OCTOPATH TRAVELER

【おくとぱすとらべらー】

ジャンル RPG
対応機種 Nintendo Switch
Windows(Steam/Microsoft Store)
Xbox One
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 スクウェア・エニックス
アクワイア
発売日 【Switch】2018年7月13日
【Win(Steam)】2019年6月8日
【One/Win(MS Store)】2021年3月25日
定価 6,800円(税別)
プレイ人数 1人
セーブデータ 【Switch】9個+オートセーブ1個
【Windows(Steam)】24個
レーティング CERO:C(15才以上対象)
判定 良作
ポイント 古き良きRPGの正当進化
1度のプレイで8人全員の主人公の物語が楽しめる
主人公同士の絡みは薄め
「HD-2D」表現は後にシリーズ化
HD-2D作品
OCTOPATH TRAVELER / トライアングルストラテジー / ライブアライブ / OCTOPATH TRAVELER II


ストーリー

主人公は、「8人」の旅人たち。
物語の舞台となるのはオルステラ大陸。
プレイヤーはその1人としてこの世界を自由に旅することができる。
生まれた場所も、旅の目的も、そして特技も異なる8人。
はたしてプレイヤーはどのような旅を体験するだろうか?
旅立とう。君だけの物語へ

※公式サイトより。


概要

ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー』の開発スタッフが放つ、Nintendo Switchの完全新作RPG。


特徴

  • 高精細なグラフィックで描かれる、昔ながらのドット絵
    • 本作は、「HD-2D」と呼ばれる特殊なグラフィックによってゲーム画面が描画されている。
    • キャラクターは昔ながらのドット絵を採用しながらも、背景は3Dグラフィックにドット調のテクスチャを貼り付け、更に「Unreal Engine 4」によって光の表現や遠景のぼかしなどを加えて、まるでミニチュアや一枚の絵のように美しく表現されているのが特徴。
    • 開発者によると、「今のモニターの解像度だとフルドットではかえって汚く見えてしまうのでこのようにした」とのこと。
  • 原点回帰なRPG
    • 本作は、ターン制、コマンド選択、装備品の購入やジョブシステムなど、古典的なJRPGのシステムを踏襲しており、まるで90年代の作品を思わせるゲーム性となっている。
    • 上述のグラフィックと併せ、古き良きRPGの正当進化が本作のコンセプトとなっている。
  • ゲームの流れ
    • あらすじにもある通り、本作には8人の旅人が登場する。ゲーム開始時はこの中から1人を選んで主人公とし、各々の目的を果たすべくオルステラ大陸を冒険する。
      • ゲームを進めていくと、他の旅人も仲間に加えることが可能。8人中、最大4人までをパーティーとして連れ回す事ができる。
      • パーティーの入れ替えは、『ドラゴンクエストシリーズ』のように酒場で行う。なお、最初に選んだ主人公は一度エンディングを見るまではパーティーから外せない。
    • それぞれの旅人には全4章のメインストーリーが用意されている。大陸内の特定の街に入ると旅人ごとのストーリーが発生し、街の中で物語が繰り広げられた後、周辺のダンジョンにいるボスを倒すとクリアとなる。
      • 章の開始時にあらすじが表示されるほか、メインストーリー内で発生するイベントも細かく回想できるので、間を空けてプレイした場合でも内容を思い出しやすくなっている。8人のストーリーがそれぞれ大きく異なるための配慮だろう。
    • エンディングを見るには、最初に選んだ主人公で第4章をクリアする必要がある。
  • パーティーメンバーの個性
    • 各メンバーには「フィールドコマンド」と「固有アクション」が存在する。
      • フィールドコマンドとは、各地の住民に対して使える固有のコマンド。町の住民に対して使用することで、増援に加えたり情報を聞き出したりするなど多様な恩恵を得られる。イベントを進行させる条件になっていることも。
      • サイラス、プリムロゼ、テリオン、ハンイットのコマンドは失敗する*1と不審がられ、街の住民から信用を失っていく。失敗を繰り返すと、最終的に一切のフィールドコマンドを受け付けなくなる。ただし、酒場で金を払うことで住民との関係性を修復してもらうことが可能。
      • オフィーリア、オルベリク、アーフェンのコマンドは、住民によってはレベルが一定以上でないと使用できないが、使用時は 必ず成功する 。トレサはレベルに関係なく使用可能。ただし上記4人のコマンドの失敗により住民の不信が最大になっている場合は使用できない。
      • 固有アクションとは、文字通り各メンバー固有の能力。戦闘に使えるものやフィールド上で発生するものなど、千差万別。
    • 各メンバーの詳細については後述。
  • ジョブと成長
    • このゲームには基本のジョブが8つあり、各メンバーがその1つに就いている。ジョブに応じて戦闘能力や武器が異なり、成長によって得られる能力も異なる。
    • ゲームを進めると「バトルジョブ」としてもう1つのジョブを習得できる。基本のジョブ8つに加え、隠しジョブも4つ存在する。隠しジョブは強力だが取得難易度も高い。
      • 一度取得したバトルジョブはメニューからいつでも変更可能だが、バトルジョブは1つにつき1人しか習得できないので、「基本ジョブ・バトルジョブ含めて全員同じジョブにしたパーティ」などは実現できない。
    • 戦闘中は「SP」(スキルポイント)*2を消費し、「アビリティ」と呼ばれる技を使える。最初は2つしか使えないが、戦闘で手に入る「JP」(ジョブポイント)を消費することで、新しく習得していくことが可能。
      • 入手するアビリティはそれぞれのジョブで最大5つから選べるなど、自由度も高い。ただし、必要なJPは少しずつ上昇していくので、どれを習得するかは慎重に決める必要がある(最終的にすべて習得は可能)。
    • アビリティを覚えるたび、特殊効果「サポートアビリティ」も1つずつ習得し、最大4つまで装備できる。HPやSPの自動回復、追加ターンの獲得など、効果は多彩。
      • 一度習得したサポートアビリティは、他のジョブを使用していても装備可能。この辺の多彩さは『ファイナルファンタジーV』に通ずるものがある。
  • 戦闘システム
    • ターン制。ターンごとに敵味方全体の手番順は画面上に表示され、パーティーメンバーの手番が来るたびに技を選択して発動する。
    • 最大の特徴は「コマンドブースト」。各メンバーは「BP」(ブーストポイント)という値を持っており、これを最大3まで消費して攻撃性能を上げることができる。通常攻撃の場合、攻撃回数がBPごとに1ずつ増える。
      • BPは毎ターン1ポイントずつ獲得できるが、BPを使用したターンには獲得できない。BPを大量消費したい場合は、むやみに使わずに温存したり、BPを回復させるアイテムやアビリティをあらかじめ使う必要がある。
      • BPの最大値は5。それ以上はためることができない。
      • 各戦闘の開始時にBPは1にリセットされる。次の戦闘には持ち越せないので、各戦闘のうちに使い切ってしまうのが吉。
      • ブレイブリーシリーズのBP(ブレイブポイント)のように、BPをマイナスまで減らしてコマンドブーストを発動させること(前借り)はできない。
    • もう一つの特徴は「ブレイク」。すべての敵には耐久力が設定されており、弱点の武器や魔法で攻撃すると耐久力を減らすことができる。0にすると敵をスタンさせることができ、1ターン行動不能にさせたうえで防御力も引き下げることができる。
      • これにより、戦闘において攻撃回数は大きな意味を持つ。ブーストによって攻撃回数を上げれば敵を早く気絶させることが可能になるというわけである。
      • また、ブレイク中は防御力が下がるため、格好のチャンス。BPを全開まで上げて攻撃すれば、大ダメージを与えることができる。
      • ただしブレイクした敵は回復したターンに必ず先制で行動するため、こちらが無傷のままブレイクさせ続けるのは難しい。
  • サブストーリー
    • 一部のNPCに話しかけることで発生するクエスト。クリアすると報酬が貰える。ごく一部を除いてメインシナリオには影響せず、受けるかどうかは任意となっている。
    • 受注済みのものはメニューから確認でき、クリア後はそのストーリーのあらすじが追記される。
    • クリア条件が複数設定されているものも存在する*3。いずれの方法でクリアするかは任意で報酬も変わらないが、クリア後のあらすじは変化する。

