• 注意
多少作者独自のゆっくりに対する解釈があります。
大して可愛げの無いゆっくりが結構愛でられます。
というか前半パートは愛でまくりです、虐待は後半からどうぞ。
いわゆる『良いゆっくり』が理不尽に虐められます。
生き残るゆっくりがいます。



二重人格お兄さん


少し人里から外れた小さな家に、ある男が住んでいた。

巷では害獣だの、虐待のオモチャだの、妖精だの言われ
あまり好かれる事の無い「ゆっくり」を好んで可愛がる、男は所謂「愛でお兄さん」であった。

この男は一匹のゆっくりれいむを飼っていた。
家族から逸れ、傷つき瀕死になっている所を男に拾われたのだ。

通常、野生種のゆっくりは自然で生き残るためなのか、性格が悪く、躾もロクに聞かない
精々子供達のおもちゃ兼おやつになるくらいしか役に立たない。
このれいむもそうであった。

瀕死になって、男に見つけられた時も

「おにいさんだれ?そんなところでゆっくりつったってないで、はやくれいむをたすけてね!」

これが第一声であった、常人ならば言われた瞬間叩き潰すか、良くても無視であろう。
瀕死の怪我を負ってるのに、威勢だけは良い所もなかなか癪にさわる。
しかしこの男はあろうことか

「かわいそうに・・・お兄さんが助けてやるからな・・・絶対に・・・!!」

などと言い、れいむを拾ったのであった。

れいむは看病している間も

「れいむはおなかがすいたよ!ゆっくりおかしをもってきてね!」
「このごはんまずい!りょうりがへたなじじいはさっさとしね!!」
「れいむはいまからうんうんするよ!ゆっくりしないではやくうんうんそうじしてね!」
「とろいじじいだね!びょうにんのれいむをちゃんとゆっくりいたわってよね!ぷんぷん!!」

と、日々我侭な要求に罵詈雑言のマシンガンである。
ここまで来ると、菩薩も血が頭に上りそうなほどなものだが、この男は

「はいはい、ゆっくりできないお兄さんでごめんねw」

などと言った調子で、表情はむしろ幸福そうであった。


そしてお兄さんの治療の甲斐があってか、傷も完治し、れいむはむしろ以前よりとてもゆっくりした、ゆっくりとなっていた。
無論お礼の言葉などない、逆に「れいむのきずがなおってうれしいでしょ?おにいさんれいむにかんしゃしてよね!」
とか言い出す始末である。

傷が治った事もあって、家の中を縦横無尽に歩き出すようになった。
ゆっくりと言えば欲の塊みたいなものである。欲の矛先はすぐに食料庫へと向けられた。

「ゆ?これはとてもおいしそうなおだんごさんだね!ゆっくりたべるよ!!」

れいむは自分にとって何よりも美味しそうに写る団子を発見した。
それを食べようとした、その時

「むーしyゆべぇ!!」

れいむは一瞬何が起こったのか分からなかったが、視線の先には男がいた。
あろうことか、この男は食事中のれいむにビンタをしてきたのだ、最低にゆっくりできないやつだ。
れいむはそう思い、すぐさま抗議を始めた。

「おにいさんなにするの!!しょくじのじゃまするなんてさいてーだね!!ゆっくりしねじじい!!」
「うるさい!!」
「ゆっ!?」

れいむはこの男に対して初めて恐怖を感じた、男もものすごい剣幕でれいむを見ている。

「いいかいれいむ、食べ物を勝手に盗もうとするのはとても悪い事なんだ。
 そしてその悪い事をするゆっくりを凝らしめるための食べ物もあるんだよ。」
「おなかすいたからたべてなにがわるいの!あたまのわるいじじいだね!!おお、あわれあわれ」
「そうか・・・なら少しなら大丈夫だろう、これを食べてみなさい」

れいむが先ほど食べようとした団子を一つまみちぎって、れいむに差し出した。

「ものわかりのわるいじじいだね!さっさとよこせばいいのに!」
「はぁ・・・ごめんねれいむ」
「わかればいいよ!むーしゃむーしゃ、しあわせー・・・じゃないよ!ぜんぜんたりないよ!」

