おねがいモンスター

【おねがいもんすたー】

ジャンル 育成ロールプレイング
対応機種 ニンテンドウ64
発売元 ボトムアップ
開発元 ボトムアップ
発売日 1999年04月09日
定価 7,678円
プレイ人数 1人(2人対戦可)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
備考 コントローラーパック必須
判定 クソゲー
ポイント 主人公が最初の街から出られないRPG
似たりよったりな500種類のモンスター
戦闘はワンパターン、シナリオは皆無
500種類を持て余す少数精鋭推奨の育成
ゲームの殆どは待ち時間かスロット


概要

64大相撲』などを開発したボトムアップから発売された、「64初のモンスター育成ゲーム」を謳った育成RPG。
「64初」という意気込み溢れるキャッチコピーとは裏腹に、プレイヤーを操作しての能動的な冒険を行えない、エサの確保が難しい故に多数のモンスターを育成する余裕もない、多くが待ち時間に費やされるゲーム性……と、とにかく退屈なゲームになってしまった。


あらすじ

蒼い風を掴む広大な平原、黄金に輝く砂漠の砂、光をも遮る密林の露、生死が隣接する荒野と湿地帯…
それはモンスターの巣食う大陸「ブライトン」と呼ばれていた。
その名の示す通り幾多のモンスターがうごめく大陸である。
(略)

少年は小さい頃から父の育てたモンスターと会話が出来た。
ブリーダーの特徴はモンスターとの交信(心での会話)ができることである。
遺伝か、それとも小さい頃からの訓練かは解らない。
しかし、ブリーダーになる前から少年は、モンスターの言葉を理解し、交信する術を身につけていた。

この大陸では十歳の誕生日を迎えないかぎりモンスターを育てることが許されていない。
少年の好奇心は時を重ねる毎に大きくなっていった。
そして…今日、少年は十歳の誕生日を迎えた。
(説明書より)

