新4人打ち麻雀 役満天国

【しんよにんうちまーじゃん やくまんてんごく】

ジャンル テーブルゲーム
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売元 任天堂
開発元 シャノアール
発売日 1991年6月28日
定価 6,500円
プレイ人数 1人
セーブ方式 バッテリーバックアップ
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント イカサマ無しの正統派麻雀
現実的な雰囲気を再現
京都LV3
役満シリーズ
無印 / 天国 / アドバンス / DS (Wi-Fi) / Wii / 鳳凰

概要

任天堂のファミコンソフト『麻雀』および『4人打ち麻雀』の続編。
ゲームボーイソフト『役満』の続編でもあり、役満シリーズとしては2作目となる。
開発元は『麻雀悟空』シリーズを出していたシャノアールで、CPUの打ち筋やゲームの進め方等はほぼ流用されている。
ゲームモードは「ワールドモード」と「フリーモード」があり、メインのワールドモードを進めるとフリーモードでの対戦相手が増える。

ワールドモード

男女4人の中から主人公を選びゲームスタート。
世界7都市(京都、モスクワ、パリ、ニューデリー、香港、リオ、ラスベガス)を回り、それぞれの都市で麻雀を行い、定められた条件を突破していく。
麻雀参加には200ドルが必要で、初期所持金は400ドル。1位突破で400ドル、2位で200ドル、3位で100ドルの賞金が出る。
半荘ごとのオートセーブ。セーブ時は「SAVE」の文字が出て光る。
ラスベガスをクリアするとレベルが1段階上がり、京都から再スタート。
LV1は3位以上、LV2は2位以上、LV3は1位でその都市は勝ち抜けとなる。
参加費が支払えないとゲームオーバーとなり、そのレベルの京都に戻されて所持金が400ドルになる。
プレイヤーが役満を出すと麻雀牌を使った神経衰弱ゲームが始まり、成功度に応じて所持金が増える。

システム

  • 鳴きタン、西入などのルールを対局前に設定できる。
  • ツモは自動で、鳴きたいときやリーチをかけるときは↓を押してメニューから選ぶ。
  • Bを押しながら方向キーで周囲を見渡せる。
  • スタートで現在点数やルールの確認、BGMの有無設定。
  • ワールドモードの場合、セレクトでステージの状況確認。

評価点

  • 捨牌のテンポの変動。
    • 通常時はテンポ良く次々と牌が捨てられていくのだが、誰かがリーチするなどで場が危険な状態になると途端にテンポが遅くなる。
      • コンピュータ麻雀にありがちな機械的なツモ・即捨牌ではなく、「人と麻雀を打っている」雰囲気が再現されている。
  • 南入やオーラス、ドボン寸前になると案内人からコメントが入り、一旦落ち着いて作戦を練り直せる。
  • 個性的な登場人物。イラスト担当はファミ通で「しあわせのかたち」を連載していた桜玉吉。
    • キャラによって打ち筋が全然違っている。
      • 例えばパッケージ右下のオッサンはモンゴル出身のチンイツカン。もちろんチンイツ狙いでカンを連発し、当たるとでかい。
    • 平常時の他にも笑い顔、怒り顔、泣き顔があり、アニメーションする。
      • キャラによってリーチの時に笑顔になったり、気合を入れて怒り顔になったりする。キャラの性格がよく表現できている。
  • 雰囲気を出すため、拡張音源チップ「MMC5」が搭載されている。このためカートリッジも大型*1
    • 登場人物は20人以上いるが、「ポン」「チー」「ロン」などは全員別々の音声が使われる*2
      • プレイヤーキャラ4種類もそれぞれ表情と声が違っている。
    • ドラを切ると、バシーン!と小気味良い音が鳴るのですぐわかる。
    • BGMも数多く、ステージごとに違うのはもちろん、勝っている時やリーチをかけた時には楽しそうなBGMに、ドラポンが出たりリーチをかけられた時は緊迫感のあるBGMに切り替わる。
  • ステージによって「2回戦」「ポイント+50」「トップ2回」などクリア条件が違っており、常に勝ち抜け条件を意識して対局ができる。
    • トップ回数制の場合、ポイントに関係なく条件を満たした者が1位になり、2位以下の順位はポイントで決まる。

賛否両論点

  • LV1で所持金0ドルの状態で3位になり勝ち上がると次の都市で参加費が払えなくなるのを防止するため、特別対局が開催される*3
    • しかし1位になっても100ドルしかもらえず、たった200ドルしかない状態で先に進んでもゲームオーバーになるのは目に見えている。最初からやり直したほうがマシだろう。

