野獣邸。
数多くのホモガキに慣れ親しまれた、この邸宅で睨み合うは男二人。

片や、ベッドや生活用品等の遍く事象に存在するCOATの顔。
片や、一時は数多のビデオに出演したAcceedの元売れっ子俳優。

別に、互いのことが憎い訳ではない。
ただ、なんの諍いもなしに馴れ合うことは許されない。
それが同属会社の影のならわし。

―――逃れられぬカルマ。

「じゃあオラオラこいオラァ!!」

気合一徹、おじさんが刀を構え突撃する。
片手平突き。
かのHZKTが考案したと云われる技である。

野獣は寸でのところでしゃがみ込み回避。
突きの勢いのまま放たれる膝蹴りは、あえて頭突きを入れることで相殺する。

野獣の予想外の行動におじさんの動きは一旦止まり、野獣はその隙を突き反撃に出る。

「ホラホラホラホラホラ」

拳での乱打。まるで腕が増えたと錯覚させるほどの速さである。

おじさんはそれを敢えて回避しようとはせず立ち尽くす。

放たれる拳はその大半が目くらましである。
ならば当たるものだけに注意しておけばいい。

拳の幾らかはその身に受けつつ、おじさんは刀の柄で野獣の腕を跳ね上げる。
純粋な力ではひでに劣るものの、武器を使わせれば右に出るもの無しのおじさんの技術による賜物である。

「ファッ!?」

驚愕に顔を引きつらせるのも束の間、おじさんの鞘による打撃が野獣の胸板に叩き付けられ、痛みと共に後退を余儀なくされる。

「やりますねぇ!」

それは純粋な賞賛か挑発か。
そう声をあげる野獣には笑みさえみてとれる。


「アァ!?」

その言動に、ひでがいう事をきかなかっただけで激怒するおじさんが耐えられるはずもない。
おじさんは感情のままに刀を突出し突撃する。
してやったり―――そう言わんばかりに、野獣はしたり顔を浮かべる。

「オォン!」

野獣の気合と共に放たれた蹴りがおじさんの刃の腹を叩き、横合いからの衝撃によりおじさんは刀を手放してしまう。
『空手に先手なし』。
空手は相手の技を見切ってこそその真価を発揮する。
それは、1145141919流派はあろう空手世界の中でも異彩を放つ迫真空手においても例外ではない。

(武器を落とせばこっちのもん。はっきりわかんだね)

いまが最大の好機。
野獣のように鋭い眼光を放ち、おじさんのこめかみへ向けて左上段回し蹴りを放つ。

「ざけんじゃねぇよオイ!」

それをおじさんは―――なんと野獣と同様に左上段回し蹴りで迎撃した!
おじさんは力ではラ・ピュセルやひでに劣るため、それをカバーするかのように多様な武器と扱う技術を備えている。
だが、それは比較対象が悪いのであり、なにもおじさんが肉弾戦が出来ないことを証明する訳ではない。
多彩な武器を扱えるからこそ、それに適した体捌きや武器を凌がれた時の防御法を我流ながら身に着けてきた。
それ故に、武器がなくとも野獣の迫真空手に追いすがることが出来るのだ。

交差する互いの左回し蹴り。
拮抗する力。
互いの脚が弾かれると同時、両者が勢いのまま放つはみぞおちへの後ろ回し蹴り。
同時に放たれた蹴りは再び交差し弾かれる。
互いに向き合い放たれるは、腰を低く落とした体勢から放たれる正拳突き。
またも交叉。次いで放たれる左手での正拳突き。掌底。前蹴り。蹴りあげ。踵落とし。フェイントからのタックル。頭突き。
いずれも同時。
まさに互角である。
互いに一旦離れ、体勢を立て直す。

「頭に来ますよ!!」
「怒らせてくれたね、おじさんのことね!」

まるで鏡写しのように攻防を繰り広げる相手に声を荒げるおじさんと野獣。
二人の怒号からむこう数秒静寂に包まれる。
やがて、おじさんはデイバックから刀を取り出し野獣へと放り投げる。
それは、殺意を持ったものではなく、野獣が受け取りやすいように山なりの放物線を描き彼の手に収まった。

「使えねえ訳じゃねえんだろ」
「いいねぇ」

互いに対等の条件で戦い勝利を得たいというのか。
おじさんの構えに対し、野獣もまた剣を抜く。

「邪剣"夜"―――逝きましょうね」

その声と共に野獣の纏う空気が変わる。さながらその様は瘴気を放つ
野獣の纏う雰囲気の変化を察知したおじさんは、刀を握る手に熱が入るのを実感する。
そうだ。COATの象徴ともいえる野獣の本当の力を叩き潰してこそ、ACceedの覇権は確固たるものとなるのだ。
それは野獣も同じ。武器というおじさんを象徴する戦いで彼を征することができればホモビ業界の頂点はCOATのものになるも同然。
互いの会社の業界生命を賭けた一戦、それを遠巻きに眺めるものが一名。

(な...なんて戦いじゃ)

吉良吉廣。息子の吉良吉影の頼みで野獣を見張っている幽霊である。

幽霊の立場から見ても、あの二人の戦いは常軌を逸している。
単に身体能力が高いというだけでなく、奇妙なのはその動作だ。
拳や蹴撃といった肉弾戦を行う場合、そこには腰を低くする・膝を曲げる・腕を振りかぶるなど、そこに付随する動作が必ず生じる。
それは、空条承太郎の一級品のパワーとスピード・正確さを備え持つスタンド『スタープラチナ』ですら当てはまることだ。

だが、野獣とおじさんの二人の攻撃にはその挙動が見受けられない。
まるで、動作だけを切りとり、放つまでの過程を省略しているかのような錯覚すら覚えてしまう。

(奴らをうまく使えば、あの空条承太郎を排除するのも容易いかもしれん...!)

