ファミリートレーナーシリーズ2 ランニングスタジアム

【ふぁみりーとれーなーしりーずつー らんにんぐすたじあむ】

ジャンル 体感型スポーツ(陸上競技)
対応機種 ファミリーコンピュータ
(ファミリートレーナーB面使用)
発売元 バンダイ
開発元 ヒューマン
発売日 1986年12月23日
定価 4,900円
プレイ人数 1~2人(交代制で1~6人)
判定 シリーズファンから不評
ポイント ただ走ると跳ぶだけで内容が薄すぎる
レースゲームのような視点で走る姿は一応臨場感がある
ファミリートレーナーシリーズリンク


概要

『マットコントローラー』を使って足で走ったり跳んだりしてキャラを動かす「体でするゲーム」の『ファミリートレーナー』(通称『ファミトレ』)のシリーズ第2弾。
本作はストレートに走ることに特化した陸上競技のゲームとなっている。
近いイメージとしてはコナミの『ハイパーオリンピック』で、それを本当に走る形で行うスタイルと言った方がわかりやすいだろうか。

前作『アスレチックワールド』は1人用だったが、本作は2人横並びで対戦プレーができる。


内容

  • ゲームに搭載されている競技は「100m走」「走り幅跳び」「110mハードル」「三段跳び」の4種類。
    • これらを単独で行う練習のようなモードと、他に下記の2つのモードがある。
    • すべての競技はプレイヤーキャラを真後ろから見たまるでレースゲームのような視点で行われる。
      • 2人対戦形式の「100m走」と「110mハードル」は、奇数番プレイヤーが1Pとして左側、偶数番プレイヤーが2Pとして右側を使う。
    • 単独で行うモードでは、1~6人で行い全員終了時に表彰が行われる。
  • 「100m走」「110mハードル」2人同時に行う競技1Pがマットの左側(青色の1・2・5・6・9・10)、2Pがマットの右側を使用する(赤色の3・4・7・8・11・12)とマットキーを半々に使う。
    普通に考えれば真ん中だが、自分に割り当てられた部分ならば別にどこを走っても問題ない。
  • 「走り幅跳び」「三段跳び」は全マットキーが有効で、どこを走っても構わない。ジャンプして着地はマットキーのどれでも反応する。
  • 「トーナメント」
    • 「100m走」と「110mハードル」をCPU相手に行うモード(全6戦)。
    • CPUプレイヤー相手に1人で行い、勝つほどにメダルやトロフィーが貰える。
    • 2つとも勝たなければならず、1つでも負ければそこでゲームオーバー。
      • 相手プレイヤー人間なのに名前は「TORTOISE」→「BEAR」→「HORSE」→「RABBIT」→「SELOW」→「CHEETAH」と動物の名称ばかり。
  • 「オリンピック」
    • 4種目すべてを1~6人で行い、その記録に応じて100点満点で点数がもらえて、その合計点をプレイヤー同士で競い合う。
    • 4種目すべてが終わった時、その合計点が発表され、順位が付けられる。
    • 「100m走」と「110mハードル」は2人ずつ行い、「走り幅跳び」「三段跳び」は1人ずつ行う。

100m走

  • とにかく速く走る競技でタイムを競い合う。
    • スタートが切られる前は両足をついていないとフライングになり3度フライングすると失格。

走り幅跳び

  • 助走をつけてジャンプし、ボタンの上に着地したと同時に画面上でもキャラが着地し記録となる。
    • いつまでも着地しない(プレイヤー自身がボタンの外に着地して放置するなど)と、いつまでも滑空しつづけやがてコケてしまいファールとなる。
      • 滑空可能距離の長さは助走の速度によって変化する。とはいえ、あくまでもジャンプの高さが肝心なことをゲームでも取り込んでいるのか、そこまで顕著なものではない。
    • 踏切線を越えてもファールとなる。

110mハードル

  • 走りながら10mおきに設置されたハードルをジャンプで飛び越えてゴールを目指す。
    • ジャンプしないとぶつかって転倒してしまうが、ジャンプのタイミング次第では飛越できなくても、ハードルを蹴倒してスピードが多少ダウンする程度にとどまる場合もある。
    • フライングについては「100m走」とまったく同じ。

三段跳び

  • 助走をつけてジャンプし、ボタンの上に着地して、またジャンプを2度繰り返す。
    • 走り幅跳び同様、ボタンの上に着地すると同時に画面上でもキャラが着地し記録となる。着地しないとやがてコケてしまいファールとなる。
      • 1回目2回目のジャンプは滑空可能距離が短い(特に2回目)。

評価点

  • レースゲームのような後方三人称視点(いわゆるサードパーソンビュー)でリアルな高頭身キャラが走る姿は躍動感がある。
    • ゴールに向かってタータントラックを走ったり、ジャンプで躍動する姿はプレイヤー自身と重なって感じられる。
    • 見ている分には、それなりに迫力のあるアングルである。
  • ハードルの細かい挙動。
    • ハードルをジャンプして越えるパターンに「きれいに飛越できなくても蹴り倒すだけで転倒はせずに済む」というパターンがある。
      • このパターンは衝突して転ぶ(完全にストップ)を思えば、スピードこそ若干殺されるものの、そのまま加速で補えるなど、判定が細かくリアル要素がしっかり追及されている。