8人の旅人(主人公)

記載はタイトル画面の登場順。

+ 長いので折り畳み。「+」を押して展開
  • オフィーリア(Ophilia) CV.茅野愛衣
    • 大陸で信仰されている「聖火教」の神官。慈愛の心を常に忘れない心優しい女性。わけあって20年に1度の儀式の大役を果たすこととなり、各地に聖火をともす旅に出る。
    • ジョブは「神官」。全体回復に長けており、ピンチに陥ったときは頼もしい。光属性の攻撃魔法も使える。
    • フィールドコマンド「導く」を使うことで、街の住民を増援に連れ出すことができる。導いた住民を特定の住民の元に連れて行くことで発生するイベントなども存在する。なおオフィーリアのレベルが低いと連れ出せない事がある。
    • 増援となった住民は、戦闘中に固有アクション「加勢」を使って一定回数まで呼び出すことができ、オフィーリアをかばってくれたり追加攻撃や援護を行ってくれたりする。
  • サイラス(Cyrus) CV.梅原裕一郎
    • 王立学園で教鞭を執る学者。理知的な二枚目だが色恋沙汰には疎く、あらゆる知識の獲得・共有に心血を注ぐタイプ。図書館から1冊の本が盗まれたのをきっかけに、学園の裏に隠された陰謀を解き明かす旅に出る。
    • ジョブは「学者」。アビリティ7枠のうち、6枠は炎・雷・氷各属性の全体攻撃で埋まっており、とてもシンプル。属性ごとの弱点を突きやすく、安定した戦いに臨むことができる。エンカウント率や敵から不意打ちを受ける確率を下げるサポートアビリティを覚えるのもありがたい。
    • フィールドコマンド「探る」を使うことで、街の住民から様々な情報を聞き出せる。情報を聞き出すと、隠しアイテムの出現や街の施設の利用料金の値下げが起こったり、他のフィールドコマンドに有利な効果が発生するほか、時にはサブストーリー攻略のカギも手に入る。一定確率で失敗するが、レベルが高いほど成功確率は上昇する。
    • 固有アクション「予習」により、戦闘開始時に敵の弱点を1つだけ明かすことができる。武器や属性攻撃で試行錯誤する手間が減るので便利。
    • 学者のアビリティ・サポートアビリティの使いやすさや予習のおかげで、初見プレイ時の主人公選択に迷ったら彼一択と言っていい程お勧めできるキャラクターである。
  • トレサ(Tressa) CV.青木瑠璃子
    • コーストランドに住む商人一家の一人娘。負けん気は強いが生真面目な性格の持ち主で、若いながらも商才と審美眼に優れる。ある商人から手に入れた手帳をきっかけに、一人前の商人を志して旅に出かける。メンバー最年少。
    • ジョブは「商人」。アビリティは風属性の魔法を除けばサポート中心で序盤は持て余しがちだが、戦略の幅が増えてからは何かと重宝するものも多い。また最後に手に入るサポートアビリティはアビリティの消費SPを半減できるため強力であり、大器晩成タイプと言える。敵からお金を徴収することもできる。
    • フィールドコマンド「買い取る」により、街の住民が持っているアイテムを買うことができる。強いアイテムは割高だが、テリオンで盗めないアイテムも確実に入手できるのが強み(ただし非売品は除く)。
    • 固有アクション「歩いてリーフ」により、道中を歩いているだけでお金を稼ぐことができる。序盤の金欠対策には重宝する。入手金額は出現する敵の強さに依存するので、推奨レベルを超える場所ではハイリスク・ハイリターンな稼ぎ方もできる。
    • 役職柄落ち着いていたり素性から達観してる面々が多い中、メンバー最年少ということもあってかドット絵や戦闘ボイスで萌えを狙ったような描写が存在しており、本作のムードメーカーといえる。
  • オルベリク(Olberic) CV.小西克幸
    • 身分を隠して山奥に暮らす元・騎士。寡黙だが村の男達に稽古を付けるなど面倒見は良く、村人からの信頼は厚い。共に仕えていた国を裏切ったかつての戦友の噂を聞き、「剣を振るう意味」を探すべく、そして戦友の真意を知るべく旅に出る。メンバー最年長。
    • ジョブは「剣士」。自身の攻撃力や防御力を高めたり、全体攻撃や連続攻撃で弱点を突いてブレイクを狙いやすい他、仲間をかばう能力に長けている。
    • フィールドコマンド「試合」により、街の住民に決闘を申し込むことができる。申し込めるかどうかはレベル次第だが、女だろうが老人だろうが相手が乗り気でなかろうが関係なく試合を挑める。騎士道とは…