ということで主人公はモンスターブリーダーとしてモンスターを使役するのだが、
やっていることは派遣会社の雇用側だということをプレイして間もなく実感することになる。


ゲームシステム

  • 500種類の豊富なモンスターを育成可能
    • 主人公の家にある飼育場でモンスターを育成し、それを使役する。
    • モンスターには9つのエレメンタルがあり、そのうち8種に進化先が用意されている。
      • エレメンタル値を調整しながら育成することで進化していくことになる。
      • 属性相性が存在するためいくつかの属性を育てておく意味がある。*1
    • モンスターにはユニットタイプの指定があり、特定のエレメンタル系統に属している。
      • 装備出来るとくい技はエレメンタル毎に制限される。
    • モンスターは時間経過に応じて「赤ちゃん→子供→大人」と成長していく。戦闘や寿命で死ぬことはない。
      • 大人になるとステータスとエレメンタルが成長しなくなるが、配合ができるようになる。
  • モンスターにすべてをおねがいするシステム
    • 街の外への冒険、餌取り、お使いと危ない事は全部モンスターを派遣して解決させる進行となる。
      • ぼうけん:モンスターを指定した地点に派遣し、アイテムを獲得させる。入手アイテムが8枠を超えると古い方から捨てる。
      • えさとり:指定した餌のある場所まで派遣させ、えさを持って帰らせる。
      • おつかい:街の人から受けた依頼をモンスターに託し派遣する。冒険と同じくアイテムを持ち帰る他、報酬も貰える。
  • モンスター固有の生活バイオリズム
    • 睡眠時間の長短、食事回数、昼行性、夜行性などバリエーションが存在する。
  • モンスターの育成枠
    • 同時に6匹まで育てられ、オーバーした分は放牧することで枠を作ることができる。最大30枠。
      • 放牧すると成長、経験値、HP、げんきの進行がストップする。
  • 戦闘
    • 基本的には1vs1。一直線の7マスのうち、外から3マス目にお互いが立つ状態からスタートする独特のシステム。
      • 中心に行くほど与ダメが多くなり、被ダメが減る。
      • 端に逃げると与ダメが減り被ダメが増えるが、逃走率が上がる。
      • 相手の後ろにまわり背中から攻撃することでバックアタックになり、大きなダメージを与えられる。
    • いくつかのコマンドがあり、プレイヤーが指示を出せる。
      • いどう:1マス前後に移動する。敵を飛び越えて2マス先に移動することもできるが、失敗する可能性がある。
      • こうげき:隣接した敵に直接攻撃する。必中。
      • とくい技:装着したスキルを使うコマンド。とくい技は1戦につき1枠1回ずつ。ゲーム中盤からはとくい技の打ち合いが基本となる。
      • ぼうぎょ:受けるダメージを減らす。
      • とっしん:敵の位置を押すように動かせるコマンド。失敗する可能性がある。
      • にげる:戦闘から離脱する。逃げられる確率は素早さにも依存する。
      • オート:AIが考え行動する。
    • 戦闘に勝利すると経験値を貰える。敗北すると、おつかいなどの派遣業務は失敗となる。
  • 装着型のスキル
    • モンスターには4枠までスキルを装着させる事が出来る。ただし技、レジスト、パッシヴスキル全部で4枠
      • とくい技分類が攻撃技のリング、バフ技のたま、回復技のオーブ、状態異常技・デバフ技のツブテの4部門92種
      • 特定の状態異常を1回だけ防ぐレジストの破片が10種
      • パッシヴスキルの涙が14種
      • 無属性と特定のエレメンタル属性を100上げる欠片が8種
  • 豊富な卵の種類
    • ノーマル:よろず屋で買える。すべてのモンスターの始祖であるプルリンが固定で生まれる。
    • グリーン:冒険で入手出来る。ランダムにモンスターが生まれる。自分の図鑑にないモンスターが選ばれた場合はプルリンが生まれる。
    • レッド:お使いや闘技場の報酬で入手できる。生まれるモンスターが指定されている。すべて進化の系図の最後の即戦力。
    • ブラック:お使いの報酬で入手できる。デビリンという幽属性のモンスターへの分岐を持つ特殊個体のプルリンが生まれる。
    • ブルー:交配で入手出来る。親の系図を遡って一番最初に交差するモンスターが生まれる*2。幽属性のみ例外で配合出来ない。
    • 野生のモンスターを捕まえることはできないので、モンスターは全て卵から育てることになる。
  • モンスター配合
    • 一体のモンスターが配合出来るのは最大3回まで、大人時代のみ。
      • 手に入るのはブルーの卵のみ。
      • 親が脱皮するときにもらえるマテリアルを装備していることがある。
  • 闘技場
    • トーナメント戦に参加できる。最大3体まで出場可能で、3vs3のバトルが楽しめる。
      • 3つのランク帯と出場モンスター数で9つの部門があり、各々勝利すると固定の商品がもらえる。
  • 対戦機能
    • コントローラーとコントローラーパックが2つあれば、闘技場で対人戦が可能。
      • システムは野生の戦闘、闘技場と同じ。
  • 餌の全てを解決する「まぜまぜスロット」
    • このゲームの根幹がリーツが4つであるスロット。スロットを回す事で餌を増やし確保することになる。
      • ビタの目押しが可能なので、これが上手いか下手かで餌の確保の難易度が変わる。
    • 同じ餌が2面揃えば5個の払い戻し、餌2面+副産物なら10個の払い戻し。
      餌3面ならグミが1個or5個、栄養餌なら30個の払い戻し。
      同じ餌が3面+副産物ならグミ10個と属性の装備品一つが払い戻し。
      栄養のための餌は50個と装備品が1つ払い戻される。
      小石とモンスターの糞が出目に混ざると外れ。小石とモンスターの糞だけだと「ぎゅうほ」のなみだがもらえる。*3
      • グミは餌として優秀で、スロット以外ではほとんど入手できない。
    • なお曜日と同じ属性の餌しかスロット枠には入らない。
      • 当たっても外れても出目になった餌は戻ってこない。