一つまみだと全く満足できないのか、れいむは更に要求をしてくる、だが

「ゆ?ゆぎぎぎぎぎぎぎいいいい!!ゆっぐりでぎないよおおおお!!!」
「がらだがどげるよおおお!!だずげでええええ!!」
「だずげでおにいざああああああん!!」

団子はゆっくり駆除用の餌「ゆっくりコロリ」だったのである。
人間には無害、しかしゆっくりにとっては猛毒となる、食料庫にしかけておく定番の餌であった。

「分かったかいれいむ、これをもし全部食べたら、れいむは死んでいたんだよ、今も苦しいだろう?」
「わがっだがら、わがっだがらだずげでええええ!!」
「苦痛は1時間程度で終わるだろう・・・ごめんなれいむ、その間、僕は・・・」
「いだいよおおおおぐるじいよおおおお!!」


1時間の間、れいむは苦しみ続けた、男も必至にれいむに励ましの言葉を投げかけ、抱きかかえ、頭を撫でたりと
少しでも苦痛から逃れられるように努力した。
れいむはこんな酷い目にあわせたお兄さんを罵倒して、今まで以上の「奴隷」としてやろうと考えていた。
しかし、1時間経ち、漸くれいむの苦痛も和らいできた頃

「ゆぅ・・・・ゆぅ・・・・・」
「れいむ・・・ごめんよ・・・」

謝るのは当たり前だ、謝って済むのなら、ゆっくりえーきはいらないとれいむは思っていた。
罵倒してやろうと思ったものの、体力がもう限界だ、喋る事も出来ない。
仕方ないゆっくり寝て、起きたら罵倒してやる、と思っている間に、れいむの頬に冷たい雫が落ちてきた。

「ゆぅ・・・?」
「これもれいむのためなんだ・・・不出来な男でごめんよ・・・
 けど、けど、れいむが死んじゃったら・・・僕は・・・僕は・・・・・!!」

男は泣いていた、顔が涙と鼻水でぐしゃぐしゃだ、なんて不細工なんだろう、とてもゆっくりしていない。
しかし、れいむを抱くその腕は力強く温かく、ぽつぽつと落ちてくる涙の雫も何故か不快ではなかった。

その日から、れいむは少しずつ、変わって行くのであった。



「れいむはおなかがすいたよ!はやくしょくじをよういしてね!!」
「はいはい」

いつもの調子だ、れいむの要求が来たら、それが男の晩飯の合図ともなっていた。
男は割と料理が得意なので、れいむは毎日美味いご飯にありつけていた。

「今日は何にすっかなー、ちゃんちゃん焼きかな」

ちなみにちゃんちゃん焼きとは味噌と野菜と鮭を焼くというより、蒸して作る北の地方の料理である、なかなか美味い。

「ふんふーん♪」
「ゆっ」
「あれ?れいむ、つまみ食いはダメだぞ、というかまだ何もできてないんだけどな」
「ちがうよ!お、おにいさんがりょうりつくるのおそいから、れいむが、ちょっとてつだってあげようとおもっただけだよ!」
「何だと・・・?」

いつもなら催促か、つまみ食いかの二択であったれいむが自主的に手伝うなどと言い出したのだ。
男は一瞬硬直したが、すぐに笑顔に戻って

「おおれいむ!!お兄さんはうれしいぞー!!」
「か、かんちがいしないでよね、おにいさんがゆっくりしすぎなのがわるいんだよ!」
「ありすでもないのにツンデレなんて、そんなれいむもかわいいなぁ!」
「う、うるさいよ!!」

そんな調子でれいむは少しずつ、男と打ち解けて行くのであった。



そして3ヶ月という月日が過ぎ去ったある日

「ただいまー」
「ゆっくりしていってね!!」

ゆっくりにとっての「お帰り」は「ゆっくりしていってね!」である。
というか、挨拶というもの全て「ゆっくりしていってね!」である。

「れいむ、明日は外に遊びに行こう!」
「ゆ?ほんとう!?」
「あぁ、畑仕事にも一段落ついたんだ。
 ごめんな、最近構ってやれなくて」
「そんなことないよ!おにいさんだいすき!」

