あにまん民のオリキャラ同士をAIの力を借りて戦わせるスレ @ ウィキ
《【シロハネ】 VS 《黑云(ヘイユン)》》
最終更新:
aioricharabattle
-
view
《【シロハネ】 VS 《黑云(ヘイユン)》》
真昼の平原に、風が吹く。
何もない大地。影も、遮るものもない。だからこそ、そこに生まれるものは全て純粋で、否応なしに際立つ。
その大地に、二つの気配が交わる。
「はーい、主役の登場だよ。」
乾いた土を蹴って、白い影がふわりと舞い上がる。
シロハネ。包帯を幾重にも巻きつけたその姿は、まるで儀式に臨む道化。快楽と狂気、殺意と芸術を混濁させた一つの生き物。
陽光が包帯に反射し、白はただの色ではなく、感情の渦そのものとなって視界に揺らめく。
その包帯はただの布ではなく、意志を持つ触手のように、シロハネの動きに呼応して舞い、踊り、敵を魅了し惑わせる。
「さあ、踊ろう。痛みも快楽も、今日は全部、君とシェアしてあげる。」
カラン――
乾いた音と共に、彼の足元から包帯が鋭い鞭のように跳ね上がり、空を裂く音を伴って振るわれる。
「……。」
その白に対し、応じる影は静かすぎるほどに沈黙する。
黑云。
黑云。
まるで最初からそこにいたかのように、草も生えぬ大地に溶け込んでいた。
呼吸すら感じさせぬほどの気配の薄さ。空気すら彼を避けるかのように流れを変え、まさに“認識できない存在”そのもの。
シロハネの包帯が地を穿ち、爆ぜた砂煙が風に乗って舞う。
その視界の先には、何もいない。
その視界の先には、何もいない。
「あれぇ? 幻でも見てたのかな。」
言葉の裏にあるのは嘲笑か、それとも興奮か。シロハネの唇が歪む。嗜虐的な喜悦がその口角を引き上げ、目は獲物を見つけた獣のように鋭く光る。
包帯の先が静かにうねり、今や空間そのものを踊り場と化すかのように、舞の構えを取る。
「ふふん、反応が薄い子ほど、反応させたくなるってもんさ。」
バシュッ!
次の瞬間、地を這い、空を裂くようにして四方八方から包帯が疾走する。長鞭のようにしなやかにしなり、突風のように駆け抜ける。
縦横無尽に踊るそれらは、すでに目標を“捕らえた”かのような完璧な布陣。
しかし。
スッ――
空気が波打ち、歪む。肉眼では追えぬ刹那の変化。切断された包帯が、まるで無力な蛇のように宙を漂い、はらはらと落ちる。
その瞬間、シロハネの眼が大きく見開かれた。驚愕と興奮が入り混じる。
その瞬間、シロハネの眼が大きく見開かれた。驚愕と興奮が入り混じる。
「……へえ、よく切れるね。」
その視界の端で、淡く揺らぐ黒が滑るように横切る。氣配は極小、だが確かな殺意だけが空気に沈殿するように漂う。沈黙を貫いたまま、その影は四本の短剣を帯び、砂の上を音もなく歩む。
影の輪郭は曖昧で、まるで世界そのものが彼を拒絶しているかのようだ。
しかし、そんな彼であっても全ての包帯を対処できたわけではなかった。
バシッ!
包帯が音を立ててガッシリと絡みつく。
ズバッ!
無音のまま、包帯が切断された。布が裂けた感触も、引き千切られた抵抗もない。ただ、空間そのものがすっと切断されたような違和感が残る。
それはまるで、そこに何もなかったかのように淡く、それでいて確かに存在を否定する一閃。残されたのは宙を舞う白布の残骸と、鋭く漂う殺気のみ。
「君、痛みって知ってる? 味わったこと、ある?」
シロハネが笑う。目尻が吊り上がり、頬にかすかな紅潮が差す。
ギチギチギチ……
束ねられた包帯が、軋む音を立てながら生き物のようにうねり始める。呼吸に合わせて脈動し、意志を持つかのように動くその様は、もはや布ではなかった。
それは大蛇のように地を這い、獲物を追い、捕らえ、絡め、喰らう。
それは大蛇のように地を這い、獲物を追い、捕らえ、絡め、喰らう。
「白痕の抱擁――さあ、踊れよ!」
声と同時に、包帯の束が一斉に地を駆けた。巻きつき、締めつけ、纏わりつく動きは優雅でありながら獰猛。視界を埋め尽くす白。生き物のように蠢く包帯が四方から黑云を取り囲み、わずかな隙間すら逃がさぬように封鎖していく。
ガンッ!
