ハイウェイスター

【はいうぇいすたー】

ジャンル レース
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売・開発元 スクウェア
発売日 1987年8月7日
定価 4,500円
プレイ人数 1人
判定 なし
ポイント 3D画面での迫力あるレースが堪能できる
周辺機器より先に発売された対応ソフト
「とびだせ」シリーズ早くも終焉?


概要

1987年8月にスクウェアから発売されたレースゲーム。
1984年発売の『F1レース』(任天堂)と同様、一人称視点を少し下げて自分のマシンを後ろから見た視点で展開されるレースゲーム。
また発売されていない『ファミコン3Dシステム』(6,000円・1987年10月21日発売・任天堂)に先んじて対応しており、初の対応ソフトでもある。

後に看板作である『ファイナルファンタジーシリーズ』を手掛けることになるナーシャ・ジベリ氏が本作のプログラムを作り上げている。


ストーリー

長いロードレースは西海岸に始まった。
陽が落ちるにつれ、それは夕焼けに染まってゆく。朝までにはサンフランシスコに着くはずだ。残りタイムを考えて慎重にアクセルを踏み込む。
見通しのいい直線ではターボで加速すると、たった今追い越したワーゲンがみるみる点になっていく。
ブレーキングテクニックの見せどころだ。オーバースピードに注意しながら一気にコーナーを抜けていく。次のヘアピンを抜ければ最後の直線だ。
しかし、まだまだ先は長い。最終の東海岸のゴールまでには様々な難コースと、強力なライバルが待ち受けている。
チェッカーフラッグを目の前にして、速くも次のコースが頭に浮かぶ…
危ない!そう思ったときは既に遅かった。一瞬にして車が宙に舞う。次の瞬間、大きな衝撃が襲いかかってきた。リタイア?いやな思いが頭をよぎる。
だが、特殊セラミックで強化されたマシンにそんな心配は不要だった。ふらつく頭を押さえながら車を再びコースに戻し、アクセルを踏み込む。
残りタイムはあとわずかだ。じんわりと手に汗がにじんでくる。気持ちばかり焦って加速ももどかしい。本当にゴールにたどりつけるのだろうか。フラッグはまだ見えない。


内容

  • 自分のマシンを通して前方を見る視点のゲーム。
    • ただしサーキットレースではなく公道でのレースとなる。
  • フィールドビューのカーレースゲームだが、順位を競うものではなく走るほどにスコアとなるゲーム性でハイスコアを目指す。
    • ファミコン草創期の『F1レース』(1984年11月・任天堂)に似たゲーム性である。
  • 全体的に上記作品に似た操作性。
    • Aボタンがアクセル、Bボタンがブレーキ。左右でステアリングを操作し上でターボを発動。
      • ターボを発動させるには100km/hを超えなければならない。
    • レース本編以外の操作はセレクトで3D対応画面に切り替え、下ボタンでBGM切り替え。
  • コクピットはスピードメーターだけでなく、タコメーターやゴールまでの走行距離計もある。
    • その一方で、コースマップの表示はないため自分がどのあたりを走っているかは頭で把握しておかなければなれない。
  • レースのシステムは自分のマシンを真後ろから見た視点で展開される上記作品と似たようなものだが本作の場合は、地形の高低差があり登りでは先が見えにくく、下りでは先の方が見えやすいという視点が特徴的。
    • 背景も道の勾配に合わせて上下にスクロールする。
  • コースはループではなく、一本道で道中のチェックポイントにあたるチェッカーフラッグを通過するごとにタイムが追加される。
    • タイムが尽きると、強制的に徐々に減速され静止するとゲームオーバーとなるが、減速中にチェッカーフラッグを通過するとタイムが付与されると同時に再び加速できるようになる。
    • ゴールすることで次のステージへ移行し、全8ステージを走破すればクリアーとなる。
  • 順位の概念はないためライバルのマシンはいわゆる「動く障害物」にすぎないのは『F1レース』と同じ。
    • ただしコース脇の障害物とは扱いが別になっている。
      • ライバルのマシンはぶつかると弾かれるような格好でしかなく、スピードがダウンするのみ。ただ、これを逆用するテクもある。
      • コース脇の障害物はぶつかると激しく跳ね上がり、ダンダンと地面に弾みながらスピードがゼロまで落ちる。
        しかも、止まった状態になってからゆっくり道の真ん中に戻されるため致命的なタイムロスになる。
  • 最初にマシンを「328 ツインターボ」「F1」の2通りの中から選択する。
    • グラフィックが異なるのみで性能は同一。