既にれいむは完全に男に懐いている、男もれいむを我が子のように可愛がる。
野生のゆっくりをここまで手なずける事ができるのはブリーダーくらいのものだが
男のゆっくり顔負けの素直さが、れいむにも伝わったのかもしれない。


そして翌日

「きゃっきゃっ、つめたーい」
「おーい、れいむ、あんまり水に浸かってると解けるぞー」
「うんおにいさん!とてもゆっくりできるよ!」
「やれやれ聞いてないな・・・」

男とれいむは近所の小川に来ていた。
天気も良く、外出には最高の日であった。

日光が強すぎず、弱すぎず、あまりの心地よさに男が眠ってしまいそうになった、その時

「おにいさあああん!!」
「どうしたれいむ!!まさか解けはじめたか!?あれだけ水に浸かりすぎるなと・・・」
「ちがうよおおお!まりさとぱちゅりーがあああ!!」
「は・・・?」

れいむの視線の先にはボロボロになったゆっくりまりさとゆっくりぱちゅりーがいた。
つま先から頭のてっぺんまで春みたいなれいむと男とはまるで対照的だ。
男とれいむは急いで二匹の元へ駆け出した

「おい大丈夫か!?」
「ゆぅ・・・」
「むきゅぅ・・・・・」

まりさは比較的傷が浅かったが、ぱちゅりーが酷い、放っておけばすぐに死んでしまうだろう。
その傷は、明らかに人間の手によってつけられたものであった。

「酷い、一体誰がこんな事を・・・」
「ふたりともしっかりしてね!ゆっくりしようよ!!」
「にんげんさん・・・?」
「話は後だ、れいむ、急いでウチに帰るぞ!」
「おーえす!!」


お兄さんの必死の看病もあり、まりさは1日、ぱちゅりーは3日で回復した。
ゆっくりは死の直前まで追い詰められるような怪我をしても、大抵3日もあれば治る。
例外として、酷い火傷などは回復しない。底部を炭になるまで焼かれたゆっくりは二度と歩けない。

話によると、この二匹は夫婦ではなく、親子であるようだった。まりさが親でぱちゅりーが子である。
ぱちゅりーは身体が弱いので、親離れも遅い。ほぼ完全な成体になるまで、親元から離れないのだ。
他にも親ぱちゅりー、子ぱちゅりーが沢山いたらしい(ゆっくりは3から先は数えられない)
ちなみに子まりさは、とうに親離れしていた。

そして、野生には珍しい「良いゆっくり」でもあった。
畑仕事を手伝い、報酬としてくず野菜や、たまに良い野菜を貰う。

そうした日課を過ごしてる中、人間の子供たちに捕まった。
爆竹やロケット花火、辛子などで家族が無残に殺されて行く中、親まりさは子ぱちゅりーと命からがら逃げ出した
そして力尽きそうになった所を男とれいむに拾われたのだ。

「酷い目にあったんだな・・・」
「ゆぅ・・・」
「でもだいじょうぶだよまりさ!ここはとてもゆっくりできるよ!!
 さんにんでくらそうね!」
「え、ちょ、ちょっと待ったれいむ」
「おにいさん・・・だめ・・・?」

最近してこなかった、れいむの見つめ攻撃である。
その無垢な瞳に見つめられたら、男はどんな要求も断れない
このれいむは人間の女に生まれたら、魔性の女だとか言われるんだろうな、と男は思っている。

「仕方ないなぁ、まりさとぱちゅりーはいいのかい?」
「まりさは・・・おにいさんがいいなら、ずっとここでゆっくりしたいよ・・・」
「むきゅ〜、わたしもよ」

二匹とも少し遠慮がちである、ここに来たばかりのれいむに、この二匹の謙虚さを見せてやりたいな
と男は思った

「それなら僕らは、今日から家族だ!」
「さすがおにいさん!」
「ありがとう、おにいさん!」
「むきゅ〜ん」
「「「ゆっくりしていってね!」」」

新たな二匹を加え、その日はあっという間に過ぎていった。
そして夜―――

「あん、いいよおおおれいむううう!」
「まりさすきいいいい!」

れいむとまりさがすっきりを行っていた。
会ってまだ数日だというのに「ゆっくり」という割には気が早い。
しかし、短命で一匹でも多くの種を残さなくてはならないゆっくりにとっては、むしろ数日という日にちを一緒に過ごして、すっきりをしなかったのは
性欲を増大させるのに十分な時間だったのかもしれない。