鋭い金属音が響き、火花が散る。空気が一瞬凍りつき、包帯の一部が震えたように弾かれる。
「なっ……」
包帯の束の一端に、明確な損傷――否、それ以上の“激痛”が走った。切断とは異なる。そこにあったのは、黒く焼け焦げたような腐蝕、ただの物理的な損壊ではなく、触れた瞬間に内奥へと侵食する呪詛のような感覚。
まるで包帯自体が毒を吸い上げ、毒素を体内へと送り込まれるように、熱と痛みが広がる。その感覚は布であるはずの存在に「神経」があるかのような錯覚を呼び起こし、激しく痙攣しながら包帯が震え跳ねる。
掠めただけだ。ほんの一閃、黑云の短剣がわずかに接触しただけで、そこには拒絶すら不可能な“死”が刻印された。
そして、斬られた箇所から逆流するように、包帯に“反応”が返る。
そして、斬られた箇所から逆流するように、包帯に“反応”が返る。
その瞬間、黑云の身体に灼熱が走った。黒く焼け焦げた毒が、包帯を伝って彼の肉体へと侵入した。
「……っ!」
無言のうめき。反射的に跳躍して距離を取り、短剣を持った腕を振り払う。
だが、遅い。
包帯が触れた左腕の一部――手首の内側に、焦げ跡が浮かび上がる。そこは皮膚ではない。意識すら覆う、魂の一部が焼かれたような感覚。
黑云は静かに目を伏せ、呼吸を整える。だが、確かに感じていた。包帯に触れたという、それだけで“死”の兆しが入り込んだことを。
異常なのは、包帯のほうだけではなかった。
「……なるほど、触れれば終わり、か」
シロハネの唇が綻ぶ。嬉々とした喜悦が瞳に宿る。
包帯と包帯、命と命――その一瞬の接触こそが、互いにとっての致命であることを、今まさに理解したのだった。
「っ……あぁ……ッ、いい……!」
シロハネの瞳が輝きを増す。
その足元、驚愕と陶酔の中。四怯器。その一本、肆の短剣が、突如としてシロハネの脇腹に突き刺さる。
ズブリ。
「――っ、あああ……いい、いいよ、それ!」
鋭く食い込んだ刃が、肉を裂き、骨の根元にまで到達する。その衝撃に、シロハネの体が小さく跳ねる。鮮血が噴き出し、包帯が瞬く間に真紅に染まっていく。
だが、痛みよりも快楽が勝るその表情は、狂気を孕んで微笑を湛えていた。
「痛い!けど、集中できる。ああ、脳が冴える。今なら、何でもできる!」
ヒュッ!
刹那、赤く染まった包帯が生き物のようにうねり、黑云の腕へと巻きつく。
「つかまえた。」
包帯が腕を這い、毒のような瘴気を注ぎ込む。瞬間、黑云の皮膚が焼けるように黒く変色し、体内に広がる痛覚が波紋のように広がる。
その痕跡は皮膚表面の損傷ではない。魂そのものに触れたかのような侵蝕が、確かな“死”の影を刻む。
その痕跡は皮膚表面の損傷ではない。魂そのものに触れたかのような侵蝕が、確かな“死”の影を刻む。
だが黑云は眉一つ動かさず、静かに次の短剣を抜いた。
壱の短剣。その斬撃。風も音もない一閃。シロハネの右腕が、肩から滑り落ちた。
「えっ?」
気づけない。腕が落ちたことに、感覚すら消えていた。
それでもシロハネは前へ出る。血を流し、笑みを浮かべ、包帯を躍らせ。
それでもシロハネは前へ出る。血を流し、笑みを浮かべ、包帯を躍らせ。
「もっと……もっと踊ってくれないと、僕、満足できないよ!」
ガギンッ!
短剣と短剣が打ち合う。握られるは参の短剣。その斬撃は魂を穿つ。
「……っ、ひ……ひゃ……」
シロハネの包帯が、一瞬、意志を失ったかのように垂れる。
そして弍の短剣。黑云の手に収められた最後の刃が、静かに振るわれる。
そして弍の短剣。黑云の手に収められた最後の刃が、静かに振るわれる。
「君は、最初から、いなかった。」
スパァン。
シロハネの身体が裂け、白が舞い散る。血も、叫びも、残されなかった。
そこにあったはずの舞台が、何事もなかったかのように、ただ静寂の中へ還る。
風が通り過ぎ、舞い散った白がゆっくりと消えていく。
平原は再び無音となり、ただ空だけが見下ろしていた。
「勝者――黑云。」