(一匹目 虫歯)
「次の方どうぞ~。どうなさいましたか?」

「いやー。どうも虫歯になってしまった様で、一昨日から随分痛がっとるんですわ。
 体が餡子でできてる癖に虫歯になるなんて・・・痛がってるのを見るのも一興と思って放って置きましたが、
 流石に一日中ゆぅゆぅ泣かれるとねぇ・・・五月蝿くてかなわんのですよ。先生、何とかなりませんか?」

「ゆー、ゆー、いたいよー・・・」

「解りました。お任せ下さい。では、治療が終わるまで待合室でお待ち下さい。」


「さて・・・どうしたもんかねぇ・・・」

「どうしたもんかねぇ・・・って、先生、今『お任せ下さい』って言ったじゃないですか。」

「ん?まあそう言ったけどさぁ、ゆっくりの虫歯なんて初めて見たよ。どうすんのよ、これ。」

「どうすんのよって・・・あんた医者でしょうが。」

「医者って言ったって・・・ただオレンジジュースぶっ掛けたり、インチキ治療して治療費取ってる
 なんちゃってドクターだぜ、俺は。別に専門の学校で勉強したわけでもねーし。
 まったく皆何を期待してんだか。いい加減気付けよなー。」

「・・・」

「だいたいよー、ゆっくりなんてその辺にいくらでもいるんだから。
 具合が悪くなったら取っ替えたらいいんだよ。金払って治療するなんて、あいつら頭湧いてるんじゃねーか?」

「そんな事言われても困りますよ。インチキでもいいから治療して金取ってもらわないと。
 私、先月の給料まだ貰ってないんですからね。私の分だけでも金稼いで下さいよ。」

「へーへー。わっかりましたよー。まったく人使いの荒い看護師だぜ・・・」

「何か言いました?」

「ナニモイッテナイヨー。」

「ゆーん。いたいよー。はやくいたいのなおしてね・・・」

「さて、じゃあ始めますか。おい、ゆっくり。口を開けてみろ。」

「あーん。」

「あーあーあー。ひっでえなこりゃ。素人の俺でもわかるぜ。完全に虫歯だね。しかも一本じゃねーな・・・
 一本づつ歯を削るのもだりーな。めんどくせえ、全部抜いちまうか。」

「ゆゆっ!やめてね!はがなくなったらゆっくりできないよ!」

「はぁ?おめーがどうなろうと知ったこっちゃねぇんだよ。しかし、確かに虫歯を全部抜いてそれで終わり、
 ってわけにもいかねーな。歯無しのゆっくりにして返したら飼い主怒るだろうしな。」

「どうするんです?」

「うーーーーん。そうだな・・・歯を全部抜いて、ばれない様に差し歯にしようか。
 君、ペンチ持ってきて。あと昨日治療に失敗して死んだゆっくりがいただろ。
 そいつの死体から歯を引っこ抜いてきて。」

「やめてね!やめてね!おいしゃさんなんでしょ!ちゃんとれいむのはをなおしてね!」

「うるせーなー。あんまり五月蝿くしてると、治療のショックで死んだ事にして殺しちゃうよ?」

「!!!!!」

「先生、持ってきましたよ。」

「おー、サンキュー。じゃ、早速始めますか。」

「やめてね!おねがい・・・れいむのはをぬかないで・・・ゆぎゃあああああ!!!!」

「いだいよおおお!!!」 「ブチッ」 「ひぎいぃぃ!!!」 「ブチッ」 「いやあああああ!!!」
「ブチッ」 「や、やめて・・・いいいいい!!!」 「ブチッ」 「やめでえええ!!!」 「ブチッ」
「もういやだあああ!!!おうぢがえるうううう!!!」 「ブチッ」 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛!!!」

