マネーアイドルエクスチェンジャー

【まねーあいどるえくすちぇんじゃー】

ジャンル アクションパズル

対応機種 アーケード(MVS)
販売・開発 フェイス
稼働開始日 1997年1月15日
配信 アケアカNEOGEO
【PS4/Switch】2018年6月28日/838円
【One】2018年6月28日/842円
【Win】2019年4月6日/840円
判定 なし
ポイント マジカルドロップ ✕ もうぢや
題材は馴染み深いが…


概要

1997年にリリースされた落ちものパズル。フェイスのMVS初参入作であった『ぐるりん』に続く、2つ目の作品。
ブロックの絵柄は1~500円の6種類の硬貨であり、同じ硬貨を集めて次の硬貨に両替するというルールだが…

基本ルール

  • 7列x12段のフィールドで構成される。また一般的な落ちゲーとは逆に、上方に向かって重力が働いている。
  • フィールド上方から1・5・10・50・100・500円玉の6種類の日本円硬貨が1段単位でせり出してくるので、下記条件のもと硬貨を消していく。いずれかの列の硬貨が最下段を超えるとミス。
  • フィールドの最下段には「ちびキャラ」というキャラがいて、レバー左右と「取る」「投げる」という2ボタンで操作する。
  • 「取る」ボタンを押すと、キャラと同じ列のすぐ上にある硬貨を取り込む。
    • その硬貨の上も同じ硬貨の場合、何個でも一度にまとめて取る。
    • 別の列に移動して、更に同じ硬貨を取り込むことも可能。
  • 「投げる」ボタンで、取り込んでいる硬貨全てを今いる列に投げ返す。

…と、ここまで読んでピンときたパズルゲームファンもいるだろうが、これは本作の2年前にデータイーストからリリースされた『マジカルドロップ』(以下、マジドロ)のシステムそのままである。

  • この時、投げた硬貨を含めて同じ硬貨が1・10・100円玉は5枚以上、5・50・500円玉は2枚以上縦横に隣接して並ぶと、1つ上のランクの硬貨に変換(両替)される。(例:1円玉が6枚→5円玉1枚。「お釣り」は残らない。)
    • 5枚以上の縦一線・横一線である必要はない。L字状でも階段状でも、縦横で隣接していればOK。
    • 500円玉2枚以上の場合のみ、(1000円硬貨は無いので)完全に消滅する。
    • 消えた硬貨の下にある硬貨は上方に移動し、その結果同条件を満たす硬貨があれば連鎖となり高得点。(『マジドロ』で言うところの組み連鎖)
  • また、硬貨が消える演出中でもキャラを操作可能であり、消えている箇所とは別の硬貨を受付時間内に消しても連鎖扱いとなる。(『マジドロ』で言うところの後付け連鎖)

…と、ここまで読んでピンときたパズルゲームファンもいるだろうが、これは本作の2年前に富士通パソコンシステムズからリリースされた『もうぢや』の両替ルールそのままである。*1

  • 硬貨が消えるのは、キャラから投げられた硬貨を起点とする場合のみ。初期配置や、せり出した結果として枚数条件を満たしても勝手に消えることは無い。
  • 通常の硬貨以外に、下記の特殊なブロックがある。いずれも2枚以上繋がると消滅する。
    • ER…Eraseの略。消した時のすぐ上にある種類の硬貨が画面上から全て消える。
    • RU…Rank Upの略。消した時のすぐ上にある種類の硬貨が、全て1つ上のランクの硬貨に変化する。

対戦時のルール

  • 連鎖数に応じて、相手の硬貨を1段単位でせり出させる。
  • 相手のいずれかの列の硬貨が最下段を超えると勝利。

評価点

  • 偶発的な連鎖が起こりやすい。
    • 縦横で繋がれば形状は問われない事、また硬貨6種類のうち半数は2枚繋がればよい事から、思わぬ連鎖が発生する。
  • バカゲーにひけを取らない設定。
    • 脳内麻薬によって『両替戦士エクスチェンジャー』に変身する主人公の女子高生を操作し、秘密結社マニ―教団による硬貨消滅計画を阻止する事が目的」という、なかなかのストーリー。なお、主人公の一人である三越さくら(超お嬢様にして守銭奴)の決め台詞は「今日もどこかで給与明細! 明日を夢見て残高照会! 人を憎んで、金を憎まず! 両替戦士エクスチェンジャー、ここに降臨!」。
    • 石田敦子氏デザインによる変身後の姿はさながら『アイドル雀士スーチーパイ』である。
  • 豪華声優陣。
    • 主人公役の丹下桜氏、野上ゆかな氏をはじめ、笠原留美氏、豊嶋真千子氏、桑島法子氏、永島由子氏など。

