#contents **作品概要 2002年、アニメを皮切りに誕生したシリーズ。 劇中で登場する架空のオンラインゲーム「The World」を舞台とし、 アニメ・ゲーム・小説など様々なメディアで商品が展開された。 また、ゲームにおいては複数の章仕立てで短期間に連続して販売された事で有名。 オンラインゲーム内で起こった異常現象を追ううちに、リアル世界にも影響を与えかねないサイバーパンクな大事件に巻き込まれる、というのが基本的な主題。 .hackシリーズのゲーム作品の特徴として、描写されるのが幾つかの例外を除いて「主人公が見ているディスプレイの画面」のみというのがある。 その上で「The World」にログインしバトルや探索や会話を行う3D・ARPGパートと、ログアウト中にBBSやニュースでの情報収集のほかに メールで仲間とのコミュニケーションを取るAVGパートに分かれている。 これらを駆使することで、仲間たちの「リアルの姿」が推理できたり(男のキャラクターを演じていたキャラが、リアルでは実は女だったとかはざら)、 この世界のリアルの企業や国家、技術開発史などの姿が少しずつ垣間見えていくという独特の楽しみ方が根強いファンを生んだ。 また、.hackシリーズのゲーム以外の作品(アニメや小説、漫画など)の多くではゲーム版とは別の主人公による全く異なる物語が描れ、 相互補完することで世界観の理解が深まる仕組みとなっている。 特にゲーム版に同梱されるOVAはゲームと同じ時間軸での「リアル世界」の事件を描いたものとして、 リアルが描かれないゲーム版と対をなした構造になっている。(残念ながらゲームのベスト版には同梱OVAは付属していないのだが) 「The World」は数年毎にバージョン(リビジョン)を更新しているという設定があり、 .hackシリーズは「どのバージョンの”The World”を舞台にしてるか」でシリーズを大別することができる。 -fragment(作中世界の2007年5月から8月にベータ版として運営) -The World R:1(作中世界の2007年12月24日から2015年に運営) -The World R:2(作中世界の2015年12月24日から2018年に運営) -The World R:X(作中世界の2020年から2024年に運営) -THE WORLD FORCE:ERA(作中世界の2024年3月21日以降に運営) -VERSUS:The World(作中世界の2025年以降に運営。FORCE:ERAとは別のオンラインゲーム) **登場キャラクター ***・カイト 初代ゲーム「.hack Vol.1~4」の主人公。「カイト」はハンドルネームであり、本名ではない。 本人自身は何の特殊能力も無いごく一般的な男子中学生。 「The World」では二本の剣で戦う「双剣士」という職業のPC(プレイヤー・キャラクター)を使う。 友人に誘われて始めたオンラインゲームが、彼を巨大な事件へ巻き込む事になった。 必殺技として採用されている「データドレイン」とは、彼がその事件で手に入れた ゲームの仕様外の道具(いわゆるチートアイテム)で発動する技であり、対象のプログラム的な障壁を打ち崩し、吸収・破壊する能力を備えている。 ちなみに、通常時は不可視だが見た目はワイヤーフレームや結晶体で形作られた「腕輪」であり、データドレイン使用時に変形・巨大化する。 後のシリーズでも主人公の仲間や敵として登場し、.hackシリーズを全体を代表するキャラとなっている。 #region(以下ネタバレ注意) 第二シリーズ(R:2系列)以降に登場する「カイト」と呼ばれるキャラは、「カイトとそっくりのキャラを別の人が演じている」「実はカイトのキャラデータを再現したAI」だったりして、 本物のカイトとは厳密には別キャラである。 特に第二シリーズ以降に出てくるカイトの得意技である「蒼炎」や「三爪炎痕」などの炎系のスキルは、初代.hackのカイトは使用できない。 しかし、シリーズ全体を通してみると「カイト」というキャラが使う技は炎系という印象が強くついてしまっている。 PXZのカイトは全シリーズの技を使用するが、時系列はディレクターの松山氏によると「Vol.1~4の直後」に当たるようだ。 #endregion cv:相田さやか ***・ブラックローズ カイトの友人となる女性。ビキニアーマーをつけた戦士という扇情的な出で立ちをしているが、 その姿はオンラインゲーム「The World」の中であらかじめ用意されたグラフィックであり、 リアルのプレイヤーの外見とはあまり関係がない。(このことは.hackの全てのキャラクターにいえることでもある) リアルの本人は一般的な女子高生(テニス部所属の一年)として生活している。異性から告白された事も何度か有るようだ。 本来はネットゲームなどには縁の無い体育会系女子だったが、彼女の弟がある事件に巻き込まれた事をきっかけに「The World」にログインし、カイトと出会った。 ちなみに彼女の弟はカイトと同じくらいの年で、劇中まるでカイトの姉のように彼の背中を押し続けるが、 ブラックローズ自身はまさかカイトが年下とは思ってなかったらしい。 余談ではあるが、カイトと比較して続編以降の登場が非常に少ない。 