      試合を行うことで経験値稼ぎやレアアイテム入手を狙えたり、家の入口をふさぐ住民を倒して侵入したりできる。なお負けた場合のデメリットは特に無く、ゲームオーバーにもならない。
    • 固有アクション「防御ブースト」を持っており、防御コマンドにブーストをかけてダメージを更に減らせるだけでなく、味方への物理攻撃を自動でかばう。
  • プリムロゼ(Primrose) CV.桑島法子
    • 元貴族の踊り子。抜群の美貌を誇るがどこか影のある女性。サンランド地方で評判の高い踊り子として活動していたがそれは仮の姿であり、幼少時に父親を殺した集団の情報を遂に掴んだため、復讐の旅に赴く。
    • ジョブは「踊子」。殆どのアビリティはバフ効果だが、本作のバフ効果は強化倍率が大きいため、上手く使えば大変重宝する。ランダム効果の「摩訶不思議の舞」も運が良ければ稼ぎに役立つ。闇属性の攻撃魔法も使える。
    • フィールドコマンド「誘惑」により街の住民を「加勢」させることができる。「導く」と違い、成功と失敗は確率で決まる。
    • 他の旅人と比べ、ストーリーが一際シリアス。ショッキングな展開が多く、空気感が大きく異なる。
  • アーフェン(Alfyn) CV.関智一
    • 小さな村で薬師を営む青年。気のいい兄貴分といった性格で情に厚い。かつて自分の命を救った恩人のように世界中で病に苦しむ人を救うため、大陸中を廻ることを決意する。
    • ジョブは「薬師」。神官と比べると単体対象も多く支援としてはやや劣るが消費SPが少なく、斧や氷での攻撃、毒の付与なと属性攻撃の幅が広め。中でも状態異常を防ぐ「健全化」が強力。他の援護をもらい全体化することで、より戦闘が安定する。
    • フィールドコマンド「聞き出す」は、サイラスの「探る」同様に情報を引き出せる。こちらは確実に聞き出せるが、レベルに応じて聞けるかどうかが変化する。
    • 固有アクションによって戦闘中にアイテムを「調合」し、他のメンバーにできない回復効果を発揮させたり、敵に属性攻撃や状態異常を与えることができる。アイテムを大量に用意した上で使いこなせると非常に強力。
  • テリオン(Therion) CV.松岡禎丞
    • 世界を廻る盗賊。盗みに入った屋敷で罠にかかり、罠を外す条件として屋敷から奪われた3つの宝を奪い返しに大陸中を巡る羽目になる。基本的に一匹狼な性格ではあるが、他の主人公達に対しては無愛想ではなく普通に接している。
    • ジョブは「盗賊」。敵からアイテムだけでなくHPやSPを盗むことができる。特に「スティールダガー」系は序盤において大変重宝する。敵の物理面のデバフも可能。
    • フィールドコマンドにより、街の人々からアイテムを「盗む」ことが可能。レベルやアイテムのレア度に応じて成功率が変わる。プレイヤーの行動次第では、値打ちがつけられない大切なアイテムを奪う外道にもなれる。
    • 固有アクション「開錠」を持っており、彼にしか開けられない宝箱が大陸中に多く存在する。アイテムコンプリートを目指す人には必須であり、主人公候補・パーティ常連の筆頭の一人。
  • ハンイット(H'aanit) CV.甲斐田裕子
    • ウッドランド地方に住む村一番の狩人。狩りの師匠が狩り以外だらしないこともあって、生真面目でしっかり者の女性。最強の怪物「赤目」を狩る依頼を受けた師匠が消息を絶ってしまい、相棒の雪豹リンデと共に師匠の行方を追う旅に出る。
    • ジョブは「狩人」。弓を主体とした、トリッキーなアビリティが多彩に揃っている。サポートアビリティは攻撃的なものが多いが、特に最後に覚えられるものが「低確率で再行動」とかなり強力。
    • 固有アクションにより敵モンスターを「捕獲」することが可能。捕獲率は対象のHPが低いほど上がる。倒したり逃げられてしまうと捕獲できないが、アビリティ「すん止め矢」により、敵のHPをギリギリに抑えることが容易になっている。そこ、ポケモンとか言うな。捕獲したモンスターは戦闘で自身の代わりに攻撃させることができる*4
    • フィールドコマンドにより、街中の住民に「けしかける」ことで戦うことができる。オルベリクの「試合」に近いが、レベル制限がない代わりにアイテムとモンスターを使った攻撃しかできない。