問題点

  • 強いキャラが居残りがち。
    • キャラごとに打ち筋が違うため、どうしても強いキャラ・弱いキャラが出てきてしまう。4位のキャラが脱落するルールなので、強いキャラは3位までに入って次のステージまでついてくる。
      • 結果、強いキャラが後々のステージまでずっと居残り続けるという展開になってしまうことが多い。いつまでも同じメンツで嫌になってくる。
    • さらにLv1キャラをLv2の同一ステージまで連れて帰ると、なんとLv3キャラが登場してくる。こうなると最悪Lv3の京都までついてくる。
  • オートセーブにより、対局中のリセット禁止。
    • 対局前に出場料を取られ、負ける前にリセットしても出場料が戻ってこない。必ず半荘終了までやり切らなければならず*4、時間に余裕のある時しか遊べない。
      • この出場料システムの為に、ゲームバランスがだんだんおかしな方向へ進んで行くことになる。
  • コンテニューが実質無いも同然。
    • 所持金が尽きるとゲームオーバーで京都に戻されるのだが、レベルが上がっていても400ドルしかもらえない。
      • LV3ともなると、2位以下を2回取るだけでゲームオーバーである。そして何度も何度もゲームオーバーになり戻されるという京都LV3ループにハマる。
      • LV3ラスベガスまできちんとクリアしようと思ったら、いっそコンテニューせずにLV1からやり直して役満を狙い、所持金を増やしながらゲームオーバーにならないように進める方がよっぽど手堅い。
        ―と考えるかもしれないが、それだけでクリアできるほどこのゲームは甘くはないのである―
  • ラスボス戦が鬼仕様。
    • 見事LV3ラスベガスをクリアすると、ラスボス3人との対決になる。クリア条件は「半荘で1位を取る」という単純なもの。
      • ただし4位を取ると所持金を全額没収されて京都LV3送りになる。資金稼ぎに奔走し、苦労に苦労を重ねてここまで来たのに、たった一度負けるだけでゲームオーバー。シャレにならない。
+ そしてラスボスに勝つと…
  • なんとラスボスが負けを認めず、同じ条件で再勝負を挑んでくる。
    • つまりもう一度勝たなければならない。4位を取ればもちろん京都LV3である。
      • プレッシャーに耐えて耐えてようやくクリアだ、と安堵したプレイヤーをどん底に突き落としてくる。連勝の必要はないが慰めにもなっていない。

総評

ファミコンという限られたスペックの環境で、拡張音源まで搭載し「リアルな雰囲気の麻雀」にこだわり抜いた渾身の一作。
それでいて一人プレイなので、対戦相手に気を使う必要がないのも嬉しいところ。
しかし、ワールドモードでゲームオーバーになるとほぼ再起不能で今までの苦労が水の泡という問題点はあまりにも大きすぎた。
常にゲームオーバーというプレッシャーと背中合わせで麻雀を打たなければならない。これさえなければ万人にお勧めできる良作と言えたのだが…。
賭け麻雀でハコテンにされるような、そんなヒリヒリ感が好きな人なら楽しめるのかもしれない。

その後の展開

  • シャノアールの許諾が下りないためか、バーチャルコンソール等の配信はされていない。
  • 本作の評価が尾を引いたのか、任天堂からはしばらく麻雀ゲームが出なかった。
    • スーパーファミコン末期になってようやく、ニンテンドウパワー専用ソフトとして『ZOOっと麻雀』が出ている。
      • 本作のワールドモードと同じような、対戦条件が定められたステージをクリアしていく方式。
      • 所持金制度はなく、負けてもすぐに再挑戦が可能。こんなにうれしいことはない。
  • すっかり忘れられていた役満シリーズは、GBAにてようやく3作目『どこでも対局 役満アドバンス』が出た。
    • その後4作目『役満DS』、5作目『役満Wii 井出洋介の健康麻将』、6作目『役満 鳳凰(WiiU、3DS)』と続いている。

余談

  • 概要の通りファミコンの『4人打ち麻雀』とゲームボーイ『役満』の続編ということだが表向きは同じだが本作の開発はどちらとも違うので一概に続編と言い切れない一面がある。
    • 特に前者はそもそもハドソンのPC用ソフト『ジャン狂』を移植したものでルーツは完全にハドソンにあるため、その続編と言われても違和感が強い。
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  • 任天堂
  • シャノアール

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最終更新:2024年02月12日 15:02

*1 本作以外では光栄の歴史SLGソフトなどに多く採用されている。

*2 キャラによっては声が全て同じキャラも居るが

*3 対局相手は主人公に選ばなかった3人。

*4 フリーモードは出場料がないので半荘やり切る必要はない