽を白く光らせた後、触れるとミスとなる炎を横方向に吐いてくる。よって横方向から近づくのはリスクが高いが、ファイガーを横方向からポンプで倒すと縦方向から倒すより高得点というリターンもある。
    • 敵は通常は、地中にもともと存在する空間か、ディグダグの掘った通路しか移動できない。このためどのように掘り進んでいくかが重要になる。
      • 但し、たまに目玉だけのような状態に変化して(目変化)土や岩を通り抜けてくる。目変化中の敵はポンプで破裂させたり岩で潰したりはできない。
    • 一定時間を過ぎても敵を倒せずにいると、BGMが変化して敵スピードが早くなる。
  • 地中にはラウンドごとに3~5個の岩が存在し、ディグダグが岩の真下を掘ると約2秒後に落下する。下にいる者達を巻き込みながら空間を落下していき、土に当たると割れて消滅する。
    • この岩の落下で敵を潰しても倒すことができ、まとめて複数の敵を潰すと高得点。但しディグダグも潰されるとミスになる。
  • プクプクポンもしくは岩落としで敵を全滅させるとラウンドクリア。
    • 敵が残り1匹になると地上の画面外へと逃げ去ろうとするが、これを倒さず逃がしてしまった場合もクリアとなる。
    • 1ラウンド中に岩を2個落下させると画面中央(スタート位置)にベジタブルターゲットが出現、取得することでボーナス得点。
  • 残機制で敵に触れる、ファイガーの炎に触れる、岩に潰されるのいずれかでミス。ミス後は生き残っている敵とディグダグは初期位置へ戻るが、地中を掘った跡はそのまま。

評価点

  • 優れたゲーム性
    • 敵を倒すにも、低得点だが確実にプクプクポンで倒すか、岩落としでまとめて倒して高得点を狙うのか立ち回りが求められ、シンプルながら戦略性が濃い。
    • プクプクポンで倒すにも膨らませている間はディグダグは動けないので、膨らませている間に他の敵が接近してきた場合、急いで破裂させるか他の敵に対処するかの判断が求められる。
  • 膨らんでいる敵は行動できず触れてもミスにならないことを利用したものをはじめ、様々なテクニックが存在する。
    • 前方から複数の敵が迫っている時、1匹目を膨らませた後膨らませた敵を通過して2匹目の敵を膨らませ、さらにその敵も通過する「2段風船抜き」
    • 岩の下方向で敵を膨らませ動きを止めてから岩を落として潰す「陰険落とし」
    • 敵に追いかけられながら岩の下を通過し、一瞬だけ振り向いて銛を撃ち敵を足止めさせて潰す「パラライザー撃ち」
    • 岩を落とされたモンスターは逃げ出そうとするが、その時でもディグダグのいる方向へ逃げようとすることを利用し、岩の真下に左右どちらかに横穴のない長い縦穴を掘りそこに敵を集め、岩を落とした後横穴のない方へ動くことで敵を潰す「病気掘り」
    • 非常に薄い土の壁はモンスターは通過してこないがプクプクポンは貫通することを利用した「陰険打ち」。ただしこの薄さの壁はファイガーの炎も貫通してくる。等々。*1
  • グラフィック
    • 土は4層に分かれていて下層ほど暗い色で深さを表現。地層の境目も微妙に波打っている。さらに少しだけ掘ればその分だけ土が削れたり、マス目状に掘るとマスの間に波線のような形で土の残骸が残るなど、このゲームの肝である「土を掘る」ことにまつわるプログラムが秀逸。
    • ステージ数のカウントは単なる数字やアイコンではなく、地上に花を咲かせることで表しており、陽のあたるほのぼのとした地上から暗い地下へと潜ってゆく設定や対比が余すところなく表現されている。単純に土と岩だけでは味気ない見た目を良くし、コミカルさに貢献してくれるというポイントもある。
      • 花は1面につき1本ずつ咲いていき、10面になると大きな花1本にまとめられる。桁数や倍数を利用してアイコンを変化させるのは、当時のナムコ作品に多く見られる特徴の一つ。
    • 敵キャラは2種類のみであるが、段階的に膨張からパンク、岩につぶされた際など細かく描き分けられている。

