ゆっくりいじめ系1833 SSC part.5

『SSC part.5』 presented by 春巻

※注意
  • このお話の《おにいさん》は、香霖堂の店主、河城にとり、さらにはAQNと仲が好い。というように、幻想郷メンバーに知り合いはそれなりに居る設定。
  • 今回の話には、幻想郷キャラは出演しない。
  • 冒頭で登場するゆっくりは《直接的で》肉体的な虐待は受けない……けど。
  • ハイテクな製品が登場しますが、舞台は幻想郷である。
  • おにいさんがハイテク機器を巧みに操れるのは、にとりちゃんの指導もあるが、おにいさん本人が幻想郷に来る以前はシステムエンジニアをしていたから――とでもしておくと、幾らかマシになる。
  • 過度な改行はしていない。読みにくければ各自メモ帳などにコピペするなど、折り返し機能のあるテキスト閲覧ソフトを使ったりして自分で見やすくして欲しい。というか、メモ帳にコピペしたほうが見やすい、これ絶対。
  • 『part.3』『part.4』が無いのは、それらが単に未完成(正直に言うと、『お蔵入り』かも)だから。
※以上、注意


0

「ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛」
「ゆげえぇぇぇ……」
「わがらだ、いよおぉ」
「ゆびぇえええええええ!! ゆびゃいああいああああ!!」

1

 元気なゆっくりの声で、清々しい目覚めだ。
 ――元気そうではない? 
 よく見てください。約一個の饅頭は元気ではないですか。……錯乱状態だが。
 しかし、そうなるのも無理はない。
 今までかなりの長時間、所謂《ゆっくりできない》ビデオを真っ暗闇の中に煌々と光る大画面液晶で見せられたのだ。気を狂わせてしまっても仕方がないのだ。
 だが、仕方がないと一蹴してしまえる問題ではない。正気になってくれないと困るし、意味がない。何せ、この饅頭たちには、もう戻ってこられないところまで精神的苦痛を与え続けるのだ。
 前回使った『ライトリセット』(一旦消灯して再度点灯すると、饅頭の記憶もリセットする)を実行し、さらに今回は真っ暗闇にしている間に濃縮還元 100%オレンジジュースを1000倍に薄め、砂糖を目一杯に添加した、如何にも人間の身体には良くない液体をぶちまけた。一個一個、個別にぶちこむだけの労力は勿体ない。
「ゆう?」
「なんだかあたまがすっきりしてるね!!!」
「そうだね!!」
「ゆ、ここはひろいおへやだぜ!! いますぐここはまりささまのゆっくりぷれいすになるんだぜ!!!」
 それに、身体に掛けるだけで、このように体調面まで元通りになるのだ。手間をかける必要は全く無いのだ。
 しかし、一言こいつらに突っ込んでおく。
 ――『あたまがすっきり』しているのは、記憶が吹っ飛んだからだよ。たぶんね。

2

 さて、今回はさっさと本題に入ろうと思う。――長すぎたり、余計な講釈を入れると間延びしてしまうので、珍しく『巻き』で行きたい。怒るのが誰なのかは、解かるだろ?
 華々しくも今回のビデオの被写体に選ばれてくれたのは、ゆっくりまりさが2個だ。
 サイズとしては、所謂《おとな》になるまであと一歩くらいだ。番いではなく、一緒に狩りに出ていたご近所さんというような間柄であるが、実の姉妹なのではないかと疑いたくなるほどに、全く同じサイズと重量をしている。
 しかしながら、いつものことながら、森に仕掛けた罠に軽くひっかかる程度の哀しい餡子脳だった。《だった》というのは、勿論そのゆっくりたちが、既にこの世からの旅立ちを果たしているからだ。
 前回の撮影では、然程SSCを有効活用しているとは言えず、個人的にも不完全燃焼なところがあったので、今回は、SSCで撮影することに意義があるようなシーンを撮影した。俺はそう思っている。
 上映部屋では、すっかりいつもの餡子脳イズムを取り戻した饅頭どもが、ご飯を寄越せ、美ゆっくりを寄越せ、と喚き散らしている。
 誰も、自らの身体を括り付けている縄を外せと叫ばないあたりが、餡子脳の哀しい習性なのだろうか。
 さあ。ゆっくりたちを飽きさせないためにも、長くならないうちに。
 まずは、いつものように通常速度での撮影から。
 VTR、スタート。

