ウォーリア・オブ・ライト


「光よ、我に力を…」

スクウェア(現:スクウェア・エニックス)のRPG『ファイナルファンタジー』(以下『FF1』『初代』)の主人公。
ページ名は『FF』キャラのオールスターゲーム『ディシディア』で付けられた物で、原作における主人公4人の称号「光の戦士」の英訳である。*1
長い名前なのでファンからはWoLと略される事が多い。
徳間書店の攻略本では「たろう」、NTT出版の攻略本では「だりあん」、小説版では「ゼスト」とされているが、こちらで呼ばれる事はほぼ無い。
『ディシディア』での担当声優は 関俊彦 氏。
何の因果か関氏はCDシアター版『ドラクエ1』で勇者の声も担当しており、スクエニ2大RPG1作目の主人公を両方演じている。

同シリーズにおいては珍しく勇者異名を持つ主人公。
世界が暗黒に包まれた時代。風は止み、海は荒れ、大地は腐る。
しかしこの荒廃した世界において希望とも言える伝説が、永い間人々に語り継がれてきた。
土、火、水、風の4つのクリスタルに光が宿る限り、この世界の平和は守られる。
そしてクリスタルの光が失われた時、クリスタルに導かれた4人の光の戦士が現れると……。
ウォーリア・オブ・ライトは、暗黒に染まる世界にクリスタルを携えて現れた、四人の若者の一人である。
コーネリアの王女セーラを攫った騎士団長ガーランドとの戦いを経て光の戦士として認められ、
クリスタルの光を遮るカオスを倒すため、長い探究の旅へと出る事になる。

そして… たんきゅうのたびは はじまった

+ まるで にわとり と たまご じゃ!!(『FF1』ネタバレ注意)
土、火、水、風の四つのクリスタルの光を遮った四体のカオスを倒しても、世界に平和は訪れなかった。
全ての元凶である本来のカオスは、2000年前の過去に存在していたのだ。
光の戦士達はカオス本体と対決するため、闇のクリスタルの力を用いて過去へと向かう。
そしてそこに待ち受けていたのは────最初に倒したはずの敵、ガーランドであった。

実は光の戦士達によってカオス神殿で討たれた時、ガーランドもまた闇のクリスタルの力で過去に飛んでいたのだ。
そしてそこで彼は2000年後に自分が敗れる結果を変えるため、四体のカオスを作り出し、未来へと送り込んだ。
四体のカオスの力で死を免れたガーランドはやはり過去へと飛ばされ、またカオスを作り、そして……。
繰り返される永遠のループを破壊するため、光の戦士達はガーランドとの最終決戦へと挑む。

しかし過去の世界のガーランドを討伐するという事は、歴史が変わり、そもそもこの戦い自体が起こらないという事。
ガーランドは王女セーラを攫う事は無く、光の戦士達がクリスタルを携えて世界を救うという事も無い。

4つの力が狂っておかしくなっていた世界は元の姿を取り戻し、光の戦士は元の世界へと戻っていく。
そこには元の世界におけるセーラやジェーン達が待っている。もちろん4人がよく知っている元の世界におけるガーランドも……。

ドワーフやエルフの村、ドラゴン達、宇宙にまで手を伸ばした高度な文明……。
何もかもが消え去ってしまっても、人々の心のどこかに、わずかに残る物語がある。
それこそが────『ファイナルファンタジー』なのだ。

そして忘れないでほしい。
真のクリスタルはいつもその胸の中にあることを。
画面の前の君こそが、かつて2000年の時を越えて戦いこの世界を元に戻した光の戦士だったのだから。

+ 『FF1』というゲームについて
今でこそ『ファイナルファンタジー』という一大ブランドを築き上げた本作だが、
当時のスクウェアはファミコンブームの時流に乗る事ができず、極めて厳しい立場に立たされていた。
そんな中で『ドラゴンクエスト』のヒットによってRPGブームが来ていると判断したスクウェアが、
当時としては異例の1年という制作時間をかけ、出荷数をギリギリまで絞ってなお本社を雑居ビルに移転するなど、
倒産間際の瀬戸際の状態で、社運を賭けた「最後の作品」として発売したのが『ファイナルファンタジー』だった。

