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第371話~第380話 - (2010/03/13 (土) 22:26:15) のソース
37 :&color(blue){&b(){&u(){名無し募集中。。。}}}:2010/03/11(木) 11:03:30.54 0 第371回 それからしばらくして涙も止まったころ、嗣永は呟いた。 「じゃあ、会長さん、文芸部入ってね」 「へっ?」 「何でもするって言った」 「・・・まぁ、・・・わかった」 「ほんと?」 「ん、うん」 許してくれるなら、なんでもする。そう言ったんだから、入るっきゃない。 …いろいろあった手前、ちょっとあれだけど、もうここは腹くくらなきゃだよね。 「あのさ、」 「ん?」 「もものこと好きなら、」 嗣永は、立ち上がってんーっと背伸びをしてから続けた。 「好きにさせてよね。もも今好きな人いるから、奪ってみせてよ?」 「・・・・わかった」 「お、やる気だね」 「ありがとう」 「なにが?」 「いろいろ」 「いろいろってなに」 「さぁ、ね」 38 :&color(blue){&b(){&u(){名無し募集中。。。}}}:2010/03/11(木) 11:07:00.00 0 第372回 いろいろ、・・・。 話を聞いてくれてありがとう、 告白をまじめに聞いてくれてありがとう、 茶化さないでくれてありがとう、 いつもみたいに笑ってくれてありがとう、 …もっと、もっとある。 だから、いろいろで許してよ。上手く、言葉にできないんだ。 「あ、それと嗣永って呼び方は悲しい」 「会長さん、も悲しい」 「うふふ、そだね。ももって呼んで」 「じゃあ・・・・佐紀でいいよ」 「えぇ、呼び捨ては恥ずかしいから・・・佐紀ちゃんでいい?」 「いいよ、・・・も、もも」 「さ、佐紀ちゃん照れすぎ」 「あんたもでしょ」 2人で真っ赤になって、照れ合い・・・・幸せな時間だった。 でも、ももには好きな人がいてそれはきっと夏焼雅で 私が入る隙はないんだろうし、割って入るつもりもない。 ももの、胸につっかえてたものはきっとなくなることはない。 でも、それが少しでも、ほんの少しでも軽くなっていればいいな。 あとはずっと笑顔でいて欲しい。 あのとき笑顔を奪った私の、ささやかな願いだ。 48 :&color(green){&b(){名無し募集中。。。}}:2010/03/12(金) 00:45:14.57 0 &color(blue){>>38 } 第373回 「はぁ・・・」 なんだかボーっとした頭で家まで歩く。 もうすっかり真っ暗だ。近いから・・・いいけどさ。 それに早く帰ってもどうせ勉強なんてしないし・・・。 とか言うとくまいちょーに勉強しなさいって怒られるから言わないけど。 愛理もなんだかんだいって最近勉強よくしてるみたいだし。 くまいちょー頭いいしなぁ、影響かなぁ。 みやとか相変わらずバカだから安心だけどさぁ。 あぁ、そういえばめぐちゃんもくまいちょーに負けないくらい頭いいんだっけ。 ・・・・やっぱり、帰ったらちょっとだけ勉強しよう。 「ってなに考えてたんだっけ」 勉強のこと考えてたわけじゃなかったんだけどな、なんだっけな。 ・・・いや、わかってる。頭の隅に追いやってもすぐに出て来るんだもん。 「・・・・・佐紀、ちゃんか・・・・」 口に出すと恥ずかしい。想像以上に恥ずかしい。 どんな理由でも、絶対に許す気なんてなかった。 死のうとしてたくらい、辛くて苦しかったんだ。 でも、会長さん・・・じゃなくて佐紀ちゃんと話してたら、 彼女の真摯な思いを聞いていたらそんなのもういいや、って思えてきて。 面と向かって「好きだから」なんて言われたら・・・だめだよ、ちょっとズルイもん。 もものこと憎らしいほど嫌いなんだって思ってた。