「ブチッ」 「ブチッ」 「ブチッ」 「ブチッ」 「ブチッ」・・・

「ゆぅぅぅぅぅぅ・・・はが・・・れいむのはがぁ・・・」

「よし、次は新しい歯を刺していこうか。それっ!」

「ゆぎいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」

「あ、あれ?刺さらない・・・うーん、困ったなぁ・・・しょうがない。ボンドでくっつけるか。」

「ボンドで付けただけでは、後で取れてしまうんじゃないですか?」

「あーん?いいんだよ別に。飼い主に渡した時だけくっついてれば。あとはどうなろうと知ったこっちゃねーよ。」


「ふぅ・・・これで全部終わったな。」

「ゆぅぅ・・・ゆぅぅ・・・」

「先生、なんか歯並び悪くありません?」

「ん?そう言われてみると確かに・・・やすりで削るか。」

「いやっ!やめてっ!おねが・・・ゆぎゃああああああああああああ!!!!!」

「はい、終了ー。あーあ、やっと終わったよ。」

「ゆううううう!!!よくもやってくれたね!れいむはおこったよ!おじさんにいいつけてやる!!!」

「はいはい。もし起きた時に覚えてたらねー。プスッとな。」

「ゆぴっ!!!な、なにをした・・・の・・・ゆぅ・・・ゆぅ・・・」

「あれ?いったい何をしたんです?」

「ああ、睡眠薬を打ったんだよ。色々聞かれたからな。飼い主に告げ口されたら困るし。
 これで三日くらいは起きてこないはずだ。三日も経てば忘れるだろ、餡子脳だし。」

「じゃ、こいつを飼い主のとこへ返してきてくれ。それと次の患者も中に入れるように。」


(二匹目 出不精)
「次の方どうぞ~。どうなさいましたか?」

「実はこの子ゆっくりなのに・・・外で他のゆっくりと遊んだりしないんですよ。」

「ほう。外出恐怖症ですか?それとも近所の友達にいじめられたとか?」

「いえ、そういった訳では無いんです。友達が家に遊びに来た時は仲良く遊んでいます。
 それに自分から外に出る事は無いんですが、私がだっこして外に連れ出すのはあまり嫌がらないんですよ。
 たぶんただの出不精だと思うんですが。」

「それくらいなら特に問題無いのでは?」

「そうなんですが・・・このままじゃ運動不足で不健康になってしまうでしょう?
 私は一人暮らしで昼間は家を留守にしていて、この子の相手をしてられないんです。
 だからできればこの子には、日中は他のゆっくりと一緒に外で遊んでいてほしいんです。」

「うーん。なるほど。解りました。お任せ下さい。では、カウンセリングが終わるまで待合室でお待ち下さい。」


「さーて困ったねぇ。うちにはゆっくり専門のカウンセラーなんていねーし。どうすんべ?」

「無理なら無理って最初に言ったらいいのに・・・」

「ん?まあそうなんだけどね。あの飼い主一人暮らしって言ってたじゃん?
 一人暮らしなら一杯金ため込んでるんじゃねーかと思って。少しくらいぼったくっても文句言わねーだろ。」

「外道・・・」

「しかしそれも、このゆっくりが自分で外に出る様にならないと話にならねーんだよな。
 治療は失敗しました、でも金はたっぷり頂きます、じゃ流石に納得しないだろうからなぁ。」

「あたりまえですよ。」

「うーん。とりあえずこいつが外に出たがらない理由でも聞いてみるか。
 おい、ゆっくり。どうしてお前は外に出るのが嫌なんだ?」

「ゆ?まりさはおうちでゆっくりするのがすきだよ。おそとはゆっくりできないよ。」

「そんな事無いだろう。お前の仲間は皆外でゆっくりしているぞ。」

「ゆぅぅ・・・そんなこといわれても・・・まりさはおそとにいるとなぜかゆっくりできないの。」

「飼い主と一緒に外に出るのは平気なんだろ?」

「ゆ。おねえさんといっしょだととてもあんしんできるの。だからゆっくりできるよ。」

「なるほどねぇ。自分が安心できる場所じゃないとゆっくりできない訳か。
 で、こいつにとって外は安心できる場所じゃない。つまり、外が安心できる場所だと教えなきゃいけないのか。
 こりゃ専門のカウンセラーに任せないと無理っぽいねぇ。」

「おねえさんのとこにかえってもいい?ここじゃゆっくりできないよ。」

「そんなこといわれてもね。困るんだよ。お前がちゃんと自分で外に出られる様にならないと。
 それまではここにいてもらうよ。」

「いやだよ!ここじゃゆっくりできない!ゆっくりおうちにかえるよ!」

「あ!こら、待て!おいっ!そいつ捕まえろ!」

「はい。」

「ゆううううう!!!はなせえええええ!!!おうちかえるううううううう!!!!!」

「はぁ・・・重症だねこりゃ。どうしたもんか・・・」

「いやだああああ!おねえさーん!おねえさーん!たすけてえええええええ!!!」

「どうします?一回痛い目にあわせて直接体に教え込みますか?」

「うーん・・・流石にそれはまずいだろ。体に傷が残ったらばれるしなぁ。」

「はなぜえええええ!!!おうぢがえるう゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!!!」

「しょうがねえなあ、奥の手を使うか。」

「奥の手?」

「実は以前自己啓発セミナーを主催していた事があってな。馬鹿共から金を巻き上げてたんだが・・・
 その時催眠術を使って受講者達をハメてたんだよ。そんで変な壺とかネックレスとか高額で売りつけてな。
 こう見えて結構催眠術には自信あるんだぜ。昔取った杵柄ってやつだ。」

