ソニック アドバンス3

【そにっく あどばんすすりー】

ジャンル アクション
対応機種 ゲームボーイアドバンス
発売元 セガ
開発元 ディンプス
発売日 2004年6月17日
定価 5,800円(税別)
プレイ人数 1人(通信対戦では1~4人)
配信 バーチャルコンソール
【WiiU】2016年5月25日/715円(税10%込)
判定 良作
ポイント 2人1組による独特のアクション
アクション重視の作品
スピード感はやや低下
ゲームキューブとの連動は廃止
ラストの展開は必見
ソニックシリーズ


概要

  • ソニックアドバンスシリーズの3作品目。
    • キャラクターを2人選択したり、ゾーンマップが存在したり、キャラクターの交代が出来る等、前作までとはシステムが違っている。
    • プレイヤー側の新キャラクターは存在しないが、敵側にジーメル*1という新キャラが登場し、エッグマンとともにソニックたちを苦しめる。

システム

  • キャラクターは、ソニック、テイルス、ナックルズ、クリーム、エミーの5人。
    • 今回はソニックとテイルスは最初から使えるが、ナックルズ、クリーム、エミーは途中から加入する。
  • 今作はゾーンマップ(ソニックアドベンチャーのアドベンチャーフィールドに相当する)が存在し、ゾーンマップから各アクト、ボスステージ、ミニゲームステージ、スペシャルステージ、ソニックファクトリーにアクセスできる。
    • 前作よりアクトが1つ増えており、各ゾーンに3アクト存在する。
    • ソニックファクトリーに行くとキャラクターを交代できる。今作はステージの進行状況は全員で共有である。
    • ミニゲームステージに行くと、制限時間内に規定条件を満たす(2種類ある)ことで残機数を増やせる。
  • 本作は、必ずキャラクターを2人選択することになる。先に選択したキャラクターがプレイヤー、後に選択したキャラクターがパートナーとなる。
    • 本作最大の特徴。操作するのはプレイヤーキャラクターなのだが、同じキャラクターでもパートナーによりアクションが様々に変化する。
    • またRボタンを押しっぱなしにすることでパートナーがタッグアクションを使用してくれる。
      • タッグアクションは、早い話が合体技である。タッグアクションの内容は、パートナーにより決まっている。また、地上と空中でタッグアクションの内容も変化する。プレイヤーとの組み合わせでは変化はしない。
        + タッグアクションについて
      • ソニックがパートナーの場合
        • プレイヤーを強制的にブースト状態にし、前方に走らせる。
        • 地上でも空中でも内容は同じであるが、空中で発動させた場合は空中ダッシュとしても使える。
      • テイルスがパートナーの場合
        • 地上の場合は、馬飛びジャンプでプレイヤーを大ジャンプさせる。大抵の段差を飛び越えられることが可能。初見ではそのジャンプ力の高さに驚くこと請け合い。
        • 空中の場合は、プロペラ飛行でプレイヤーキャラクターを掴んで飛ぶことができる。
      • ナックルズがパートナーの場合
        • 地上の場合は、ナックルズがスピン状態で前方に突進して攻撃できる。タッグアクションでは珍しく攻撃技。
        • 空中では、プレイヤーを背中に乗せた状態で滑空飛行ができる。壁にぶつかるとナックルズは壁のぼり状態になるが、プレイヤーは下に落下してしまうため、プレイヤーを運んで壁を上ることはできない。
      • エミーがパートナーの場合
        • ピコピコハンマーを使って、プレイヤーを上空に弾き飛ばす。
        • 地上でも空中でも同じだが、地上で発動させたほうが弾き飛ばす距離が高い。
      • クリームがパートナーの場合
        • チーズ(チャオ)が一定時間プレイヤーキャラクターに変身*2し、プレイヤーがチャオアタックを使えるようになる。
        • 空中で発動した場合は上記の能力に加えて、プレイヤーを上に弾き上げる(=二段ジャンプ)ことが出来る。発動時の上昇速度が速いほど弾き上げる距離が高くなる(つまりジャンプ直後に発動させるのが一番高く跳べる)。
    • プレイヤーとパートナーの組み合わせにより、ペアタイプがスピード、フライ、パワー、の3タイプに分かれる。
      • スピードタイプ:リングの個数に応じて加速力があがる。ブーストが使える。
      • フライタイプ:ジャンプ能力がアップ*3
      • パワータイプ:特定の壁を破壊できる。
    • また、2人のキャラクターを選択した際に、組み合わせによっては特殊なペア名が表示される。
      + 特殊ペア名、順不同
      • ソニック&テイルス:ゆうじょうペア
      • ソニック&ナックルズ:ケンカともだちペア
      • ソニック&エミー:ラブラブ?ペア
      • エミー&クリーム:おんなのこペア
  • 前作の新アクションである、ブーストとトリックアクションは、今作は特定のペア限定になっている。
    • ブーストは、ペアタイプがスピードタイプの場合のみ使用できる。
    • トリックアクションは、ゆうじょうペアかおんなのこペアの場合のみ使用できる。
  • 各ゾーンのエリアマップ、アクト1、2、3にチャオが合計10匹配置されており、全て回収するとアクト1、2、3のどこかにスペシャルキーが出現する。スペシャルキーを入手した上で、ゾーンマップ内のスペシャルスプリングを使うとスペシャルステージに行くことができる。
    • 一度でも入手したチャオは保存されるため、スペシャルステージに行くために何度も回収する必要はない。ただしスペシャルキーはスペシャルステージに再度アクセスするたびに取りに行かなくてはならない。
    • スぺシャルステージはリングを規定個数集めると「カオスエメラルド」を取得できる。
    • 「カオスエメラルド」を7個集めた状態で、ソニックをプレイヤーにしてゾーン7のボスを倒すと、エクストラステージに進める。
  • 今回は、オモチャオがステージやゾーンマップに配置されており、持ち上げると攻略のヒントを聞くことが出来る。
  • 今回も通信により、4人対戦が可能。
    • マルチカートリッジでは競走。3人以上で対戦する場合、ゲームの使用上必ずチーム戦になる。
    • 1カートリッジではチャオ探し。こちらは、各キャラ固有のアクションは使えない。