あの野獣たちの戦力は未だ未知数。味方に付けられれば、愛する息子の平穏を守ることができる。
吉廣は二人の行く末と特徴を見定めるため、喜びを抑えきれない心境でひっそりと物陰から様子を窺っていた。

その時だ。

「ムッ!?」

突如、吉鷹の持つ矢が盛った雄のように暴れはじめる。

「な、なんじゃ!?どうしたというんじゃ矢よ!?」

吉鷹は馬を宥めるように必死に抑えようとするが、しかし矢は吉鷹の言葉を無視して尚暴れている。

(ま...まさか、欲しがっているのか!?奴らのどちらかを!なぜこのタイミングで!?)

それがどちらかか―――確認するまでもなく矢はひとりでに吉鷹の手元を離れ飛翔してしまう。
真っ直ぐに突き進む矢。それはほどなくして標的に突き刺さった。


野獣の、尻の穴に。


「ヌッ!」

突如走る臀部の激痛に、野獣は思わず悲鳴をあげる。
それは、かつて愛し合った男たちの肉棒の如く野獣の腸内を掻き分けていく。

「ハァ、アッ、アッ、アッ、アッ―――――」

宿敵の急な変貌に動揺するおじさんを余所に、野獣は襲いくる激痛と快楽の波に身を任せる。
彼がもがけばもがくほど、矢は彼の体内へと深く、深く侵入していく。

『なんじゃ!?どうなるというんじゃ!?』
「アアッー!ハァハァ、イキすぎィ!」

野獣の表情が苦痛と快楽の入り混じった芸術の様相を醸し出し、甲高い喘ぎ声は次第に甘美な耳心地さえ生み出し始める。
そして。

「イクゥ、イクイクゥ...ァッ...ンアッー!(迫真)」

ついにあがる咆哮。
野獣の下半身は奇妙な心地よさに包まれ、白濁液が染み出し下着を濡らし、屋上には生臭い匂いが充満するのだった。

「えぇ...(困惑)」

あまりの唐突さに言葉を失うおじさん。
飛来した矢。向こう側で喚きたてる写真の老人。矢で尻穴を犯されながら絶頂し気絶した野獣。
理不尽なことばかり起こるのが世の常だが、流石にここまでのものは早々おめにかかれない。


「おい!」

状況を把握するためにおじさんは近くに隠れている写真へと呼びかけた。

『し、しまったバレて...!』

逃げ出そうとする良廣の写真を掴みあげ、静かに詰め寄る。
そのプレッシャー、並大抵のものならば泣いて許しを請うほどの迫力を有している。

「さっきの矢はお前のだな」
『わ、ワシの意思ではない!矢が勝手に...!」
「そんなことはどうでもいいんだよ。野獣を元に戻す方法を教えろっつってんの」
『解らん...とにかくいまはそのまま介抱するしか...』
「そうか」

おじさんはひでを連れ込む要領で野獣を担ぎ上げる。
別に善性からの行動ではない。ただ、このままでは消化不良だということだ。
こんな形でCOATとの戦いを終わらせたくはない。ひとまず野獣を介抱し、最低限対話ができる状況へと持ち込む。全てはそれからだ。

おじさんは野獣邸を後にし、その足を病院の方角へと進めた。


ここから先は読む必要のない事柄である。

『矢』はなぜ野獣先輩を貫いたのか―――そこには理屈もなにもないのかもしれないが、あえて検証してみよう。


まずはこの『矢』の特性について考察してみよう。
過去から現在においてまで数多のスタンド使いを生み出してきたこの『矢』。
詳細は不明であり現在もその正体はハッキリとはしていないが、この材質は五万年ほど前に落ちた隕石と同質であり、これに付着した未知のウイルスが『人』を『スタンド使い』たらしめているというのが有力な説だ。
ウイルスとて生物であり己の種を護るために生物の身体を媒介とし繁殖を繰り返すのが本能だ。
そのため、『矢』はウイルスが繁殖に適した身体や魂を持った者を選び増やすのではないだろうか。

