ゆっくりいじめ系2027 やさいさんの反逆

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書きたかった事 ・やさいさんはかってにはえてくる 作者 [[チェンマガツ>チェンマガツの作品集]] 夏も終盤に近づいていた。もう夜に鳴く虫が多くなってきた時期だ。 まるでその声に呼応したかのようにぞろぞろと集落の家々から人が出てくる。 その村の若者達は夜中に起きるのが日課になっていた。 昼間も農作業で汗を流して、ゆっくり達の侵入に注意し、肉体的にも精神的にも疲労しているにもかかわらずだ。 これはある意味で人間のゆっくりに対する反逆とみていい。 この作戦が成功する可能性は高いとは言えなかったがこれからのことを考えればと多くの者が参加している。 広場に集まった十数人は手に鍬や鎌を持ち散り散りに村の周囲の森へと入っていた。 「「ゆっくりしていってね!!」」 「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」 ここは木の下に掘られたまりさとれいむの巣の中だ。二種の子供がそれぞれ二匹ずつで計六匹の家族を成していた。 いつものように挨拶を交わし合って朝食のための狩りに両親は出かける。 すでに子ゆっくりにまで育った四匹の子供達は巣に置いていっても心配はないためれいむも一緒である。 「ゆゆっ!!」 「これはどうなってるんだぜ」 巣の中で両親を見送ったばかりの子ゆっくり達だったが、入り口の方からの両親の普通でない声が聞こえてぞろぞろと出てくる。 そして子供達が見た風景も昨日見た自宅前の状況ではなかった。 巣の前の鬱蒼とした草は刈り取られてきちんと一箇所に集められており、草が生えていた場所の土は大きいゆっくりが噛み砕いたようになっている。 「「くささんがいっぱいあるよ!!」」 「「むーしゃむーしゃしようよ!!」」 「そ、そうだね」 「みんなでゆっくりすにはこぶよ!!」 何故こうなったかは理解できないが、ゆっくり達は警戒することなくむしろ感謝した。 食べられる草だけでも軽く三日分はあったし、それ以外の草も巣に敷き詰めればとてもゆっくりできる寝床になるからだ。 そしてこの怪現象は他のゆっくりの巣の前にも発生していた。 森のゆっくり達は皆同様に感謝し、この現象の原因についてはこれっぽっちも考えなかった。 不可解な事件からあっという間に三日が過ぎた。 思わぬ収穫に喜んだゆっくり達もそれらを食い尽くせばまた狩りに出かけなければならない。 「ごはんをいっぱいとってくるからまってるんだぜ」 「ゆっくりまっててね」 「「「「ゆっくりしてるね!!」」」」 子供に罪は無いが出来れば狩りを変わって欲しいとまりさは思ったが我慢した。 少しでも楽な思いができるとすぐこうである。 渋々狩りに出かける両親を笑顔で見送る子供達。 そして巣を出たまりさ達はまたおかしな物を見つけた。 「くささんがゆっくりはえてきてるね!!」 「ゆゆっ、あれはやさいさんだぜ」 「まりさほんとうに!?」 このまりさには茸や野菜といった食べられる植物に関する知識があった。 草が刈り取られたところから出てきていた小さい双葉を見た瞬間に二匹は歓喜した。 「あれはとてもゆっくりできるやさいさんだぜ」 「やったねまりさ。さっそく……」 「まつんだぜれいむ、もうすこしおおきくなってからとったほうがゆっくりできるんだぜ」 「ゆぐっ……それならゆっくりがまんするよ」 このやさいさんが大きくなれば子供達と一緒にゆっくりすることができる、そう考えるだけでまりさは心躍った。 一方のれいむは恨めしそうにやさいさんをいつまでも視界に入れながら狩りに出かけた。 そのころ別の場所の、群れで住むゆっくり達の巣の前でも同じように新しく芽が数本生えてきていた。 