問題点

  • 硬貨が6種類と多く、目的の硬貨をかき集めるにも各列の最下段だけで賄えるとは限らない。必然的に、掘り起こす作業だけでも一仕事である。
  • 消すには5枚以上のものが半数、しかも消える条件が硬貨順に5→2→5→2→…と互い違いになっていることから、配置のやり繰りが他の落ちゲーと比較して複雑である。
  • 変換された硬貨がどこに発生するか読めない。流石に縦一線で消せばその列に発生するが、2枚で変換となる5・50円玉でさえ、横に繋げると次の硬貨が発生する位置が右だったり左だったりする。おそらく仕様でランダムになっていると思われるが、これが組み連鎖にしろ後付け連鎖にしろ、狙った連鎖を組みにくくしている。*2
  • 以上の要因から、「連鎖を狙い難いため攻撃をすることも受けることも少なく、対戦でも1人プレイモードを遊んでいるのと変わらない感覚。ダラダラと時間だけはかかって白熱する展開も無く、かと思うと偶発的連鎖で急に優勢/劣勢になる」という、落ちゲーにして爽快感の欠片もないゲームとなってしまっている。

総評

「『もうぢや』の両替ルールは『ぷよぷよ』のような2個1組方式とは相性が良くない。時間の許す限りブロックを動かせる『マジドロ』方式ならいける」という開発側の目の付け所は悪くなかったが、遊んで楽しいとユーザーに思わせるには越えなければならないハードルがまだまだ多かったようだ。一応普通に遊べるものの、残念ながら「マジドロ劣化版」「他人のふんどしを2枚も履きながらこの出来」というのが、パズルゲームファンから見た本作の評価である。あまりのオリジナリティの無さ故に、タイトルの原型さえ留めていない『マジカルもうぢや』などと揶揄されるのも当然であろう。
ゲーム内容に重きを置かず、キャラデザインや声優のファングッズとして捉えれば悪くないかもしれない。適切なルールやインターフェースと共に、幼児向け教育玩具として開発すれば両替ルールも生きたのではと思わせる、光るものは持っているのが惜しい。

余談

  • あまりの露骨なパクリが逆鱗に触れたのか、著作権侵害であるとして『マジドロ』開発・販売元のデータイーストが本作リリースから4か月後の1997年5月にフェイスを提訴。フェイスは全面的に争う構えだったが、係争中の1998年4月にフェイスは倒産。その後両者は和解した。
    • フェイス消滅後は、権利を引き継いだ他社から本作の移植版の製造・販売が継続されている。
    • なお、原告のデータイーストも1999年に経営破綻し2003年に破産。また、『もうぢや』の富士通パソコンシステムズも2004年に富士通系列企業に吸収合併され法人消滅した。
  • そのぶっとんだ世界観や豪華声優陣もあってか、メディアミックスとしてドラマCD・小説・漫画が発売されている。
    • 小説版は概ねゲーム設定に忠実だが、漫画版はゲームとは全く設定の異なる独自のオリジナル展開になっている。

移植

本作の版権は他社を転々としながら、様々なハードに移植されている。

  • 1997年8月29日にゲームボーイへ移植されている。発売元はアテナ。
  • 1998年3月20日にWindows 95に、同年11月5日にプレイステーションに移植。
    • PS版は『デザエモン』や『プロ麻雀 極』などで知られるアテナから発売され、ゲームアーカイブス版も2008年2月13日より配信されたが2013年9月に配信が停止(同年12月にアテナは破産)。その後、権利がトリニティに移り2015年1月より配信が再開されている。
  • 2018年6月28日よりアケアカNEOGEOの1作品としてNintendo Switch、プレイステーション4、Xbox Oneにて配信。その後2019年4月6日にWindows 10でも配信開始。
  • その他、サミーより携帯電話アプリとしても配信されている。

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最終更新:2023年03月11日 06:04

*1 『もうぢや』は、2個1組で落ちてくる硬貨を前述の両替ルールで消していく『ぷよぷよ』ライクな落ちゲーである。タイトルの由来はおそらく「金の亡者」だろう。なお『もうじゃ』『もうぢゃ』等の表記は誤り。

*2 元ネタの『もうぢや』では、消えた硬貨のうち最下段の一番右に出現するという法則がある。