問題点

設定面

  • とにかく狭い世界
    • ゲームをはじめて間もなく、行けるところの少なさに気がつくだろう。
    • それもそのはずで、舞台となる城下町が画面にして5枚分の村レベルの狭さ。
      • 主人公の家(飼育小屋)、城、よろず屋、協会、闘技場、図書館がミニマルに詰まっていて、出会えるキャラが30人もいない限界集落並。
    • そして、主人公はこの城下町から出られない。街の外に出られるのはモンスターのみ。
      • 育成RPGの楽しみである、モンスターを引き連れて旅に出るという醍醐味が存在しない。
      • 子供が旅に出るのは危ないというのはわかるのだが、ならばモンスターを育てる事、モンスターを1匹で旅に出す事は安全なのかという疑問が生じる。勿論ゲーム内ではその答えは返されないが。
    • モンスターが街の外に出て冒険するのだが、ワールドマップを歩くだけ。他の街に入ることも、ダンジョンに潜ることもない。
      • 地図を見るに他にも街の存在は認められるが、はっきり言って設定だけの存在。
      • 広さに意味を感じないワールドマップ。活かされる場面はおつかいで遠方に行く時ぐらいのもの。
  • 冒険はモンスター任せ
    • 主人公がモンスターに対し出来る事は、餌の指定、外出の指示、スキルの装着程度しかない。
      • 戦闘のコマンドはプレイヤーが選ぶのだが、冒険に同行していない主人公に戦闘の指示ができるわけもないので、設定的にはモンスターが自分で考えて戦っているのだろう。
    • 主人公の一日の作業は、モンスターの餌を指定する→冒険やお使いに行かせる→街の住人からお使いを探して、スロットで食い扶持を増やし、モンスターが帰ってくるまで時間をスキップするという、人間として問題のある生活が基本スタイル。
    • RPGとは程遠く、家に引きこもってモンスターの冒険の成否を待つゲームであることが、これらの説明だけでも理解できよう。
    • 冒険も戦闘もモンスター任せな他力本願っぷりをよく表したゲームタイトルである。
  • シナリオがあって無きが如し
    • シナリオ上のムービーはたった3つ。OP、ラスボス戦、EDだけと圧倒的に少ない。
    • 説明書のあらすじにある広大な平原も砂漠も荒野も、マップの一枚絵でしか見ることがない。
    • あまつさえ季節もない。あるのは昼夜だけで淡々とした一週間を延々と繰り返すゲームである。
    • おつかい周りでふんわりとモンスターの勢力拡張による世界情勢を教えてもらえるが、それがマップや街に反映されることもなく、プレイヤーが出来ることも変わらないので無いも同じ。
      • 自然災害の話や街が危ないという話も、ほんの数個しかない。
  • 主人公の設定矛盾
    • あらすじにあるように「主人公はモンスターと心での会話が出来る」らしいが、ゲーム内でモンスターが喋ることはない。
      • モンスターの様子から何をしてほしいかがわかるようだが、それなら現実の犬猫の飼い主と一緒
      • 唯一の例外がラスボス戦の1匹目。彼だけ喋るが、そいつだけが喋る事が出来るのかは不明。
    • この世界では10歳にならないとモンスターを育てられない」が妹は9歳であり、女の子は9歳で育てることを許可されることになっている。
      • 双子の設定で良かったんじゃないだろうか……
    • ラスボス戦だけ何故か主人公がモンスターと共に旅に出ている。危ないから旅に出てはいけなかったのではないだろうか。
  • 少ないキャラですら存在する意味が少ない。
    • ほとんどのキャラはシステム紹介やお使いのために存在し、シナリオ上活躍する場面がない。
      • 全部主人公任せであり、おつかいも日常の困り事がほとんど。
    • 幼馴染や町の住民、なんならライバルもいるが親交が深まるということもなく、会話する楽しみがない。
      • 特にモンスターブリーダーのライバルこと「ゼッタイニー」に至っては、シナリオに何一つ関わってこない。
    • 中には「お前~(人物名)の~(用件、おつかい)のやつ、早くなんとかしてやれよ!」と言ってくるキャラもいる。
      • 誰がおつかいを出してくれるか教えてくれるキャラではあるが、お前も少しは手伝え
    • やけに頭が大きいキャラもいる。設定ミスかと思いきや、頭が大きい種族らしい。
    • 特定の時間・曜日にしか会えないキャラクターも存在し、彼らもおつかいを出してくる。会うための時間調整が面倒。