問題点

  • 陸上競技自体が元々そのようなシンプルなものなので仕方ないと言えば仕方ないが、とにかく走って跳ぶだけの単調なゲーム性。
    • 似たようなゲーム性の『ハイパーオリンピック』は、その記録がスコアに転換されハイスコアを目指すゲーム性だったが本作では100点で頭打ちなのでスコアアタックの幅が狭い。
    • 『アスレチックワールド』では走る跳ぶだけでなく、屈んだり片足跳びしたりといろいろな動きが取り入れられていたが、それを思えばかなり少ない。また運動能力の採点などがあったが、そういった実用的な機能もない。
  • 単調なゲーム性なのに、競技はたったの4つと乏しい。
    • しかも2つが似通った競技なので『ハイパーオリンピック』や『ハイパースポーツ』と比べても、その単調さが一層際立つ。
    • 後述の通り、グラフィックは迫力あるのだが競技が似通ったものしかないため、バリエーション不足を一層感じやすい。
    • 円盤投げなどは取り入れられそうだし、棒高跳びや走高跳など、見た目があからさまに違う競技を取り入れるだけでも、その単調さが緩和されたことだろう。
  • ゲーム中はBGMがほとんどない。
    • タイトルや表彰式などではBGMが流れているがメインである競技中はまったくない。
    • ある意味リアルではあるが、この時期のゲームとして考えると寂しく感じられる。
  • エンディングが味気ない。
    • 俗にいう「ステージクリア」にあたるモード「トーナメント」で優勝してもメダルやトロフィーが出るだけで、それが6つ揃うだけというのは達成感が削がれる。
    • 「オリンピック」でも、上位3人のプレイヤーが表彰台に上っているだけ。
      • つまりステージクリアの達成感もスコアアタックもないという目的意識が持てないゲームになっている。

総評

陸上競技自体ゲーム化する以上は単調になるのは仕方ないにしても種目がたったの4種目で内容や見た目までも似通ったものばかりでは、いくら対戦ができて迫力ある視点で展開されるとはいえ短時間で飽きかねない。
『アスレチックワールド』がアクションゲーム感覚で楽しめて運動能力の採点まであるなど濃密な内容だったので、それを思えばボリューム不足が如実。
マットの操作性こそ良好ながら標準装備の『アスレチックワールド』の充実しきったゲーム内容を堪能した後では不満に感じられやすいのは否めない。


その後の展開

  • 『アスレチックワールド』から引き続き本作の説明書の裏でも下記2作品が告知されている。
    • 年明けて1987年2月26日『アスレチックワールド』当時も告知されていた『ファミリートレーナーシリーズ3 エアロビスタジオ』が発売。
      • ゲームとしての内容は薄めだが、どちらかといえば「採点機能のついたエクササイズビデオ」のような感覚でエクササイズの実用ソフトに近い。
    • 5月29日には『ファミリートレーナーシリーズ4 ジョギングレース』が発売。
      • 本作の説明書裏では『栄光のランナー』というタイトルで紹介されていた。
      • 実はこの作品の方が元々は第3弾として1月発売予定だった(『アスレチックワールド』の説明書では)が、やがて2月に延期され最終的には上記作品の後になりナンバリングが入れ替わった。
  • 本作のようなBマットを左右で半々に分けて対戦するスタイルは後のシリーズ第7弾『ファミリートレーナーシリーズ7 ファミトレ大運動会』(1987年11月27日発売)に引き継がれる。
    • こちらも大きなくくりでは4種目だが色とりどりになるよう競技がシステムでも演出でも工夫されている。

余談

  • ファミリートレーナーは北米市場において、当初『Family Fun Fitness』の名称でバンダイアメリカから1987年に発売されたが、任天堂が北米市場における販売権を取得して『Power Pad』に改称し再発売をした。それに伴い、本作も『STADIUM EVENTS』から『World Class Track Meet』へ改称されて1988年に再発売された。
    この為、約2000本が生産された『STADIUM EVENTS』は短期間で市場から回収され、その内の販売本数が約200本と極めて少ない為現在ではプレミアソフトとして一部で有名になった。
  • トーナメントの相手選手の名前がそのまま動物の名称でいかにもやっつけ作業で適当に付けた候。
    • 当時は陸上界のスーパースター「カール・ルイス」の活躍もあって、それなりに陸上選手の名前も知られていた頃だったので、もう少し気の利いた気分の出る名前にできなかったものだろうか?
    • また、5番目の相手「SELOW(セロウ)」は「カモシカ」だが実はスペルが間違っており正しくは「SEROW」。
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最終更新:2023年12月23日 22:59