評価点

  • とっつきやすくも戦略性がある戦闘システム
    • 本作の戦闘システムは完成度が高く、通常の雑魚戦でも作業ゲーに陥ることなく楽しむことができる。
    • ゲーム序盤は必然的に一人旅となるが、ここで「バースト」「ブレイク」の基本を自然に学ぶことができる。
      • BPを上げてガンガン攻撃を打ち込めば、敵をいち早く気絶させることができる。だがそうするとBPが枯渇し、ブレイク中に大技を打ち込めなくなってしまう。攻撃を受ける前にさっさとスタンさせるか、地道にスタンさせてから一気に大技を打ち込むか、プレイヤーに選択がゆだねられており、戦況に応じた柔軟な駆け引きが求められるのである。
    • ゲームを進めると仲間が増えていき、戦略の幅が広がっていく。それと同時に、どのアビリティを習得させるか選択の余地が生まれる。
      • サポート重視のキャラから戦闘向きのキャラまで幅が広く、どのようにパーティーを育てていくかどうかは慎重な判断が求められる。先述の通り、必要なJPはどんどん上がっていくため、無計画な育成には要注意。
      • しかし、アビリティを覚える順番は自由のため、自分の好きな方法で攻略を進めていくことができる。新しい戦略が生まれる喜びはもちろんのこと、自分の決めた成長方針がうまくハマった時は快感もひとしお。
    • 序盤はひたすら殴るのが中心でも、ある程度ゲームを進めるとブレイク中に強力な大技を叩き込むのが効率的な事に気づくはず。これにより「どういう手順で相手をスタンさせるか」「そのうえでどのように大技用のBPを確保するか」「どのタイミングで味方にバフを与えるか」「虎の子の消費アイテムを使い切ってしまうか」など、考えるべきことが増えてくる。雑な戦い方ではあっさり負けてしまうため、戦略はきちんと練ったうえで戦いに臨まなければならない。
  • ゲームを飽きさせない、作りこまれた成長システム
    • 主人公のレベル上げを兼ねて8人の仲間を加入させる頃には、多くのプレイヤーがバトルジョブを習得し始める時期である。この頃になると、プレイヤーはそれぞれのジョブの長短がわかっているため、誰に何を任せるかどうかをスムーズに決められる。
      • 新しいジョブを習得することで戦略の幅がひろがり、ゲーム性もそれ以前のものとは異なってくる。
      • 相性の良いジョブを探すのも一興。SP半減を覚えさせたトレサを学者にすれば、消費SPの高い各種アビリティを容易に連発できるし、プリムロゼを神官にすればサポート役を一手に担う事も可能。
    • さらにゲームを進めていくと、最後のアビリティ「奥義」を習得可能。強力な技だがBPを3消費しないと使えない。その代わり「いかにしてBPを3溜めるか」という、新しい戦略が生まれてくる。
    • JPがたまってくると、複数のジョブから異なるサポートアビリティを引っ張ってくることができる。各ジョブのいいとこどりも可能であり、「ラストアクト(確率で1ターン行動追加)」+「おかわり(確率で通常攻撃追加)」といったコンボを考えるのも楽しい。
    • 以上、戦闘システムの長所と併せ、このゲームは開始から終盤まで、戦い方と戦略の幅は大きく変動していく。ボリュームに対してマンネリに陥りづらく、多彩な視点から自分だけの旅を楽しむことができる。
  • 古き良きRPG
    • 本作のHD-2Dは旧来のドット絵の正当進化とも呼べるものであり、評価が高い。戦闘システムも昔のものを踏襲しており、大人のゲーマーにとっては懐かしさを呼び起こすものになっている。
    • 本作に対し、「現実のゲーム史と異なる進化を辿ったRPG」と評価する向きもある。
      • 90年代半ばのゲーム業界は「次世代ゲーム機戦争」に伴い、猫も杓子も2Dドットから3Dポリゴンへと移行していった。かつてのスクウェアも例外ではなく、美麗なドット絵で魅了した『FF6』の次回作は、3DポリゴンとCGムービーで彩られた『FF7』である。その後、ドット絵はゲーム業界の第一線から引いていく事となった。
      • 本作はポリゴンではなく、新しいドット絵の表現を実現しており、『FF6』『クロノ・トリガー』などの流れを汲んでいるとも言えるのである。
      • ドット絵以外の最新技術も効果的に使用されている。被写体深度を生かした遠景のぼかしや、砂漠と雪原を照らす砂や雪の煌き等でドットを活かす表現は本作ならでは。
    • UIもRPGの基礎は押さえており、特に操作に支障が出ることはない。一度訪れた町に瞬時に飛べるファストトラベルもバッチリ搭載。
    • パーティメンバーのドット絵も作り込まれており、バトルジョブに変更した時も基本ジョブのキャラとは違った個性が出ている。踊子に至っては「露出度が高い」という共通点しかなく、服の色や装飾など完全にバラバラなのである意味必見。
  • BGM
    • 本作は、発売の半年近く前からサントラを発売し、アレンジCDも1年の間に3枚製作される(うち2枚はスクエニのe-store専売だが)など、音楽に気合が入っている。
    • 国内外のゲーム大賞での「音楽部門」で受賞・ノミネートされており、大きな会場での公式ライブ開催、Amazonのゲーム音楽セールスで100位以内にランクインするなど、評価も高い。
    • 例を挙げると、ゲーム序盤に流れる「バトル1」は、雑魚戦用とは思えないほど緊迫感と力強さのあるBGMである。残念ながら早い段階で聞く機会は少なくなるが、以降の曲も名曲揃い。
    • 各シナリオのラスボス共通曲「旅路の果てに立ちはだかる者」も、本作の中でも特に人気のある楽曲。
    • またボス戦では、各パーティーメンバーに専用のイントロが用意されており、各人が思い抱いているバックストーリーと併せて負けられない気持ちを引き立ててくれる。
    • 作曲は元コナミ所属でBEMANIシリーズ作にも楽曲提供していた西木康智氏が担当。本作が氏の出世作と言えるほど高い評価を受けている。
  • キャラクターボイス
    • キャラクターの項にもあるが、今作の主人公の声は小西克幸氏や桑島法子氏などの豪華声優陣が名を連ねており、イベントや戦闘を盛り上げるのに貢献してくれている。
    • アビリティ使用時のボイスもキャラごとに用意されており、ジョブチェンジの楽しみの一つとなっている。
    • なおオプションで英語音声に切り替えることも可能。
  • その他
    • 詳細は省くが、スタッフロールには驚きの演出が盛り込まれている。是非自分の手で最後までプレイしてから観賞することをお勧めする。

