セブルス・スネイプ


"As there is little foolish wand-waving here, "
(このクラスでは杖を振り回すようなバカげたことはやらん。)

"many of you will hardly believe this is magic."
(そこで、これでも魔法かと思う諸君が多いかもしれん。)

" I don't expect you will really understand the beauty of the softly
 simmering cauldron with its shimmering fumes,"
(フツフツと沸く大釜、ゆらゆらと立ち昇る湯気、)

"the delicate power of liquids that creep through human veins,"
(人の血管の中をはいめぐる液体の繊細な力、心を惑わせ、感覚を狂わせる魔力……)

"bewitching the mind, ensnaring the senses…"
(諸君がこの見事さを真に理解するとは期待しておらん。)

"I can teach you how to bottle fame, brew glory, even stopper death"
(我輩が教えるのは、名声を瓶詰めにし、栄光を醸造し、死にさえふたをする方法である)

"-if you aren't as big a bunch of dunderheads as I usually have to teach."
(──ただし、我輩がこれまでに教えてきたウスノロたちより諸君がまだましであればの話だが)

+ 日本語吹替声優
土師孝也
実写映画シリーズ
野口響
『死の秘宝 PART2』(幼少期)
茶風林
『賢者の石』『秘密の部屋』『アズカバンの囚人』(いずれもゲーム版)

小説『ハリー・ポッター』シリーズの登場人物。
実写映画ではアラン・リックマン氏が演じている。
アラン・リックマン氏の端正なルックスと優雅な所作でナイスミドルの印象があるが、原作では陰気なブサメンとして描写されている。

ホグワーツ魔法魔術学校で魔法薬学教授にして、「スリザリン」の寮監を務める魔法使い。
翻訳版の吹き替えでは一人称は「吾輩」だが、一度だけ「僕」を使用している
魔法使いとしての実力はホグワーツの中でもトップクラスに優秀な人物だったが、
学生時代に自身が所属していたスリザリン寮への贔屓が露骨であるために他寮生に嫌われており、
とりわけ、入学当初からハリーを目の敵にしており、隙あらば揚げ足を取って過大な罰則を課したり陰険な嫌がらせを行うため、
在学時代のハリーとは非常に不仲であった。
また、ホグワーツ入学時点で当時のどの上級生よりも闇の魔術への造詣が深かったことに加えて、
ホグワーツ卒業後にヴォルデモート配下の死喰い人に加わり、ルシウス・マルフォイ、ベラトリックス・レストレンジと並んで片腕扱いされ、
「不死鳥の騎士団」をスパイする任務を与えられていた経歴があり、同僚にも彼に不信感を抱く者は少なくなかったのだが、
ホグワーツ校長及び騎士団リーダーだったダンブルドアが「スネイプは自分側の二重スパイだった」と証言して後ろ盾になったため、
本編時点では罪人としては扱われていない。

ハリーへの敵視は、スネイプが在学時代にハリーの父ジェームズと犬猿の仲を通り越した対立関係にあったことが原因である。
当時のスネイプは本編以上の陰キャで、スリザリン内でも浮いていた存在として扱われており、
後のハリーの母となるリリー及びルシウス・マルフォイ以外友人がおらず、
入学前のホグワーツ特急にてスネイプがリリーにスリザリン入寮を奨めた際に、
ジェームズが「スリザリンに入るくらいなら退学する」と口を挟んできたことをきっかけに衝突し、
ジェームズ及び彼の相棒であったシリウス・ブラックと互いに何度も呪いを掛け合うほど険悪な関係になった。
しかし、スネイプの主観では一方的にいじめを受けたという認識なのだが、
スネイプ相手に傲慢な態度で接していたジェームズにも非があったのも事実なものの、
ジェームズやシリウス達も何かと自分達に付き纏うスネイプを鬱陶しいと認識しており、
同時にスネイプは両名に目に物を言わせるべく他生徒を自分の開発した魔術の実験台にしていたなど、彼にも非が全くなかった訳ではなかった
他生徒で魔法の実験を行っていたのはジェームズもシリウスも同様だったし)。
また、スネイプは天才だったがジェームズ及びシリウスはそれを凌ぐ大天才だったため、
結果的に決闘となるとどうしても一方的な虐めに見える程の実力差があったのも問題であった。
具体的にはスネイプが真剣な害意の下で挑んでも、遊び半分・ふざけ半分のジェームズとシリウスに全く太刀打ち出来ない程の格の差があり、
両者の認識には大きな溝があった。
それがエスカレートして何とかジェームズを退学にするべく材料を探そうと周囲を嗅ぎ回るスネイプを鬱陶しいと考えたシリウスにより、
狼人間と化したリーマス・ルーピンに鉢合わせさせられそうになるという、下手すれば命の危機になりかねない出来事もあった*1
その時にはシリウスから話を聞いたジェームズがスネイプを助けたことで事なきを得たが、
スネイプはジェームズが保身のためにやったことと認識しており感謝の念を持っておらず、
この件も「三人で共謀したがジェームズが日和った」と認識している。
とはいえ、この一件でルーピンが狼人間であることを知りながらも在学期間中は明かさず、
この事件を口実にジェームズ達を退学に追い込むような真似はしないなど、命を救われた義理は最低限果たした。