「れいむうううまりさいっちゃうよおおおお!!」
「んほおおおおおおまりさあああああああ!!」
「「すっきりー!!」」

二匹がそういうと、まりさの帽子から茎が伸び始めた。
すっきりが終わった証である、茎からは6匹ほど子供が生っていた。

「むきゅ〜ん・・・さわがしいわね」
「ぱ、ぱちゅりー!?」
「おきちゃったの!?」
「あれだけおおきなこえだせば・・・むきゅ・・・?おかあさん!?」

ぱちゅりーは親の茎を見て驚愕した、成体近くにもなって親が子供を孕んでいるというのは
人間でいえば20歳の息子が妊娠している母を見るようなものだ、ショックは計り知れない、が。

「ぱちゅりーもそろそろおとなになるころだね!」
「むきゅ!?なにいってるのれいむ!!」

れいむの性欲の捌け口はぱちゅりーに向けられた。
何しろれいむは一度もすっきりーをした事がなかったので、一回では収まらなかったのだ。

「ぱちゅりいいい!!」
「む、むきゅううう!!」



翌朝

「何てこったい・・・」

男は驚愕した、何しろ一緒に住む事を承諾した即日にまりさだけではなく、ぱちゅりーまでにんっしんっさせているのだ。
また、ゆっくりのくせして一夫多妻というのも、男が驚いた一つの要因であった。

「まりさとぱちゅりーなら、きっととてもゆっくりしたこをうめるよ!おにいさん!」
「は、はずかしいよれいむ///」
「むきゅーん///」
「何が恥ずかしいのかよく分からないけど、僕は・・・孫が出来たみたいで、幸せだー!!」



子供が生まれるのは早かった、男が仕事を終え、帰って来る頃には全て生れ落ちていた。
親ゆっくり3匹に子ゆっくり11匹、なかなかに大家族である。

「「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」」
「うわぁ、みんな元気だなー」

しかしれいむは気付いていなかったのだ、それが自分たちを破滅に近づけていることに・・・


それから毎日、男はゆっくり家族全員の「ゆっくりしていってね!」で仕事に向かい
「ゆっくりしていってね!」で家に迎えられる。

また、家族全員の食料を賄うのは流石に無理であったので、畑に集る害虫や雑草を駆除兼食事に
日によっては狩りに行ってもらう事もあった。


家族が増えて、れいむは少し大変だと思った、しかし同時に最高にゆっくりできるとても幸せなゆっくりだとも実感していた。

そんなある日。

「れいむ、ちょっと話がある」
「どうしたのおにいさん、そんなしんみょーなかおをして」
「いつの間にそんな難しい言葉を覚えたんだか・・・
 れいむ、たのみがあるんだ」
「おにいさんのいうことなら、れいむはなんでもきくよ!」
「それはね・・・れいむ・・・いやれいむだけじゃない
 みんなに僕の前で『ゆっくりしていってね!』と言わないでほしいんだ」
「ゆっ・・・!?」

れいむは困惑した、どうしてお兄さんは自分にゆっくりしていってね、と言ってほしくないのだろうか。
自分たちもゆっくりしたいが、お兄さんにもゆっくりしてもらいたい。
しかし、これはお兄さんだけがゆっくりしたくないと言っているようなものだ。

「どうして、おにいさん!ゆっくりしたくないの!?」
「したいさ、だけど、お前たちもゆっくりしたいだろう?
 お願いだ、みんなの為でもあるんだ。
 そして家族でのリーダー格である、お前にこれを伝えてほしい
 僕から言うよりも、お前から言った方が、きっと効果はあるだろうから」
「ゆぅ・・・」
「頼むよ、な?」
「ゆっくり・・・りかいしたよ・・・」

れいむは承諾する気はなかったが、男のいつもは見せない真剣な表情に負けた。
けど、同時に、男を喜ばせてやろうとも考えたのだ。


その2に続く

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最終更新:2022年05月21日 23:14