その群れにいた指導者の立場にいるぱちゅりーもその芽が野菜であることを看破し、 群れのゆっくり達にすぐに食べてしまわずゆっくり見守ることをいいつけた。 はたまた別のゆっくりが住む巣の前では見えない壁と闘っているまりさとありすの番がいた。 「ゆっくりしてないでやさいさんはまりさにたべられるんだぜ!!」 「ありすにたべられるのにゆっくりしているやさいさんはつんでれね」 二匹は筒状に加工された透明の箱に守られているとも知らず野菜の芽に飛びついていた。 四方八方から野菜に近づこうとしていたがもちろん一歩たりとも箱の内部に侵入できない。 小一時間もすると諦めたのか二匹は野菜の元からは離れたが、明日こそはと虎視眈々と狙っていた。 実際の所森の中のゆっくりが見つけたすべての野菜にはこの透明な箱が被せられていたため、先の家族や群れも成長を待つために我慢をして眺める行為は無意味だった。 ぱちゅりーがいる群れではゆっくり達がやさいさんが生えてきた状況を再現すればもっとやさいさんが生えてくると思いこんでいた。 もちろんぱちゅりーの適当な放言ではあったが、みんな納得したように作業している。 群れのみんなで草を噛み取り、土を直接噛みついたり、石を使って掘り返していた。 するとどうだぱちゅりーの読み通りか三日後には同じように芽が出てきて巣の前にやさいさんが生えてきたのだ。 二度ある事は三度あるとばかりにその群れのゆっくり達は、辺り構わずやさいさんが生えるように土を掘り返す。そしてまた三日後にやさいさんの芽が出てきた。 しばらくすると巣の近くの広場が人間の畑のようになってしまった。 「むきゅ、これだけやさいさんがあればみんなでゆっくりできるわ」 ぱちゅりーはとてもゆっくりしたにこやかな表情でやさいさんの成長を待つ事にした。 まりさとれいむとその家族も毎日やさいさんの成長を見守った。 子ゆっくり達を連れて狩りに出かけたときに別の場所でもやさいさんを見つける事ができた。 巣の周りを探索するだけで同じように沢山の順調に育っているやさいさんを発見できて家族はとても喜んだ。 ゆっくりと大きくなっていくやさいさん。 それ以上に早く子供達は大きくなり、やがて巣立ちをした。もちろん近くの別のやさいさんの側に巣を設けるつもりだ。 やさいさんと比べてゆっくりできてない自分達の子供にまりさはすこし憤りを覚える。 もっとゆっくりしていれば家族で一緒にやさいさんを食べる事ができたのにと。 秋も深くなり冬籠もりの準備も真っ盛りになってきてもまだやさいさんはゆっくりしている。 まりさとれいむの番は世話をする子供もいなくなり毎日やさいさんを見つめる日々だ。 「やさいさんはとてもゆっくりしているね!!」 「でもすこしゆっくりしすぎてるよ……」 一方親元を離れた子ゆっくり達は我慢できずやさいさんに飛びつこうとするがここでもやはり透明な箱に邪魔されていた。 それでもゆっくりできそうなやさいさんを見ているだけで子ゆっくりは十分満たされていた。 しかし現実は非常である。 武士は食わねど高楊枝とはいかないのだ。やさいさんを見ているだけでは腹が膨らむ訳ではない。 冬を迎えるまでに飢えて死んでいくゆっくり達、冬の準備をおろそかにして越冬に失敗するゆっくり達が例年以上に多発した。 どれもこれも巣の前のゆっくりしすぎたやさいさんに傾倒しすぎたのが原因だった。 いつかやさいさんを食べられるのを夢見て死んでいけたのはまだ幸せかも知れない。 それほどにまでゆっくりにはやさいさんは魅惑的なのだ。 まりさとれいむから巣立ちしたばかりの子ゆっくり達もその類に漏れず見事に餓死した。 二月末、春。無事冬を越せ、巣から出てきたゆっくり達のほとんどは命からがらといった状態である。 