3

「ゆー、ゆゆゆゆゆゆゆー。ゆっくりのひ〜」
 現れたのは、顔だけ出したまりさ。顔だけしか構造が無いという指摘は、今は受け入れない。
 しかし、画面に映し出されているのは、紛れもなくまりさの顔だけ。自慢の帽子の姿も見えず、美脚(あくまでも自称)も拝見できない状態だ。
 というのも、現在まりさは灰色の筒の中にすっぽりと身体を埋めており、顔だけがちょうど外に出ている格好だ。外の世界では最近引退したという、《0系新幹線》の鼻の部分が丁度まりさの顔に入れ替わった具合だ。
 どうやらまりさとしてはかなりゆっくりしているらしく、のんきに《おうた》とやらを歌っている――というか、がなっている。耳障りなことこの上無いのだが、これがまりさの辞世の句になるのだと考え、平常心を保つことにした。
「ゆゆゆゆー……! ゆうぅ、ここはまりさのゆっくりぷれいすだよー!!」
 周囲には草原が広がるばかり。まさに大自然の中、大声で《おうた》を歌っていたのだ。これはゆっくりでなくても、まさに人間でも人外でも誰もが一様にゆっくりできるだろう。そこでの《ゆっくりぷれいす宣言》は、史上最高のゆっくりであろう。
 こんな素晴らしいことをゆっくりに享受させていいのか?
 虐待お兄さんなら、間違いなく、大声で叫ぶだろう。
 ――「許すまじ!!」と。
「ゆゆー……、ゆ?」
 まりさの《おうた(2曲目)》が止まった。なにやら自分の背中を気にしているらしく、頻りに振り向こうとしている。
 だが、それは出来るはずがない。筒の中にほぼ全身を埋め込まれているのだ。足も動かないらしく、動こうにも震えることしら出来ない。
「ゆゆ!? まりさ、うごけないよ!! どーじでっ!? なんで!!?」
 事の起り、どうして自分が筒の中に居るのか考えないのが、哀しき餡子脳だ。
 先にも言ったように、このまりさ(総勢2体なので、その片割れだが)は俺の友人であるお兄さんの罠に引っ掛かって気絶した。
 罠というのは実に単純なもので、底に剣山を敷き詰めた落とし穴の上に林檎を4個ほど吊るしておいたものだった。仮にも野生動物の端くれであり、しかも狩りに出ていたという奴らが、こんなものに引っ掛かっていて大丈夫なのか、とゆっくり愛護派でもないのに心配してしまいそうになる。しかしこうやって容易く捕まってくれないと俺の商売に影響するので、やはりこれが一番都合のよいことなのだ。
 ちなみに、このまりさの額には小型ワイヤレスマイクを仕掛けている。もちろん気絶している最中に取り付けたものである。
「ばりざあああああ、あやぐだずげでえええええええええ!! ごごがらだじでええええええええ!!」
 先ほどまでゆっくりぷれいすと詠っていたのが、この変わり様だ。
 だが、今までがゆっくりしすぎだったのだ。
 身体を動かせない、後ろでは何かが起きているのにそれを見ることが出来ない。
 それで、ゆっくりできるはずがないのだ。
「ゆああああああああああああああああああああああああ、はやぐうううううううううううううううううううううううう!!!??? ゆぎゃっ!!!???」
 画面から、急にまりさの姿が消える。
 と同時に、別の視点から撮った映像に切り替わる。
 まりさは無事に筒から脱出し、広い草原と大きな青空の中へと飛び出した。
「ゆ……!? ゆう!! ゆううわあああ、まりさ、おそらをとんでいるみたいだよ!!」
 ――事実、飛んでますよ。
「まりさだ!!」
 よく見えましたね、まりささん。
 まりさの前方から、片割れのまりさが向かってきている。あちらのまりさも笑顔を見せた。お空を飛んでいるのだ、さぞかし気持ちがいいだろう。
 しかし、間もなくして、まりさの表情が一転する。
「ゆっ! まりさ、よけてね!! はやくよけてね!! さっさとよけてね!! まりさはまりさのいうことがわからないのばかなのしぬのそんなこともわがらだいばがだまりざはさっさぢんぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
「ゆぎゃああああああああああああああああああああああ!!!!!」

