たべるんごのうた


たーべるんごー たべるんごー

やまがたりんごをたべるんごー

『たべるんごのうた』とは、2020年1月に「文字ドル」シリーズ作成者として知られるバチ氏によって投稿された、
ソーシャルゲーム『アイドルマスター シンデレラガールズ』に登場する山形のりんご農家出身アイドル「辻野あかり」をイメージして作られた楽曲である。
商業作品の二次創作に当たるが、楽曲としては特に原曲はなく新規作曲されたオリジナル作品で、動画のイラストも新規のものである。

動画としては30秒ちょっとの短い尺で、しかも後半は素材配布用にブルーバックで内容を繰り返すだけなので、正味の内容は17秒くらいしかない。
ぶっちゃけた話、解説を読むより実際に視聴した方が早いレベルで短い。
それが歌詞と曲調の謎の中毒性からか徐々に再生数を伸ばし、3か月で100万再生に到達した他、2000以上にも昇る多数のMADが投稿され、
ニコニコに謎のりんごブームを巻き起こした。

歌詞の内容は山形のりんごを勧めるものだが、何故か曲の最終盤で唐突に画面右側にいるマスコットキャラクター「りんごろう」の紹介が挟まれる。
雑なデザインで二次創作と勘違いされる事があるが、りんごろうもれっきとした原作キャラクターである。
ちなみにその紹介で「こいつ」とぞんざいな呼び方をされているが、これも原作通り。

MAD動画は主にジャガーマンシリーズのような人力VOCALOIDによる歌詞改変系と、
ブームとほぼ同時期に公開された音声合成ソフトの「AIきりたん」を使用した替え歌動画の二種類がメインであり、
また元ネタ曲の歌手の性別に応じて「紅白りんご合戦◯組」などという分類がされる事も。
また、動画内でりんごろうの紹介パートを入れる事が視聴者からはノルマとして扱われている。
イチゴ味

長期化するこのブームの最中に開催された公式の人気投票イベント「第9回シンデレラガール総選挙」で、
同時開催された「ボイスアイドルオーディション」にて辻野あかりは見事に1位を獲得し、
それまで声無しだった彼女に声優によるキャラクターボイスが設定される事が決定した。
他に順位を大きく上げる要因が少なく*1、ニコニコの影響力もまだまだ馬鹿にならない事が示されたと言える。
声が無いのに歌で知名度が上がって声が付いたというのも妙な話だが。

なお、この曲は第9回シンデレラガール総選挙並びにボイスアイドルオーディションの宣伝のために投稿された曲ではない
投稿された1月にはまだ2020年の総選挙については発表すらされておらず、流行しても例年5月の投票開始の頃には過去の曲になっていた筈である。
そして何より、投稿者であるバチ氏の推しキャラは辻野あかりではない(白菊ほたるという別のアイドルである)。
一旦は収束しかかっていたブームを爆発させた中興の祖であるメカP氏も、やはり辻野あかりを推していた訳ではない。

それが、動画や曲の魅力と様々な、本当に様々な偶然と幸運が重なり、異常なまでのブームを発生させる事となった。
ブーム真っ只中の総選挙期間に投稿されたフォロワー動画の中にはあかりへの投票を促すものも多く見られ、
最終的に辻野あかりは、ボイスアイドルオーディションで大量の票を獲得して1位(ついでに総選挙35位)に輝く事になった。
『ネット流行語100』においても、辻野あかりが17位、たべるんごのうたが7位&niconico賞にランクイン&受賞している。
誰がこんな結果を予想出来たと言うのか、まさしく謎のブーム、あるいは奇跡としか言いようがないだろう。

ブームについての考察

そして投稿1周年を目前に控えた2021年1月9日、
それまで「アイドルマスター シンデレラガールズ」タグにおいて1位に君臨し続けてきたBEMYBABYの再生数を抜き去り、程なくして300万再生を達成した。
これまた奇跡的な事に、この日は『シンデレラガールズ』の新年ライブが行われ、辻野あかりの担当声優である梅澤めぐ女史がライブに初登場した日でもあった。

+ 辻野あかりについて
「山形生まれのりんごアイドル、
 あかりんごこと辻野あかりで~す♪あは♪」

  年齢:15歳
  誕生日:11月5日(蠍座)
  身長:160cm
  体重:44kg
  3サイズ:80-60-86(特訓前後で変わらず)
  血液型:A型
  利き手:右
  出身地:山形
  趣味:ラーメン、編み物
  CV:梅澤めぐ

6thライブドームツアー『MERRY-GO-ROUNDOME!!!』にて告知された「7人の新アイドル」の一人目。
2018年12月20日に解放されたお仕事エリア・群馬のエリアボスとして初登場した
(それまで最後に追加されていたのは2014年9月19日に登場した桐生つかさ)。
『スターライトステージ』では2019年4月10日に追加された。

