彼は今しがた吹き飛ばした男のデイバックを漁っていた。
しかし、目ぼしいものがないことを確認するとそれを放り捨てその場をあとにした。

彼の名はぬらりひょん。

なぜ彼は幾何の言葉を交わした後に男を吹き飛ばしたのか。

理由などない。
彼らはこの殺し合いという箱庭で出会った。ただそれだけだ。
それだけで、ぬらりひょんにとっては排除する理由になる。

ズドン、とどこかで轟音が響いた。あの男が地面に衝突したのだろう。
あの高さからの落下だ。人間であるならば死ぬ可能性が高い。仮に生き延びたとしても、奴では自分に敵わない。
そう悟ったぬらりひょんは背を向け、次なる出会いを探す。

ぬらりひょん。
彼は、いつからか『神』の存在を感じていた。

神とは人のようなものか。どのような形か。
わかるのは、絶対の力を持つ存在であること、この世はそのような個が作りだしたものということだけ。
神ほどの力を持たない者からしてみれば、如何な理不尽が与えられようとも仕方のないこと。
災害と同じと言い換えてもいい。

だからぬらりひょんはこの殺し合いを受け入れた。
他に同胞がいるかもしれないが、それが『神』の意思だというのなら、致し方なきことである。


【E-7/一日目/深夜】
※モズグスのデイバックが付近に転がっています。

【ぬらりひょん@GANTZ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:不明支給品1~2
[思考・行動]
基本方針:『神』の意思に従いこの殺し合いで勝ち抜く。
0:皆殺し

※参戦時期は岡八郎との戦いの後です。
※現在の形態は岡と殴り合っている時のものです。
※モズグスの首輪が赤い首輪であるのに気が付きませんでした。

「...許すまじ」

吹きとばされた巨漢―――モズグスは、大の字になって地面に減り込んでいた。
通常の人間なら骨はひしゃげ、内臓が吹き飛ぶだろう衝撃を受けたにも関わらず、彼はほぼ無傷で倒れ伏していた。

「神を畏れぬ愚か者どもよ、天罰覿面!天に代りてこの私が!!あなたたちに罰を与えましょう!!」

彼の言う愚か者。それは、さきほど自身を殴り飛ばしたぬらりひょんとこの殺し合いを開いた主催の男を指す。
モズグスは信仰に生涯の全てを捧げ、それを一身に貫いてきた熱心な信者である。
幾多の試練が立ち塞がろうとも、一瞬たりとて信仰を蔑ろにしたことはなかった。
その彼の生涯を認めてくれたのだろう。
魔女の放つ醜悪な亡者と会いまみえたその時、神は奇跡を与えてくださった。

与えられたのは、頑強な身体に天使の羽根。

あの時、モズグスは真の神の遣いに成ったのだ。

だが、喜んだのも束の間。
気が付けば彼は枷を嵌められあの珍妙な男の催しに巻き込まれていた。

彼は思った。許すまじ、と。
神聖なる儀式と処刑を邪魔したあの男はまさしく邪教徒であると。
この神の代弁者たる私が貴様に天誅をくだそうと。

「この試練を私は必ずや乗り越えてみせましょう。それが信仰!!すなわち神の御意志!!」

神は告げている。
あなたの従うべきは私であり、あのような矮小な男ではないと。
故に、あの男の言葉通りに他の参加者を全て殺し優勝するなどという甘言には従わない。
この試練において自分のすべきことは、首輪の色などという幻に惑わされず、信者と為るべき者と邪教徒共を選別することだ。

「神よ!御拝見ください!私は必ずやあなたへの信仰を貫いてみせます!!」

闇夜の森の中、一人の狂信者の叫びが響き渡った。

【E-7/一日目/深夜/森】

【モズグス@ベルセルク】
[状態]:後頭部にたんこぶ、前進にダメージ(小)
[装備]:自前の教典
[道具]:
[思考・行動]
基本方針:信仰に従い邪教徒共を滅ぼす。
0:邪教徒以外の参加者を探し共に試練を乗り越え殺し合いを破壊する。

※参戦時期は原作20巻。
※邪教徒の基準はモズグスによります。





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GAME START ぬらりひょん 戦線は下北沢にあり
最終更新:2017年08月19日 19:25