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翔べない天使 ◆rZaHwmWD7k
夢を…夢を見てたんだ。
夢の中のあの人は何時だって、強くて、正しくて、優しくて…
それでいて、誰よりも寂しがり屋だった。
それをあたしは良く知っていたハズなのに。
強情だったあたしは、あの人を自分から遠ざけてしまった。
いくら悔やんでも、もうあの人との間に新しい何かが生まれる事は決してない。
もしこの馬鹿げたゲームが始まった時に、何もかもかなぐり捨ててあの人ともう一度会おうとしていれば、もしかしたら会えていたかもしれない。
でもそんな事はもう知りようの無い事。
今となっては、まどかも、あの人――マミさんも死んでしまったんだから。
もう、ユメの中でしか、会えない。
けど、何でかな…うっすらと目を開けてみればマミさんが居るような気がしたんだ。
視界の端に、マミさんと同じ金の髪が見えたからかもしれない。
それに気づいたあたしはいてもたってもいられず、目を見開く。
でも、やっぱり夢は夢で…
どこにもマミさんは居なかった。
変わりに居たのは、似ても似つかないチビで、
「なぁんだ……アンタか」
でも、不思議と悪い気はしなかった。
☆
体を起こし、きょろきょろと辺りを見回す。
すると大の大人でもすっぽり納まりそうなベッドが目に入り、消毒液の匂いが鼻についた。
「ここって病院?」
「らしいな」
らしいな、と言うのは、エドワードの知る医療機関である病院とは大きく様子が違っていたからだろう。
無論、そんな事杏子は知る由は無いが。
そうして一通り見回し終わった後、猫の姿が無いことに気づいた。
「猫の奴は?」
「マオには、警報代わりに練成したでかい鈴尻尾に取り付けて出入り口の見張りをやって貰ってるよ。
アイツならただの猫やってりゃ、この殺し合いに乗ってる奴もやりすごせるかもしれないからな」
事実、正規の参加者の証である首輪を持たない猫はただの猫のフリをして
DIOや
御坂美琴をやり過ごしている。
最も、通常の猫ならば本来美琴の体内から放射される微弱な電磁波を避けるため、綱渡りな所ではあったのだが。
「あんたがここまであたし運んで来たのか」
「猫の奴は誰か来ても対応しやすい様に勝手口のソファーに寝かせろっつってたんだけどな…俺も一回鉄骨腹にぶっ刺さった事があって、ちゃんとしたトコで寝たほうが治りがいいと思ったんだよ」
「……そっか、助かったよ」
誰かに感謝の意思を示すというのは久方ぶりだった。
けれど、案外すんなりその言葉を口にすることができてよかったと思う。
だが、当のエドワードの顔は、どこか憂いを含んでいた。
ほっとしたような、苦虫を噛み潰したような、何とも図り難い表情だった。
「体はお前が勝手に治したみたいだし、礼を言われるべきなのは、俺じゃねえよ」
そう言って、杏子の枕元を指差す。
そこには一片の穢れの無い杏子のソウルジェムと、グリーフシードが4つ、置かれていた。
「俺は魔法、なんてのは門外漢だからよくわかんねぇけど、その賢者の石が
濁っちまったらやべえんだろ」
そう言って話し続けるエドワードの顔は窓の外に向けられ、伺えなくなる。
「その賢者の石の汚れを取るグリーフシードってのは、みくのディパックに入ってたもんだ」
杏子にも聞き覚えのある名前だった。
記憶の糸を手繰り寄せ、一人の少女を導き出す。
前川みく
足を奪われ、幻想(ユメ)を奪われ、先ほど放送で呼ばれた少女だ。
目の前の少年が助けようとして、助けられなかったのであろう少女。
誰にも救われる事の無かった少女が遺した物が、自分を救ったのだ。
けれど、目の前で失われた少女の遺した物に縋るしか無かった少年の心中は、きっと。
合点がいってしまった。
故に、目の前のエドワードに何と声をかけていいのかが分からない。
相変わらず、顔は窓の外へと向けられていて、見えることは無い。
「―――悪い。俺はもう行くけど、お前はどうする?」
気を使わせたのを察したのか、言葉を切り出したのはエドワードの方だった。
どこへ?とは聞かなくとも分かる。
御坂美琴を”救い”、DIOを、広川を倒しに行くのだろう。
そして、どんなに傷ついても彼はその道を走り続けるだろう。