「あんたそんな事もやってたんですか。つくづく外道ですね。」

「あんま褒めるなよ。じゃ、早速やりますか。
 おい、ゆっくり。この紐の先についたコインをよーく見るんだ。」

「いやあああああああああ!!!おねえさあああああああん!!!ゆっくりできないいいいい!!!」

「あらら。だめだこりゃ。言う事聞きゃあしねえ。
 しかたねーな。君、この煙草をゆっくりに吸わせてくれ。」

「げほっ!げほっ!げほっ!ゆ?ゆ?ゆゆっ?ゆふふ、ゆふふふふふ・・・」

「あれ?静かになりましたね。なんです?この煙草?」

「ん?ああ。あんまり大きな声では言えない葉っぱが入ってる煙草だよ。深く詮索するな。」

「え・・・それって・・・先生、そんなの吸ってるんですか?」

「まさか。その手のもんは自分でやるもんじゃない。馬鹿に売りつけるもんだ。」

「そんな商売やってるんだったら医者なんてやる必要無いじゃないですか。てゆうか金あるなら給料払え。」

「もう足を洗ったんだよ。それはたまたま手元に残ってただけだよ。」

「たまたま?」

「そう。たまたま。」

「・・・・・・(ジーーーーー)」

「ゴホン・・・う、うん。じゃあ催眠術を始めようか。おい、ゆっくり。このコインを見るんだ。」

「ゆぅ~~~~~~~~?」

「ほら、コインが左右にゆっくり揺れて・・・じっと見つめていると・・・
 だんだんと・・・ゆっくりとした気分になってきただろう?」

「ゆぅ~~~?まぁいさはぁ~~、ゆぅ~~~くい~~~、しへき~~た~~~お~~~~~~~?」

「そう、お前はとてもゆっくりしてきたな。そしてだんだんと眠くなってきた。
 そして明日の朝目覚めた時には、今日の出来事は忘れ、今までの自分じゃない違う自分に変わっているんだ。」

「ま~~いは~~~わ~~~~、ち~~が~~う~~、ゆっくい~に~~、かわゆ~~~~~?」

「朝目が覚めたら周りを見てごらん?なんだか様子がおかしいね。とてもゆっくりできないよ。
 家の中にいると不安で不安で、とてもゆっくりどころじゃない。早く外に出ないと。」

「ゆゆゆ~~~~?おうちぃはぁ~~~、ゆ~~くい~~、できな~ひ~~のぉ~~~~。」

「そうだ。外に出ないと。外はとてもゆっくりできるよ。明日からは寝るとき以外ずっと外にいるんだ。」

「ゆふふふふふ~~~~~~。お~~そと~~~でぇ、ゆ~~~~~く~~~~~い~~~~~~・・・」

「・・・寝ましたね。これで成功なんですか?」

「ん?たぶんね。これで明日からは、夜に寝るとき以外は家の中ではゆっくりできない。
 雨の日は外に出られなくて家の中で発狂するかもしれんが・・・まぁ、それは俺の知ったこっちゃねーな。」

「てゆうか、なんで家の中でゆっくりできなくなる様な催眠をかけたんです?
 単に家の中でも外でもゆっくりできる様になる催眠で良かったんじゃないですか?」

「それやっちゃうとあの飼い主は二度とこの病院にこないだろ?無事解決だもんな。だからそんな事はしない。
 このゆっくりは、もう家の中じゃゆっくりできない。そのうち飼い主もそれに気がつくだろ。
 そしたらまた、きっとここに来るぜ。『この子、家の中じゃゆっくりできない様なんです』とか言ってさ。」

「んで、今度はカウンセリングと称して催眠を解いてやるのさ。もちろん金を取ってな。
 そうすると最初に戻ってしまうな。こいつはまた外ではゆっくりできなくなる。
 そしてまたうちに来るさ。そしたらまた催眠をかけて・・・あははw何回目で気が付くかなぁ。賭けようか?」