タイプはキュートで、同時期に登場したクールの砂塚あきら、パッションの夢見りあむとはセット扱いを受ける事が多い
(これは他の4名が2名ずつ(主従関係と双子の姉妹)のセットになっている事も要因の一つ)。
ネットに疎いあかり、動画や写真の投稿が趣味のあきら、SNSが炎上しがちなりあむと、全員が昨今のネット文化に関わるキャラ付けをされているのも特徴。
長いこと正式なユニット名が無く、イベントで登場した「#ユニット名募集中」という名前がこの3人組の実質的なユニット名として扱われていた。
2022年9月になってようやく「#UNICUS(ユニクス)」という正式なユニット名が命名された。

好物はりんごとラーメン(どちらも山形県の名産品*2)で苦手な物はトマト。実家はりんご農家。
アホ毛が双葉のような形になっていて、よく頬が赤くなる事から「あかりんご」と呼ばれている。
物産展の手伝いをするため(それと遊ぶため)東京に来た所をプロデューサーにスカウトされた。

上記たべるんごのうた以外の強烈な特徴として、彼女は某J民の如く、語尾に「んご」を付ける。
これにはネット上で話題となり、twitterでトレンド入り。本人曰く「都会で流行ってるって聞いたのにな~」との事で、
女子高生に「ンゴ」が一時期流行したのを反映していると思われる。決してなんJ語ではないはず
ただし初見のイメージ程んごんご言う訳ではなく、あくまで決めゼリフとして意図的に口にする程度である。
そもそも意図的に作った語尾なので意識しなければ出て来ないはずなのだが、
最近では何だかんだと馴染んでしまったようで、うっかり口癖として零す事もある。
なお、他の口癖としては笑う時の「あは(あはっ)♪」や、動揺した時に漏れる方言「なしてや」などがある。

「世間が「んご」に飽き始めたら教えてくださいね!
 急いでキャラ変えるんで!」

性格は控えめでリアリスト、「頑張るのは好きじゃない」といった形で、所謂「さとり世代」と呼称される事もある消極的なキャラ。
「頑張ります!」が口癖のようになっている、同作看板キャラの卯月との対比になっているとも言える。
尤も、これは「丹精込めて作った農作物が台風などで壊滅する」という、農家の特有の辛い体験が元になってしまっているらしい。
両親はあかりの芸能界入りを歓迎しているが、これは娘のアイドル活動に乗じて山形りんごをアピールさせるという魂胆があるため。
一応娘をアイドルとして応援する気持ちも本物ではあるが、職業柄かやはり、あかり同様に割と打算的だったりする。

りんごろう(上記の動画の右側にいるあいつ)はあかりが作ったマスコットキャラで、当人曰く「こいつはりんごの精です。何か?」
あかり本人からも「いたらいたでアレだけど、いないならいないでアレだぁ」「投げても心の痛まないデザインで良かったぁ」等ぞんざいな扱いを受けており、
そもそも「マスコットキャラがいると売れるって聞いた」「りんごろうで一儲けしたいらしい」「あかりの父が突発的にりんごろうの仲間を増やす」
など、存在そのものが打算の塊とも言える。
デレステのコミュではプロデューサーとの出会いのきっかけにも関わっており、物産展でこのりんごろうの着ぐるみを着ていたが、
急にトイレに行きたくなり、一人では脱げないので困っていた所を通りがかりのプロデューサーに助けてもらった事になっている。

かなり久々の新アイドルの1人目、更に「お、Jか?」と言いたくなるような語尾もあって実装直後こそ注目が集まったが、
後続の6人が揃いも揃って既存のアイドル達に負けない濃い面子ばかりで(特にりあむ)、同期の中では相対的にやや地味目な立ち位置になっていた。

徐々に上記のリアリストな面など、他の新アイドルに負けない「濃さ」が判明していくものの、そうした要素は担当P以外にはあまり知られる事はなかった。
実際、たべるんごブームの際も、初期は肝心の名前が知られておらず、「たべるんごの子」「りんごろうじゃない方」など呼ばれていた程である。

だが、ブームが爆発するに当たって、あかりの方をアピールする動画も登場するようになった。
特にバチ氏が投稿した「たべるんごのこのうた」、デレステのあかりMVが「さくらんごのうた」等で人気が爆発。
さらにブーム以前に投稿されていた「組曲『んごんご動画』」が発掘された事で、広く個性が知れ渡るようになる。

もはや現在は、「地味」と言う声は全く聞かれない。地味な立ち位置だった頃に「ひのきの棒」と呼ばれており、
そこから「ひのきの棒と思ったら伝説の剣だった」「魔法使い達が寄ってたかって魔法をかけた」などと言われている。

なお、MAD動画では青森や長野(どちらもりんごの生産数が山形より上)にライバル心を向けるキャラとして扱われる事も多い(所謂「煽りんご」)が、
原作ではライバル視していても敵視にまでは至らない(「他所のりんごも美味しいんですよね」と認める台詞がある)。
にも拘らず、一時期は派生動画で過剰すぎる煽りに発展する事もあったのだが、その最盛期に投稿された動画「ウィーたべるんゴー!」が、
煽りんごを含んで10万再生を達成しながら投稿者削除→煽り要素を廃して再投稿→そちらでも10万再生を達成する、と言う流れを経て沈静化。
その後は、有ってもプロレスレベルの煽りに抑えられるようになっている。
この事件は多くの視聴者・作成者に、過剰な煽りによる先鋭化を防ぐと言う意識を植え付けた、たべるんご史における重要な事件として認識されている。