 餡転。
 ――もとい、暗転。
 一時終幕。

4

「ゆあああああああああああああああああああああああああああああ、ばりざだぢがああああああああああああああああああ!!!」
「どぼぢでごんだごどぢだどおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「わがらないよおおおおおおおおおおおお、ぼうやべでよおおおおおおおおお!!!!!」
「ぶ、ぶびぶゅべれえええええ……。ごんなの、ぜんぜんどがいはじゃだいわよぉ……」
「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ……」
「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ……」
「はやぐやべるのぜえええええええええええええ!!! ばりざだぢをがえずんだぜええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」
 はい。
 例に違わずに、精神崩壊の一歩手前にまで追い詰められた、上映室のゆっくりたちです。
 現在、どんなゆっくりがシートに縛り付けられこの映像を見せられているのか言っていなかったと思うので、ここでお伝えする。
 れいむ2個、まりさ3個(その内、だぜ口調が1個)、ちぇん1個、さらにありす1個だ。
 自分と同じ種類のゆっくりが、ものの見事に炸裂、空中分解する様を見せつけられ、喉を断ち切らんばかりに絶叫するまりさ。《だぜ口調》も少し崩壊し、周囲を気にすることなく(ゆっくりは総じて傍若無人だが)叫ぶ様は滑稽の極み。
 れいむは最早《ゆ》以外の音が出てこない。失語症に罹ったように、痙攣しながらアイデンティティーの《ゆ》を呟くばかりだ。
 ちぇんも、当然ながら、どうして2個のまりさが爆発したのか理解不能のご様子。
 ありすは、頻りに映像の内容が非都会的だと訴えているが、その何の汁だか解からない液体で顔面をドロドロにしているありす自身が非都会的であることには、当然だが気付いていない。

 今回は第1弾の『にぎりつぶされいむ』を超越するような《噴餡》が記録された。
 タイトルを付けるならば『正面衝突まりさ』だ。
 大砲の弾丸になった2個のまりさが空中で正面衝突するという、何と1行でケリが着く簡単なものだ。
 しかし、これを成功させるまでにはかなり苦労した。
 第一の難関は、衝突するポイントを、SSCのピント位置に寸分の狂いも無く合わせねばならなかったことだ。そうしなければ、いったい何を映したかったのか解からない謎の映像が完成してしまう。事実、ゆっくりの断末魔しか収録されなかったNGが2本ある。
 第二の難関は、全く同じ大きさ、重さで、同じ種類のゆっくりが少なくとも2個必要だったことだ。そうでなければ、衝突する場所の予測が簡単な計算式では正確に立てられないし、何より衝突後に片方だけが潰れたり、片方に流れてしまう。
 激突により相対速度を零にしなければ、成功ではないのだ。
 多大な苦労をかけてしまった盟友にとりちゃんに感謝しながら、それではSSCの映像を流したい。
 その前に、痙攣しているゆっくりどもにオレンジジュースをかけて復活させないと。

5

 画面は、2個のまりさが、それはそれは《珍奇かつ愉快かつ傑作》な表情をしながら、残り50センチの所まで接近しているところで止まっている。
 目からは涙。
 口からは涎。
 鼻が無いので、鼻水が出ていないのが残念だが、それはトゥリヴィアル。
(ばりざああああああ、あやぐぢげでえええええええええ)
(ゆっぐりじぢゃだべええええええええええええ)
 最近になって拵えた観客監視室に入ると、防音用の分厚いガラスをもビリビリと振動させるような観客の叫びが聞こえる。
 ――その映像の中のゆっくりは、君たちよりもずっとずっとゆっくりしているのにね。永遠のゆっくりを享受しているのにね。
 思わず笑いが込み上げてきた。
 画面は、先ず普通のカメラで捉えた映像。
 顔面同士がくっ付いた瞬間。正にその瞬間、双方の背中から夥しい餡子が噴出。
 しかし、そこまでしか捉えられていない。
 次に映ったのは、草原に佇む餡子まみれになった皮が《ひとつ》。
 本当はふたつあるのだろうが、違いが解からない。
(えれれれえれれれれれれれええれれれれ)
(ゆ、ゆ、ゆ、ゆげええええええええええ)
 ま、人間で同じことをやったら、俺も吐くだろう。
 其れほどまでの映像だ。
 ――普通のカメラで撮ったものでさえ。