次に、なぜ野獣先輩を狙ったのか。
近年、野獣先輩はスマートフォンに感染するウイルスとして扱われたことがある。
その内容は、画面が彼の顔のアイコンのアプリが大量に追加されてしまうというなんとも言い難いものだ。
だが、そんなことよりも着目してほしいのは、曲がりなりにも野獣先輩がウイルスと化したことである。
もしもこの参加者が空手部の鈴木及び水泳部の田所を演じた役者本人ならばたいした問題ではなかった。
だが、パロロワ恒例の超常的且つ理不尽な参加者収集方法を用いても特定できなかった彼は、『野獣先輩』という愚像という形で参加させられている。なんでそこまでして連れてきたとか聞く奴は...窓際行ってシコれ。
この偶像は、説得力の高い有力説からクッソガバガバで雑な説までいくつもの顔を有している。
例を挙げれば、この殺し合いの参加者でもあるガッツ説、女の子説、情報生命体説、ファニー・ヴァレンタイン大統領説、天体説などが当てはまる。
つまり、先輩がウイルスと化した以上、そこに『野獣先輩ウイルス説』が追加されるのは当然の流れなのだ。

そして、JO↑JO↓作中内では、『スタンド使いは引かれあう』という法則がある。
友人か、バスの中で足を踏んだ人か、引っ越してきた隣の住人か...とにかく、互いの正体も知らない内に引かれあってしまうというものだ。
これを単に運命だと定義するのは簡単だが待ってほしい。
彼らが出会うのは単に定められたことではなく、その裏には理由があるのではないか。もう一歩踏み込んでみよう。

生物が対象を認識する手段の一つに、嗅覚がある。
例えば、カメムシやてんとう虫などは、己に危機が迫った際に刺激臭を発し敵を遠ざける。
その逆のケースもあり、多くの虫類は同種を引き付けるフェロモンを発し求愛したり、スズメバチのようにフェロモンで仲間を呼び寄せることもある。
人間にしてもそうだ。
香水をつけて異性を魅了したり、逆に異臭がする者や場所からは離れようとする。
これは矢のウイルスにしても同じことが言えるのではないのだろうか。
スタンド使い―――つまり、ウイルスに侵された者は、仲間内で引き合う匂いを発するということだ。
それも、明確に『臭い』『イイ匂い』と判別できるほどではなく、『体の中のウイルスが辛うじて反応できる』レベルでだ。
雌雄のないウイルスがなぜ互いに引き寄せ合うのか―――そこに触れるのは本筋から大いに外れてしまうので今回は止めておく。

結論を述べよう。
矢に付着していると言われる未知のウィルス。
野獣先輩というウイルス。
もしも、両者が互いに特有の匂いを発していたとしたら、矢が野獣先輩へと引き寄せられたのも納得ができるのではないだろうか。

以上が私の出した仮説であるが、現状ではあまりにも根拠が少ない。
ハッキリ言ってつつけばボロが出るような穴だらけの理論である。
だが、曲がりなりにも仮説を提示したことで、この話のオチが思いつかなかったから適当に野獣先輩に矢をぶち込んだという疑惑は晴れたことだろう。



最後に、説明が長すぎて曖昧だし意味がわからねえ、ちゃんと説明してくれよという方のために要約した文で締めくくる。

野獣先輩に矢を持った吉良吉廣の写真が支給されたのは神の悪戯に他ならず、神とはGOを示す。
よってこの事件の元凶はGOである。Q.E.D





【E-5/住宅街(下北沢)/早朝】



【野獣先輩@真夏の夜の淫夢派生シリーズ】
[状態]:背中の皮膚に少し炎症、疲労(大)、身体の中に矢@ジョジョの奇妙な冒険が入っている。気絶
[装備]:吉良吉廣の写真@ジョジョの奇妙な冒険、
[道具]:基本支給品×1、不明支給品×0~1
[思考・状況]
基本行動方針:気の向く(性欲を満たす)ままに動く
1:気絶中
2:吉良と左衛門犯したい...犯したくない?
[備考]
※毒物をぶち込まれると即死性ではないかぎり消化・排出することができる。排出場所は勿論シリ。
※殺し合いを認識しました。
※吉良(川尻の顔)と左衛門の顔をそれぞれKMR、遠野に似てると思い込んでいます。
※吉鷹の持っていた矢@ジョジョの奇妙な冒険が野獣先輩の尻の中へ吸収されました。異変があるかはヨクワカンナイケドネ



【虐待おじさん@真夏の夜の淫夢派生シリーズ】
[状態]興奮、頬にダメージ(小) 疲労(中)
[装備]日本刀詰め合わせ@彼岸島
[道具]基本的支給品、鞭と竹刀とその他SMセット(現地調達品)、吉良吉廣の写真@ジョジョの奇妙な冒険。
[思考]
基本:可愛い男の子の悶絶する顔が見たい
0:殺しはしないよ。おじさんは殺人鬼じゃないから。
1:野獣を病院へと運ぶ。決着云々はその後考える。
2:また会ったらラ・ピュセルを調教する。
3:あのウニ頭の少年(上条)も可愛い顔をしているので調教する。
4:気合を入れ直すためにひでを見つけたらひでを虐待する。
[備考]
※参戦時期はひでを虐待し終わって以降
※ラ・ピュセルを女装した少年だと思っています


【備考】
※野獣邸の屋上に野獣先輩の糞が放置されています。匂いは114514Cmの範囲まで届きます。

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虐待おじさん
最終更新:2018年12月03日 18:19