余談だが、本家『スターライトステージ』の2020年9月30日開始のイベント(あかり・あきら・つかさのボイス実装に伴う記念曲)のオープニングコミュにて、
桐生つかさが「あかりのりんごPR動画。あのマスコットと踊ってるやつ。すげぇバズってたよな」と、
一連の出来事を知っているとニヤリとする発言をしている。
同イベントのコミュにイベント内容やアイドル達とは大きな関係はない白菊ほたる(前述の通りバチPの担当アイドル)が登場する事も、
上述の経緯を考えると一種のメッセージとも取れる
(ただし、桐生つかさ役の河瀬茉希女史もほたるPであった、と言う要素もある)。

また、ブームが落ち着いたと思われた2022年には変なCMばっか作る事でおなじみの日清から発売された商品、
『チキンラーメン キャベサラダ』のCMソングにまさかのたべるんごのうた(替え歌ver.)が起用され、P達に衝撃を与えた。
勿論バチ氏に許可を取った公認である。むしろ許可を取るべきはバンナムな気もしないではない
当然ながらあかりやりんごろうは登場しないが、合いの手的に挟まれる奇声がどことなくぴにゃこら太の声を思わせるなど『デレマス』要素も意識はしている模様。


MUGENにおけるたべるんごのうた

ニーサン氏によって製作されたキャラがエイプリルフールに公開された。
各種たべるんごのうたのMAD動画のネタを拾った攻撃技が使用可能であり、
りんごを降らせて攻撃したり、超必殺技「ペルんごセウス」でメルヘンゲットォしたり、
ツジノ流奥義で分身して攻撃したり、拘束して名前を聞いたり
カオスな性能のキャラとなっている。
当然のようにオメガトムハンクスキラーも搭載済み。
ストライカーとして辻野あかりの同期のアイドルである砂塚あきら、夢見りあむを呼び出しての攻撃も追加された。

たべるんごのうたブームがニコニコで長期間流行した事で多様なMADや素材が投稿された事もあり、
更新される度に様々な技が追加された結果、「MADの数だけ強くなる女」と呼ばれる事も。
とても元の動画のイラストがあかりが4コマ、りんごろうが1コマしかない簡素なものだったとは思えない充実ぶりである。

レベル0~5で調節可能な強化設定も搭載されており、ランクは凶中位~狂最上位Aほどとの事。
AIも搭載されている。

また、同じくエイプリルフールにツキノア氏によるたべるんごのうたも公開された。何故被った
こちらは試合開始と同時にたべるんごのうたを最後まで流し、その後に背景をBB素材青色にして流し、
それが終わったら再び普通のたべるんごのうたを流し…と繰り返す。タイプとしてはBBEMYBABYに近い。
違いとしては、隣の女の子あかりが攻撃判定のみの塊、右のりんごろうが食らい判定のみの塊となっている点。
デフォルトではBBEMYBABYとは違い即死ではなく多段ヒットだが、同時に曲が1ループする毎に攻撃性能が上昇していくという特性も持っており、
1ループ毎に基礎ダメージが5ずつ増えていく他、ループが進む度に毒や当身、即死とえげつない性能が追加されていく。
カラー差も存在し、カラーが上がるほどダメージリミッター、大・低ダメージ無効、一定量以外のダメージ無効とダメージ条件が複雑化していく。
オプションではライフバー有無、たべるんごのうたの伴奏有無、試合開始時点の曲ループ回数を設定可能。
かぶっちゃった結婚

出場大会

出演ストーリー

プレイヤー操作



*1
一応、前年の第8回総選挙にて同時に登場した新キャラ「夢見りあむ」が、
美少女化したお前らというその強烈なキャラで登場早々に3位となり、ボイス及びソロ曲を獲得。
同じく同期で当初から3人1セットの様に扱われていた「砂塚あきら」と共に、3名揃っての曲やエピソードの追加を待望するファンは一定数存在していた。

*2
山形県というとさくらんぼや西洋梨の生産量が日本一である事が有名だが、他にも様々な果樹に強い。
実はりんごの生産量も全国有数で、例えば北海道の6倍近くもある。
さらに味では日本一とさえ称されるブランドも持っており、十分に名産品と言えるレベルである。
にもかかわらず山形りんごの知名度が高くないのは、生産量上位の青森と長野が2県合わせてりんご国内総生産量の3/4以上を占め、
質・量共に圧倒的すぎるためである。
あかりが山形出身なのにりんご推しなのは、名産品に乗っかるためではなく、一番でないからこそ地位向上を目指すという目的のためなのである。
なお、彼女の登場時点では山形のりんご生産量は青森、長野に次ぐ国内第3位だったのだが、
そのすぐ後に発表された統計で岩手に抜かれ、4位に後退してしまっている。


最終更新:2023年01月16日 22:35