それらのゆっくり達の目に久しぶりに入ってきたのはすっかり忘れていたやさいさんだった。 「ゆゆっ、れいむううう!! やさいさんがとてもゆっくりしているよおおおお」 「よかったああああ、これでまたゆっくりできるよおおおお」 まりさとれいむの番は涙を流しながら喜び合う。 子供達が巣立って少し広くなった巣に寂しさと共に籠もっていた二匹は、春の訪れよりも無事越冬できたことよりもこのやさいさんの存在が嬉しかった。 一目散にやさいさんに這いずり寄った二匹であったが、依然としてやさいさんは透明な箱で守られていた。 「「どぼじでええええええ」」 冬眠に入る前よりも随分と大きく成長していたやさいさんには二匹は触る事さえ許されず、別の意味でまた涙を流すのだ。 このようにゆっくり達の住む森では大きくなったやさいさんで溢れていたが、一匹たりともそれを食べられないというお預けをくらっていた。 ゆっくり達はやさいさんへの思いを強くし、数時間に一度、ひどいものは数分に一度見えない壁が無くなっていないか確認するものが現れた。 それと同時に無事越冬したにもかかわらず衰弱死をするものが後を絶たなかった。 そのおかげかこの年は春先に溢れる虫や花はこれまでにないほどゆっくりできていた。 森が新緑に包まれる頃、多くのゆっくりはやさいさんを食べるのを諦め始めた。 むしろ諦めたゆっくりが無事生き残っていたといっても過言でない。 「れいむ、ゆっくりしていってね!!」 「まりさ、きょうもゆっくりしていってね!!」 冬眠開けのショックからようやく解放されたまりさとれいむもまだ諦めきれず日課となった透明な壁の確認をする。 「かべさんゆっくりきえてね゛っ!! れいむ!! かべさんがなくなってるよ!!」 「ゆゆゆゆっ!! ようやぐおやざいざんをだべられるね゛っ!!」 そこに昨日まで確かにあったやさいさんを囲んでいた透明な壁がなかった。 まりさとれいむは涙と涎を流しながらゆっくりとやさいさんに近づく。 そして二匹はようやくやさいさんと接触することができた。 ああ、この体中から溢れてくる感動をどう表現すればいいのだろうか。 やはりこうだろう、二匹は顔を見合わせながら高らかと叫んだ。 「「ゆっくりしていってね!!」」 同時間、ぱちゅりーが率いている群れでも一斉にやさいさんの収穫が行われた。 群れのみんな総出でもはや畑と化した森の広場から巣の中へと我先にと運んでいく。 やさいさんは群れ全員に行き渡るほど生えてきていたようだった。 ぱちゅりーはすぐにそれらを食べてしまう事はせずにさらにやさいさんが生える場所を増やす指令を群れ全員に伝える。 そしてあっという間にその群れの集落周辺は雑草が取り除かれ、土は掘り返された。 こうすれば数日中にまたやさいさんが生えてくるのだ。それも今回収穫できた以上に。 もはやぱちゅりーも群れのゆっくり達も笑いが止まらなかった。 その晩、群れの巣の中はとてつもない興奮に包まれていた。 これまで見たことのないほどゆっくりできたやさいさんだ。 あるやさいさんはどこか自分達と形の似ているところからもゆっくりできていると思われた。 また一つの実が食べやすいようにバラバラになったやさいさんは家族で食べるには丁度で、やさいさんがお食べなさいと言っている気がした。 そしてその日一瞬の内に巣の中は、群れは、いや森中がゆっくりの悲鳴に包まれた。 収穫した丸々としたやさいさんを巣の中ではゆっくりの家族が周りを取り囲み、皆で同時にかぶりついていた。 みずみずしくシャキっとした食感のあとに襲ってきたのは強烈な目の痛みだった。 森に生えてきたやさいさん、その名もタマネギ。 鋭い刃物で切ってしまえばそれほどでもないが、ゆっくり達がかじるようにその実を雑に傷つけると刺激物質が非常に発生するのだ。 「「「ゆぎゃあああああああああ!!」」」 