対する杏子は、どうすればいいのか、どうするべきなのかがもう分からなかった。
殺し合いに乗り、様々な参加者と戦った。
しかし結果は惨憺たる有様であり、一度は生きる事すら手放した。
「あたし、は……」
分からない。
これからも殺し合いに乗って槍を握ることを想像しようとすれば、
どうしてもあの
エスデスと言う女の顔がちらつく。
あの女は自分が生きていると知れば、今度こそ殺そうとするだろう。
そう考えれば、死が少し先延ばしになっただけなのかもしれない。
どこか、諦観に近い感情が杏子の中で渦巻き、
溶けたはずの氷が心を再び覆っていた。
「―――あたしは、これからも一人で好きにやらせてもらうよ。
助けてもらったのに悪いけど、さ」
違う。
こんな言葉を言いたかったのではないと人間の
佐倉杏子が叫んでいた。
でも、自分のために戦い続けることを選んだ魔法少女の
佐倉杏子はそれを否定する。
「あたしは、あんたみたいにもう誰も死なせないって戦える程、馬鹿じゃないんだ。
あたしはあたしだけのために戦ってきたから――じゃあね」
エドワードは何も言わなかった。
そのままベッドから立ち上がると、杏子は自分のソウルジェムとディパックを掴みそのまま病室の扉へ向かって歩く、
そのままドアに手をかけた、その時だった。
「仲間にならねーか?」
「は?」
呆れた。本当に呆れた。
お前何処まで莫迦なんだと。
「その言い方だとどうせ具体的なアテ何て無いんだろ、
それなら一緒に来いよ」
「いや、人の話聞いてたのか、テメェ?」
「別にお前が殺し合いに乗ってないならお前の生き方を邪魔する気も資格も俺にはねーよ。
でも、お前には俺に借りがあるだろ。無いとは言わせねぇぞ」
何処までも真っ直ぐな金の両眼が杏子を見据える。
「これも俺が持っててもしょうがねぇし、お前にやる。
でも等価交換だ。借りを利子含めて返済するまで付き合って貰う」
差し出されたのは、杏子が最も欲している物の一つのグリーフシードだった。
だが、彼女は手を伸ばせない。
ここで手を伸ばせていれば、
巴マミを拒絶することも無かっただろう。
美樹さやかとももう少しマシな関係が築けたはずだ。
「……あたしが殺し合いに乗ってたって言ってもか?」
諦めて欲しかった。
自分のためだけに誰かを手にかけようとする。
きっと、このお人好し/馬鹿には一番許せないタイプの人間だと思ったから。
「今更そんな事でとやかく言う俺様じゃねえよ」
「大体、てめえ一人でガタガタ言ってたら御坂の奴はどうなるんだよ」
「あ……」
両腕を組み不遜に宣言するエドワード。
そんな彼を何とか魔法少女の
佐倉杏子は否定したくて、言葉を叩きつけた。
ある意味で恐怖を感じていたのかもしれない。
だって世界は、何時だって理不尽で、報われなくて、救いようがない。
だからこそ、人は奇跡を求めて魔法少女は生まれる。
それがあの日から杏子の信じる現実だったから。
「あたしら魔法少女は魔女を倒す為だけの石ころだ!ゾンビみたいなもんだ!」
「それがどうした、俺は生き残るためならホムンクルスとだって組むぞ」
「もし、あたしが襲った参加者に襲われたらどうするつもりだよ!」
「そん時は一緒に頭下げるさ。軍の狗になった時点でプライドもくそもねえんだ
…いざとなったら、俺が時間稼ぐからその間に尻尾撒け」
エドワードの言っている事のおかしさを一言で表す語彙が存在しないのが悔しかった。
「………ッ!?」
抑えがたい衝動に駆られた杏子はエドワードのコートの襟を掴み、壁に叩きつける。
そのまま視線で殺さんとするかの様に睨みつけるが、
エドワードには寸毫の動揺も無かった。
「……あたしは、この場所に来てから、自分のためだけに殺し合いに乗った」
「もう聞いた」
「でも、ここじゃ何にも出来なかった、知り合いがただ死んでいくだけだった」
「俺も大して変わりはねえさ」
吐息がかかる距離で言葉が飛び交い、視線が交錯する。
「テメェとは違うッ!!あたしはあたしのためだけに力を使った、でも何もできなかった
何も掴めなかったんだよ…!」
後藤にはノーベンバ―11を殺されただけだった。
DIOには肉の芽を埋め込まれ、惨めにも下僕にされた。
エスデスには魔法少女として積み上げた研鑽を真っ向から打ち壊された。