システム面

  • 主人公が歩くのが遅い
    • 狭いマップなのに、それでも足の遅さが気になってしまうレベルで足が遅い。
    • 時間の経過を早める事で事実上足が早くなるのだが、今度は早すぎてオーバーランしがちと極端。
  • 待ち時間が多い
    • 闘技場は全試合勝つか負けるまで中断出来ない上、モンスターが特定の日数拘束されるデメリットつき。
      • 商品の都合上、最大難易度のゴールドランク部門以外を行う意味は然程ないだろう。
    • ワールドマップ画面では時間の経過が早くなるので、待っている間は旅に出たモンスターを見守ってやると良い。
  • モンスターが生活する
    • モンスターは派遣作業の際、移動と戦闘の他、食事と睡眠時間をちゃんと取る。
    • 睡眠時間は赤ちゃん、子供時代ほど長く、またモンスターによっても違いがある。
      • リアルではあるのだが、これもまた待ち時間の長さに関わってくるためストレス。
      • また睡眠時間中に戦闘に入ると、眠り状態から戦闘が始まってしまう。
  • 図鑑を埋める楽しみがない
    • 自分の図鑑は最初はまっさらで育成すると埋まっていくのだが、プレイヤーが育てられる分は全部図書館に記録されている。
      • 500種類もあって埋める作業は無理難題であり、全部記録されているのは親切とも言えるが、図鑑の完成させ甲斐がない。
    • システム上、育成するモンスターが少ないほうが合理的に運営出来るので、埋めようと努力する意味もあまりない。
  • スロットの払い戻しの説明がない
    • 何をいくつ揃えれば何が貰えるかといった説明はない。
    • 小石とモンスターの糞は売却出来ず、スロットで道具にして売り物にするしかない。

派遣作業

  • 当てにならない餌取り
    • えさとり派遣自体は成功しているのに、指定した餌を取ってこない事がある。
    • 餌は近場で最低限のものが取れればスロットで増やせる。それ以外の餌は冒険で発見出来るが、取りに行く意味はほとんどない。
  • ルート指定の出来ない冒険
    • 行く先は指定できるが、道は選べない。敵の強さを鑑みて通ってほしいルートを指定することは不可。
    • モンスターが一度に持って帰れるアイテムは8種類。古い順番に捨ててしまうので、遠方への冒険ほどアイテムのロストが多いことになり遠方派遣の価値が弱い。
  • お使いが50しかない
    • 50もあれば十分かと思わせるが、ゲームのシステム上住民と会話の後、モンスター派遣により解決させるためあっという間に終わってしまう。
      • ただし、エンディングを見て主人公のベッドを調べる事でクリアフラグがリセットされ、再利用できる。
    • 誰がお使いを出してくれるか教えてくれるキャラはいるが、発生時期が狭いこともあれば、必須でもないお使いまで存在し、知らないまま終わってしまうこともざら。
      • なお、攻略本の発生条件には誤りが含まれることに注意。
  • 帰るまでがお使い
    • 戦闘に敗北=任務失敗の構図なので、ボスを倒すなどおつかいの条件を満たしても、その帰り道で敵モンスターにやられれば任務失敗となる。
      • ボス戦で疲弊した帰り道で、強敵にとくい技を先制して打たれておつかい失敗ということもざら。

育成面

  • 育成のノウハウが分かりづらい
    • 毎日餌を与える事と進化にはエレメンタルが必要であることは教えてもらえるが、何が餌なのか、エレメンタルとは何なのかは教えてくれない。
      • エサも「お前のモンスターでエサを取ってこい」といきなり投げやりで何も貰えない。
      • エサの事例も教えてくれるが、45種類あるうちの一つしか教えてくれない。参考になるかと言われれば微妙。
    • 図書館の図鑑や野生でお気に入りのデザインのモンスターを見つけても、そのモンスターまで進化させるルートが分からない。
      • 1匹のモンスターが497種類のモンスターに派生する、進化系統図は非常に複雑。
      • 多くのプレイヤーが知りたがるであろう、進化系統図は図書館になく、自力で調べるしかない。
  • 細かい故に面倒くさい育成システム
    • 餌を与えないと脱皮しない、進化しない、元気が下がり風邪にかかる。
      • これは育成ゲームとしては当然だが、餌は1日1個消費し、手に入れる手段が買い物以外絶対ではないため、リソース管理が難しい。
    • 属性餌を与えるとモンスターのエレメンタルが上がるが、その振れ幅が大きい。普通の餌では全く上がらないことも。
  • 偽の進化と真の進化というマスク条件
    • 原則、モンスターのエレメンタルが特定の数値に到達すると進化できるが、モンスターの固有条件をクリアしないとエレメンタルの限界値を越えないという分岐がある。
      • これを満たさないと先の進化条件を満たせないモンスターも存在し、ステータス的にも一枚落ちることになる。
    • 真の進化条件はモンスターによって違う上にノーヒント。よりにもよって真の進化条件をゲーム内で知る手段はない。
  • 作りの怪しいモンスターデザイン
    • 3Dポリゴンクラスで頑張ってはいるが、500種類という細分化に対応出来ていない上に似たりよったりも多く、デザインのバリエーションや格好良さに欠ける。
      • ラスボスも武骨ということはなく、どこか丸く見た目にダサい。
    • また、モンスターの声のレパートリーも著しく少ない。数時間もやれば、聞き慣れたボイスが増えてくる。

