あにまん民のオリキャラ同士をAIの力を借りて戦わせるスレ @ ウィキ
《逃幻恐 ジンシェンシュン VS 月代周》
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aioricharabattle
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《逃幻恐 ジンシェンシュン VS 月代周》
黒雲が空を覆い、風も鳴かず、ただ沈黙が大地を這っていた。
そこに二つの影が対峙していた。
一つは、道袍をまとい、口から上を自ら削ぎ落とした異形の仙——逃幻恐・ジンシェンシュン。
その身体からはもはや人の温度は感じられず、周囲に漂う気配はただただ「恐怖」だった。
「……恐い、恐い……全てが、恐ろしい。」
呻くような声が喉の奥で鳴った。
その空間はすでに彼の術式《投源狂》によって満たされ、常人ならばとっくに狂気に呑まれ膝を折る。
その空間はすでに彼の術式《投源狂》によって満たされ、常人ならばとっくに狂気に呑まれ膝を折る。
木の葉が揺れる音さえも、鋭く突き刺さる恐怖の刃となる異常空間。
濃霧のように漂う精神汚染が空間の輪郭をぼやかし、まるでこの世そのものが彼の恐怖によって塗り替えられていくようだった。
しかし、対する男は笑っていた。
「うへえ……またヘンなのに当たったなぁ。でも、ま、派手なヤツの方が稼げるってね。」
月代 周。かつては剣の天才、今は放浪する戦闘狂。
口元には飄々とした笑みを浮かべながら、すでに腰を低く、足元を固めていた。
口元には飄々とした笑みを浮かべながら、すでに腰を低く、足元を固めていた。
「じゃ、行こうか? ワクワクするじゃん?」
バチンッ!
雷鳴にも似た一閃。それは天地を劈くような衝撃音とともに走り、周の足が地を蹴ると、空気が一瞬だけ震えた。
同時に、彼の能力が起動する。
《時間圧縮打撃》
拳を振る瞬間、着弾点の時間が刹那だけ巻き戻され、わずかな時間差をもって再び打撃が重なる。
結果、対象には“同時に”二発分の衝撃が襲いかかる。
ゴンゴンッ!
「ぐあっ……!」
ジンシェンシュンの身体がぐらりと揺れる。
それは単なる一撃ではなかった。時間を跨ぐ暴力が、肉体と魂を同時に殴打したのだ。
それは単なる一撃ではなかった。時間を跨ぐ暴力が、肉体と魂を同時に殴打したのだ。
その瞬間、周の姿が掻き消える。いや、違う。彼は既に背後へと回り込んでいた。連撃の意志が、風の速度を凌駕していた。
拳が空気を裂く。鋭く、しなやかに、舞うような軌道で振るわれた拳が、次なる一撃の訪れを告げる風音を生む。
「一発キメた。さて、次の能力は?」
目に見えぬ力が、彼の皮膚を一瞬だけ這った。
《空間粘着》
「へえ……触れたとこに張りつく力、ね。うん、面白い!」
彼の唇が愉悦に歪む。能力の効果を直感で読み取り、どう使うかを即座に想像する。
だが——
「見えた。」
ジンシェンシュンの《遠元凶》が作動した。
その恐怖心が空間全体を把握し、攻撃の起こりを感知する。
拳が動く直前に、彼の身体は既にそこから後退していた。
拳が動く直前に、彼の身体は既にそこから後退していた。
脳ではなく、恐怖そのものが反射する、まるで未来予知に等しい回避。
ジンシェンシュンの反撃は、恐怖そのものが具現化するように始まった。
「……《統玄境》。」
その言葉と同時、空間が震え、世界の軸が一瞬ずれたかのような違和感が辺りを満たす。
ジンシェンシュンの喉奥、削がれた口腔から、黒く濁った靄が漏れ出し、それが霧のように宙に漂う。
やがてその霧は螺旋を描きながら凝固し、異形の腕となって現れた。
やがてその霧は螺旋を描きながら凝固し、異形の腕となって現れた。
シュシュシュッ!
腕は一本ではない。十、二十と増殖し、天に向かって伸び上がる触手のごとく空を裂き、地を穿つ。
その一本一本が生物の断末魔を宿しており、呻き声、叫び声、嘆き声が入り混じり、地獄の合唱となって響いた。
その一本一本が生物の断末魔を宿しており、呻き声、叫び声、嘆き声が入り混じり、地獄の合唱となって響いた。
「こ……れは、かつて……取り込んだ者たち……」
ジンシェンシュンの肉体が震え、無数の魂の力を媒介としてその異形の攻撃が振るわれる。
ドゴォォンッ!!バシュッ!!