評価点

  • アクション性が高い
    • 前述したとおり、キャラクターの組み合わせによりアクションが変化するようになっている。
    • キャラクターは5人なのだが、2人を組み合わせるため20通りのアクションが楽しめる。
    • アクションの内容も非常に個性的であり、テイルスが滑空したり、ソニックがピコピコハンマーを使ったり、と本作独自のアクションが多い。
    • 各キャラクターのアクションに加えて、パートナーのタッグアクションも駆使することで様々な攻略が可能。
  • ステージのバリエーションは相変わらず豊富。
    • マンネリを防ぐためか、最初のステージが大都会、ラストステージが遺跡ステージとなっている。*4
    • 遊び心に溢れたステージも健在。今回は遊園地である。
  • キャラクターを交代できる
    • ゲームシステム(キャラクター2人を組み合わせる)の兼ね合いで、ソニックファクトリーでキャラクターを交代できるようになった。そのため、前作までと違い各キャラクターでいちいちステージを1からやり直す必要はない。
  • スペシャルステージに失敗した場合の再挑戦が楽
    • スペシャルバネを使うにはスペシャルキーを入手する必要があるが、スペシャルキーは各アクトに3つずつ配置されているため、入手は楽。再挑戦の手間は前作に比べて大幅に改善されている。
  • キャラクターのボイス
    • 今回は僅かではあるがキャラクターに音声が付いている。僅かとは言えボイスが聞けるのは嬉しい要素。
  • ボスを倒した後のリザルト画面が派手
    • 爽快なBGMをバックに、スペシャルステージを彷彿とさせるカラフルなフィールド*5をプレイヤーとパートナーが駆け抜けるというもの。
    • BGMも、ソニックシリーズのリザルトの曲にしては眺めで、ボスを倒した達成感に溢れるものになっている。
    • 「走ってくるとき」「リザルトの表示時」「通り過ぎていくとき」でそれぞれアングルやキャラのポーズも変化するなど、凝っている。
+ ネタバレ注意
  • スーパーソニック戦のシチュエーションが熱い
    • ジーメルがカオスエメラルドの力を取り込み、アルティメットジーメルへと覚醒。さらに創造主であるエッグマンを裏切り、暴走を始める。
    • ソニックはスーパーソニックに変身しアルティメットジーメルと戦うわけだが、エッグマンが「ソニック! タッグアクションを使ってワシと一緒に攻撃するのじゃ!」の台詞とともにスーパーソニックのパートナーとなり、加勢してくれる。
    • 台詞にもあるように、アルティメットジーメル戦はエッグマンとのタッグアクションを使って戦うというゲームシステムをうまく生かした展開になっている。
      • 『最後に強大な敵が現れ、ソニックとエッグマンが共闘する』という展開は据置機のソニックシリーズでは珍しくないが、携帯版ソニックシリーズではかなり珍しい。
      • また、大抵の作品ではエッグマンが作戦を立てたり、ラスボス戦で指示を出したり、と言った間接的な支援が殆どである。本作のようにエッグマンがラスボス戦に直接介入して共に戦ってくれるというシチュエーションは類を見ない。
  • ジーメルのその後がフォローされている
    • ソニックとエッグマンによって倒されるが、その後テイルスによって修理されて改心し、クリームとともに平和に暮らし始める。
    • ソニックアドバンスシリーズは本作でラストであるが、ソニックアドバンスシリーズの締めくくりに相応しいエンディングと言える。