「うわぁ・・・」

「じゃ、こいつを飼い主のとこに返して、次の患者を入れてくれ。」


(三匹目 食中毒)
「次の方どうぞ~。どうなさいましたか・・・って、あーーーーーーーーーっ!」

「よう!久し振り。五年ぶりくらいか?お前が医者やってるって聞いてな。来てやったぜ。」

「なんだぁ?頭でも打ったのか?お前がゆっくりを飼うなんて・・・
 ゆっくりに癒しを求めるなんて、お前のガラじゃねーじゃん。」

「あったりめーだろ。俺の心を癒してくれるのは、女が貢いでくれるお金だけだよん♪
 このぱちゅりーは今の女が飼ってるのさ。」

「うわあ・・・ヒモをやってるんですか。流石先生の友人ですね。人間の屑です。」

「照れるじゃねーか。そんな褒めんなよ。ま、そういう訳だ。ちゃっちゃと治してやってくれや。
 ダチの頼みだ。当然タダでやってくれんだろ?」

「まぁ・・・タダでやるのは別にかまわんが・・・俺は素人だぞ?それでもいいのか?」

「はい?お前無免許でやってんの?相変わらずだなw。てっきり専門の学校に行って勉強したのかと思ったぜ。」

「なわけねーだろ。お前と違って額に汗して働いてたんだよ。学校行く暇なんてあるわけねーだろ。」

「五年間なにやってたんだ?」

「高級羽毛布団のセールスとか、住宅リフォームの仕事とか、高齢者向けの高級呉服の販売とか、
 健康食品の通販とか、多重債務者の債権を一本化してあげる仕事とか、
 なぜか交通事故の現場にいる弁護士の役とか・・・って、んな事はどーでもいいんだよ。
 それよりそのゆっくりだろ。そいつどうしたんだよ。随分顔色がわりーじゃねーか。」