当時としては画期的な、最初のボスを倒してやっとOPが流れる「オープニングをプレイする」といった演出や、
悪漢を倒してお姫様を助けるといった王道部分が単なる序章に過ぎないという壮大なストーリー、
数々の後発作品に先駆ける「ジョブチェンジ」「世界地図」「飛行艇」「パスワードなしのセーブ」といったシステム面、
天才的プログラマー、ナーシャ・ジベリ氏によるファミコンの限界を超えたかのような画面演出等、
そういった数々の要素が市場に受け入れられ、異例の52万本という売上を叩き出す。
結果、スクウェアは見事に息を吹き返し、続く第二作『ファイナルファンタジー2』の製作に取り掛かったのであった。

あらゆる意味で歴史的な大傑作の一つであり、頻繁にリメイクが繰り返されているものの、
どうにも『DQ1』ほどにはリメイク版のプッシュがされていないのが残念な所だが
(比較対象が悪すぎるとも言う。また『FF』シリーズは他にもリメイクの希望が多い名作が揃っているため、
 どうしても『初代』は後回しにされがちだった)、
それでも現在はSteamなどでピクセルリマスター版が配信されており、若年のVTuberによる初見プレイ配信なども行われ、
新たな光の戦士達が次々と探究の旅を始めている。
ピクセルリマスターは移植度が低かったりバグが多かったりもしたけど2024年1月末のアップデートでかなり改善されたしね
静凛によるプレイ動画
愛と勇気と希望がガーランドに完全敗北する周防パトラ

なお、『FF1』本編での主人公一行は戦士・モンク・シーフ・白魔道士・黒魔道士・赤魔道士の6つのジョブの中から4人分選択するというシステムという事もあり、
各キャラクターに対して詳細な設定は無いに等しく、その来歴や設定は完全にプレイヤーの手に委ねられている。
しいて言えばFC版ではジョブチェンジによって上位職に変化する際、グラフィックのみならず頭身までも変更される演出で、
探究の旅が数年以上に及ぶ長い道のりであった事が判明する*2程度だが、
以後の移植版では頭身変更は削除されてしまっている(ピクセルリマスター版では久しぶりにこの演出が復活している)。
+ 初代光の戦士達の勇姿

本作のジョブチェンジは試練を突破して手に入れた「ネズミのしっぽ」を竜王バハムートに見せ、真の勇者と認められる事で行われる。
そのためジョブチェンジ無しの縛りプレイも可能。なぜ「ネズミのしっぽ」が必要なのかは不明。バハムートはネズミが怖いのかも
人間にとっては取るに足らないものであっても、人間より偉大な存在にとっては何か重要な意味を持つとか、
勇気を見せる事が要点であって物自体は何でも良かったと言った所だろうか。あるいは『スクウェアのトム・ソーヤ』と同時開発だったからとか……
ちなみに、ウォーリア・オブ・ライトも『ディシディアNT』では追加衣装でこの赤いアーマーにオールバックの姿になってくれる。

本編世界とは海陸の逆転した異世界を舞台にしたゲームブック『勇者に光あれ!』では、
ウルムの月が蛇の星座にかかった時に生まれた剣士一族の少年トーイがクリスタルに導かれて冒険を繰り広げ、
世界を覆う闇を別世界へ追放したことが「クリスタルに選ばれた光の戦士」の言い伝えとなった…という経緯が語られ、
本編以前を舞台にかつての光の戦士達の戦いを描いたゲームブック『クリスタル継承伝説』では、
「水」のクリスタルを得た少年が完全撃破叶わなかったカオス討伐の使命を託した次代の勇者がゲーム本編の光の戦士とされ、
コミカライズ版ではたまたまクリスタルを手にしたことでFF1の世界に迷い込んだエルフの村の宿屋の娘パフィ・トルテ、
そして『ワールドオブファイナルファンタジー』ではコーネリア王国の騎士が覚醒した姿とされたが、これらもあくまでそれぞれの作品内での設定。
『FF1』はそのシステムやモンスターなど、世界最初のRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の影響を強く受けており
PL=PCといった考えがあったのか、基本的には「クリスタルに導かれてコーネリアを訪れた若者」以上の設定は存在しない。
光の戦士とは、つまりあなた自身の事なのだ。*3

そのためデザインの出典こそ『FF1』ではあるものの、ウォーリア・オブ・ライトは実質的には『ディシディア』の半オリジナルキャラクターと言える。
しかしながら『ディシディア』の物語で彼がどんな人物であるかという事が描かれたのは、実は大きな意味を持っている。
戦いを終えたウォーリア・オブ・ライトは仲間達と別れた後、クリスタルを手に草原を歩き始める。
そして────……