だから、余計に・・・・。 49 :&color(green){&b(){名無し募集中。。。}}:2010/03/12(金) 00:45:56.55 0 &color(blue){>>48 } 第374回 「・・・・もう、考えるのやめた」 このままじゃきっと朝までこのことを考えることになってしまいそう。 それはだめだ、そんなに呆けているわけにもいかない。 それに頭がパンクして変なことになっちゃいそうだ、週明けからもうテストなのに。 とりあえず今日はもう考えないようにしよう。 違うことを考えたい、違うこと、違うこと・・・・ 必死に考えてて、頭に浮かんだのはみやの顔だった。 なんでかな。みやが好きだからかな。 好きとか言われて、好きな人に会いたくなったのかな。 「みや、○○駅に来てよ」 『いや、行かないし。もう家だし』 電話して、来てって言ったら案の定冷たい言葉。 ほんとツンデレだよね。ももからの電話は嬉しいくせに。 …と、ももは勝手に思ってるけど。 「ももが会いたいの」 『いや知らないし・・・暑いから行かない』 「みや、話もある」 『明日じゃだめなの?』 「うん、だめ」 『・・・はぁ、30分で行く。ももの家でもいい?』 「え、うん・・・アイス買っとく」 『頼むよ、じゃああとで』 50 :&color(green){&b(){名無し募集中。。。}}:2010/03/12(金) 00:46:41.27 0 &color(blue){>>49 } 第375回 ふふ、やっぱりみやは優しい。 最後には必ず折れてくれるから、好き。 アイス買わなきゃ、・・・そうだ、部員集まったよって話もしなきゃ、・・・・。 って結局佐紀ちゃんの話になっちゃうか・・・。 でも、まぁ、みやに会えるし・・・いっか。 コンビニ行こっと。 ◆ 「ったくもう、もものやつ」 あんな声で、「会いたい」とか「話もある」なんてずるいじゃん。 元気なかったじゃん。心配するじゃん。ばか。もものばか。 もう部屋着に着替えちゃってたけど、スウェットをジーンズに変えて 財布とカギとケータイだけ持って家を出た。 あのバカ。つまんない話だったら怒ってやろう。 「暑いなぁ・・・」 駅まで、そんなに距離はないけどとにかく暑い。 日はもう沈みかけてるのに気温が下がってない。 本格的な夏って感じかな・・・あぁ、そういえばあと1ヶ月で誕生日だ。 ってそれは今いいや・・・。 頭を切り替えて駅まで、早足で向かった。 51 :&color(green){&b(){名無し募集中。。。}}:2010/03/12(金) 00:48:54.40 0 &color(blue){>>50 } 第376回 涼しい電車を降りて、ももの家まで向かう。 家に行くのは何回目かな?最近行ってないな、ずっとバタバタしてたし。 ももの家は学校に近くて、学校よりもちょっとだけ駅に近い。 見慣れた街の中を歩いて、「嗣永」と表札の上がっている家のチャイムを押した。 チラッと時間を確認したら、電話を切って28分。・・・完璧。 チャイムを押したらももの声がしたから、来たって声をかけたらももがすぐに出てきた。 「みやー!ありがと」 「え、う、うん」 満面の笑みでお礼とか言われちゃって、ちょっとだけ恥ずかしい。 ももの部屋に入って(超涼しい)、2人でアイスを食べた。 ももはずっとニコニコしてるけど、何も言わない。 アイスは美味しいけど、そんなの聞きに来たんじゃないんだよ。 「もも、」 「ん?」 「話って何」 「あぁ、うん・・・・」 「言いにくいこと?」 「うー・・・うん」 どうやら、つまんない話ではなさそうだ。ももの表情も一瞬にして変わったし。 じゃあ、せっかく来たんだしゆっくり聞いてあげますか。 「もも、ゆっくりでいいから話してよ」 食べ終えたアイスをテーブルに置いて、うちは言った。