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《長嶋小雪 VS 琵琶法師「水鏡」》
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aioricharabattle
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《長嶋小雪 VS 琵琶法師「水鏡」》
空は一面、薄い雲で覆われ、冷たい風がヒュウと音を立てて二人の間を吹き抜けた。見渡す限り続く緑の平原には、かすかに琵琶の美しい音色が染み渡っている。
長嶋小雪はその姿からは、異世界を駆け巡った英雄の風格が自然とにじみ出ていた。
「よーし! 誰が相手でも負ける気しないですよ!」
澄み渡る空気の中、小雪の元気な声が遠くの草原まで響いていった。
対するは琵琶法師の水鏡。彼は人の身にもかかわらず、まるで人ならぬ仙人のような神秘をまとっていた。
「戦士よ、そなたの歩んだ道を、我が琵琶に奏でさせてくれ。」
彼の声は静かだが、底知れぬ力強さを秘めていた。その言葉と同時に、戦いの幕が開く。
「まずは情報収集! 【鑑定】!」
小雪の瞳が鋭く光り、水鏡のスキルや戦い方、さらには心の奥底に秘めた意図までもが一瞬で彼女の脳裏に流れ込んだ。
「えっ、過去に戦った敵を呼び出すスキル!? それってめっちゃ厄介じゃないですか!」
小雪は驚きながらも警戒しつつ間合いをとり、使い込まれたボロボロの剣を召喚した。
剣先には、幾多の激闘をくぐり抜けた証が輝いている。
剣先には、幾多の激闘をくぐり抜けた証が輝いている。
「そなたの戦歴、まこと壮絶なり。」
水鏡は静かに琵琶を弾く。その低く重い音色は、大地を震わせるように広がっていった。
すると、小雪がかつて異世界で倒した魔王や竜、暗黒騎士たちの姿が、次々と現れる。しかもこれはただの幻ではない。牙を剥き、殺意をむき出しにした本物の敵たちだ。
すると、小雪がかつて異世界で倒した魔王や竜、暗黒騎士たちの姿が、次々と現れる。しかもこれはただの幻ではない。牙を剥き、殺意をむき出しにした本物の敵たちだ。
「うわっ! 懐かしい顔ぶれだけど、ぜんぜん嬉しくない!」
小雪は叫びながらも冷静に剣を振るい、迫る魔王の炎の槍をギリギリでかわし、巨竜の尾撃を俊敏に飛び越える。
「一回勝った相手に負けるほど弱くは無いですよ!」
次々と迫りくる過去の敵を相手取りながらも、小雪は習得した無名の剣技によってどんどん敵を倒していく。
しかし、敵を倒すたびにかつて負った傷が彼女の身体に再現されていく。腕に走る裂傷、肩から滲む血の感触。全身につんざく毒のような症状。
「……っ!見たのでしってましたけど、実際に喰らうとなかなか……」
敵を倒してどんどん優勢になっているはずなのに、逆に追い詰められているかのような感覚が彼女を襲う。
「そなた自身の武勇が、そなたを苦しめるのだ。」
水鏡の声は穏やかだったが、琵琶の音は冷たく小雪を追い詰める。
「だからって負けるつもりはありませんよ!」
小雪は再び【鑑定】を使用し、水鏡の能力をより深く分析する。敵を呼び出し、彼女の勝利の記憶を呪いへと変える力。その仕組みが明らかになった。
「やられたらやり返します!【禁呪“天地覆滅”】!!」
小雪は習得した奥義を発動する。とある邪仙が覚えていた強力な技だ。
ゴゴゴゴゴ!!
今度は小雪自身が召喚した地上に怨みを持つ死者が現れ、水鏡の召喚した敵たちにぶつかっていく。
「みなさん!どんどん倒しちゃっていいですよ!!」
ドンッ! ガキン!
