ファミリートレーナーシリーズ1 アスレチックワールド
【ふぁみりーとれーなーしりーずわん あすれちっくわーるど】
ジャンル
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体感型スポーツ(アスレチック)
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対応機種
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ファミリーコンピュータ (ファミリートレーナーA面使用)
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発売元
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バンダイ
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開発元
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ヒューマン
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発売日
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1986年11月12日
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定価
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8,500円
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プレイ人数
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1人
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判定
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良作
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ポイント
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体でするゲームの走り 基本形のゲームなのでシンプルだがプレイは快適
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ファミリートレーナーシリーズリンク
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概要
ゲーム部分は付属の「マットコントローラー」を利用して、主に足で走ったり跳んだりしてキャラを動かす「体でするゲーム」の走りともいうべき作品。通称『ファミトレ』。
既に最初からシリーズ化されることが前提のため、後の『1-2-Switch』のようなチュートリアル的なゲームという位置付けもありシンプルながら走ったり跳んだり伏せたりの操作をまんべんなく取り入れている。
シリーズ1作目ということもあり、ソフトとマットコントローラーが同梱された形で発売されたため8,500円とかなり高めになっているがマットコントローラー単品が3,980は円のため、ソフト自身は4,500円程度にということになる(後のシリーズ作品は4,900円~5,500円)。
なおソフト単品での販売はされていない。
内容
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5つのコースがあり、それぞれを時間内に完走することが目的。
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画面下部にカメがゆっくりペースで歩いており、それが実質タイムになっている。
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ゴールイン時の残りタイムによって採点がされる(最高100点)。時間切れで完走できなかった場合は0点。
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1.かきね草原(瞬発力)
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垣根を飛び越えながらゴールを目指す。
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エキスパートコースでは道中で敵キャラのモグラが出現。ジャンプまたは左右のコース取りでかわす。
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モグラにぶつかると転倒させられるが、そのモグラは気絶して当たり判定がなくなる。
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2.けもの山道(敏捷性)
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走ってくるイノシシをかわしながら真っ平な道を走る。
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ビギナーコースでは後ろからのみエキスパートコースでは前からもイノシシが走ってくる。
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3.トンネル砦(持久力)
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コース取りやジャンプなどはなく、上り坂が続く道をひたすら走り抜ける。
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坂道が2通りあり、急な坂の方は途中で止まると下まで落とされるので速い足踏みで一気に登り切る必要がある。緩やかな方は落ちることはないものの、一定の速さを維持しないと息切れを起こし少しの間走れなくなる。
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エキスパートコースでは道中で敵キャラのコウモリが出現。斜め上下で向かってきて、ぶつかると転倒させられるので伏せるかタイミングを計ってかわす。
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4.丸太橋(柔軟性)
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三列の丸太を走ったり、片足跳びで渡っていく。
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メインの中央部分は両足で走ることができるが両脇は片足でケンケンするようにしか進めない(両足をつくと川に落ちる)ので、伏せることができない。
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エキスパートコースでは道中で敵キャラのカエルが出現。当ると転ぶので、伏せを利用してやり過ごす。両脇の部分では伏せられないので、ぶつからないためには間合いをコントーロールするしかない。
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5.イカダ川(集中力)
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イカダに乗って強制スクロール。障害物の丸太はジャンプしたり伏せたり、岩は左右の位置取りでよけながらゴールを目座す。ゴールもジャンプして乗らないと落ちる。
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エキスパートコースでは道中で川の中から魚が飛び魚よろしく出現する。伏せることでかわす。
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障害物やぶつかって川に落ちたり、魚にぶつかってイカダの上で転倒したりすると少しバックして再開。
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1周クリアするとプレーの結果から「瞬発力」「敏捷性」「持久力」「柔軟性」「集中力」の採点が行われ、総合得点も表示される。
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これらは100点満点から減点法で算出。
