本格将棋 風雲児龍王
【ほんかくしょうぎ ふううんじりゅうおう】
ジャンル
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将棋
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対応機種
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スーパーファミコン
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発売元
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ヴァージンインタラクティブエンターテインメント
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発売日
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1994年12月22日
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定価
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9,800円
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セーブ
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オートセーブ
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判定
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なし
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ポイント
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初心者お断り 定跡を収録 良質な素材
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概要
本作はVirginから発売された将棋ゲームである。
電源を入れると、大きな龍と桜の花びらが出迎えてくれる。
特徴
基本仕様
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対局中にスタートボタンを押すとアイコンが出てくる。
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「矢印」は反転機能、盤面を相手側から見れたりする、すなわち、ひふみんアイみたいなものである。
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「手形」は待った機能。一手戻せる。ただし本戦では禁止されている。
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「次」は次の一手を表示してくれる。
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「S」はシステム。キャラ演出、読み上げ、音楽、駒選択、盤選択、画面位置を設定可能。また投了もここで行う。
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手番は振り駒により決定される。
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二歩は即失格(反則負け)となる。
3つのモード
トーナメント戦
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予選から対戦相手を勝ち抜いていくモード。
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予選は2局、本戦Aブロック3局、本戦Bブロック3局の後に王位継承戦があり、最後にエンディングが一応用意されている。ラスボスはキリカワ、ハトウ、モリタカなど毎回違うキャラになる。
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予選では、スズキ、タナカ、ヤマダと対局、本線から別なキャラが多数登場して顔グラも用意。
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初段~十段とあるがSFCではとても再現出来るものではない。本当は将棋倶楽部24の13級あたりがいいとこ。
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1戦毎にオートセーブで記録される。SFCにしては強い方だがコンティニューに制限はないので頑張ってみよう。
対局戦
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CPUと初級・中級・上級と対局する事が出来る。また2Pにも対応。
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対局で勝利すると「天晴れ!」と出て来る。
エディット戦
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「エディット戦」
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全部の駒を好きなように配置して戦える。Yボタンを押すと平手配置になるのでうっかりに注意。
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勝利した際は対局戦と同じ天晴れ!演出が登場。
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「過去の名勝負」
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「横歩取りの戦法」「米中意地の勝利」など、26の名局が収録されている。天保、御城、上山渓、龍王位箱根越え、大原龍王、相藤龍王位、山川龍王位、羽田龍王位、羽田時代、高野山など馴染みのないワードが並ぶ。
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棋譜の閲覧なのに、CPUの強さを選ぶ画面が出て来るのはおかしな話である。それと言うのも、棋譜の再現が終わった個所でCPUと対局出来る仕様が用意されているからである。勿論プレーヤーに強制するものではなくあくまで自由。
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このあたりはあくまでオマケ要素であるが、『指定局面』という概念を先駆けた面もある。勝利とは言っても一方的なものではなく、相手の猛攻を紙一重の差で凌いでの勝ちである。勿論、CPU相手にミスをするとすかさず逆転されるので注意。
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SFC将棋の付加価値に指定局面を採用した作品もあり、『将棋最強』ではそれ専門の作品まで登場している。
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他にも『プロ棋士人生シミュレーション 将棋の花道』でも指定局面からの開始があるがオマケ程度である、余談だが、顔グラ48×48といい、羽田の名前が出てきたり何かと共通点を窺わせる。
評価点
CPUは強い
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流石に初段や十段には及ばないが、SFC将棋にありがちなパックマンに弱いなどの欠陥もなく勝つのは苦労する。本格将棋とある通りSFCとしては本格的な棋力と言えよう。
素材が良い
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豊富な一枚絵
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タイトルでは大きな龍が出迎えてくれるし、トーナメントでは富士山の絵が緻密に描き込まれている。
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四季のエフェクト
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ランダムで、桜の花びら、笹船、もみじ、雪などのエフェクトが出て来る。その際の音楽も短いながら季節の曲を表現。
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駒や盤面の質感を選べる
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一文字、二文字、金属。シンプル、木目盤、金属盤。のみであるが金属盤はユニークな発想と言える。なお、駒台は木目のままである。
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トーナメント本線では、自分と顔グラが表示される。
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メニュー
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選択した際は黒子が項目を移動させてくれるし、筆文字も用意されている、ただアンチエリアシングを考慮していないのは甘い。
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キャラ演出
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待ち時間は長いがその間に、竹と石のアイコン、歩き回る黒装束などがプレーヤーの目を楽しませてくれるように配慮。
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棋譜読み上げが行われる
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必要に応じてON、OFFも可能。ただし、細かいところまではやってくれず例えば初手58金左とかは言ってくれず普通に58金と言うのみ。
賛否両論点
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二歩をしたら即死
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確かにルール上はそうなのだが厳しいという見方もある。
問題点
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CPUの強さと考慮時間
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本格将棋と言うだけあってSFCにしてはかなり強いのだが時間がかかりすぎる。SFCでは仕方のないところである。
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トーナメント決勝では1時間は使って来る。
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駒落ちは無い。
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それならエディットでやれば良いと思うが、盤面にない駒は自分か相手どちらかの手持ちになる。それなら自分で持って使わなければ良いだろうというとCPUは自分が駒を持っている事を前提に読んでくるのでどうしても上手く行かない。
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対戦相手の顔グラ
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相手の顔が見られるのは対局前のみであり、対局中、対局後に表情を変える事がないのは寂しいところ。
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過去の名勝負
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何故かエディット戦を経由しなくてはならないのでやや不便なところ。
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スピードが遅い
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棋譜の終局図から「指」ボタンでCPUと対局する事が出来るのだが終局図まで辿るまでが長い。そこからCPUとの対戦もあるが思考時間が長いので使い物にはならない。
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駒台の操作性について
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カーソルを駒台に合わせると盤面に戻るのが面倒である。
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キャンセルするには駒台から適当につまんで、ルール上出来ない事をすれば良い。例えば、歩や香を1段目に打つ、配置されている駒の上に置こうとするなどで盤面に戻れる。
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制限時間が特に厳しいわけではないので致命的ではないのだが、不便なとこである。
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エンディングが適当
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一人の男が3Dの盤面を歩いて行くというものであり、四季のエフェクトを交え、将棋の格言がアルファベットで表示されたりして最後は巨大な王将が出て終了と簡素なものである。
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アルファベットはすぐに消えるので読みづらいだけになっている。そもそも将棋とローマ字の組み合わせは一般的ではない。
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苦労して辿り着いたエンディングがこれではあんまりである。
総評
素材も良く、棋譜の収録とそこからの対局など面白い要素が見られるのだが、CPUは時間がかかりすぎて使い物にならない、棋譜再現も操作性の悪さなど不便な点も多く高い評価は得られなかった。
余談
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同日は『柿木将棋 (SFC)』のPS版が発売されている。PSが発売された月でもあり、PS将棋の第一作目として知られている。
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同社からおよそ丁度1年後に『将棋三昧』を発売される。500問の詰将棋とシューティングなどが入っている。
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投げ売りされている本作とはうって変わって、SFC将棋トップクラスのプレミア高騰にまでなっている。
最終更新:2021年07月05日 19:37