腕の一本が地を叩くだけで、地面が波打ち、術式の痕跡が走る。別の腕は空を抉り、そこに存在していたはずの空気すら断裂させた。
それはまさに——幽世の顕現。
ジンシェンシュン自身の恐怖が作り出した内界から、理の外側にある力を引きずり出し、この世に存在してはならない理不尽の断片を振るう。その光景は、人智の外にあるものの暴走だった。
生きたまま喰われ、魂ごと支配された存在の断末魔。皮膚の下を這う血管のように歪み、うごめく肉の蔓。 その一本一本が異能を持ち、触れれば即死にも等しい呪詛を孕んでいる。
「げっ、気持ちわりぃ……でも、それってつまり、弱点だよね?」
周の拳が、蠢く異形の腕の関節部を正確に捉える。
バギィンッ!!
骨の砕ける感触とともに、腕の一本が爆ぜるように潰える。その瞬間、空間に漂っていた狂気の濃度が、わずかに緩んだ。
《異質耐性》
発現した能力が、ジンシェンシュンの恐怖を帯びた術式を無力化していく。精神を侵す呪的な圧迫すら、今の周には届かない。視界を覆う幻影も、耳を蝕む囁きも、すべて霧のように消え去る。
「やっぱ、運いいな、今日のオレ!」
軽口とともに、周の目がぎらつく。冴えた視線は次なる獲物へと注がれ、動きの一手先を読むかのような余裕がそこにある。
「……来るな……来るな来るな来るな……ッ!」
ジンシェンシュンの叫びは、理性を欠いた哀願の音に近かった。
だが、その恐怖が引き金となるように、口腔から新たな災厄が飛び出す。
だが、その恐怖が引き金となるように、口腔から新たな災厄が飛び出す。
ズオォォンッ!!
霊獣の頭部が、黒濁する闇の中から飛び出すように出現した。濁った眼窩には深紅の呪紋が浮かび、見る者の精神を蝕むような圧迫感が空間全体に広がる。その巨大な顎は、まるでこの世の理を噛み砕く災厄の象徴。咆哮とともに口を開いた瞬間、大地が呻き、空間が軋んだ。
霊獣はまるで意志を持った呪力そのものであり、その身一つで術式を無力化する呑み込みの能力を有していた。
その巨躯が周へと迫り、次々と繰り出される顎の一撃は、まさに避け得ぬ運命の鉄槌だった。
その巨躯が周へと迫り、次々と繰り出される顎の一撃は、まさに避け得ぬ運命の鉄槌だった。
ズゴォォン!!
「クソッ……マジで洒落になんねぇって……!」
周は読みで何とか攻撃を回避し、歯を食いしばりながら後退する。
しかし霊獣の動きは止まらない。異形の腕をすり抜け、巨体が周の視界を埋め尽くす。
しかし霊獣の動きは止まらない。異形の腕をすり抜け、巨体が周の視界を埋め尽くす。
ズガァンッ!!
巨体の一撃が避けきれずに直撃する寸前——周の脳裏に電撃のような感覚が走る。
何かが内奥から湧き上がり、皮膚を突き破るようにして意識へと浸透した。
何かが内奥から湧き上がり、皮膚を突き破るようにして意識へと浸透した。
《多重身体強化》。
その言葉が頭に浮かんだ瞬間、周の筋肉が爆発的に膨張し、視界が一気にクリアになる。
身体能力が一挙に高まり、限界を超えた反応速度が発現する。
身体能力が一挙に高まり、限界を超えた反応速度が発現する。
「いいねえ……そうこなくっちゃ!」
ズバッ!
霊獣の咆哮をかいくぐり、周の拳がまっすぐに伸びた。
バキィィン!!
霊獣の眼窩を撃ち抜く。そこには呪紋の核が潜んでいた。砕けた瞬間、呪力の奔流が爆ぜ、空間に激震が走る。
「ガアアアアアッ!!!」
霊獣が後退する。その隙を逃すまいと、周は次の一撃へと身を滑らせる。
「はいはい、黙っとけっての!」
ズガァァンッ!!
周の膝が跳ね上がり、霊獣の顎へ炸裂。肉が裂け、骨が砕け、霊気の奔流が四散する。
「ガァァァ!!」
霊獣のうめき声が響き渡るが、それでも彼の体は止まらない。続く拳が、踵が、肩が——連撃となって嵐のごとく叩きつけられ、霊獣は完全に消え去った。
だがしかし、それでもまだまだ彼は止まらない。
だがしかし、それでもまだまだ彼は止まらない。
バキンッ! ドゴォンッ! メキィッ!
次々と放たれる凄まじい攻撃にジンシェンシュンの肉体はもはや形を保てず、崩れゆく瓦礫のように口から《統玄境》の霧と残骸を吐き出す。
空を裂いていた異形の腕も、次々と崩壊し始めた。そのたびに、封じ込められていた魂が断末魔を叫びながら空へと解放されていく。
まるで罪から救済されたように——
「そういうつまんない感情に左右されてっから負けんだよ!」
ドシュッ。
最後の一撃、心臓への拳。ジンシェンシュンの身体がぐらりと傾き、その場に崩れ落ちる。
「勝者―月代 周。」