「でいぶのおべべがい゛だい゛ぃぃぃぃぃ」 「おかーしゃん、いちゃいよー」 「ゆげぇぇぇぇ」 「もうおべべいらない!! いらないがらゆるじでええええ!!」 「ゆがあああああ、がらい゛いいいいいい」 「みゃみゃのおくちくしゃいよ!!」 「どぼじでぞんなごどいうのおおおおおお!!」 「おろろろろろろろろ」 「むぎゅぅぅぅ」 はたまた別の巣ではニンニクと呼ばれるやさいさんが猛威を振るっていた。 味は辛く、それ以上に匂いが強烈ですぐに巣の中はニンニク臭に覆われた。 指導者パチュリーはその匂いにより卒倒し、大量の餡子を吐いてすぐにしぼんでしまった。 まりさとれいむの番もどこからともなく襲ってきた痛みと否応なしに溢れてくる涙と闘っていた。 「めがあああああ、めがあああああ」 「ゆっぐぎでぎない゛い゛い゛い゛い゛い゛」 囓りかけのタマネギの周りで二匹はゴロゴロと転がる。 そして多くのゆっくりと同じように巣の中にあるでこぼこで目を傷つけていく。 「「ゆぎゃああああああああ」」 タマネギを食べたもののほとんどが痛みから逃れるために自身の眼を惜しげもなく潰した。 激しい痛みから逃れるためとはいえ早計な判断である。 またニンニクを食べたものはあまりの匂いに巣を失い、新天地でもその体臭からゆっくりできる場所を確保できずに流れのゆっくりとなった。 「やっぱりあのやさいさんはゆっくりできないやつだったんだぜ」 「さすがとかいはのまりさはわかっていたのね!!」 「ばかなゆっくりたちはゆっくりしんでいくといいぜ」 巣の前に野菜の芽が出てきたときに真っ先に飛びついていたまりさとありすの番がせせら笑いながら会話をしている。 二匹を近づかせてくれないやさいさんはゆっくりできないやさいさんと決めつけたのは秋頃で、それ以来森のやさいさんを無視して生活をした。 突然やさいさんを収穫できるようになっても他のゆっくりの動向を観察するほど警戒していた。 そのおかげでこの惨状を免れることができたのだ。 そして危険なやさいさんに見事に引っかかったゆっくり達を見下しながら、楽々と巣に蓄えてあったご飯を奪っていく。 自分達が一番ゆっくりできていることにとても優越感を覚えていたが同時に腹立たしいこともあった。 それは「ゆっくりできるやさいさんをにんげんがひとりじめしている」ことだ。 「そういうことだったのね」 ありすはその様子を思い浮かべて歯ぎしりするように悔しがる。 「とかいはなやさいさんはありすたちにこそたべられるべきだわ」 「まりさはいまからゆっくりできるやさいさんのところにいくぜ」 「ゆゆっ、だいじょうぶかしら……」 「まりさにかかればにんげんなんていちころだぜ」 「さすがまりさだわぁあああ。ありすもいっしょにいくわよ!!」 「にんげんはまりさにまかせるんだぜ、ありす」 今二匹は人間をこてんぱんに倒し、独り占めしているやさいさんを自分達の物にする妄想に浸っていた。 ゆっくりできていない人間を倒すのはもはや天命である。 そしてゆっくりできるやさいさんを思うがまま食べる事を想像するだけで口が緩んだ。 気持ち悪い表情を浮かべた二匹はゆっくりらしからぬ速さで跳ねて人間の畑へと向かった。 森の中の状況に反比例するように人間の集落ではじつに穏やかな空気が流れている。 それもそうだ、去年の秋口からゆっくりの畑への襲撃はぱったり止み、ゆっくりが現れる以前の収穫量が見込めそうだったからだ。 ゆっくりが目に入らないだけでこれほどにまでストレスが溜まらないものかと、村人はゆっくり掃討作戦の予想以上の効果に喜んだ。 「ゆっ、ゆっ、ありす、ようやくみえたぜ!!」 「やっぱりひとりじめしてたのね!! ゆるせないわ!!」 息も切れ切れな二匹は人間の畑をみて改めて怒り心頭に発した。 