アマネオ

聖夜の手紙(2015年)

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amaneo

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 鈴木聖夜くん、こんにちは初めまして! もう「くん」を付けるような歳でもないかな?
突然だけど、君のことは全部知ってるよ。君が学校の友達に何をされていたか、帰り道の店で何をしていたかね。とはいえ、僕は君の敵じゃない。味方なんだ。
君が本来の君に戻るため、その部屋を抜け出してすごかったあの時の君を取り戻すためにね。気になったら返事をくれないかな? 僕は君を待ってる。


返事をありがとう! だいぶ怪しんでたみたいだけど、返事を送っちゃったら同じさ(笑)。僕の正体について、聖夜くんは色々と考えてくれてたみたいだけど、いい線いってるけど秘密。ネットで調べても出てこないよ。
さて君がまずしなくちゃいけないのは、現状確認だ。どうして君がそうなってしまったのか。
それはね、君のお父さんが原因なんだ。君がお人形で遊んでいたら、お父さんは君をクローゼットに閉じ込めて出られないようにしただろう。君が今でも外に 出られないのは、そのせいなんだよ。人間関係を形成する大事な基盤となる人形遊びができなかった子供は、将来友達なんかできないんだ。
君はその時のことを謝らせなくちゃいけない。だって公平に見ても、明らかにお父さんのせいなんだからね。
さあ、謝らせようよ。


やあ、成功したみたいだね。ちょっとやり過ぎちゃったみたいだけど、聖夜くんがこんなに積極的になりはじめたんだから、お父さんも内心喜んでると思うよ。
さて、やっぱり山がベストだと思う。海だとかなり遠くまで行かないと砂浜に流れ着いちゃうからね。確か君のお父さん、山は人間の故郷だって言ってたしさ。


お礼なんていらないよ、人間なら当たり前だって。強いて言うなら、僕が作った像を送っておくから、それを受けとってほしいんだ。友情の証としてね。さ て、お父さんのこと、つつがなく終わったみたいでおめでとう。君はもう立派に外に出られるね。でも残念ながら悪いニュースがある。
実は君は見られちゃったんだ。あの時、見てる人がいたんだ。隣の家の佐藤順子さんだ。彼女は誤解してるから、早くなんとかしないと警察に言っちゃうかもしれない。
できるだけ急いで彼女の口をふさいでほしいんだ。頼むよ。



――以上、連続殺人犯鈴木聖夜の部屋で見つかった手紙である。この他にも数点発見されたが、全て差出人ならびに消印が不明であった。なお、「僕」なる存在については鈴木の別人格ということで一応の結論をみた。
部屋には蝙蝠のような羽と触手を持つ像が一つ残されていたが、調べようとすると上司に「お前、クビになりたいのか」と言われたので諦めた。
どうやら「触れてはならないこと」だったようだ。