これらの経緯がジェームズの面影を多分に受け継いでいたハリーへの憎悪に繋がっている。
当然ながらハリーからしてみればとばっちりもいい所で、
当初こそなるべく敬遠する姿勢を取っていたものの、あまりのしつこさに加えて、
彼がジェームズへの偏見にまみれた中傷を行った中盤頃からどんどんスネイプに対して反抗的になっていき、
年齢を重ねてジェームズにも非があった事実を知ってなお、ハリーは内心スネイプに嫌悪感を抱いていた。
少なくとも『アズカバンの囚人』まで一方的にスネイプが八つ当たりしていたも同然であり、
当然ながらハリーへの度を越した冷遇は事情を知らない(スリザリン以外の)他の生徒や教師陣からも見咎められ、
ハリー以外にもよく称される嫌味で陰湿な人物という評価は、彼の自業自得な部分も非常に多くを占めている。
おかげで、しょっちゅう薬草などの材料を生徒から盗み出されているのに読者から同情されない
少なくとも生前のジェームズの旧友は大半が「ハリーは外見は父親似、内面は母親似」と称しており、
スネイプの父親似というハリーへの評価はジェームズへの恨みによる曇った目に映った偏見だらけのものである。

そして中盤のヴォルデモート復活に伴い、再び二重スパイとして活動。
騎士団や死喰い人のメンバーから不信感を抱かれつつも活動していたが……?
+ ネタバレ注意
スネイプは騎士団側の人間である。
終盤にてダンブルドアを殺害したため死喰い人側と思われていたが、
これもダンブルドアは承知の上で、2人で示し合わせて行った策略であった。

彼が仲間すら欺き命懸けでヴォルデモート相手にスパイ活動を行っていた動機は、
ハリーの母親であるリリーに片思いしていたためである。
ジェームズを嫌っていたのも、自分が思いを寄せるリリーに何かと絡んでいたのが気に喰わなかったのが原因で、
ジェームズとの実力の差を埋めるのと、徐々にジェームズを見直すようになったリリーに自分を向いてもらうべく、
学生時代のスネイプはますます闇の魔術の研究にのめり込むようになったのである。
ヴォルデモート最盛期には闇の魔術の使い手を羨望する声も相当数あったためこのような考えに至ったのだが、
リリーは闇の魔法使いを嫌っていたため、逆に距離が遠のくことになり、
最終的には「最悪の記憶」*2の一件で決裂することとなった。

ジェームズとリリーが結婚してからも思いを捨てきれなかったのだが、
ある時自分が得た情報が原因でヴォルデモートにリリーが命を狙われていてもたってもいられなくなり、
騎士団側に寝返り何とかリリーを救おうとするも、果たせずリリーは殺害されてしまった。
悲嘆に暮れるスネイプだがダンブルドアに叱責され、
リリーへの償いとして息子のハリーを守るのに協力するように諭され、
スネイプは初恋相手の忘れ形見となったハリーを守ろうとしたのである。

「ジェームズなんぞの子供に感謝や哀れみを向けられるのは耐えられない」という理由から、
スネイプはこの事実を知られることを強く忌諱しており、スネイプの本心を知るのはダンブルドア1人で、
それ故に騎士団の仲間もダンブルドアがスネイプを信じる理由が分からず不信感を抱く者が多数いたが、
ダンブルドアもスネイプの意を汲んでこの事実を話すことは無かった。
とはいえ、ダンブルドアがハリーの屠殺を前提とした計画を建てていたと知った時はガチトーンでキレており、
本人も無自覚の内にリリーへの義理立てだけでなくハリーという個人に多少の情が湧いていたと思われる場面もあったが、
それをダンブルドアに指摘された時も認めようとせず、あくまでリリーのためという姿勢を貫いていた。
もしもハリーがリリーそっくりの女の子だったら逆に甘やかしまくっていたに違いない
最終盤でこの事実を知ったハリーは、自分への逆恨みに思う所はあれども、
危険な二重スパイに身を置いてまで一途に思いを貫いたスネイプの覚悟と信念には敬意を抱くに至っている。