cv:浅野真澄 ***・スケィス 初代ゲーム「.hack」の Vol.1ディスクにおけるボスキャラ。二つ名は「死の恐怖」。 カイトの親友オルカ、ブラックローズの実弟カズをはじめ、幾人もの人間を「未帰還者」に追いやった存在であり、 「蒼海のオルカ」の異名をとる熟練プレイヤーのオルカですら、まともに戦う事さえ出来なかった仕様外モンスター。 手にした身の丈もある巨大なケルト十字の杖と多様な攻撃呪紋で、二つ名に恥じぬ圧倒的な攻撃力で敵対者を殲滅する。 また、カイトと同じく「データドレイン」の能力も有し、ある目的の為「The World」の各所を放浪している。 「The World」のモデルとなった架空のネット叙事詩「黄昏の碑文」に記された、 世界の終わりの先駆けたる「禍々しき波」の一相がスケィスのモンスターデザインのモチーフになっている。 #region(以下核心に触れるネタバレ注意) その正体はブラックボックスになっている「The World」の基盤システムである「モルガナ・モード・ゴン」の化身であり モルガナが未帰還者PC「楚良」を改造して生み出した存在。つまりは人間の精神そのものをコンピュータに取り込んで作り上げた神殺しの神の力。 ある意味では仕様外どころか、システムそのものが新たに生み出したプログラムともいえる。 The Worldの開発者ハロルド・ヒューイックにより究極AIを生み出す役割を持たされた、ユーザーの思考サンプリングシステムでもあったモルガナは、 その役割を完遂した後の、自身の消滅を恐れる自己保存の本能に目覚めるも、究極AIの誕生を止める事が出来ないため、 自分であり自分ではない存在を作り出し、究極AI=新しい神の抹殺を図った。この創造主すら予測し得なかった地母神による子殺しの神話が、初代.hackにおける事件の発端である。 自身の存在意味を自身が否定してしまっている自己矛盾の無限ループが「The World」を中心に全世界のネットワークに多大な過負荷をかけており、 「The World」の変異が進む毎に現実での事故が勃発するのはこの為である。 スケィスは目的達成にほぼ成功したものの、自身と同じ能力を身に着けたカイトとの因縁の対決に敗れ、ネットの海にデータとして消えてしまった。 だがスケィスの中核データである「モルガナ因子(通称:碑文)」は完全に消滅した訳ではなく、この戦いの7年後、生まれ変わった「世界」に再び現れる事になる。 #endregion PXZでも敵キャラクターとして参戦。ボスキャラとしての活躍が期待される。 ***・アウラ オンラインゲーム「The World」で都市伝説の様に存在が噂されるキャラクター。 一度はスケィスにより破壊されデータの塵となりかけたが、カイト達の手で再生される。 彼女のプログラムには「The World」の開発スタッフも関われない特殊な存在であり、 彼女自身もまた仕様外のプログラムを操り、「The World」を影から支えてきた。 カイトが持っている「腕輪」も彼女が作り出した「黄昏の書」によりもたらされた、神をも打倒する力である。 だが、完全なる誕生を行う前にその力を発揮した対価が、「The World」に更なる歪みを与えることになる。 #region(以下核心に触れるネタバレ注意) その正体はゲームの制作者「ハロルド・ヒューイック」が作りだした人と同じように思考し、進化し続ける究極のAI。 ハロルドは愛する女性を失った悲しみを、その女性が書いた物語をゲームで再現し、ゲームの中で一つの生命とも言える存在を作りだす事で埋めようとした。 いわばハロルドと女性との疑似的な赤子であり、自らの世界であるゲーム「The World」の守護を絶対的に運命付けられた存在である。 オンラインゲームを揺り篭にしたのは、正にしろ負にしろ不特定多数の人間の感情をデータとして収集する為に最適だったためである。 原作では最後に自己犠牲を学び、自身も母と共に一度消滅し、世界に再誕した。 R2以降では最低限の干渉にとどめたり、なまじ力が強過ぎる為に暴走させられたりと、中々激動の人生を歩んでいる。 生まれてから何人もの人間と交流を持ったが、その中でもとりわけカイトを非常に頼りにしており、彼女が生み出したデバックプログラム「三葬騎士」は 彼女が思う最強の姿、.hackersの蒼炎のカイト・蒼天のバルムンク・蒼海のオルカからなる「三蒼騎士」の姿・思考・戦闘力をモデルにしている。 また、「三葬騎士」の好みの女性を自分にするなど、妙に茶目っ気がある所も見受けられる。 #endregion PXZではイベントシーンのみの登場となる。 cv:坂本真綾 **その他 -原作での2005年末に、第一次ネットワーククライシスが発生し、既存のOSは全てこの時のウィルスによって致命的なダメージを負い、世界的な大問題になった。 --このウィルスに唯一耐え切ったOS「Altimit」がその後世界標準になり、作中だとあらゆるパソコンが「Altimit」で稼動している。 -「The World」は設定上はHMDという眼鏡またはヘルメット型のデバイスを通してリアルな仮想現実空間を体験できるゲームということになっている。 --キャラクターの四肢を自由自在に動かし、顔の表情まで自在に変えられている作中の描写からはとても信じられないが、一応コントローラーを握って操作してるらしい。 --そのリアルさは、続編にて主人公達が一時的に五感をゲーム内に取り込まれてもしばらく気づかないほど。 --PVでカイトが言っている「未帰還者」とは、ゲーム中に意識不明になって目覚めなくなってしまったプレイヤーのこと。未帰還者になってしまったプレイヤーの意識はゲーム内に閉じ込められており、ゲーム内で未帰還者の魂を解放しない限りはリアルの肉体は決して目覚めることはない。このような怪奇現象を起こせるのはこの世界では「The World」のみであり、「未帰還者」に関する謎に立ち向かうことはシリーズ全体を貫く柱にもなっている。 -公式サイトでカイトが発する「夕暮れ竜の加護があらんことを!」という言葉は、「The World」のモデルである架空のネット叙事詩「黄昏の碑文」を踏まえたもの。モルガナ八相のモデルでもある、「禍々しき波」により滅びゆく世界を救うために主人公のサヤが夕暮れ竜(トワイライト・ドラゴン)の元を目指す、という筋書きから。 -カイトが持つ腕輪の力で、カイト及び彼のパーティーメンバーのPCには非常に強力なプロテクトが組み込まれており、生半可なウイルス侵食や運営からのアカウント停止・剥奪行為が効かないようになっている。 --スケィスなどが放つデータドレインが直撃しても、未帰還者にならないのはこの為。 -「.hackers」とは正しくは第二次ネットワーククライシス(つまりは.hack本編)に立ち向かった全ての人達に与えられた称号であり、後世ではもっと簡略化され、「The World」の異変に立ち向かった伝説のパーティーという扱いになっている。 --一般的に知られているのがリーダーであるカイトとその相棒ブラックローズのみで、その他にどんなメンバーがいるかはほとんど知られていない。これはプレイヤーによって誰を活躍させたのかが異なるため。 -アウラが言っている「リアルデジタライズ」とは、人間を電脳空間内に取り込む技術の事で、彼女の実質的な父親ハロルド・ヒューイックが実証し、その後研究が続けられた。 --この用語自体は、三作目である「.hack//Link」が初登場である。 --未帰還者と違って現実に戻る事自体は容易ではあるのだが、現実世界からの操作が必須。 --しかも人間の肉体が電脳世界に適応出来ない為、多大な後遺症や最悪耐え切れずにデータの海へ拡散消滅してしまう為、研究は頭打ちに近い状態になっている。 **シリーズ一覧 -ゲーム --R:1 ---.hack Vol.1 感染拡大 (2002 PS2) ---.hack Vol.2 悪性変異 (2002 PS2) ---.hack Vol.3 侵食汚染 Vol.3 (2002 PS2) ---.hack Vol.4 絶対包囲 Vol.4 (2003 PS2) ---.hack//fragment (2005 PS2) --R:2 ---.hack//G.U. Vol.1 再誕 (2006 PS2) ---.hack//G.U. Vol.2 君想フ声 (2006 PS2) ---.hack//G.U. Vol.3 歩くような速さで (2007 PS2) --R:X ---.hack//Link (2010 PSP) --VERSUS ---.hack//Versus (2012 PS3) -アニメ --R:1 ---.hack//SIGN (2002 TVシリーズ) ----.hack//Integration (SIGN28話「Unison」収録のBOX) ----.hack//GIFT (ゲーム「.hack」全巻購入特典) ---.hack//Liminality (2002-2003 ゲーム「.hack」同梱OVAシリーズ) ---.hack//黄昏の腕輪伝説 (2003 TVシリーズ) --R:2 ---.hack//Roots (2006 TVシリーズ) ---.hack//Returner (ゲーム「.hack//G.U.」全巻購入特典) ---.hack//G.U. TRILOGY (2008 OVA) --R:X ---.hack//Quantum (2011 OVAシリーズ) --FORCE:ERA ---ドットハック セカイの向こうに (2012 劇場公開) ---タナトスレポート (2012 ゲーム「.hack//Versus」同梱OVA) -小説 --fragment ---.hack//黄昏の碑文 --R:1 ---.hack//AI buster ---.hack//ZERO ---.hack//Another Birth もうひとつの誕生 ---.hack//Legacy --R:2 ---.hack//CELL ---.hack//G.U. --R:X ---.hack//Quantum 心ノ双子 -漫画 --R:1 ---.hack//黄昏の腕輪伝説 --R:2 ---.hack//GnU ---.hack//G.U.+ ---.hack//Alcor 破軍の序曲 ---.hack//XXXX ---.hack//4koma --R:X ---.hack//Link 黄昏の騎士団 ---.hack//Quantum I(introduction) ---.hack//Quantum+ --FORCE:ERA ---ドットハック SORA:セカイの向こうに