あにまん民のオリキャラ同士をAIの力を借りて戦わせるスレ @ ウィキ
《シイア VS 齋郷 仁奈》
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aioricharabattle
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《シイア VS 齋郷 仁奈》
平原に立つ二つの影。風は凪ぎ、空にはただ雲が流れていた。陽の光がわずかに射し込み、戦場となる地を照らす。
地を踏む音。土の感触が足元にじんわりと伝わる。
「……よろしくお願いしますね。」
柔らかく微笑む少女、齋郷仁奈。その腰の低い態度からはとても戦場に立つ者とは思えない穏やかさが滲んでいた。肩の力を抜きつつも、瞳には確かな覚悟が宿っている。
対するは、大鎌を肩に担いだ焦茶の髪の女――シイア。陽気な笑みを浮かべ、軽く頭を掻きながら口を開く。
「んじゃ、ぼちぼち始めよっかー。一応言っとくけど私は本気モードでいくよ。凍っちゃうのとかマジ勘弁だからさ。」
仁奈が一歩踏み出した瞬間、その足元が淡く白く変色する。
絶対零度。地表に広がった霜が音もなく草を凍らせ、わずかな足音すらも吸い込むように静寂を呼び込む。
「おっと危ない。」
シイアが即座に反応し、半歩後方へ跳ねて間合いを取る。
風を切る音と共に、大地が凍る速度を読み切った動き。
数多の修羅場を潜ってきた者だけが持つ、研ぎ澄まされた勘だった。
「さて、読み合いの始まりってワケだ。」
口元に笑みを浮かべたシイアは、大鎌・ヴェリプの柄をぎゅっと握り直し、力を籠める。
破滅のオーラが刃の根元から走り、徐々に全体を包み込んでいく。黒と紅のオーラが弧を描くように、宙を割った。
「覇鎌。」
ブゥンッ!!
轟音のような重低音が平原に響く。空気が振動し、不可視の斬撃が仁奈の目前に迫る。
しかし、仁奈は眉一つ動かさずに口元を緩める。
「ふふっ、見えてますよ。」
瞬間、仁奈の周囲の温度がさらに下がり、空気中の水分が結晶化する。凍りついた空気が幾重もの氷壁となり、迫る斬撃を迎え撃つ。
ギィンッ!!
刃が氷に当たり、火花が散るような音が響く。
幾重にも重ねられた氷盾が粉砕し、氷片が四方へ弾け飛ぶ中、仁奈は冷静に次の手を見据えていた。
「おーっと、やるぅ。」
シイアが飛び退いた瞬間、仁奈は冷静に地を蹴り、周囲に散らばった凍結破片の一つを勢いよく蹴り飛ばした。
破片は回転しながら弾丸のごとく飛翔し、シイアの視界に迫る。
破片は回転しながら弾丸のごとく飛翔し、シイアの視界に迫る。
「なるほど、場を制圧する我流制圧術……ってワケか。」
シイアは即座にヴェリプを横薙ぎに振るい、迫る飛氷を切り払う。
刃が氷に触れると同時に、鋭い音を立てて粉砕され、霧のように細かく散っていく。氷片が視界を覆い、その中に微細な空間のゆらぎが生まれる。
「閃鎌。」
シュバッ――!!
霧散した氷片の中から、一閃の光が走る。音もなく、だが確かに疾風のごとく現れたシイアが、神速の斬撃を仁奈へと浴びせる。空気が一瞬凍りつくような緊張感が広がった。
しかしその瞬間、仁奈の右足が静かに地を打った。音もなく氷柱が地面から突き上がり、正確にシイアの進行を逸らす。
「甘いですよ。」
「くぅ~、反応速っ……!」
シイアは体をひねりながら再び地を蹴り、間合いを詰めようとする。
だが足元には常に冷気が流れ、凍土が立ち上がって行く手を阻む。
氷の牙のような地形が自然に形成され、まるで仁奈がすべてを計算していたかのように戦場を制圧していく。
仁奈はただ動かず、その場に立ったまま、凍てつく息を吐いた。凍りついた空気が流れを変え、風すらも鈍くなる。彼女の眼差しはまるで空気すら操るかのような、無慈悲な支配者のそれだった。
「じゃあ……これはどうかなっ!」
「隔鎌!」
ゴゥッ!!
