毎日♪衛宮さんちの今日のごはん
【まいにち えみやさんちのきょうのごはん】
ジャンル
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台所アドベンチャー
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対応機種
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Nintendo Switch
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発売元
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アニプレックス
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開発元
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グリッド
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発売日
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2021年4月28日
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定価
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5,280円
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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1個
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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なし
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ポイント
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演出面は良好 自由にエピソードが選べない
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Fateシリーズ
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概要
ゲーム『Fate』シリーズのキャラクターたちによる「美味しく優しい世界」を描いた漫画『衛宮さんちの今日のごはん』のゲーム化作品。2020年発売予定だったが、二度の延期の末に2021年春にリリースとなった。
アドベンチャーを基本としつつ、各エピソードに料理を題材にしたミニゲームが挟まれる形式。プレイヤーは主要な3ヒロインのセイバー、間桐桜、遠坂凛を操作し、主人公の衛宮士郎の料理を手伝う。
なおDLC「ランサーシナリオパック」が990円で発売されており、購入すると男性キャラランサーを使ったエピソードが追加される。
料理ゲームのシステム
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料理ゲームは「下準備」や「切る」「混ぜる」など8種類あるミニゲーム。ボタン操作とJoy-Con操作があり、後者では料理さながらの手の動きでプレイする。
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うまくプレイするほど点数がたまっていき、それが「物語」や「毎日ごはん」でのクリア条件に直結する。高い評価を取り続けると点数増加量が増える「のりのりタイム」に突入し、高得点が狙える。
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また、プレイするごとに操作キャラごと「うでまえ」の経験値が貯まっていき、うでまえがレベルアップすると料理を補助する「とくぎ」を取得できる。
ただし「うでまえ」は「練習」プレイでは加算されない。
各モードとゲーム進行
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物語
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ストーリーを読み進めるメインモード。エピソードは全て料理をする内容で、1話につき2〜4個の料理ゲームが挟まれる。
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その回全ての料理ゲームをプレイした時点の合計点数で4段階のクリアランクが決まる。最高ランクでクリアしないと解放されないエピソードもある。
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プレイヤーキャラは初めはセイバーしか選べないが、ストーリーが進むにつれて他の2人も選べるようになる。
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毎日ごはん
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料理ゲームのみをプレイして「スコア2000以上でクリアしよう」といったノルマを達成することで「毎日ごはんpt」を貯めるモード。1日1回だけpt獲得量が増える。
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ptが規定値に達すると、下記「想い出」で閲覧できるキャラのリアクションが増える。
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想い出
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「アルバム」「クローゼット」「レシピ」の3つが閲覧できるギャラリーモード。
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「アルバム」ではエピソード中の名場面やイラストを見ることができる。
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「クローゼット」では各キャラの3Dモデルを鑑賞できるほか、衣装チェンジやリアクションの観察もできる。
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「レシピ」は、本編中に登場する料理のレシピを表示する機能。
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各種設定
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各種音量調整や言語変更、料理ゲームのボタン操作とJoy-Con操作の切り替えができる。
評価点
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原作と遜色ないシナリオ構成
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原作サイドのTAaおよびTYPE-MOONが監修しているため、当然ながらストーリーは違和感なく仕上がっている。
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漫画・アニメと同じ料理を扱ったエピソードもあるが、別の視点から描かれている。
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料理ゲームが楽しい
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茹でている麺をかき混ぜる作業や野菜を切る作業をミニゲームとして落とし込んでいるが、エピソードごとに難易度も変わっておりしっかり楽しめる。
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元が「作業」だけにゲーム化しても作業感は出てしまうが、経験値や評価値といった要素にモデルビューワーでのおまけをつけることで繰り返し遊べるように作られている。
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Joy-Con操作は流石に原作を視聴するような層には受けなかった…かと思いきや、ここまで本格的に料理しないからかそうでもないらしい。
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また、レビューには知育ゲームとして最適という評価も。セクシャルな内容がない本作は、火や刃物を使うのは避けたい年齢の子供には確かに良いかもしれない。
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演出面
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ストーリーは全編フルボイスで、各キャラクターもよく3D化されている。
賛否両論点
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登場人物の少なさ
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姿を見せるのは士郎、セイバー、桜、凛の4人だけ。ランサーや大河(藤ねえ)といった名前のみのキャラも多く、それらは漫画やアニメには登場するだけに物足りないという声は少なくない。
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一方、当該4人以外はゲストキャラに近い扱いであることに触れて「そこまで出したら原作と同じになって意味がない」という論もある。また、人数を絞ったことで原作にない形でキャラの掘り下げがなされたことへの評価もある。
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両意見を折衷した「ゲストキャラの掘り下げ」にあたるエピソード追加を望む声も多かったが、2022年時点ではわずかにランサー1名がDLCで登場するのみとなっている。
問題点
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エピソードが自由に選べない
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各回には時系列が設定されているが、さかのぼった回をプレイすると、一度閲覧したものであってもその先の回が閲覧不可になってしまう。
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時間を進められないこと自体はADVならよくあることだが、それはエピソードが一直線につながっている場合の話である。本作は短いエピソードを組み合わせたオムニバス形式であるため、自由に選べないことはただ不便なだけになっている。
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しかも下記の通り、エピソードはセイバー(とランサー)のもの以外は時系列順に解放することができないのがまた難点。
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ストーリーの流れがぎくしゃくする箇所がある
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セイバーと料理を作っていく中で桜の話題が出、そこから桜と料理を作り始める…という流れだが、桜と料理を作るようになるまでの馴れ初めは出てこないので話が飛んでいる印象を受ける。凛も同様。
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馴れ初めは話自体は用意されているものの、解放されるタイミングが料理に慣れてきた頃のエピソードよりも後であるため妙なことに。しかも前述の仕様上、時間をさかのぼったエピソードを閲覧した場合に後々面倒になってしまう。
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料理ゲームがシナリオ閲覧の邪魔になっている
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1周目のプレイなら楽しめる料理ゲームだが、これまで書いた仕様ゆえに見るつもりのない話を周回するケースが生じるにもかかわらず、クリア済みであってもスキップできない。また、料理ゲーム自体隣り合ったエピソードに同じルールのものが使用されるなど選出にムラがあるため、どうしても邪魔に感じやすい。
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中盤以降はとくぎを取らないとエピソード解放が厳しいバランスにすることでマンネリ打破を狙ってはいるが、演出に大した変化があるわけでもないので変化につながっていない。
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舞台に関する説明が無い
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背景設定はおろか、キャラクターについてもろくな解説が存在しない。本作から触れた人にしてみれば「なぜ衛宮青年と美少女3人が共同生活しているのか?」という疑問が生まれることは必至。シリアスな原作との対比からかあえて多くを設定しないのが『衛宮ごはん』とはいえ、最小限の配慮はあるべきでは。
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DL専売ということもあり、新規層は元から想定していないのかもしれない。
総評
アニメ化された原作ということもあってグラフィック・ボイスとも良好。料理ゲームもそれ自体にこれといった問題はなく、読み進める過程ではいい役割を果たしている。
ただしメインとなる「物語」のゲームシステムには少なからず難があり、繰り返しシナリオを楽しむことを億劫にさせてしまっている。加えて料理のスキップもできないため、何周も楽しむようなADVとしての遊び方も難しい。
「台所アドベンチャー」を謳うならば、シナリオを楽しむ流れはもっとストレスフリーであるべきだろう。素材は良いだけに、一周したらそれ以上楽しみにくい内容となってしまったのは残念である。
最終更新:2022年11月25日 00:35