評価点

  • 3D視点とバッチリ融合した迫力ある視点でのレース。
    • マシン同士ぶつかって弾き合ったりするバランスなどもリアルで、とにかくコースアウトしなければ致命的にならないという点も「コースをキープする」という明確な目的意識を生み出している。
  • グラフィックの美しさ。
    • 特に背景はファミコンながら非常に美しく描き込まれている。
      • これも3Dシステムとの相性が良く、路面のアップダウンによりリアルに描写される。
  • 抜群のスピード感。
    • レースゲームに大事なスピード感は本作でもしっかり網羅されており上記の弾かれる挙動にさえそれを感じることができる。
    • 更にこれも3Dシステムと好相性で、そのスピード感をしっかり高めて迫力を増してくれる。

賛否両論点

  • レース中にコースの確認ができない。
    • 最初にコースが表示されるとはいえ、それまでのレースゲームではもれなく画面上でリアルタイムに自分の位置を確認できたので不便に感じる。
    • しかし、実際のレーサーはコースマップを頭に叩き込んでおかなければならずレーダーのように一目でわかるのは不自然なので、リアルなレーサーの感覚という意味では間違っていない。

問題点

  • 残りタイムがかなりシビアな設定。
    • 特にスタートからでチェッカーフラッグ通過時に余剰なタイムがないと「上記のコース脇の障害物にぶつかっての大減速」を一度やらかすだけでも次のチェッカーフラッグを目指すことすらきわどいものになる。
  • マシンはグラフィックの違いのみで特に性能の違いはない。
    • これなら1つのみで充分だったように思えるほど。しかもF1は当時最高速330km/hの時代だったのに、そのF1マシンでも255km/hしか出せないのはF1らしくない。
    • 一応、上述の通りスピード感は劣っていないので気にしなければいいと言えばそれまでだが…
  • グラフィック面での進化は素晴らしいがゲーム性自体は前時代的に感じられる。
    • マシンが実質1種類しかなく、セッティングもない上に走ってスコアを稼ぐのみというのはさすがにゲーム性の狭さを否定できない。
    • しかもコースパターンも固定の1パターンのみ。

総評

実質1通りのマシンしかなく、ただ走ってスコアを稼ぐだけのゲーム性は前時代的なものではあるがグラフィックの出来という点では申し分なしで、それが当時まだ珍しかった3Dで体感できるという付加価値まである。
今までのように接触即アウトではなく接触したのがマシンなら弾き合うだけなのでその後のテクニックでカバーできたりなど、これまでのような同等のレースゲームと比べて確実に進化している。
表示上のスピードこそ最大255km/hと、不足気味に感じるがプレイヤーが味わえるスピード感はこれまでの作品と比べて劣るものではない。


余談

  • ファミ通クロスレビューは32点。レビュー当時のファミコン作品に対するファミ通の評価指針を考えるとベタ褒めレベルの評価であった。
  • 北米のみで出た続編に『Rad Racer II』があり音楽は植松伸夫が担当している。
  • 3Dを体感するには6,000円という高額出費が必要になったが『ファミコン3Dシステム』はまだ発売前ということもあってか本作ではコマンドを使うことで既存の『とびだせメガネ』でも代用できる。
  • 同年3月にディスクカードで発売された『とびだせ大作戦』の説明書の最後に『とびだせレーシング』というソフトが紹介されていたが本作はそれをベースにして作り替えられたものと考えられる。
    • 『大作戦』にも3Dモードがあったが、こちらは980円と安価な『とびだせメガネ』がデフォルト対応だった。このメガネは「“とびだせシリーズ”共通で使えるぞ」とあったので、本作が『とびだせレーシング』だった頃は、これがデフォルトだったものと思われる。
      • 12月に発売された上記作品の続編『JJ ~ とびだせ大作戦パート2』は本当に『ファミコン3Dシステム』が必須になったため『とびだせメガネ』は事実上ファミコンでの役割を終えたことになる。
  • コミックボンボンで連載されていた漫画『ファミコン風雲児』では末期に本作を用いたエピソードがあり、敵組織「シャドゥ」の総帥「ミスターシャドゥ」から本作で10000点を出すことを要求される。
    • 主人公の研は、あと一歩というところで届かず苦戦していたが最後は3Dシステムにより敵車との微妙な間隔を掴み取って達成した。
  • 1999年にスクウェアが発売したハイスピード・ドライヴィングRPG『レーシングラグーン』に「Highwaystar」という本作を意識したと思われるネーミングの車種が登場する。ただしモデルの車種は328ではなくNSX。
    • ちなみにレーシングラグーンのプロデューサーにしてサガシリーズなどの生みの親である河津秋敏氏がスクウェア入社後、最初に開発に参加したソフトが 本作 である。
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最終更新:2023年09月29日 17:55