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第171話~第180話 - (2009/09/07 (月) 08:08:12) のソース

711 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/09/04(金) 01:19:21.32 0
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第171回 

そのことに気付いたのは、朝の勧誘を始めて10分ほど経ったころだった。 
気付いたときには後のまつり。もう、遅かった。 
◆ 
走って生徒会室へ向かう。ダッシュってそういうレベルじゃないくらい速く。 
生徒会室の前に着いて、はぁ、と息をついてガラガラとドアを開けた。 
中には、生徒会役員9名がうちのことをジロっと見た。 

怖い・・・なんだこの空気は。まずいまずよ・・・これは。 
誰も何も言わない、静かな、不気味な空間。 

「すいません!あの・・・えっと・・・忘れてて・・・ごめんなさい!」 

ドアを閉めて、思いっきり頭を下げた。みんなの顔を見たくないのと言うのが 
本音だけどそうもいかず、顔を上げて顔を見ると、はやり 
会長の目線が一番怖く、凍てついていた。 

「忘れてたってそりゃないよ熊井ちゃん」 
会長がすごく怒りながら、でも、ひどく冷静にそう言った。 
怒鳴られるより、よっぽど怖い。 
「ごめんなさい・・・・」 
うちは背中を丸めてごめんなさいとしか言えない。 
非はうちにあるんだ・・・。 

「やっぱだめだねぇ、掛け持ちって」 
「・・・・・・・・」 
「どっちかにしなよ、無理だって」 
会長の容赦ない言葉が心にグサグサと刺さっていく。 


712 :&color(green){&bold{名無し募集中。。。}}:2009/09/04(金) 01:20:01.65 0
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第172回 

「・・・・いや、あの、どっちも頑張ります」 
と言う言葉にも力がなく、自信もなくなっていく。 
「できてないよね、この間の会合だって、途中寝てたもんね」 
「あ、あの、それは・・・」 
・・・確かに、寝てた。朝が早くて・・・寝不足で。 
あれ、やっぱり無理なのかな・・・・う、ううん!できる、できるはず・・・。 

「あんなつまんない部なんてどうでもいいじゃん。どうせ無理なのに頑張っちゃって」 
「そ、そんなことないです!みんな一生懸命に・・・!」 
みんなことをバカにされて私は咄嗟に言い返した。 
「私ああいうの嫌いなんだよねぇ、ばっかみたい」 
「・・・・・・」 
でも、会長は吐き捨てるようにそう言って頬杖をついた。 

「熊井ちゃん忘れないでよ、あなたは全校生徒に信任されたからここにいるの。 
あんなどうでもいい部とどっちが大切か、頭のいい熊井ちゃんならわかると思うけど」 
諭すように、でも、ホントはどうでもいい、そんなニュアンスのこもった言葉。 
「・・・・ど、どっちも大切です!」 
って反論したけれど、次の瞬間、うちは再び固まった。 
「まぁ、いいや。資料出して、時間ない」 
「・・・・あ」 

「熊井ちゃん、今日の会合はあれがないと話にならないんだ。早く」 
今まで黙っていた、会計担当、中島が口を開いた。 
「・・・・ご、ごめん・・・なさい」 
「えぇ?ちょっと熊井ちゃん冗談きっついよ、それ」 
次に口を開いたのは、庶務兼クラスメイトの千奈美だった。 
「・・・すいません、完全に忘れてました・・・・」 


713 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/09/04(金) 01:20:59.63 0
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第173話 

全く覚えていなかった。でも、今は「4日後の朝、必ず持ってきます」と 
みんなに約束したことを思い出していた。 
最悪だ・・・もう、だめだ・・・。 
みんなの視線が痛い。もう、辛すぎてなにかいい訳をする気にもならない。 

「・・・・熊井ちゃん、さっきも言ったけど熊井ちゃんは選ばれてここにいるの。 
やりたくても選挙で落ちた子がたくさんいるの。だから熊井ちゃんには責任があるの。 
それも、副会長っていう私の次に責任がある役職なの。 

・・・ねぇ、それちゃんと理解してんの!!!??」 


冷静な、冷たい声がうちを責める。そして、会長は最後に部屋中に、 
いや廊下に響き渡るであろう大声で私を叱責した。 

「すいません・・・・・すいません・・・・」 

もう謝るしかなくて、散々文芸部ことをなじられたけど全く言い返せなかった。 
言い返す資格なんてない。 
実際、私は両立できていなくてみんなに多大な迷惑をかけた。 
それはつまり、学校全体に迷惑をかけたことにも繋がるんだ。 

それが・・・生徒会役員、副会長って役職なんだ。 
その責任の重さを痛感してまた、自己嫌悪に陥る。 


714 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/09/04(金) 01:23:38.40 0
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第174話 

結局、お昼休み再び集まることになって資料はそれまで作って来いっていうことになった。 
時間は全然ない。でも、やらなきゃ・・・文芸部のことは頭からすっかり消えていて 
資料の中身を考えることで頭はパニックになりそうだった。 

「・・・熊井ちゃん、あの子、愛理ちゃんと付き合うようになってからおかしいよね。 
あの子のせいじゃん、文芸部なんかに入ったのってさ。あんなのやめときな。 
向かないよ熊井ちゃんには。無理無理。」 

お開きになって部屋から出ようとしたとき、入り口付近にいた千奈美がそう言った。 
言うことも、喋り方も会長に似てきた千奈美。 

きっと普段のうちなら顔真っ赤にして怒ったかもしれない。 
でも今はそんなこと言えるわけもなくてそんな元気もなくて・・・・曖昧に笑ってごまかした。 

「茉麻まで巻き込んじゃってさ。熊井ちゃんの居場所はここなんだよ。 
あんな小汚い部室どうでもいいでしょ?」 
「・・・・・そんなこと、ないよ」 
「まぁ・・・資料お願いね。なきゃ話が進まないんだから」 
「うん・・・ごめん、千奈美」 

小さくそう言って、生徒会室を出た。 

教室へ行く途中、愛理に会ったけど話している気分ではなくて 
それよりもしなきゃいけないことがあって、挨拶もそこそこにその場から離れた。 

・・・今日は、最悪のスタートだった。 
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