そして… たんきゅうのたびは はじまった


MUGENにおけるウォーリア・オブ・ライト

E_Torrejon氏が製作したMUGEN1.0以降専用キャラが某所で公開されている。
スプライトはアプリゲーム『ブレイブエクスヴィアス』の物を使用している。
4ボタン方式で、しゃがみは不可というアクションゲームの様な操作性となっている。
技名は不明だが、Yボタンで上空から光線が降り注ぐ技は直撃で5割以上持っていくという凄まじい技となっている。
原作で該当するものはフレアーかホーリーだろうか?原作だと魔法のダメージはそんなに強くなかったんだが
AIは搭載されていない。


「光は 我らとともにある」

出場大会

  • 「[大会] [ウォーリア・オブ・ライト]」をタグに含むページは1つもありません。


*1
ちなみに、『FF14』の主人公も「光の戦士」という通称が存在するが、そちらはプレイヤーからは主に「ヒカセン」と略されている。
キンだとYouTuberになるので注意

*2
ただしGBA版以降では終盤に十二賢者が「災いが真に始まったのはほんの数日前に何者かが過去に飛んだ時」と語っているため、
ゲーム内での経過時間は光の戦士達がコーネリアにたどり着いて最初にガーランドと戦ってから、
クレセントレイクの町で十二賢者の話を聞くまでわずか数日らしい。そこまで宿屋の宿泊を数回で進めるのはたぶん無理
ただ同時に「光の戦士達は記憶を失っているが正しい時間軸から迷い込んだ」「正しく流れていた時間がこの時代で歪められた」事も語られており、
宿屋やテントやコテージの使用回数はノーカンとしてもコーネリア北の橋の建設や、世界中を徒歩で旅して回った事を鑑みて、
光の戦士達とこの世界の時間が、かなり歪つな、何らかの異常を来たした状態にある事は間違いないようだ。
パラレルワールドではあるものの、外伝『FFオリジン』では、これらの時間の異常がより明確に作品テーマとなっている。

+ 『FFオリジン』ネタバレ注意
黒水晶に導かれ、世界を襲うカオス討伐の使命を帯びてコーネリア王国にたどり着いた記憶喪失の若者ジャックは、
セーラ姫からカオス討伐に出立したまま戻ってこない、騎士ガーランドの捜索を依頼される。
しかしセーラ姫はガーランドの旅立ちを「10年前のようでも、昨日のようでもある」と曖昧にしか語れず、
さらにコーネリア王国にガーランドなる騎士はいないという事実も明らかになる。

冒険の末、ジャックは自らの本名がジャック・ガーランドである事を思い出す。
この世界は別次元へ転移した古代ルフェイン人による光と闇の均衡を保つための実験場として作り変えられており、
ジャックはその実験装置として、カオス討伐に赴いては記憶を消去され、何度もこの時間軸をループさせられていたのだ。
セーラ姫の語る騎士ガーランドこそは、過去のループのジャック自身だったのだ。

最終的にジャックはコーネリア王国をルフェイン人の支配から解き放ち、新たな時間軸を作ることに成功するが、
その代償として、彼自身が世界を脅かすカオスそのものへと変貌を遂げてしまう。
二千年前のカオス神殿に流れ着いたジャックは、真に世界を救う光を、自らの手で作り出す事を決意する。
だがカオスに成り果てたジャックの取った手段は、光を生み出すために世界のすべてを闇で塗り潰すというものだった。

やがてカオスの影響を受けた騎士団長ガーランドがセーラ姫を攫い、殺戮を繰り広げた末、カオス神殿へと辿り着く。
そして禍々しい鎧を身に纏って玉座の間に鎮座する彼の前に、クリスタルに導かれた光の戦士達が現れる────……。

*3
まぁ『ドラクエ1』の勇者も「勇者ロトの子孫」以上の設定は存在しなかったが
魔法陣グルグル』で「自称:勇者」なんて何人も居るとネタにされた
あくまでも「画面の向こうの勇者」と「プレイヤー」は別々として、そこには第四の壁が存在していた。
そこをネタバレ部分なども含めて「主人公=画面の前のあなた」という設定にしたのは、
黎明期のCRPGとしては画期的な、『FF』ならではのドラマチックなストーリーの一部だったと言えよう。


最終更新:2024年02月03日 17:04