「だから……!」
心中で自分はこんなにも弱かったのかと自嘲する。
誰かのために力を使うことは他でも無い父に否定された。
自分のために力を使う事は、自分が“喰われる”側に回った事で、それが本当に正しいのか、自信が持てなくなった。
「だから、こんな自分のために力を使っても何も掴めないような奴はアンタの足手纏いにしかならないよ――足手纏いは、必要ないだろ?」
何時しか、居なくなったはずの人間としての
佐倉杏子が剥き出しになっていた。
エドワードには、そんな目の前の少女が寄るべき十字を失くした、迷子に見えて仕方なかった。
故に、力強く言葉を紡いでいく。
「これまで何も掴めなかったからって、これからも何も掴めないとは限らねぇだろ」
「………」
ぎりぎりと、自分の胸倉を掴む力は強まっていく。
息苦しさを感じながらも、それでも彼は身じろぎ一つしなかった。
「たとえ過程の段階で何も掴めなくても、最後に何かもぎ取って、
自分の足で立って笑ってる奴がいたとしたら、そりゃそいつの勝ちだろ」
間髪入れずに言葉を付け加える。付け加え続ける。
「俺は、広川をぶっ潰す。二度とこんなくだらねえ茶番ができねえ様に、アイツの力を
全部ブン獲って弟の――アルの所に帰る」
エドワード・エルリックは別に
正義の味方と言う訳では無い。
寧ろ、そんな言葉を公言する人間には思い切り眉に唾を付けて向き合う人間だ。
死にかけている人間が居れば助けるし、理不尽には憤り拳を握る。
でも、それは人として当然の事。
彼が普通の人間より違う点があるとするならば、命と言う不確かなモノを少しだけ重く見ていると言うだけだ。
死んだ母を望み、弟の体と、立ち上がるための足を失った始まりの日。
ラッシュバレーで目にした生命の誕生の瞬間。
ウィンリィ・ロックベルが傷の男に銃口を向け、背筋が凍りついたあの感覚。
それらの過去は、いつしか殺さない覚悟を形作っていった。
「少なくとも、あんな糞野郎に踊らされ続けるより、よっぽどマシな生き方だろうが…!」
少女の指を、機械の腕が一本一本丁寧に解いていく。
固く、固く握りしめられていたはずのその掌は、あっさりと開かれていった。
そして、その掌に、全てのグリーフシードを握らせる。
「何で…?」
呆然と、手の中のグリーフシードを見ながら、少女は問いを投げた。
「何で、あたしなんだ?
お前は、御坂の奴に裏切られたんだろ?だからみくはくたばって……ッ!」
絞り出す様な声。
だが、偽りを許さないと言う確かな意志が感じられた。
少年が口を開き。
「…“勇気と愛が勝つ話”」
杏子の眼が見開かれる。
だが、エドワードは構うことなく続けた。
「今はどうであれ、それを信じてたお前も確かにいたんだろ」
人は、真に恐怖を感じた時、本当の自分と向き合う事になると言う。
そして、死とは全ての知的生命体にとって普遍の恐怖の対象だ。
杏子は迫る死の足音を聞きながら、それでも愛と勇気が勝つ話が好きだと、笑ってみせたと言う。
その話を猫の口から聴いたとき、エドワードは確信したのだ、
それが
佐倉杏子の答えだと。
だから、
「信じようと思った。一緒に共闘(たたか)えると思ったんだ」
そう宣言する少年の金の双眸はどこまでも澄んでいて、
不覚にも、綺麗だと思った。
迷いも、また裏切られるのでは無いかと言う恐怖もあったはずなのに。
「やっぱり、バカだろテメェ。理解させる気なんか最初から無いだろ…」
杏子は顔を覆い、縋るように蹲った。
そんな杏子の脇を通り過ぎ、エドワードは扉に手をかける、
まだ、
エドワード・エルリックは
佐倉杏子の友人でも、戦友と言う訳でも無い。
だから、ここでは待たない。
「あんたは自分の足で立って、前へ進めるよ。そのための立派な力も足もあるじゃないか」
そう一言残し、エドワードは目の前の扉を開けた。
☆
信じる。
その言葉はとても遠い物に思えた。
望んでいた結末は望まれてなどいなかった。
あたしは、何よりも救いたいと思っていた家族を救えなかった。
あの大ばかはその道を進もうとしている。
傷と危険ばかり増えて、代価としては小さすぎる物しか得られない道を。
誰よりも死に怯え、生に執着している目をしている癖に。
なら、自分は?