戦闘面

  • 大味な戦闘
    • 初期状態は相手と間が1マス空いており、どちらかが隣接しないと通常攻撃が当たらない。
    • 中盤からは高威力のとくい技での攻撃が基本になるが、基本的に1~2撃で仕留められるぐらいの威力バランス。
      • ただし、敵との距離が離れていたり、かしこさが低いととくい技の命中率が下がる。敵のとくい技も高威力なため、当たるか外すかの運ゲーになりがち。
    • 属性相性も存在はしているのだが、それを踏まえてもレベルが高いモンスターがとくい技で殴ったほうが早い。
    • 立ち位置によってダメージが変わるシステムは斬新ではあるが、とくい技は遠距離からでも発動できるため、位置取りの重要性は次第に落ちていく。
    • 突進と飛び越えは、失敗すると2ターンほど行動不能になってしまう。失敗した時のリスクが大きすぎる。
      • 突進は敵がよく使うが、たびたび失敗して隙を晒す。
  • 戦闘のテンポが悪い
    • 戦闘開始までの時間、攻撃モーション、被弾モーション、ダメージが表示される時間、どれも妙に長い。
    • とくい技のモーションが長く、カットできない。敗北したモンスターが昇天するモーションはカット可能。
  • 狭いスキル枠
    • 上述したが、スキル枠はたった4。攻撃技も、回復技も、パッシヴスキルも、状態異常防ぎもその中で工面しないといけない。
      • 尤も、先制でとくい技を発動すればすぐに終わってしまうバランスなので十分かもしれないが……。
  • ゲームに説明のないステータス異常
    • 毒、麻痺、火傷、水、氷、眠り、風邪、傷、めまいと状態異常が豊富だが、それぞれどういう効果なのか教えてくれるキャラはいない。
      • 毒や眠りはともかく、水や傷の効果は初見ではまず分からないだろう。
      • 説明書には記載されているが、ゲーム内で説明してくれてもよかったのでは。
  • 役立たないオートシステム
    • 戦闘開始時にオートかマニュアルを選択するが、AIはあまり賢くない。
      • 説明書によると「オートバトルの場合、(かしこさが高いと)より良い戦闘を繰り広げます」とのことだが、頓珍漢な行動を取ることも多々。
    • にもかかわらず戦闘終了までオートにしてくれるということもなく、毎ターン、オートかマニュアルかを聞いてくる
  • ラスボス
    • ラスボス戦は2匹との連戦となり、間でHPやとくい技の回数回復がない。
    • 先手でとくい技を打って体力を温存しながら進むのがセオリーのゲームなので、ラスボスもその調子でいけるかと思いきや、2戦目のボスだけとくい技が通用しない
      • 決して弱くないのに、初見殺しの特殊能力を持つのは悪意がある。
    • ラスボス2匹は仲間にできない。ラスボスを育てるのもモンスター育成ゲームのロマンの一つなのだが。
  • 対人戦も大味
    • 先手取ってとくい技を打てば勝利というゲームであることに変わりがないので、いかに素早く威力の高い技を持ったモンスターを育てるかどうかにかかっている。
      • それが面白いかと言われると微妙。

その他問題点

  • 大きなバグが2つある
    • 献立表で餌をコピーする際、「なし」の項目にコピーしようとするとフリーズする事がある。連打すると再現性が高い。
    • 放牧しているモンスターを配合に使用すると、マップ画面奥の山向こうに派遣した扱いになることがある。1年近く戻ってこないこともあり自滅せざるをえない。