問題点

  • 最大8人での旅にもかかわらず、同行しているイメージが薄い
    • 各メンバーのストーリーにおけるムービーシーンでは、他のメンバーが一切登場しない。そのため、メンバーそれぞれのストーリーが単体で完結しており、「仲間を集めて旅をする」というコンセプトが薄れてしまっている。図らずも「君だけの物語」が別の意味にとれてしまう。
      • サイラス編第3章やアーフェン編第3章など、特定のメンバーがいれば状況が変わりそうなイベントもあるだけに惜しい点である。しかし各メンバーを仲間にする順番がプレイヤーに委ねられている仕様上、シナリオ分岐が膨大になりかねないので仕方がないのだろう。
      • それを補うため、ゲーム中は特定のタイミングで「パーティチャット」と呼ばれるものが発生し、特定のメンバーとの会話が行われる。しかし「発生するのは特定のタイミングで特定のメンバーが同行している時のみ*5」「終盤で発生する隠し要素を除いて1対1の会話のみ」「ストーリー描写のシーンとは別個に行われる」「メインストーリーのイベントと異なり回想不可」など問題点が多く、補い切れているとは言い難い。
    • 仲間で旅をしているイメージを損ねる要因に、「各メンバーの目的が個人で完結している」という点も挙げられる。
      • たとえば、多くのメンバーは第3章でストーリーの山場を迎え、最後の目的地に向かう決意をする。しかし強制的に第4章に進むわけではないため、目的地には向かわず他のメンバーの個人的な旅に付き合うことも可能である。
      • オフィーリアに至っては、第3章の終わりに旅の目的にかかわる緊急事態に陥るのだが、ゲームシステム上は放置しても問題なく、後回しにしたからといってシナリオの状況が悪化することもない。
    • パッケージやイメージイラストでは8人全員で旅をしている様子が描かれているのだが、その様子から乖離してしまっている。
      • ついでに言えば、「道中は最大4人でしか歩けない」という点もこれらのイラストと矛盾している。酒場ではなく、他作品でいう「キャンプ」のようなシステムでパーティチャットやメンバー変更などを行えればまた違ったのだが…。
  • 一部ストーリー展開に見過ごせない粗がある。
    + 終盤のネタバレを含むので注意
    • テリオンを主人公に選ばなかった状態で彼の第1章を攻略する際のパーティインの流れが強引。「直前に同業の手助けを拒んでおきながら、同業ではなく素性も知れない主人公達の助勢は訝しみながらも受け入れる」という首を傾げる展開になり、また主人公も善行ではない犯罪行為に進んで協力することになってしまう。
      • 神官や教師が盗賊の行いを見過ごすどころか手助けをしたり、その腕前を称賛するなど、キャラクターの設定と倫理観が噛み合っておらず共感が難しい。
    • プリムロゼ第4章のラスボス戦直前の展開も無理がある。ラスボスに精神的に追い詰められる中で立ち直るきっかけが亡き父の幻想なのだが、ラスボスがそのような展開に懐疑的な発言を直前にしており、プリムロゼも明確な反論ができなかったため、それだけでキッパリと立ち直れるというのは説得力に欠ける。「復讐」というシナリオ展開の都合上、他のメンバーと違い精神的に成長する余地が無かったためにこうなったのだろうか?
  • サブストーリーの行き先がわかりにくい。
    • しっかりヒントをくれる場合も多いのだが、目的NPCや箇所に専用アイコンなどはなく前述の「聞き出す」or「探る」にて表示されている内容を覚えておかないとわからないことがほとんど。基本的にNPC全員にこれを行っているため覚えていられない場合が多い。受注箇所周辺で完結しているとは限らず、かなり遠方に目的があったりもする。
    • 挙句の果てにはエンカウントもするフィールドMAPやダンジョンの深層に目的のNPCがいたり、その受注中のみ出現している物の場合もあり、見つけにくいものはとことん見つけにくい。
    • 隠しボスへの挑戦に必要なサブストーリーがあるが、個別には全く接点がない話が唐突に繋がって急に解禁される不自然な流れとなるため、それぞれが隠しボスへ繋がるものだと事前には推測しにくい。また、メインストーリーのクリア後にそれらへと導くガイドも一切ないため、事前情報なしでは手がかりがないまま模索することになる。
  • ムービーシーンが長い
    • 各地でストーリーが語られる場面があるのだが、それなりに長く、テンポが悪い。推奨レベルが低い地域を攻略する場合、攻略時間よりムービーの方が長く感じられることも。
    • 懐かしい雰囲気のゲームなのに、次世代ゲーム機あたりから顕著になったムービーゲーの傾向がみられるのは何とも皮肉である。*6
    • 幸いスキップは可能であり、特に最初のエピソードはチュートリアル用の操作パートを丸ごと飛ばせるため、2周目を楽しむ人は安心。
  • NPCが書き割り
    • 本作のNPCは話しかけるかフィールドコマンドを仕掛けない限り反応せず、その場から全く動かない。
    • 会話できない賑やかしNPCがそれなりに配置されていることもあり、オブジェクトや書き割りのような印象を強く与える見え方となっている。
      • 特にNPCがごった返しているグランポートのようなタウンが顕著。
    • DQ1ですらランダムウォークしていたことを踏まえると、レトロRPGの雰囲気を楽しむ人にとっては気になる部分と言える。
  • 周回プレイができない
    • 本作では8人の主人公の物語を全員クリアしても最後のサブストーリーが追加されるだけで、データを引き継いで最初から始めることができない。
      • 最後のサブストーリーをクリアしても真のエンディングにはならず、そのままゲームが続行してしまう。
  • 隠しボス戦
    + ネタバレを含むので注意
  • 隠しダンジョンであるフィニスの門ではそれまでのボス8体の「黒き魂」との対戦(いわゆるボスラッシュ)の後、裏ボスと2連戦で戦うことになる。
    • 問題なのは 隠しダンジョンではセーブが一切出来ない 点。敗北するとまた中ボス8体+ボス2連戦の 最大10連戦を行わなくてはならない 。中ボス自体は体力が高いだけでそこまで強くないのが救いだが、連戦数が多すぎて途中でどうしてもダレてしまう。
    • 8人全員の総力戦となるため満遍なくレベルを上げておく必要があるが、控えメンバーに経験値が入らない上に敵とのレベル差に応じた経験値の補正もないという仕様上、8人のエピソードを終えて挑戦資格を満たした時点から要求されるレベリングがかなり厳しい。エピソードを進めるときだけ加えていたキャラはレベルをおよそ2倍にしなければならないことも。
  • その他
    • 前述のスタッフロールは主人公として選んだ旅人の第4章クリア時にしか見れない。後から見返すこともできない点に不満の声もある。

