【ばーちゃる・そー】
ジャンル | シューティング | |
対応機種 | 3DO interactive multiplayer | |
発売元 | イマジニア | |
開発元 | Elite Systems | |
発売日 | 1995年9月1日 | |
定価 | 8,580円 (税込) | |
プレイ人数 | 1人 | |
レーティング | 3DO用審査:E(一般向) | |
判定 | クソゲー | |
ゲームバランスが不安定 | ||
ポイント |
海外で配管工に次いで悪名高い3DOソフトの一つ 仮想現実に逃避したミュージシャンが主人公 実写取り込みが仇となり操作性最悪 無敵時間なし+不意打ちだらけの極限コンボ 見つからないゴールの数々 現実世界で生きる素晴らしさを再認識できるゲーム |
3Dゲーム黎明期にMS-DOSから移植されたTPS(*1)。
芸能界に疲れたミュージシャンが仮想現実(バーチャルリアリティ)の世界に逃避し、冒険を繰り広げる。
英語圏では3DO専門誌でかなりの酷評を受けた事で知られる。
海外での3DO最悪クラスのクソゲーの話題になると『Plumbers Don't Wear Ties』『シャドー・ウォーリアー』(*2)(※同名の人気FPSとは無関係)と合わせて話題に上がることも。
まだ耳の奥で矯声と歓声が響き渡っている。ホテルの部屋という一種の牢の中でくつろいでいても、人生の成功と引き換えにした苦痛が襲いかかる。ここから出ても、別の意味で牢の中である。偉大なるミュージシャンに触れようとする大勢の熱狂的なファンの多くの手に追い求められる。音楽こそ人生であり、同時に牢に縛り付けるものである。
どこに行っても、追いかけ回される。君にはもう目の前の奇妙な装置しか逃げ道が残されていない。一風変わったヘルメットをかぶり、マシンを操作する。ぼんやりした明かりの中、ヘルメットの中のヘッドフォンから生命の音が聞こえてくる。ヘルメットのバイザを下ろし、シートに座り、この世界からバーチャル・リアリティの世界への出発である。さあ、想像の世界へようこそ。無限の可能性にあふれた世界… 本物さながらの世界 Virtuosoの世界へ…
(3DO版説明書「序文」より引用)
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問題点の箇条書きだけでは伝わりづらい難点も多いため、ここからは具体的なゲームの流れが伝わるよう、実際のゲーム展開に沿って、特に厄介なステージを抜粋して紹介する。
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「現実から逃避するための仮想空間」という背景設定がある本作だが、実際は現実逃避に使うには逆効果極まりない。やりこめばやりこむほど、むしろこのゲームから逃げたくなること請け合いである。
序盤こそ最低限遊べる出来にはなっているものの、ゲームを進めるに連れて様々な欠陥がじわじわとプレイヤーを襲う。初見プレイで潰しの効かないトラップの数々は、何かとストレスが溜まる一方である。トドメと言わんばかりに、一部のステージに至ってはゴールが碌に見つからず、まともにクリアすることすらままならない。
そうした事情からか、今作はネット上にもクリア動画がほとんど上がっていない始末である(2023年秋現在)。(*4)
果たしてこのゲームを現実逃避に使える主人公の生活はどれだけ過酷だったのか……一流ミュージシャンの日常は、凡人には想像できないほど苦難に満ちているようだ。
しかしこのゲームも悪いところばかりではなく、クリアした時の達成感については間違いなく本物である。
爽快感こそ欠けているものの、きちんと攻略手順を見出せば突破できるようにはなっており、戦略がハマったときの気持ちよさはなかなかのもの。
初見プレイヤー目線のバランス調整がなされていれば、今作はまだ遊べるゲームになっていたかもしれない。
理不尽設計のゲームでも好奇心を糧に探索できる奇ゲーマニアや、苦労の先にある快感に喜びを見出せるクソゲーハンターにとっては、
もしくはバーチャルに逃避しがちな人間への喝としては、今作はうってつけのソフトと言えるかもしれない。
(寧ろこの主人公、生粋のクソゲーハンターだったのでは……?)
*1 2023年秋現在、FPSとして紹介しているサイトがいくつかあるが、これは誤り。今作は主人公が画面に映り込んでいるのでTPSである。
*2 英語版のタイトルは『Shadow: War of Succession』。『モータルコンバット』の流れを汲んだ実写取り込み格闘ゲーム。海外ではあまりの酷さから返品騒動にまで発展した。日本でも酷評を受けており、「3DOマガジン」が95年初頭までに出た全ソフトのレビューを行った際には10点満点中0点を付けられてしまった。ちなみに同点だったのは、編集部からウケの悪かった実用・教育ソフトを除くと『ファラオの封印』『シュトラール』『モンタナ・ジョーンズ』の3本のみ。
*3 おそらく敵が多く出現する事で処理が追いつかなくなったものと思われる。なお運が悪いとゴールに必要な鍵まで消滅することがあるため、若干運も絡んでくる。
*4 2023年時点では、YouTubeにDOS版クリア配信が1つあるのみ。3DO版は動画こそちらほらあるものの、多くが途中で挫折している。ただし静止画も含めるのであれば、3DO版でMARINE最高難易度をクリアした際のスクリーンショットがネット上で確認できる。
*5 ATARI-8bit、コモドール64、ZXスペクトラム等
*6 明らかな変更点として確認できるのは、セーブ時のメッセージと全ワールド通常難易度クリア時のメッセージ(それぞれわずか一文)が日本語訳されていることと、オープニング等に発売元のイマジニアがクレジットされていることのみ。
*7 欧州版はDOS/3DO版ともElite Systemsによる自社パブリッシング