やはり人間はゆっくりしているやさいさんをあんなにも独り占めしていた。 森に生えてきたやさいさんとは違うやさいさんだ。あれこそが本当にゆっくりできるやさいさんに違いない。 「あそこをまりさたちのゆっくりぷれいすにするぜ。やさいさんをまりさたちがたべてあげるんだぜ」 「もうまてないわぁあああ。ゆっくりはやくいきましょまりさ!!」 どう見ても畑の真ん中には人間がいるのだが、二匹はそんなことは知らぬ存ぜぬでやさいさんを食べるために急いだ。 「やったぜありす、ここでゆっくりしていくぜ」 「げ、ゆっくりが来やがった……」 まさかゆっくりがこうも堂々と現れるとは人間側は予想してなかった。 この集落では久しぶりの人間とゆっくりの邂逅である。 畑の手入れをしていた男はゆっくりが畑の内部に入り込まないよう目の前に立ちふさがった。 「おい、お前らここで何するつもりだ」 「にんげんはさっさとどくんだぜ。まりさはそこのやさいさんをたべるんだぜ」 「ゆっくりできるやさいさんをひとりじめするなんてひどいわ」 「はあ? 何言ってるんだ。今なら許してやるから森に帰れ、な?」 男は手に鍬を持っていつでも叩き潰せる準備をしながらも見逃すと提案をしてやった。 だが、まりさはもちろんそんなことを聞き入れるつもりはない。 いざとなれば人間なぞ倒してやると思っているくらいだ。 「けがをしたくなかったらにげたほうがいいぜ」 「その言葉をそのまま返してやるよ」 「まりさがまけるわけないでしょぉぉぉ」 「野菜なら森にも生えてるだろが」 普段なら言う事のない台詞を男は吐く。事実この二匹もやさいさんはかってにはえてくるものと確信している。 元からそうだが、畑の野菜は人間が育てたものと説明するのはもはや無駄な行為なのだ。 するとトンデモ理論が飛び出してくる。 「ちがうよ!! ゆっくりできるやさいさんをじじいがひとりじめしてるからたべにきたんでしょ!?」 今度は人間がゆっくりできるやさいさんを独占しているときたのだ。 「お前ら本当にそう思ってるのか」それに対し男は疑問を投げかけると見事に二匹は釣られた。 「ゆゆっ、どういうことなの? もりにはえたやさいさんはゆっくりできなくて、ここのやさいさんはゆっくりできるんでしょ?」 「ははあ、なるほどねぇ。なら試してみるか?」 「さっさとまりさにやさいさんをちょうだいね!!」 「ありすもほしいわ!!」 「少し待ってろ」 男は二匹を制して畑の野菜を二種類もぎ取る。 「おい、お前らどっちの野菜がゆっくりできそうだ」 「ゆゆっ、それはこっちのおおきいほうにきまってるんだぜ!!」 男が手に持っていたのはどちらも緑のイボイボして長い野菜だった。 しかし片方は細く、もう片方は太くてゆっくりできてそうだった。 「そうかそれならそっちをやるよ」男は二匹の目の前に太い方を投げ出し、もう片方を食べてしまった。 「ゆゆっ、さきにありすがたべていいぜ」 「やさいさんをゆずってくれるなんてまりさはすてきねぇぇえええ」 そう言ってありすは思いっきり太い方のやさいさんにかぶりついた。 「ゆぎゃあああああああ!! にがいぃぃぃいいいいいい!!」 「やっぱりだましたんだぜ!! じじいはしね!!」 「なんだよ、苦いからうまいんだろうがゴーヤは……」 男が食べた野菜はキュウリだった。もちろん生でそのまま食べられる。 一方のまりさが選択してありすに食べさせた野菜はゴーヤだった。その苦みを受け付けるはずもなくありすはのたうち回った。 「ゆっくりできるやさいさんをさっさとだすんだぜ」 「まったくしょうがねぇなあ。ちょっと待ってろ」 そして男はまた二種類の野菜を持ってきた。 「どっちがいい?」 今度はだまされないぜとばかりにまりさは二つを凝視する。 しかし見たところ野菜の色しか違いはない。緑色と赤色のやさいさん。 