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あるところに、一匹のゆっくりれいむがいました。
ゆっくりれいむは原っぱの真ん中でとてもゆっくりしていました。
ゆっくりしていたれいむは、ふとゆっくりの気配がする事に気付きま
した。

「ゆ?」

れいむはきょろきょろと周囲を見渡します。すると、草の陰に一匹の
ゆっくりの姿を見つけました。
れいむは元気良く声を上げます。

「ゆっくりしていってね!」

その草の陰にいたゆっくりは、れいむの元気な挨拶にこう答えました。

「んほぉー! れいむかわいいわー!!」

そして勢い良くれいむに飛びかかると隆起したぺにぺにをれいむの体
にこすり付けます。
そう、このゆっくりはれいぱーありすだったのです。

「ゆ? ゆ?」

れいむはいきなり飛びかかられ、混乱してしまいます。
しかし、れいぱーありすはそれ以上に混乱していました。

「どぼじでまむまむがないのーーー?!」

そう、このれいむはぺにまむのないタイプのゆっくりだったのです。

「ごれじゃずっぎりでぎないーーー!!」

大声で泣きながらもぺにぺにをこすり付けるのはやめません。
それまで混乱しながら様子を伺っていたれいむは、閃いたように頭上
に電球を出現させ、ほっぺをありすのほっぺにくっつけて小さく震わ
せ始めました。これはぺにまむ非装備型ゆっくりのすっきりです。

「ゆっゆっ!」

れいむの顔が次第に赤くなっていきます。
すっかり落ち込んでいたれいぱーありすもれいむの意図を理解したよ
うで元気な声で、

「んほぉー!! れいむったらだいたんねぇーー!!」

と叫びました。
やがて、二匹の顔は真っ赤に染まり、そして絶頂に達しました。

「「すっきりー!」」

快感に陶酔し、ぴったりと息の合った声が響きます。
が、次の瞬間、れいぱーありすは自身の頭上から伸びたその蔓の存在
を感じ、驚愕して叫びました。

「どぼじでありずがにんっしんっじでるのー?!」

そう、ありすはにんっしんっしていたのです。すりすり型のにんっし
んっは交尾した二匹のうちどちらがにんっしんっするかわからない両
刃の剣。下手をすればどちらもにんっしんっする事すらある玄人好み
の扱いにくすぎるにんっしんっ方なのです。なのになんだってありす
の野郎は目先の快感に囚われてそれを忘れてしまったのでしょうか。

「ごれじゃじばらぐずっぎりでぎな……ゆ゛っ?!」

失意の底にあるありすを更なる悲劇が襲います。

「な゛、な゛にごれっ?! や゛だ! ゆ゛ーーーー?!」

自身の体に起きた異変にありすは思わず頭上に生えた蔓を見上げなが
ら悲鳴を上げます。
その蔓は、ありすの頭の上でじゅるりじゅるりと異音を放っていたの
です。そして、その音が響くたびにありすの顔がみるみるうちにやつ
れていくではありませんか。

「や゛べで! ずわないで! がずだーどざんずわれだらゆっぐりで
ぎないでじょーーー?!」

そう、ありすは頭の上に実った赤ゆっくり達に急速に養分を吸われて
いるのです。しかもその速さはありすの中の常識を激しく逸脱するほ
ど早く、このままでは命の危険すらあるほどに。
ありすは近い未来訪れる身の破滅を予感しながら、近くにいるれいむ
に助けを求めました。

「でいぶーーー! どがいはなありずをだずげでねーーー?!」

そしてれいむは、ありすの頭上を見上げてにこやかに笑いながら答え
ます。

「ゆっくりしていってね!」
「ゆっぐりでぎないーーーーーーー!!」

ありすもまた大声でお返事しました。
そしてその間も養分は吸われ続け、もはややつれる部分すらなくした
ありすはやがて体色を黒く変じ、

「も゛っ……ずっぎり……じだがっ……」

すっきりから1分後、そう言い残してこの世を去っていきました。
と、同時にありすの頭上に実っていた赤ゆっくりがぷるぷると震え出
し、そして蔓から離れ、萎れたありすの残骸を踏み台にして地面に降
り経ちます。

「「「ゆっくりしていってね!」」」
「ゆっくりしていってね!」

そして目の前の親へ元気良く挨拶をしました。
親となったれいむは、生まれた我が子を頭上に乗せ、ありすの死骸に
一言「ゆっくりしていってね!」と告げると、そそくさとその場を立
ち去っていきましたとさ。
ところで、子供達がありすを吸い殺したのにも当然訳があります。
実はありすとすっきりをしたこのれいむ、かなり古い時代……具体的
に言うと、にんっしんっから出産までが異常に早く、更にすっきりの
直後には母体が黒ずんで死んでしまう事が一般的だった頃の生態を保
持したゆっくりだったのです。このれいむとすっきりをした事であり
すはれいむと同様の特性を持ったにんっしんっをしてしまい、黒ずん
で死んでしまったのです。
哀れありすは一度のすっきりで命を落としてしまいました。そしてれ
いむはありすに貰った子供達を大事に育てて幸せに過ごしましたとさ。

「「「「ゆっくりしていってね!」」」」

めでたしめでたし。


おわり




おまけ

やがて子供は育ち、立派なゆっくりれいむとなってひとり立ちしまし
た。
ひとり立ちしたれいむが原っぱでゆっくりしていると、一匹のゆっく
りまりさに声をかけられました。

「ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!」

二匹はそのまま意気投合し、友達になり、日が落ちることにはつがい
になっていました。
そして、その晩二匹はまりさのおうちで愛を育みました。

「「すっきりー!」」

絶頂の声が上がり、れいむの頭上からひょろりとした蔓が伸び、その
先にいくつか小さな丸いものが実ります。
まりさは感涙しながら言いました。

「ゆゆーん! すごくゆっくりしたおちびちゃんだよ! ほらほら!
れいむもみてみて! れい……」

そして、まりさはれいむが黒ずんで死んでいるのも見つけました。

「で、でいぶーーーー?! ゆ゛あ゛ーーーー!! どぼじでごんな
ごどにーーーー?!」

まりさは非ぺにまむ装備ゆっくりでしたが、すっきりの後にすぐ死ぬ
ゆっくりではありませんでした。なので、れいむが死んでしまったの
はきっと自分があまりに激しいすっきりをしたせいだと思い込んでし
まったのです。

「でいぶごべんねぇーーー!! ばりざが、ばりざがぁーーーー!!」

まりさは黒くなってしまったれいむの頬に激しく頬を擦りつけながら
謝り続けます。すると、頭上からぼきんという音が響き、目の前を細
い何かが横切って地面に落ちました。
まりさはきょとんとした顔でそれを見下ろします。
蔓でした。
先には三匹の未熟な赤ゆっくりが実り、しかしそのどれもが見る見る
うちに黒ずんでいきます。
そう、まりさが母体を激しく動かしたため脆くなっていた土台が崩れ
蔓が落ちてきてしまったのです。

「お゛、お゛ぢびぢゃんまでぇーーーー?! どぼじでーーーー?!
ばりざはだだゆっぐりじでだだげなのにーーーーー?!」

一日にして得た最愛の妻と子供達を一夜の内に失ってしまい、まりさ
は今まで生きてきて経験したことがないほど泣き叫び、そして巣の中
に溢れた自分の涙であんよが溶け、それが原因で死んでしまいました。
最後の言葉は、

「みんなでゆっくりしたかった」

だったそうな。
めでたしめでたし。


おしまい

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最終更新:2022年05月19日 14:53