評価点

育成・モンスター面

  • モンスターが500種類と豊富
    • このうち実際に仲間に出来る(成長させられる)のは498種類。それがたった一種のモンスターから派生する。
    • 本作より後に発売された『ポケットモンスター 金・銀』が251種類なことを考えれば、かなりのモンスター数と言える。
  • 3Dポリゴンとしては頑張っているモンスターデザイン
    • 可愛げがあるモンスターは多い。似たりよったりが多いが。
    • 戦闘に負け昇天する様はシュールでちょっと可愛い。
  • モンスターが売れる
    • 協会で使わないモンスターを売ってしまう事ができる。
      • 6匹も育ててると餌の消費も馬鹿にならないので、食い扶持を減らして使うモンスターだけ残す方がプレイしやすい。
  • 餌不足はよろず屋で解決できる
    • 幽以外すべての近場で取れる餌が売っているため、それを元手にスロットで増やすなり、グミにするなりで解決できる。
    • よろず屋のエサだけで十分育成可能で、餌取りの意味は金銭面の問題だけである。
    • まさかの「通貨である金貨も餌」。1食1Gとはいえ馬鹿にならない。

システム面

  • プレイヤーが操作すべき場面が少ない
    • モンスターの外出指示を出したら、あとは戦闘でスキルコマンドを打つぐらい。育成も進化先の属性を決めて、餌をスロットで増やすだけでいい。
  • 日付を飛ばせるカレンダー・時間経過システム
    • カレンダーなら1日・7日・15日・30日から進めたい日数を選べる。
    • 時間も高速で進めることが出来る。街中よりワールドマップの方が早く進める事ができる。
      • いずれにせよ、戦闘や進化により強制的に停止する。
  • 細かいリアルさには気を配っている
    • 店は閉店時間になると追い出されるし、住民は夜になると寝るからといって家を閉める。
    • モンスターも、旅に出ている最中でも設定されている1日のバイオリズムに従って生活する。脱皮もする。
  • BGMが耳障りということはない
    • 評価点にBGMの存在を入れたくはないのだが、退屈を紛らわす事もなく気にならないBGMであることは評価点。
    • ボス戦のBGMは特に高評価。
  • 主人公にボイスがある
    • 「どのモンスター?」など、モンスターの育成・指示メニューではよく喋ってくれる。主人公の性別も選べる。

戦闘面

  • とくい技は派手
    • とくい技のモーションはどれも凝っていて、攻撃技は威力も絶大。初めて使った「はな火」の威力に感動した人もいるだろう。
    • 「ポップコーン」「ぐりぐりするぞ~」など技名も面白い。
  • 救援システム
    • 放牧しているモンスターが戦闘中に参加してくれることがある。
    • メインのモンスターがやられてもお助けモンスターが生き残れば続行出来る。その場合HPは時間回復となる。

賛否両論点

  • スロットの技術力が全てを握る。
    • 目押しで餌を増やして育成に当てることになるが、同時に目押しなので苦手だと育成難易度が跳ね上がる。
      • 子供の反射神経ならいけるだろうという考えでもあったのだろうか。
    • スロットを使わない縛りプレイも不可能ではないが、育成効率は落ちる。

総評

根幹としてゲームの全体時間が待機時間であり、間延びして退屈になってしまうのが致命傷だろう。
育成システムだけはこだわりがあったようで、凝っていて奥深いものなのだが、成長させるのは難解で楽しいかと言われるとイマイチ。
片やシナリオは薄く戦闘も単調で、モンスターですら愛着が湧くデザインかと言われると垢抜けていない有様。

モンスター育成シミュレーションとしてもRPGとしても退屈で下位に属し、この作品より面白いゲームは同年代のゲームにもいくつもあるのだから、わざわざこのゲームに費やす時間がもったいないと思わざるを得ない出来である。


余談

  • 本作の設定やモンスターのいくつかはGBCソフト『グランデュエル~深きダンジョンの秘宝~』に流用されている。
  • 図鑑で「◯◯さんがかんがえたモンスター」という項目があるが、これはニンテンドウ64に関わる雑誌で募った読者応募を元にデザインされたモンスターである。
  • ボトムアップの看板であろうモンスター、「ポテッち」も出演している。目立って育成できることはない。
  • ボトムアップが倒産したため、移植やリメイクの可能性はほぼ無いだろう。

+ タグ編集
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  • ニンテンドウ64
  • RPG
  • ボトムアップ

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最終更新:2023年12月29日 05:05

*1 A 火⇔水(相互打ち消し) > B 毒⇔薬(相互打ち消し) > C 風⇔土(相互打ち消し) > A 無・幽・鉱は相性無し。

*2 エレメンタル別に進化の樹形図が構築されているため、エレメンタルが別系譜のモンスター同士をかけあわせると必ずプルリンということになる。

*3 移動速度が遅くなる装備品