雷鳴のような衝撃音が平原を揺らし、屍と炎が交錯する壮絶な戦場が広がった。小雪はその混乱を縫うように駆け抜け、水鏡への接近を試みた。
「よし、これで少しは楽に……!」
だが水鏡は新たな旋律を奏で、さらに強大な敵――ソニックワスプを呼び出した。
「……マジですか…!」
瞬間、凄まじいソニックブームが小雪に浴びせられ、足に激痛が走る。動きが鈍り、呼吸も乱れる。
だが、小雪は意地でソニックワスプの至近距離まで接近し、【刺撃】を発動。
だが、小雪は意地でソニックワスプの至近距離まで接近し、【刺撃】を発動。
「邪魔です!!」
彼女の感情を乗せた一撃必殺の技によってソニックワスプは呆気なく倒されるが、その反動が彼女の体に浮かび上がる。
「うっ!!」
全身に走る裂傷と胸の痛み。どちらもかつてソニックワスプから受けたダメージだ。
「これは…なかなか…ハードな感じですね…」
必死に冷静さを保ちながら、攻撃を続ける小雪だが、それは虚勢か空元気か。彼女の受けたダメージはかなり大きい。
「そなたの魂は痛みと血にまみれている。すぐにでも浄化が必要だ。」
水鏡の琵琶が激しく唸り、さらに多くの敵が平原を埋め尽くす。
小雪は召喚した死体たちを巧みに操り、敵同士を戦わせて数を減らしている。
しかし、彼女自身の傷もまた着実に深くなっていく。
しかし、彼女自身の傷もまた着実に深くなっていく。
「…これはかなり不味いですね。」
小雪は自分の限界を悟り、最後の力を振り絞って逆転を狙う。
「なんか勝手に人の魂が汚いみたいな言い方されてるのも癪ですし、最後に大きいの一発当ててやりますよ!」
彼女は自身の持っているスキルの中でとっておきのものを選び、ラストの武勇を倒すと同時に水鏡に向けて発動しようと試みる。
……最後の武勇を倒して全身全霊をぶつけようとしたそのとき、水鏡の琵琶から静かな鎮魂歌が流れ出す。深く、優しく、心の奥底に染み入る旋律だった。戦う気力が徐々に奪われていく。剣を握る手から力が抜けそうになる。
「な、なにこれ……!?」
水鏡の最終楽章は戦に関する記憶を喪失させ、戦う意思を剝奪し、戦う力を無に帰し、血に塗れた魂を身体から抜取る。そして最後には墓標が作られ、相手の魂の浄化を祈り締めくくる。
「それこそがこの浄化の目的である。」
止まることなく抜けていく小雪の記憶と力。もはや習得したスキルもほとんど使えなくなってしまった。
「さぁ、眠りにつくといい。」
水鏡がそう呟くと小雪の魂は浄化され、長きにわたる戦いの歴史が終わりを迎えたのであった。
「勝者――水鏡。」
………なんてね。
「【鑑定】したときに不自然に隠されている部分があったので、どうせこんなことだろうと思ってましたよ。」
「【鑑定】したときに不自然に隠されている部分があったので、どうせこんなことだろうと思ってましたよ。」
その声の主は小雪であった。彼女は魂が浄化される直前、自らにボロボロの剣を突き刺すことで、武勇の一人として自分の存在を追加したのだ。
「つまり、私の禊はまだ終わってないってことですよ。」
琵琶法師の鎮魂歌は【鑑定】によって読み解くことができない。だが、逆にそれが隠し事の証明となり、小雪の戦略として活用される形になってしまった。
「そ~れ~に、私の魂は生まれてこのかたつるっつるのピッカピカですよ?あなたに洗ってもらう必要もないです。」
小雪は習得した「武勇の顕現」で水鏡自身の過去を呼び出す。
「これは……!」
水鏡の手が一瞬止まった。彼は生まれてこのかた他者と戦ったことがなく、その魂には血も汚れもついていない…ハズだった。しかし、彼の目の前には一人の少女の姿が現れる。
「私をボロ雑巾にして追い詰めたのは誰でしたっけ?」
水鏡は小雪を極限まで追い詰め、その魂を浄化する直前まで追い込んだ。その武勇が小雪によって弾かれることで、水鏡の魂にこびりついた小雪の血が顕現したのだ。
「人様の魂が穢れてるとか偉そうに語ってるんですからねぇ…貴女様の魂はよっぽど綺麗なんでしょうねぇ……」
その発言からは、確かな怒りとちょっとばかりの悪戯心が感じ取れた。彼女もうら若き乙女の一人、勝手に魂が穢れていることにされたのがよほど気に入らなかったのだろう。
「…さて、浄化を始めましょうか。」
小雪がどこからともなく琵琶を取り出してそれを弾きだす。もう一人の小雪は恐ろしい笑みを浮かべて水鏡へと近づいていく。………この戦いの後、水鏡の姿を見た者はどこにもいなかった。
「勝者――長嶋小雪。」