賛否両論点

  • 冗長な作業になりがちなフィールドコマンド
    • プレイヤーが新しい街に着いて始めにやるべき事、それは住民全員一人ひとりに「盗む」と「探る」を連発する事である。
    • 「盗む」は強力なアイテムを安価に手に入れることができるし、「探る」は金策やアイテム入手に必要となるなど、何かと便利なコマンドである。裏を返せば、全力でプレイしようと思ったら、わざわざ街の人全員にこれを行わないといけないので面倒。
    • 幸い、これを行わなくてもメインストーリーは進められる。しかしサブイベントの攻略や金策には必須な行動であり、ドーピングアイテムが入手できることもあるので避けるのも勿体ないという、絶妙な扱い。さっさとストーリーを進めたいけど攻略もきちんとしたいという人とってには、ダレる事請け合い。
      • 待機メンバーに経験値が入らない仕様との相性も悪く、普段使用していないキャラのエピソードを進める際はレベルが低いまま連れ歩くことになるが、主役としてフォーカスされるため戦闘面での活躍を要求されることが多い。その不足した戦力を補うためにも確率の低い「盗む」や「探る」で強力な装備を盗んだり武器屋の品揃えを増やすことを強いられる形になりやすい。
    • おまけに、「盗む」「探る」は確率で失敗するため、関係性の修復(セーブ&ロードによるやり直しも可能だが、タイトル画面までスキップできない部分が多くて待ち時間が長い)をしないといけないのが煩わしい。代用コマンドの「買い取る」はお金がかかり、「聞き出す」はアーフェンのレベルによっては使えない相手もいるため、どのみちこの2つに頼るハメになる。
    • コマンド使用者であるテリオンやサイラスがメンバーにいない場合、わざわざ酒場でメンバー変更する手間もある。普段は両者を使用しておらずレベルが低い場合、コマンドの成功率も下がるのでさらにストレスが溜まってしまう。そのため、ストレスを許容して進めるか、お気に入りのキャラを諦めて両者を常に連れ歩くか、という決断を迫られる。
    • 完璧な攻略を目指そうとすると、家の前をふさぐNPCを退けるためにオルベリクやハンイットで倒す機会もある。その場合もいちいちメンバー変更が必要なうえ、1対1の戦闘となるため装備までしっかり整えなければならず、結局「盗む」への依存度が高まっていく。
      • しかも、倒したNPCは街を離れると復活してしまう。
    • 「誘惑」「導く」で増援を求める場合も、いちいち街の人全員のパラメーターを調べて……以下略。
    • 挙句、ストーリーの進行によっては新たなNPCが追加される場合があるので、フィールドコマンドを行っていないNPCがいないかどうか定期的に確認する必要がある。
    • 確かに手間な仕様ではあるのだが、これらの元構想は「RPG流行初期頃の心でMAPを隅々まで探索したり、NPCと会話していってほしい」というものなので、情報に乏しい状態でゲームをプレイしていた古くからのRPG愛好家の中にはむしろ好意的に取る人も多い。どちらかというとそのあたりが簡略化気味な現代のプレイヤーが批判点として挙げやすい。
  • 戦闘に関して
    • 別段本作の独自性ではないのだが、戦闘でレベルアップするとHPとSPが満タンまで回復する。これをうまく利用すれば宿代や回復アイテムを節約できるし、レベル上げのためにこもり続けることも難しくないのでヌルいと評価される場合もある。ちなみに、レベルアップも比較的早いゲームである。
  • 案外あるキャラ・ジョブ格差
    + ネタバレを含むので注意
  • 8人固定かつジョブの組み合わせでどうにかなる範囲ではあるのだが、ある程度進むと使い勝手の差がそこそこ出てくる。
    • 「剣士」がとにかくイマイチ。特にバトルジョブとしては必要とされるシチュエーションに欠ける。
      • 唯一の武闘派職業の雰囲気があるが、中盤~後半は魔法攻撃の火力が抜きんでているため基本的に物理攻撃はBPを使用しての通常攻撃ブレイク役か補助効果になるのだが、剣士でなければ使えない武器は特に無く、使いやすい援護アビリティもない。奥義もただの単体技な上に他の高火力技を突き放すほどの性能ではないため個性に乏しい。挙句の果てに後半には「盗賊」に単体火力で負けてしまうという悲しさ。
      • 故にオルベリクは剣士がベースであることに加え、固有アクションの「防御ブースト」も使いどころが限られるため若干不遇。ただし、フィールドコマンドが便利なので存在が空気になることはない。
    • 「踊子」も終盤はほとんど空気。奥義は非常に強力だが、それ以外にはまったく必要なくなってしまう。
      • 結果的に後半のプリムロゼはバトルジョブに就いている側のみで戦うに等しく、実質短剣装備が増えているだけの1ジョブ状態になる。後述の「加勢」は強力だがオフィーリアが同じものを行使できてしまう。
    • 上級ジョブながら「星詠人」も評価が難しい。個性は強いが入手できる頃にはほとんど必要のない要素が多く、補助が踊子の奥義を意識してか単体補助ばかりなので使いにくい。全体攻撃技と装備武器種、サポートアビリティは優秀なのでそれ目当てだけに就く価値はある。