スネイプがダンブルドア陣営のスパイであることは他の死喰い人に疑われることも度々あったのだが、
スネイプはヴォルデモートの開心術でも破れない卓越した閉心術の使い手であったため、
疑い深いヴォルデモートもその本心を見破れず、駒としてだが重宝される程度には信頼を勝ち取るに至り、
多少の不審な点も「二重スパイ任務を受けていたから」という大義名分があったため、
ヴォルデモート復活後もまだ死喰い人として内通することが可能であった。
付け加えるなら、ヴォルデモートが自分よりスネイプをベラトリックスが何かと揚げ足を取っていたため、
そもそもベラトリックスがスネイプに噛みつくのは妬みと僻みが理由なのは死喰い人の間でも周知の事実であり、
その状況を逆手に取り「ベラトリックスがうるさいせいでいらん疑いが向いている」と周囲が思うようにスネイプが立ち回ったため、
死喰い人の間でもスネイプが内通者なのかベラトリックスのネガキャンなのか判断し辛い空気が生まれており、
結果的に最後まで騙し通すことに成功している。


MUGENにおけるセブルス・スネイプ

sebastiao氏による、『JUS』風ドットを用いたMUGEN1.0以降専用のちびキャラが公開中。
魔法による遠距離攻撃を用いた射撃戦を得意とした性能をしている。
体力が3割以下の時のみ超必殺技「アバダ・ケダブラ」が解禁される。
AIもデフォルトで搭載されている。
参考動画

出場大会

  • 「[大会] [セブルス・スネイプ]」をタグに含むページは1つもありません。


*1
この1件に関しては原作では解説をサラッと流されており、映画においても殆どカットされているためやや分かりづらいが、
良く考えなくても一歩間違えれば人狼化したルーピンがスネイプを殺害するという大惨事が起きていたということである。
スネイプの安否は当然のこと、病で理性を失っている間に親友に人殺しをさせられる方のルーピンからしたらたまったものではないため、
そりゃ日頃は仲良く悪さしているジェームズも止めに入って当然である
(狼人間が獣化している際に理性を保つ「脱狼薬」は素材も高価で調合も困難)。

*2
ダンブルドアの指示でスネイプの元で閉心術の訓練をしていたハリーがたまたま見つけてしまった、スネイプが保管していた記憶。
スネイプの学生時代の頃の物で、ジェームズとシリウスによって逆さ吊りにされて大勢の前で恥をかかされるという物。
実際には前述の力関係やスネイプ自身の日常的な問題行動等もあって、一方的なイジメの現場というわけではないのだが
(そもそもその逆さ釣りにする呪文自体スネイプが開発した闇の魔術の一種なので、スネイプによって誰かしらが被害を受けていた事になる)、
尊敬していた実の父親と名付け親が、あまりにも横暴で過激な振舞いをしていたことにハリーは大いにショックを受けた。

この「最悪の記憶」という名前は章タイトル「スネイプ最悪の記憶」から取られた通称であり、
この時点では嫌っていたジェームズ達にいい様にされていたスネイプの屈辱から「最悪」なのだと思われていた。
しかし実際に「最悪」だったのは、この直後に仲裁に入って自分を助けようとしてくれたリリーに対して、
ジェームズへの憤慨から来る興奮の余り「穢れた血が口を挟むな!」と暴言を吐いてしまったことであった。

この世界では魔法の力は遺伝的なもので、魔法が使えない人間(マグル)同士の子供は原則魔法を使えない(先祖返りや突然変異による例外もいる)。
そこで、マグルを見下す純血主義者達はマグルの遺伝子を「穢れた血」と呼んでおり、本人が魔力を使えても片親もしくは両親がマグルの場合、
これを強烈な侮辱語として用いることが過激な者達の間ではしばしばあった。……そしてリリーも本人は魔法が使えたが、両親と実姉はマグルである。

当時の時点でスネイプは分かりやすいほどに闇の魔術師と純血主義に傾倒しており、彼の知人の闇の魔術によってリリーの友人も被害を受けていた。
その点について度々リリーはスネイプに対して注意しつつも、仲裁に入った時のように友人としてスネイプの立場を庇ってはいたのだが、この一件で決裂。
流石のスネイプもその時ばかりは直ぐに「あれは本意ではなかった」と謝罪に向かったのだが、
「あなたは私と同じ生まれの魔法使いのことを全員『穢れた血』と蔑むくせに私だけは違う?どうしてそんなこと信用できるって言うの?」
と言われ、完全に愛想を尽かされてしまったのである。
作者のJ・K・ローリング女史は「スネイプ次第で二人が結ばれる未来もあり得た」と語っている。


最終更新:2023年11月15日 23:36