悩んだ末にまりさは決断した。赤い実は森の中で食べた事がある。 どれもこれも甘くて美味しいものばかりだった。 「そっちのあかいやさいさんはあまあまだぜ、ありすはやくたべるんだぜ」 「ばでぃざ、ありがどおおおおおお」 「じゃあこっちは俺が食べる」 男が口に放り込んでよく味わった野菜はシシトウだ。あまり生で食べるものではないが苦さの向こう側にある甘さは癖になる。 そしてありすが食べた野菜はシシトウによく似た形の赤い野菜である。 「ゆぎゃあああああああああ!! ごんどはがらいぃぃぃいいい!!」 「まただましたんだぜ!! じじいはしね!!」 「ありすに毒味させたからお前もひどいだろ」 「ほんとなのまりざあああああ、う゛おえれえれえれえれ」 「ばかなありすにおにあいだぜ」 あまりの唐辛子の辛さにカスタードを嘔吐するありすに向かってとどめの言葉を突き刺すまりさ。 まりさとありすは番だったようだが、それはあくまでもありすの独りよがりの思い込みだったのだ。 ありすはといえばようやくまりさに上手く使われたことを理解し、その失意とともに息絶えた。 「おい、じじい。さっきじじいがたべたみどりのほうをもってくるんだぜ」 「はいはい」 男は畑に向かい緑の野菜をもぎ取る。先程まりさが見た物と一緒の緑の野菜だ。 「ほれ、さっさと食って帰れ」 「ゆへへ、ほかのやさいもたべていくぜ」 男が美味しそうに食べていたのも見ていたので安心して口に入れた。 ところが、あくまで見た目が一緒なだけだ。 「う゛がああああああああ、がらい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛」 「ははは、お前も馬鹿だなー。それは青唐辛子だよ」 男は余分に持ってきていた赤唐辛子と青唐辛子を細かくちぎってまりさの口にむりやり詰め込む。 そのままがっちりとまりさを掴んで口の周りををまりさの涙で溶かす。 血走った眼を見開いて激しく抵抗するまりさの口はしだいに境界線を失い塞がっていく。 さらにそのままの体勢で太陽光に当ててやれば乾燥してまりさの口は完全に癒着した。 「なんだもっと味わえよ。なんなら俺が手伝ってやるよ」 男は顔を横に振りながら無言で涙を流すまりさを上下から挟み込んで唐辛子をどんどん噛ませてやる。 そのたびにまりさからはくぐもった声と涙が止めどなくあふれ出てきた。 餡子を吐いてしまうこともできないまりさはゆっくりと消化されるまで辛さに苦しめられた。 人間がいない畑でも森に近い側には辛味大根を植えて対処した。 秋になればその辛味大根がゆっくりの巣の前にまたもや勝手に生えてきてゆっくり達を苦しめた。 ほどなくしてこの集落周辺のゆっくりにはかってにはえてくるやさいさんはゆっくりできないものという認識が広まった。 未だにそこらの巣に残るニンニク臭からここらに新たにくるゆっくりも少なく、ゆっくり農被害はがくっと減少することとなった。 それからも数年おきにゆっくりの巣の前にニンニクを置いてやるだけで被害を抑える事ができたそうな。 あとがき やさいさんはかってにはえてくるって言ったから生やしてやったよ。 タマネギとかニンニクとかその他もろもろこんな育て方はしないけどゆっくり目を瞑ってね。 文中にでてきた野菜さんは少し強化してます。辛さとか匂いとか生命力とか季節感とか。 当初はかってにはえてきたやさいさんはあぶないで話が終わって小ネタにしようかと思ってたけど、 ゆっくりできるやさいさんをにんげんがひとりじめしてるってまりさが言うものだから話が長くなっちゃった。 文中のやさいさんが読みにくくてしょうがないのはデフォルトです(´・ω・)

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