 さて、それではSSCに登場して頂こう。
 画面は先程と同じ、残り50センチの所から。
(ばだででぎだああああああああああああああ)
(ぼおやべでよおおおおおおおおおおおおおお)
(どぼじで、どぼじでええ、どおおぼおおぢいいでええええええええええ)
 共に近づく、ふたつのまりさ。
 これが久方ぶりの再会を喜ぶ場面なら、さぞかし感動的なのだろう。
 だが、空中に浮いていながら、まりさたちがもぞもぞと《足》を動かす様子は、本当に気味が悪い。底面を波立たせ、何とか正面から猛然と近づいてきている《ばかなまりさ》を避けようとしているのだろうが、糠に釘を打つ以上に意味がない。
 その内に人間で言えば、鼻同士が接触。
 次いで、頬、額、顎が接触。
 徐々に平べったくなる。
 横顔同士が接触しそうになるころには、もはや潰れた大福。
 しかし、完全なる接触の瞬間は訪れなかった。
 皮が圧力に耐え切れず、横顔あたりから一気に餡子を噴射。
 双方が薄っぺらのぺらっぺらになるまで餡子の噴出は継続。
 すべてを絞りつくしたと同時に落下を始める。
 最後に残ったのは、同化した皮。
(いぎゃああああああああああああああああああああ)
(わがらないよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお)
(ぼおやべるのぜ、ばりざはぼういやだどぜ。……うばあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ)

 そして、SSCのスロー再生。
 3度目となる、残り50センチ。
(ゆああああああああああああああああああああああああああああああ)
(どがいはああああああ、どがいはあああああじゃあだいあわあああああ)
(わがらだぐでぼいいでずううう、らんぢゃばああああああああああああああ)
(ゆ、ゆ、ゆ、ゆ……)
(ゆ、ゆ、ゆ、ゆ……)
(……………………)
(さんのぜ……、あみらーぜ……、からっかぜ……、りぱーぜ……、ちあのーぜ……、のいろーぜ……、ふぉすふぉりなーぜ……、めたもるふぉーぜ……、むらたきよかぜ……、ぜぜぜぜぜぜぜぜぜぜぜぜぜぜぜぜぜ)
 だぜまりさが本格的に精神崩壊しているが、放置。


 ゆっくり近付く、まりさ。
 どんどん近付く、まりさ。
 はやくよけて、と言っているのに。
 どうして言うこと聞かないの。

 はやくよけてよ、まりさ。
 ばかなのしぬの、まりさ。
 何度も何度も叫んでいるのに。
 避けてくれないまりさは、死ね。

 ああ、結局避けられない。
 まりさの顔は、もう目の前に。
 嫌だとどれだけ思っても。
 お鼻がくっつき、避けられない。

 ほっぺたがくっつく。
 くちびるがくっつく。
 ふぁーすとちゅっちゅも、ふぁーすとすりすりも。
 想いゆっくりとは達成できない。
 もう、まりさとは遊ばない。
 もう、まりさとはゆっくりしない。

 おかしいな。
 顔全体がくっついた。
 息ができない。
 痛い。
 苦しい。

 おかしいな。
 お顔の横が、すごく痛い。
 痛い。
 痛い痛い。
 ちぎれちゃう。
 破けちゃう。
 餡子出ちゃう。
 餡子が、出ちゃう。
 餡子が出ちゃうと――。

 ――死んじゃう。


 いやだ。
 いやだ。
 まりさは死にたくない。
 まりさだけ、あっちのまりさだけ。

 ――あっちのまりさだけ。



 ――噴射。
 ――噴射。
 ――噴射。
 ――噴射。



 ――べしゃ。




 ――静寂。





(ゆ、ゆ、ゆ……。ゆううううっわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!)



To be continued...?








※あとがき
 諸々の物理法則、まりさの帽子、まりさの視力については、あまり考えない方がいいです。

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最終更新:2008年12月29日 22:34
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