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それぞれメインとなるは上記の通りだが、それが全てではない。例えば「瞬発力」が「かきね草原」がメインだが、他の競技でもそれに影響する要素がある。
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トレーニングコース
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上記5種目から1つを選んでプレーする。終わったら点数に関係なくタイトルに戻り総評などもない。
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コースは下記ビギナー準拠になっている。
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ビギナーコース
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必ず5種目を行い1周プレイして終了。
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けもの山道以外では敵キャラが出ない(「けもの山道」では後ろからのみ出現)イージーモード。
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5つのコースを完走して運動能力の総評の後、認定証が表示される。
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総合得点10点毎にランクが上がる(1点~10点→10級、11点~20点→9級…91点~100点→1級)。
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エキスパートコース
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上記の通り様々動物の敵キャラが出現する難しいバージョン。完走できない(0点)とゲームオーバーとなる。
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1巡して終わるビギナーコースと違って0点にならない限りエンドレスで「イカダ川」が終われば次周の「かきね草原」へ続き、敵キャラの出現頻度も高くなるのでさらに難しくなる(ただし5周目までで6周目以降は5周目と変わらない)。
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ランクは1巡すると10級で、以降1巡クリアするごとにランクが1級ずつ上がる(1級になるには10周)。
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認定証はゲームオーバー時に表示される(4周目でゲームオーバー→クリアできたのは3周→8級・1周目でゲームオーバー→10級にも満たないのでそのままタイトルへ戻る)。
評価点
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走りとジャンプの反応が良く、画面でも、しっかりそのアクションとの連動ができている。
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ありがちな「走ってるのにジャンプしてる」などのようなことがない。
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まだ例を見ない操作法ながら、無理なく取り込めているのは見事と言える。
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それぞれの競技がしっかり独立していて、被るものがない。
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最初の3種目は走ることで被っている一面もあるが、ジャンプやコース取りなど、求められるものに細かく差異があり、一本調子にはならない。
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特にエキスパートコースでは敵キャラの動き方の変化が加わってくる。
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また、その後は一旦走る要素をなくしているのも、エキスパートコースの周回プレイの円滑化に繋がっている。
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細かい採点基準。
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「瞬発力」「敏捷性」「持久力」「柔軟性」「集中力」それぞれが対応種目だけでなく、他の種目からも加味されて採点される。
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そのため、それぞれの種目終了時のタイム依存の採点とは違う観点で採点を見ることができる。
問題点
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トンネル砦の緩やかな坂道の判定が甘いところがあり、一歩踏んだら息切れになることがある。
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急な坂道同様に猛ダッシュで一気に走り抜けてしまえばいいと言えばそれまでだが、コウモリをよける場合、いったん止まらなければならないので少々理不尽。
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エキスパートコースは周回数のみで、道中の得点は加味されない。
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もちろん時間内完走自体が難しいので仕方ない一面もあるが、高得点の意味合いが薄いのはゲームとして問題。
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一応、運動能力の採点は周回ごとに毎回毎回行われるのが幸いか。
総評
シリーズ初作品ということもありチュートリアル的なゲームらしく、変則的コントローラーによるプレイヤー自身とゲームの連動はバッチリで早くもシステムの上では完成形になっており快適にプレーできる。
当然ながらプレイヤーのスタミナが尽きれば終了だが、そこは体でするゲームである以上それもゲームの内。
ゲームそのものもただのシステム慣れのチュートリアルにとどまらず、特にエキスパートコースの周回プレイはやりごたえ抜群で、初心者からやりこみ層までの要素はちゃんと網羅されている。
これから始まる「体でするゲーム」シリーズの始まりとして、シンプルながらも楽しめて先々のシリーズ作品にも期待を抱かせるという役割はしっかり果たせたと言えるだろう。
その後の展開
余談
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プレイ環境が基本的には戸建ての家庭に限られたこともあって普及はそれほど伸びなかったように思えるが、実はそれなりに売れていた。
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翌1987年1~3月にTBS系で放送されていたドラマ『パパはニュースキャスター』の第8話で、隣人の松本一家が本作をプレーしているシーンがある。
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その直前に龍太郎(演:田村正和)が帰宅すると娘たちが持っていないはずのファミコンで『スーパーマリオブラザーズ』をプレーしていて、その事情を聞くと「となりの松本さんが貸してくれた」「もっと面白いのを買ったから」とのこと。その「もっと面白いの」が本作というわけだがファミコン本体を貸してしまったら当然そのソフトと周辺機器でしかない本作はプレーできないはずである。
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つまり松本一家はファミコンを2台持っていたことになる。なぜそんな無駄買いを…?
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ファミトレシリーズ作品は中古市場が高額化しつつある反面、本作のみは反対にデフレが激しくソフト単体のみならば100円で手に入ることすら珍しくない。
最終更新:2024年04月13日 14:48