賛否両論点

  • アクション重視のステージ構成
    • 前述したとおり本作はアクションが非常に個性的である上に、各キャラのアクションやタッグアクションを上手く生かすことが攻略に重要となるゲーム設計がなされている。
    • その分、ステージが前作よりも複雑になっている上、立ち止まらなければならないギミックも多い。トラップや敵の配置も全体的に嫌らしくなっており、落下死や圧死の危険性も高い等、アクションゲームとしての難易度が高い。
      • 前作のようなスタート地点からゴール地点まで一気に駆け抜けられるようなステージ構成にはなっていないので、スピード感は低下してしまっている。
      • 前作では全員が使用できたブーストやトリックアクションが今回はペア限定になったこともスピード感の低下につながっている。
    • しかし、前作はどちらかというとレースゲーム的な面白さを追求していた上に各キャラの性能差があまりなかったため、本作のアクション性の高さやステージ構成は、アクションゲームとしては間違っていない。
  • 単独行動が出来ない
    • ゲームシステムの都合もあるが、本作は必ず2人組で行動することになる。
    • 組み合わせによってアクションが変化する、というシステム上プレイヤーにとっては覚えることが多いため、まずは「単独行動でプレイしてみよう」ということが出来ないのはやや不便
    • ただし、プレイヤーが最初に使うことになる「ゆうじょうペア」はアクションが非常にオーソドックスであり、覚えることは少ない。また、テイルスのタッグアクションを使えばステージ進行でつまることはほぼないため、初回プレイヤーに対する配慮はきちんとできている。
    • 単独行動できるようにすると「単独行動時のアクション」を別途覚える必要が生じるため、敢えて単独行動できなくした、ともとれる。
      • だとしても、例えば「一度ゲームをクリアするとパートナーを外せるようになる(単独行動を楽しめる)」という仕様でも良かったのではないだろうか。
  • ストーリーが壮大なのか壮大でないのかよくわからない。
    • 「エッグマンが世界を7つに分断してしまい、仲間たちとはぐれてしまった」という設定なのに、ナックルズ、エミー、クリームが仲間になる際の会話にはまるで緊迫感がなく、ストーリーが意味をなしていない。クリームに至っては「散歩してたら道に迷った」*6などといいだす。
    • ゾーン6はサイバーステージであり、クリームが散歩するには不自然。
    • ただし、(12の記事を見た人にとってはしつこいようだが)ソニックアドバンスシリーズはストーリーがシンプルな作風であるため、気にならないといえばならない。
  • BGMやグラフィックのアレンジ流用
    • 本作より少し前にGBAで発売された「ソニックバトル」から、BGMやグラフィックをアレンジして使っているケースが散見される。
      • ジーメルは言うまでもなく、エメルのグラフィックのアレンジ。
      • オープニングや真のラスボス戦の曲は、ソニックバトルのサイバー空間のアレンジ。アルターエメラルドの曲は、ソニックバトルのホーリーサミットのアレンジである。
      • ソニックバトル経験者にとって、ニヤリとするか手抜きととるかは人次第である。ソニックバトルを未プレイの人にとっては気にならない問題と言える。
    • ソニックバトルとは関係ないが、サンセットヒルの曲はソニックシリーズファンにはお馴染みの曲*7である。