    • ハンイットは固有アクションが攻略本や攻略wikiでも見ないことには内容を把握できず、物理攻撃はうまく使わないと低火力なので難しい。フィールドコマンドもオルベリクより活用するのが難しいので、固有イベント以外に使っていないというプレイヤーも多い。
  • 実は非常に優秀なアーフェン
    • 固有アクションの「調合」が便利すぎる。素材の入手や調合結果で発動する効果の熟知は必要だが、対応できない状況がないといっていい。ベースが薬師故に奥義が攻撃でないことから剣士等に就いても価値がある等、固有アクションと絡めればどのバトルジョブに就いても強い。
  • プレイ進行的にテリオンがPTから外しにくい
    • 「盗む」に関してはパーティメンバーが変更できる酒場がある町で行うことが多いのでまだよいのだが、テリオンのストーリーとまるで関係ない土地どころかダンジョン内含むMAPの各所に専用宝箱が設置されているため、わざわざ酒場に戻る労力と時間を無くすために固定メンバーにせざるを得ない。
    • アイテムコンプリートなどを意識しない人にとっては別段問題ではない要素だが、見えている特別な宝箱を気にせず無視できるプレイヤーは少ないだろうと思われる。
  • バランスブレイカーな存在
    + ネタバレを含むので注意
  • 「加勢」「傭兵呼び」「霊薬公ドーターの恩恵」「豪武匠ウィンヒルドの咆哮」が挙げられる。
    • プリムロゼの「加勢」は、制限なくゲーム序盤から強力なNPCを勧誘できる点が強力。プリムロゼが低レベルの場合は成功率が非常に低いが、セーブ&ロードで粘れば序盤からパーティメンバーが出せない高火力を平気でたたき出したり、ピンチの時はかばってくれるなど、至れり尽くせりの活躍をしてくれる。
      • 使わなくても問題なくゲームを遊べるため、序盤(初回プレイ)は封印推奨。なお、対応する2人は成功判定の内容以外まったく効果が同じであるため、ほとんどのNPCが勧誘できるようになるLvに達するとベースジョブの関係でプリムロゼが微妙になる。
    • 商人の「傭兵呼び」は最序盤から習得できる上、「古兵」が金さえあればこれだけでクリアできなくもないほどの高性能(流石にクリア後ボスには力不足だが)。資金繰りはゲームに慣れてくると様々な方法で余るほど稼げるので、ほぼノーリスクで使っていけるようにもできてしまう。
      • 「古兵」を除いても使い勝手がよく、最安値の「傭兵」からしてダメージは最低だが全体防御バフ付きで、それ以外も金さえ払えば様々な属性攻撃を撃ち分けられるという点で十分強力である。
      • ブーストをかけると攻撃回数が増えるという、他のアビリティにはない利点も強さの秘訣。
    • 薬師の奥義「霊薬公ドーターの恩恵」は、使用先のキャラが使うアイテムの効果が3ターンの間パーティ全体に及ぶようになる。本来単体故の性能である全回復のアイテムやBP大回復のアイテムも全体化することから、キモであるBPシステムのやりくりや駆け引きをぶち壊しにしてしまう強力さ。
    • 上級ジョブである武芸家の奥義「豪武匠ウィンヒルドの咆哮」は、習得できるのが後半かつ強い装備品が必要とはいえ1行動で計7万をも超えるダメージをたたき出す。隠しボス最終戦すらこれ1本でなんとかなってしまうレベル。
  • 一部のサポートアビリティも強力すぎる。
    • 「回復限界突破」や、上級ジョブで覚えられる「永続フィジカルUP」「永続エレメントUP」がそれぞれの特性やバランスを台無しにしてしまっている。
      • 「回復限界突破」は最大HP以上の回復を得た際に制限なくHPに加算できる効果を得る。ボス戦では全員セットして行動毎に全体回復さえしておけばほぼ死ぬことはなく戦闘が単調になりがち。
      • 「永続フィジカルUP」「永続エレメントUP」は「戦闘中永続で攻撃&防御(フィジカル)or魔法攻撃&魔法防御(エレメント)UP効果を得る」効果を持ち、ステータスアップ関連の補助アビリティが無用になってしまう。特にバフを得意とする「踊子」はそのせいで存在意義が薄くなる。
      • それゆえ最終的にボス戦では回復限界突破&永続UP2種が安定することから4枠の内3枠を埋め、自由度もあまりなくなってしまう。残り1枠も火力役なら「ダメージ限界突破」、補助役なら「ラストアクト」でほぼ固定化、といった具合。
    • 8人全員を仲間にしなくても進められる内容であるため、縛りプレイのような遊び方や、何も知らないと厳しい戦闘になりやすいサブor隠しボスの救済処置として設定されているであろうことは想像できるが、通常プレイではあまりにも強力。
  • メインストーリーについて
    • 予想外な展開もあるにはあるが概ね王道的な内容で、大胆などんでん返しは無く、良くも悪くも無難な仕上がり。まったり楽しむ分にはいいが壮大なシナリオを期待してプレイすると肩透かしを食う。
      • ただしストーリーは8つもあるので、どれかがプレイヤーに刺さる可能性は高い。
    • 「主人公や街の住人が、信頼していた人間に裏切られる」というパターンがやたら多い。描写次第で意外性に富んだ展開になるが、何度もやられると「どうせこいつも裏切るんだろう」とマンネリを感じる人も。
    • 敵サイドに非道なキャラが多い。裏でかなり生々しい悪事を働いていたり、外道な発言を平然と言ってきたり。またドット絵で誤魔化されているとはいえ暴力表現も強め。