突如として仁奈の背後の空間が揺れた。空気が切り裂かれ、虚空にまるで何かが走ったような気配。
次の瞬間、無から生まれたような斬撃が背後を走り抜けた。見えないはずの鎌の軌道が、確かな殺意をもって空気を切り裂いた。
しかし仁奈は冷静だった。
「そこですよね。」
彼女の声には微かな息遣いが混じっていた。だが、その眼差しは鋭く、冷徹に戦場を見据えている。
仁奈は素早く氷の塊を掴み、足の指先まで神経を研ぎ澄ませた。
「これで……かわすっ!」
全身のバネを使って、氷塊を反対方向へと蹴り飛ばす。氷の塊は高速で回転しながら飛翔し、空気を切り裂くような鋭い音を立てる。
ゴォンッ!!
その瞬間、氷塊の反動によって仁奈の身体が本来の軌道から微妙に逸れる。だが、それは計算済みの動き。
――の、はずだった。
スッ――
「っ……!」
ザシュッ!!
鈍く生々しい衝撃。左肩に熱を帯びた痛みが走る。裂けた布地から赤がじわりとにじみ、白き袂がゆっくりと紅に染まっていく。
「まだ……浅い……っ。」
吐息が凍る。淡い白煙となって空に消えていく中、仁奈は眉をひそめつつも冷静さを失わなかった。
「……なるほど、予測以上の精度ですね。」
その呟きには、相手の技量を認める真摯な響きが宿っていた。
「へぇ……じゃあ、次で終わらせよっか。」
シイアの声が低く響く。ヴェリプが風を裂いて大きく振り上げられる。
「本気の旋鎌流だよっ!!」
ゴォッ!
風が暴れ、土埃と氷片が宙を舞う。刹那、シイアの全身が刃のような気迫を纏い、空間に裂け目のような歪みを刻む。
仁奈はその気配を静かに受け止めるように目を伏せ、胸元に手を添えた。
仁奈はその気配を静かに受け止めるように目を伏せ、胸元に手を添えた。
「なら、こちらも……お相手いたします。」
「OVER FROZEN。」
「OVER FROZEN。」
ザアアアアアア……ッ!!
一瞬にして世界が白に塗り替えられた。吹き荒れる白銀の嵐が、地を穿ち、草を封じ、あらゆる生命の動きを凍てつかせる。空気は凍り、音さえも凍結したかのように沈黙する。その中で、唯一仁奈だけが、まるで時間の外に存在しているかのように、歩を進めた。
シイアの大鎌がその中に飛び込む。
「斬るッ!!」
「凍らせます……!!」
「凍らせます……!!」
バキィィィィンッ!!!!
斬撃と氷嵐が激突し、凄まじい衝撃が周囲を吹き飛ばす。熱気すら失われた中、双方の力が真っ向からぶつかり合う。
ギリギリと音を立てながら、氷と破滅の力が拮抗しあう。
氷嵐の奔流の中、大鎌がうねるように渦を巻き、仁奈の身体を裂かんと押し寄せるが、仁奈もまた凍結の権能で周囲の空気すら武器に変えて応じる。
ズシャアアッ!!
大地が軋み、無数の氷柱と裂けた草地が四散する。二人の姿がその中心からふっと吹き飛ばされ、やがて草原の土に膝を突いた。
――が。
静寂の中、最初に動いたのは、シイアだった。
大きく息を吐き、身体を揺らしながらも、ぐっと右足に力を込めて立ち上がる。全身傷だらけで氷もまとっていたが、瞳だけは獲物を射抜くように冴えている。
大きく息を吐き、身体を揺らしながらも、ぐっと右足に力を込めて立ち上がる。全身傷だらけで氷もまとっていたが、瞳だけは獲物を射抜くように冴えている。
仁奈は微笑んで立ち上がろうとするも、膝が折れ、片手を地に突いた。そのまま、ゆっくりと項垂れる。
「くっ……やっぱり、詰めきれませんでしたか……。」
「はは……でも、いい勝負だったじゃん。」
シイアは肩で息をしながらも笑みを浮かべ、仁奈のもとに歩み寄る。
「アンタ、すげーよ。正直、途中で負けたかと思ったし。」
仁奈は苦笑を浮かべながら頭を下げる。
「こちらこそ……見事でした。お見それしました。」
風が再び、ふたりを包むように草原を撫でた。
「勝者――シイア。」