賛否両論点

  • ディグダグの移動中には軽快なBGMが流れるものの、立ち止まっている際はBGMも一時停止して警告音のような音が鳴る。
    • 作曲者である慶野由利子氏によれば「『歩行音をつけて』という指定が先にあり、『音楽仕立てにしてみたら?』という提案があってこのような形に収まっただけで、もとからBGMではない」と語っている。
      • とはいえ、短いながらもれっきとしたメロディと効果音の組み合わせで1つのBGMとして成立しているため、ゲーム進行とBGMのシンクロという点では先進的な部分とはいえるのだが、ぶつ切りになってしまう点は少々惜しいところである。

問題点

  • 小回りのききにくい操作性
    • ディグダグの操作はモリの発射とポンプ、移動兼穴掘りとこれだけだが、意外と個々の動きはもたつく部分が目立ち、急な操作はききにくい傾向がある。
      • 移動は表現の都合もあるが若干重く、モリを飛ばして刺さるまでの間や敵を膨らませる動作など、ちょっとした操作ミスが響きやすい。特に複数の敵に追われている状況になるとそれが顕著になる。
    • 土がマス目単位で管理されているため、中途半端に掘った状態でいると思わぬ方向に軌道修正を始めることもある。

総評

非常にシンプルなゲームながらも細部までこだわって作られている作品。 『パックマン』『ギャラガ』『マッピー』らと並ぶ、ナムコ黄金時代黎明期の名作の一つである。


その後の展開

  • 続編をはじめ、様々な作品、リスペクト作品などが生み出される事になる。ポップなキャラクター性もあり、ゲスト出演なども行われている。
  • 後にディグダグはUGSFシリーズの世界観に組み込まれ、主人公ディグダグには「ホリ・タイゾウ」という名前が与えられ、同じくUGSFに組み込まれて『トビ・マスヨ』の名を与えられた『バラデューク』の主人公と結婚し、『ミスタードリラー』の主人公「ホリ・ススム」の父親という設定になった。
    • 大規模なクロスオーバー作品『NAMCOxCAPCOM』では2人が結婚する前の時系列を描いている。また、本作及びドリラーシリーズの番外編からプーカァ及びメイジプーカァが敵として出演しており、バラデュークにおける敵役であるオクティ族の突然変異体として登場する。
  • 駄菓子屋に出回ったコピー版のタイトルは「ZIGZAG」(ジグザグ)。FC版が発売するまでの間のゲームタイトルを、小学生が「ジグザグ」と覚えていた子が多かったのはコレが原因。
    • 「ZIGZAG」にも二種類あり、タイトル画面だけを変えた純粋なコピー品と、ギャラクシアン基板を改造したバージョンがある。後者は地中にあるツルハシを取ると一定時間スピードアップするという追加要素がある。

ディグダグ (FC)

【でぃぐだぐ】

ジャンル アクション
対応機種 ファミリーコンピュータ
ファミリーコンピュータディスクシステム
発売元 ナムコ
発売日 【FC】1985年6月4日
【FCD】1990年7月20日
定価 【FC】4,285円
【FCD】500円(書換専用)
判定 良作
ポイント ACに忠実

概要(FC版)

ACで成功したディグダグが、約3年の月日を経てFCでも登場した。
ファミコンへのアーケード移植はまだ黎明期を脱していない状況、時代に埋もれることなく原作の面白さも忠実に再現している。
1990年7月には書換専用としてディスクシステム版も後追いで発売された。

特徴・評価点(FC版)

  • ACの多くの仕様が忠実に移植されている。
    • ゲームの構成はそのままで、4層構造もきちんと再現されている*2

問題点(FC版)

  • 大きな問題にはならないものではあるが、やはり性能に起因する問題は抱えている。
    • 縦画面のAC版を横画面のFCに移植しているため、ステージのサイズそのものが変化しており、AC版そのままの掘り方は使えない。
    • 土の4層構造は再現されているものの、1層あたり3段(AC版は4段)となっており、カラーパレットの都合で大きな色合いの変化は出せなくなっている。また地層の境目の微妙な波打ちも真っ平になっているがその点は仕方のないところである。
    • ディグダグの動作がアーケードに比べて若干滑らかになっており、地に足着くようなもたつきは再現されていない。
      • この点については、改善点ともとれる部分ではある。

総評(FC版)

ハード性能上、ACの完全再現とまではいかないが、ゲーム性の肝をしっかり押さえ見劣りしないレベルの移植を実現した良作である。

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最終更新:2023年04月15日 14:34

*1 テクニックの名称は電波新聞社刊「ALL ABOUT NAMCO」より。

*2 当時のパソコン移植のディグダグは3層構造のものがほとんどだった