総評

分かりやすくも戦略性の高いバトル、8人の個性豊かな主人公を自由に育成できるシステム、懐かしさと新しさが融合した2D-HDのグラフィックなど、完全新規のRPGとしては非常に高い完成度と独自性を誇っている。
昔のドットベースのRPGに慣れ親しんだ人や、最新のRPGを遊びつくした人はもちろん、事前の体験版で集約した多数の意見をフィードバックしていることもあってRPG初心者にも勧めやすい名作と言えるだろう。
肝心の主人公同士の絡みがいささか薄味なのは惜しいが、それについては今後のシリーズ展開での改善に期待したいところである。


余談

  • 主人公8人の頭文字を並べるとタイトルの「 OCTOPATH 」となり、更に「 8つの (octo)(path)」(すなわち8つの物語)という意味にもなる。 タコは関係ない*7
    • のちに同じくスクエニが発売した『HARVESTELLA』には、本作のセルフパロディとして「トラベラーダコ」と言うタコが登場する。
  • Switch版は体験版が2度配信された。
    • 2017年9月に『project OCTOPATH TRAVELER DEMO ver.』が配信された。こちらは名前通りのデモバージョン(使えるのはオルベリクとプリムロゼのみ)で、プレイ後のアンケートを集約して開発の参考にする目的で制作されている。こちらは現在プレイ不可。
      『project』の名を冠す通り、この頃はまだタイトルに(仮称)がついていた時期のものである。
      • アンケートは4万件以上届き、前述のファストトラベルの追加やグラフィックの調整等様々な点を改善していることが明かされている。参照動画
    • 2018年6月には製品版へのデータ引継ができる体験版が配信された。最大3時間までという制限はあるが、8人全員の第1章を遊ぶことができる。もちろんプレイの仕方によっては上限までに全員を仲間にすることも可能。
  • 海外限定で、様々な特典が付属した『Wayfarer's Edition』が発売された。日本国内での販売要望も多かったが、その予定はないことが公式側からアナウンスされている。
    • ちなみに「wayfarer」は「徒歩旅行者」という意味。
    • なお、これまでの浅野チームゲーのSwitch版と同様、海外Switch版は販売を任天堂が担当している。
  • 半ばお遊び要素の域だが、NPCの設定がやたら細かい。アーフェンやサイラスで住民の情報を調べると、個性的な背景設定が一つ一つ用意されている。人に歴史あり。
    • この「端役にも設定をキチンと用意する」という手法は、本作のディレクターである宮内継介が過去に手掛けたスマホゲーム「ロード・トゥ・ドラゴン」(※現在はサービス終了)でも用いられた手法であり、同作のファンからは評価点に挙げられやすいポイントである。
      • BDFFの公式Twitterアカウントによると、本作に宮内氏が関与するきっかけがこの「ロード・トゥ・ドラゴン」であったとのこと(参考)
  • TRPGを制作しているF.E.A.R.が開発に参加している影響か、本作にもTRPGを意識したと思われる箇所が幾つか存在する。
    • NEW GAME時に見られるキャラクタープロフィールは、TRPGで使われるハンドアウト*8のよう。
    • 邪道コマンドの確率判定はダイスによる行為判定を彷彿とさせる。
    • 「そんな本作をTRPG化したらどうなるか?」という発想は開発スタッフにもあったらしく、攻略本の企画用に「オクトパストラベラーTRPG」*9が制作されリプレイが掲載された。
      • システム面はTRPG風に味付けされており、例えばゲームでは正道コマンドであるアーフェンの「聞き出す」がダイスによる行為判定を行うものになっている。
      • シナリオは本作の前日譚のような形となっている。
    • 本作が回帰した古き良きRPGも元を辿れば「コンピューター上でTRPGを再現する」ことを目標としており、そういった意味でも本作はRPGの原点回帰と言える。
  • パーティーコマンドを全力で使用すると、パーティーメンバーは町中の人間を片っ端から誘惑し、詮索し、持ち物を盗み、果ては老若男女問わず暴力をけしかけた挙句、住民の意思に関係なく住居に押し入る不審者集団となる。本作がCERO:C(アイコンは「犯罪」のみ)になった原因の一つかもしれない。
  • 本作は自由度が高く1人のストーリーなら割とすぐに終わらせられるため、タイムアタック向けのゲームである。
    • 後述する戦法も相まって、最初から商人に就いているトレサのRTAが人気。事実、speedrun.comの登録件数が最も多いのも彼女。
    • タイムアタックではレベルを上げなくても高いダメージを出せる「傭兵呼び」と精霊石によるアイテム攻撃が主流となる。精霊石の回収も確率に不安のある「盗む」ではなくトレサで買い取って集めるため、かなり拝金主義なゲームと化す。
      • 本作のセリフで「金の力を思い知るがいい…」というものがあるが、ある意味では本作の内容を端的に示したセリフと言える。
  • 2019年6月8日にWindows版(Steam)が配信開始。Win版の独自要素は特に無く、Switch版とほぼ同じ。ただしSteamのシステムとしての「実績」が追加されており、各種プレイ内容に応じて解禁できる。
    • 2021年3月25日にOne/Win(MS Store)が発売された。こちらもSteam版とほぼ同様。
  • 2019年7月20日に、オリジナルストーリーを収録した小説版が発売された。
    • ゲーム本編で不足がちだったキャラクター同士の絡みを補完する内容となっている。
  • 本作発売後の2019年3月に『OCTOPATH TRAVELER 大陸の覇者』が基本無料のスマートフォン専用RPGとして配信されることが発表された。2020年10月28日に配信開始。
    • 基本的なシステム面は従来のオクトパストラベラーを受け継いでいるが、ミニマップの造りや移動の仕方、レアリティアップやステータスボードの形式、後衛にいるキャラの回復などアナザーエデン 丸パクリ に思えるような出来だったが、リリース直後のインタビュー記事において、『開発段階でアナザーエデンのことを知り、アナザーエデンの初代プロデューサーである高大輔氏がスクエニに出戻りした際に話を聞いた』と云う回答がなされており、2024年12月5日のアナザーエデンでのライブ配信中に大陸の覇者のプロデューサーである鈴木裕人氏はアナザーエデンのことを「兄」と呼んでいる。
    • シナリオは本作の数年前の時系列となっている。固有の主人公はおらず、ガチャでプレイヤーキャラクターを入手する方式となっている。本作の主人公やNPCが入手できることも。
    • 2023年6月22日からは、『オクトラII』の舞台となるソリスティア大陸で展開されるエピソード「サイドソリスティア」が追加された。
    • 2023年12月7日よりアナザーエデン内にてオクトパストラベラーシリーズとのコラボが開始した。期間はクロノ・クロスコラボと同じく「開始から5年」の設定がされているため終了予定日は2028年12月7日である。また、これに伴い大陸の覇者内でも猫のヴァルヲを支援獣として、更にアナデン側のオクトラコラボの後日譚となる話が読める栞を2024年1月4日までに配布された。つまりアナデンでのオクトラコラボはまだ遊べるが、大陸の覇者側で見ることができた後日譚はもう見れないということである。
  • 2023年2月24日、続編である『OCTOPATH TRAVELER II』がNintendo Switch/PlayStation 5/PlayStation 4/Steam向けに発売された。世界観は本作のものから一新されている。
    • 発売前に、本作と同様に本編に引き継げる無料体験版が公開されている。
+ タグ編集
  • タグ:
  • 2018年
  • Nintendo Switch
  • RPG
  • スクウェア・エニックス
  • アクワイア

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年02月04日 10:17

*1 ハンイットの場合はバトルに敗北すると失敗扱いになる。

*2 ファイナルファンタジーシリーズなどにおけるMPに相当する値。

*3 たとえば冤罪で投獄された人を助ける場合、牢屋の鍵を「盗む」か、冤罪の証拠を「探る/聞き出す」かで展開が変化する。

*4 相棒であるリンデ以外は回数制限有り。

*5 仮に特定のメンバーがパーティにいなくても、次のパーティチャットが発生する前に酒場でメンバー変更すれば見れるが、酒場に寄る間もないままイベントが進行することもある。

*6 ただしSFC末期も、プレイヤーが操作不能になるストーリーパートは増え始めていた。

*7 そもそもタコの英語表記の綴りは「octopus」である。

*8 ゲームマスター(GM)からプレイヤーに配布される資料のことで、本作のプロフィール文のようにプレイヤーキャラクターの初期状況の解説に用いられることがある。

*9 あくまで企画用であるため一般販売はされていない。