「ああ。忘れてたwこいつさぁ、なんか賞味期限切れのものを食ったみたいなんだよ。たぶん食中毒だな。」

「ゆぅぅぅ・・・ゆぅぅぅ・・・」

「で?それを俺にどうしろと?」

「いや・・・治せよ。」 「治しましょうよ。」 「むきゅぅぅぅ・・・」

「治せって言われてもねぇ・・・どうしよ?とりあえず食ったものを吐き出させてみるか。」

「どうやって?」

「そりゃ人間と同じさ。喉の奥に指を突っ込んでこうやって・・・」

「ゆうっ!ゆげっ!ゆげええええええええ!!!!!!!!!!!」

「ほらほら、もっと吐け、もっと吐け。」

「げぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ・・・」

「ん?もう出ないか?」

「ゆげっ!ゆげっ・・・ゆぅ・・・ゆぅ・・・むきゅぅ・・・」

「あーあ、随分吐き出したなぁw体が一回り小さくなった。皮が皺だらけだよ。どうする?このままでいい?」

「このままじゃまずいなぁ。なんか体に詰めてやるものねーか?」

「こいつの餡子って何餡よ?」

「さぁ?適当でいいんじゃね?あっ、それでいいじゃん。それ詰めろよ。」

「えーーー。これ?これ、俺の三時のおやつなんですけど・・・イチゴ食べる時にはこの練乳かけないと・・・」

「てめーの間食なんて知るかよ。医者なんだからさっさと治療しろ。」

「はぁ・・・しかたねー。君、そこの注射器取ってくれる?」

「はい、どうぞ。」

「んじゃ入れるよ。はい、プスーッとな。」

「ゆぽっ!ゆぴっ!ゆぺっ!ゆっきゅうううううううううううううう!!!!!」

「あら、気絶しちゃった・・・ま、死んでねーからいいだろ。
 金は取らねーんだから文句言うなよな。じゃ、次の患者を呼んで来て。」


(四匹目 ?)
「次の方どうぞ~。おやおや、随分かわいい患者さんだ。」

「先生こんにちわ。」

「はい、こんにちわ。じゃ、どこが悪いのか調べるから、着ている服を全部脱いで・・・」

「先生・・・真面目にやって下さい。怒りますよ。」

「ゴホン・・・えーと、お嬢さんが連れて来たありすはどこが悪いのかな?」

「どこも悪くないの。」

「はい?どこも悪くない?じゃあ何しに来たのかな?ああ、先生と遊ぶために来たのかい?
 それなら向こうの部屋に行って、二人っきりでお医者さんごっこでも・・・」

「先生・・・幼女相手に何言ってるんですか。いい加減にしないとぶん殴りますよ?」

「?」

「ゴホン・・・えーーーと、どこも悪くないなら病院に来る必要は無いんだよ。来てくれたのは嬉しいけどね。」

「あのね、テレビでやってるみたいにしてほしいの。」

「ん?」

「テレビに出てるお医者さんみたいに。お医者さんがお仕事してるとこ見たいの。」

「うーん良く解らんなぁ・・・職場見学したいの?」

「先生、ひょっとしてこの子はオペをしているところを見たいのではないでしょうか。
 この間、外科医が主人公のドラマをやってたじゃないですか。」

「うん!」

「なるほどねー。でもいいのかい?うちには麻酔なんて無いよ。ありすはとても痛がると思うけど・・・」

「いいの!ありすちゃんは私の言う事なんでも聞いてくれるの。言う事聞かないとパパがお仕置きするから。
 そうだよねー♪痛いのくらいがまんできるよねー♪」

「ゆ、ゆぅ・・・」

「そうかい。じゃあやるけど、一体どんな事したらいいんだ?」

「この間のドラマでは弾丸の摘出手術をやってましたね。それを真似たら良いのでは?」

「そうしようか。でも道具がなぁ・・・うーん・・・うちには手術の道具は置いてないしなぁ。」

「まあ、そこら辺は適当に。雰囲気だけでも味わってもらったらいいんじゃないですか?」

「そうだな。じゃあメスのかわりにカッターでも使うか。あとピンセット持って来て。
 それから、縫合するために針と糸が必要なんだけど。君、裁縫セットとか持ってる?」

「はい、全部揃いましたよ。」

「早いね・・・」


「オホン・・・ではこれよりオペを開始します。」

「わくわく。」

「ゆぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・」

「おいおい、そんなブルブル震えるなよ。手元が狂ってしまうだろ。死んじゃっても知らねーぞ。」

「ゆっくりやめてね・・・おねがい・・・たすけてください・・・」

「だめだよーそんな事して先生を困らせたら。パパに言いつけてお仕置きしてもらうよ♪」

「ゆぅ・・・」

「じゃ、始めるよ。メス。」

「はい。」

「それじゃ、スーッっとな。」

「ゆぴいいいいいいいいいいい!!!」

「あれ、何だこのカッター。切れ味悪いな。そぉい!」

「ゆぎゃあああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

「あらら、皮だけじゃなくて餡子ごと切っちゃった。ま、いっかwじゃ、次。鑷子。」

「はい。」

「ゆああああああああ!いだい!いだいよおおおおおおおおおおおお!!!」

「ピンセットを使って弾丸を取り出す訳だが・・・どこにあるのかな~?」

「先生!きっと、ずーーーーーーっと奥の方にあると思うの!がんばって!」

「よーし、先生がんばっちゃうぞー!」

「ゆぎぃ!やめてね!やめてね!からだのなかかきまぜないでね!」

「それっ!ぐるぐるぐる~!」

「ゆっぴいいいいいいいいいいいいい!!!!」

「あれ?なんだろ?ホントに何か出てきたよ。銃弾じゃないのは確かだけど・・・なんだこれ?」

「あ・・・先生、それ飼いゆっくりの逃亡を防ぐためのチップですよ。ゆっくりの現在位置を知らせる物です。
 それを取り出したらまずいですよ。」

「やべっ、戻しとかないとw」

「ゆひいいいいいいいいいいいいい!!!!」

「あははは!先生っておっちょこちょい~♪」

「はい。これで無事、弾丸の摘出は終わりました。後は縫合だけなんだけど・・・
 俺、裁縫って苦手なんだよねー。君、替わりにやってくれる?」

「はい。」

「チクチクチクチクチク・・・」

「いいいいいいい!!!!いだいいいいいいいいいい!!!!!やめでええええええええ!!!!」
「どうじでごんなこどずるのおおおおおおおおおお!!!!!」
「ありすはな゛に゛も゛わ゛る゛い゛こ゛と゛し゛て゛な゛い゛の゛に゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!!!」
「だれがだずげでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!!!!」
「お゛か゛あ゛さ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!!!お゛か゛あ゛さ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!!!」

「はい。終わりましたよ。」

「御苦労さん。」

「ありがとう!先生、おねえさん!今日はとっても楽しかったの!」

「そうかい。そりゃあ良かった。こんなので良かったらいつでも見せてあげるよ。また遊びにおいで。」

「うん!」

「そうだ。今度来た時は注射を見せてあげよう。太くておっきい注射だぞ。」

「え~~~こわ~い♪」

「はっはっは!先生自慢の注射だぞ。それを使って二人でお医者さんごっこしようね。」

「(駄目だこの先生・・・もう転職しよう・・・)」

end

作者名 ツェ

今まで書いたもの 「ゆっくりTVショッピング」 「消えたゆっくり」 「飛蝗」 「街」 「童謡」
         「ある研究者の日記」 「短編集」 「嘘」 「こんな台詞を聞くと・・・」
         「七匹のゆっくり」 「はじめてのひとりぐらし」  「狂気」

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最終更新:2022年05月03日 16:50