Luc Bianco氏


Luc Bianco氏は、Terragenの長年のユーザーの中でも最もよく知られており、多くの作品を残しています。誕生当初のTerragenの作品画像の多くはLuc氏が手掛けたもので、今日でも印象的です。Luc氏は写真家としての目を持っており、それが彼の画像がフォトリアリズムに優れている理由でしょう。Luc氏は自分のストアでアセットやセットアップを販売しています!


こんにちは、Luc氏と言えばTerragenの代名詞とも言える存在で、実際に初期のTerragen画像のいくつかを作成しました。どのようにしてTerragenに出会ったのか、その経緯を教えてください。

Terragenが登場するずっと前から、私はたくさんの写真を撮っていましたが、1986年に Atari ST に搭載された「CAD 3D」のような初めて使ったコンシューマ向けソフトウェアをきっかけに、コンピューターでの3Dに興味を持ち始めました。シンプルなガラスを3Dで作成することに興奮しましたね!その後、80年代の終わりに Amiga に移行し、Real 3Dのようなレイトレーシングが可能なソフトウェアを使用しました。「Vista Pro」や「Scenery Animator」などの3Dランドスケープソフトウェアに初めて触れたのもこの頃です。しかし、当時のレンダリング品質は決して良いものではありませんでした。

その後、数年間は3Dグラフィックスを諦めてコンピュータミュージックに没頭していましたが、1994年頃に偶然、雑誌でEric Wenger氏の KPT Bryce に関する記事を見つけました。
同じ頃、典型的なフラクタルやPersistence of Vision(POV)ソフトウェアで作成された画像に興味を持ち、その頃から再び3Dのランドスケープの制作に取り組むようになりました。

いくつかの印象的な初期のTerragenV0.9画像


1998年に、私はMatt Fairclough氏と彼のソフトウェアについてメッセージを交換し始めました。誰が誰に連絡したかはよく覚えていませんが、私に彼のソフトウェアのテストを許可してくれた事は事実です。今でも私のディスクに残っているバージョンが0.4だったと思いますが、Windows 10で完全に動作しています。
私たちの間には信頼関係が築かれていて、当時はたくさんの画像を作成し、コミュニティも成長し、インターネット上で画像コンテストが開催されました。2004年頃、Matt氏は後にTerragen 2となるTGDの初期バージョンの1つを送ってくれました。

Terragen 2のインターフェースは、Terragen 0.9から一新され、ノード構成の手法の採用により現在のインターフェースに近いものになりました。この急激な変化に多くの人々が戸惑いました。まず私が最初に戸惑ったのは、簡単に使えるコンシューマ向けのソフトウェアから、立派な画像を作成するためにより多くの学習と時間を必要とするプロフェッショナル向けのツールになった事です。

新しく、何もないシーンから始める時、どこから始めますか、何をインスピレーションにしますか?

私は、インターネットで見つけた写真や訪れた場所を常に念頭に置いているので、何もないシーンから始める事は決してありません。私は地中海地域に住んでいますが、海から山まで、地質学的にも植物学的にも多くの自然の変化に遭遇する機会があります。それはインスピレーションを得るのに実に役立ちます。

Terragenのどの部分が一番印象的に残っていますか?

パストレースを使用したレンダリングの品質は非常に優れています。もちろん、このような品質で高速なレンダリングを行うには、高速なCPUが必要です。


あなたの雲は素晴らしいですね。構築するためにどのようにアプローチしますか?

ここでもまた、写真や低速度撮影動画で雲の構造をよく観察しています。ほかのアーティストと同じように積乱雲を作ることを目指していますが、パーティクルがなく、雲の形成や乱流のリアルなシミュレーションが出来ない現在のソフトウェアのアプローチでは、複雑になるためまだ結果に満足しておりません。

Terragenを他のプログラムと併用していますか?もしそうなら、どのように?

実はそれほどでもありませんが、岩のような自然物や、橋や壁のような風景の要素を自分で作れるように、Blenderのトレーニングを始めました。しかし、まだ初期の段階にあります。


今でも時々、「ワオッ!」と思う瞬間があるかを聞かせていただけますか?

もちろんあります。でも、他のアーティストが作成した画像、特に実写を連想させる画像からは、より多くの「ワオッ!」を感じます。適切な構成と多様な要素を備えた画像は、結果的に技術的な側面を忘れさせ、「本物」として見なされる可能性があります。

次は何をしたいですか?どんなものを見たいですか?

Terragenに期待したいのは、GPUによる演算サポートによる演算時間の短縮です。また、機能面では、一般的なフルイド(流体)やパーティクル(粒子)のシミュレーションシステムを追加して欲しいと思います。

いつ頃からTerragenのアセットを作り始めたのですか?また、ストアの経緯となった着想は何でしたか?

この着想は完全に私から出たものではなく、Terragenのユーザーから「どうやってこれを作ったのか?」というリクエストが何度もあり、私には必ずしも時間がなく、説明したいとも思わなかったので、アセットとして販売を始めたのです。正直なところ、私の経済的な助けにもなっています。と言うのも、私はインテル・モバイルの電気通信エンジニアとしての仕事を辞めた後、2014年にフリーランスの教師になったのですが、この「芸術的な」活動が経済的にも役立ち、私の専門的な活動にも少しだけ補完してくれているのです。
Luc氏が制作したシーンの一部は、彼の サイト で公開されています。


私にはアマチュアの顧客がたくさんいますが、ビデオゲームや広告、さらには映画の分野などのプロの方もいます。私自身がアマチュアであるのに、専門家の方が私の店に買いに来るのを見るのはとても興味深いです。


初期のTerragenの画像から、成長を続けるアセットストアまで、あなたが長年にわたってTerragenで活動されてきた事に感銘を受けました。Luc氏には時間を割いていただき、ありがとうございます。

Luc氏へのお問い合わせは、彼の ウェブサイト をご覧ください。


著者 : Crisb氏
最終更新:2021年07月18日 14:41