問題点

  • クリームが仲間になるのが遅すぎる
    • ゾーン6のアクト3クリア後なので、初回でクリームを使えるのはゾーン6のボス戦と、ゾーン7以降のステージしかない。
      • ソニック&クリームペアは、水中に強い*8というシリーズでも珍しい特徴のペアなのに、折角水中の多い「ゾーン3(エッグマンの海底基地)」と「ゾーン5(氷上地帯)」には初回プレイでは連れていけない。
      • 公式サイトでは「ゾーン3ではクリームが強い味方」と書かれているのに、クリームが仲間になるころにはゾーン3などとっくにクリアしている始末。
      • ゾーン2のクリア後(ナックルズが仲間になるタイミング)に仲間になるのであれば、ゾーン3に連れていくことができた。また、クリームが仲間になる際の会話(前述)も、ゾーン2であればそこまで違和感はない。もともとクリームはゾーン2のクリア後に仲間になる予定だったのが、急遽ゾーン6に差し替えられたような気がして仕方がない。
    • クリームに限った話ではなく、今作は全体的に仲間が加入するペースが遅い。ナックルズはステージ2のアクト3、エミーはステージ4のアクト3で加入する。前作よりも仲間の加入ペースが1ステージずつ遅くなっているのである。今作はキャラ交代制であるため、仲間の加入ペースは前作よりも早くないと困るくらいなのに、である。
  • カオスエメラルドの取得は相変わらず難しい
    • チャオを10匹集めた上で、SPキーを入手しなければならない。今回はノーヒントというわけではなく、ステージに配置されているオモチャオがチャオの居場所のヒントをくれる場合がある。
      • ただし、オモチャオがどこにいるかわからない上に、大抵のプレイヤーは律義にオモチャオに話しかけずに通り過ぎると思われるのであまり意味がない。
    • 前作と違い、一度でも入手したチャオは保存されるため、再度集める必要はない。また、SPキーはいずれか1個入手すればよく、配置個数が多いので入手は容易。
    • 前述したとおり、失敗した場合の再挑戦は前作より楽。
  • ナックルズはトリックアクションが使えない
    • 前述したとおり、本作のトリックアクションは「ゆうじょうペア」「おんなのこペア」限定。したがって、ナックルズはトリックアクションが使える組み合わせがない。
  • 特殊ペア名に意味がない
    • 上記の問題点も考慮し、「ケンカともだちペア」「ラブラブ?ペア」でもトリックアクションが使えるようにしても良かったのではないだろうか。
  • 地味になったサウンドテスト画面
    • 1はエミーが、2はクリームがダンスを披露してくれたが、今回はチャオの一枚絵が描かれているだけである。 3作目にしてネタが尽きたか

総評

前作がスピード重視のソニックならば、今作はアクション重視のソニックである。
前作と比較するとスピード感が落ちているため、若干人を選ぶきらいはあるが、2Dソニックシリーズの中ではアクション性が非常に高い。
特に2人のキャラクターを組み合わせてアクションを変化させる、というのは他のソニックシリーズでは味わえない独特の面白さがある。
前作、前々作と同様バーチャルコンソールでも配信されている。特にラストの展開は必見なので、遊んでみて欲しい。


余談

  • 本作の英語版では、特殊ペア名は以下のようになっている
    • 「ゆうじょうペア」:「Unbreakable Bond」(切れない絆)
    • 「ケンカともだちペア」:「Fighting Buddies」(戦友)
    • 「ラブラブ?ペア」:「Lovely Couple」(素敵なカップル)
    • 「おんなのこペア」:「Team Jubilee」*9
  • 上3つは日本語と大体同じ意味だが、おんなのこペアだけ全く違う意味になっている。エミーとクリームがペアになった状況を考慮した意訳と思われるが、詳しくはこちらを参照。
+ タグ編集
  • タグ:
  • ACT
  • GBA
  • 2004年
  • セガ
  • ディンプス
  • ソニック

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年02月14日 00:04

*1 エッグマンが新しく作ったロボット。『ソニックバトル』に登場したエメルを参考にして作ったという設定

*2 プレイヤーがソニックの場合は、ソニックチャオになる

*3 説明書にはこのように記載されているが、詳細は不明。ジャンプ力が上がるわけではない模様

*4 ソニックシリーズは、最初は自然豊かなステージでラストはエッグマンの基地である場合が多い

*5 本作は「エッグマンが世界をバラバラにした」という設定であるため、次のステージに向けて世界のはざまを走っていると思われる

*6 ソニックの「ここで何をしているのか」という質問に対する返答

*7 グリーンヒルゾーンの曲

*8 水中に入るとソニックが泡に包まれて息継ぎが不要となる。カナヅチなソニックでも溺れないという設定。クリームは浮き輪で水面移動が可能になる

*9 日本語に翻訳するのが難しいのでここでは記載しない