アマネオ

ダム底の地蔵(1990年)

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 私が通っていた大学の近くには、大きなダムがありました。大学は山の上の方にあり、最寄りの駅からでもバスで三十分はかかります。そんな場所ですから、 秋には霧も出ます。危険な山道で霧が出るとなると、車がよくダム底に転落するのです。首坂という名称からして不気味で、昔から「神隠し」伝説が残っていま す。

 ところが何故か地元の業者や警察はそうした車を引き上げようとはしません。引き上げても必ず死体がなくなっていて、結局のところ事故以外には考えられないという結論になるからだそうです。

 かなりの台数が沈んでいるはずだし、それを見たいからと私の友人は潜ってみることにしました。ダイビングの免許を持つ彼は、ダムができる前の地図をチェックして潜りました。

 しばらくしてあがってきた彼は大興奮でまくし立てました。

 どうやら死体が見つかったそうなのです。彼らは全員ダム底のお堂にかたまっていたらしく、古地図を見るとなるほど彼が言うように地蔵堂と書かれた場所がありました。

 地蔵があるのかと聞いてみましたが、彼は無かったと言います。代わりにおかしな像があるらしいのです。蛸のような足と蝙蝠のような羽を持つ像が。彼は、今度はそれを取ってくると言い残したまま行方不明になりました。

 彼の死体がダムにあることは間違いないのですが、誰も確認しにいきません。

 それから数年が経ちますが、今だに事故は起こりますし、死体は引き上げられず、そこにどんどん貯まっているみたいです。