何度自問しても、やっぱり答えは纏まらなかった。
「甘すぎるんだよ」
毒づきながら手の中のグリーフシードを見る。
足をもがれたみくの姿と、御坂の奴の姿が浮かんだ。
―――あんな奴、死んだ方が世界のためよ
「あ――――!」
その時だった。
何かが氷解した様な感覚が走り。
あたしがやるべきことが分かった気がした。
そして、
「マミさん…ごめん」
こんな事言ったらあの人は悲しむだろうから、最初に謝っておく。
「あたしは、最後まで自分のためだけに生きて、戦うよ」
それが、後悔せず、誰も呪わずにいられる唯一の方法だと思うから。
でも、瓦礫が降ってくるあの時あたしは確かに後悔してたんだ。
自分のために戦ってたんじゃなくて、とどのつまり広川に踊らされてただけだって気付いたから。
一度死んだマミさんをもう一度殺しやがったあの糞野郎に。
結局あたしは、自分のために戦うことすら、できていなかったんだと思う。
認める。あたしはきっと間違えたんだ。
だから、今度こそ本当の意味で自分のために戦いたい。
誰にも踊らされずあたしらしく、納得できる、後悔の無い生き方がしたい、そう決めた。
出来る事なら、もしくたばっても、マミさんに顔向けできるような生き方を。
一人ぼっちじゃ無理かもしれないけど…今のあたしには仲間って言ってくれる奴が、最後まで一緒にやってくれそうな奴がまだいたみたいだから。
ドライな人間気取ってる割に、親父みたいに正直すぎて、甘すぎるけど。
それでも、救いようのないあたしを信じるって言った奴。
もう一度、手の中のグリーフシードに目を向け、一人ごちる。
「あんたは、あたしの事なんて知らないんだろうけどさ」
忘れてはならないもう一人。
「こっちはあんたに借りがあるんだ」
それは誰に向けての言葉だったか。
「借りの分、ちゃんと止めてやるよ――同じ、間違えたあたしが」
人生はいつだって取り返しがつかない。
間違えてしまった答えはきっとそのまま。
それを覆すなら、新たな答えを導き出すほかない。
だから、もう一度、問い直そう。
正しい答えを知るために。
気づけば、足は再び走り始めていた。
☆
「よぅ、思ったより早かったな。もう済んだのか?」
「どうだろうな…でも、ここから先はあいつが決める事だ」
エントランスのソファーに腰掛け、背中合わせに語り合う。
少年と猫が会話しているその光景は、傍から見れば異質そのものだっただろう。
「なぁ、マオ」
「何だ」
「誰かを信じるっていうのは難しいな」
「契約者は常に合理的に物事を判断するだけだ、その契約者の俺にそんな事を言っても仕方が無いだろう」
話ながら、エドワードは手の中のみくの首輪へと視線を落とした。
もう、ついた血は渇ききっていた。
「みくのディパックにあのグリーフシードってやつとその説明書が無けりゃ、
どうなってたかわからねぇ……意地を通すってのも楽じゃねえな。本当に」
警報装置がわりに付けられていた鐘が取れた尻尾の調子を確かめながら猫はエドワードを一瞥する。
「それでも、譲るつもりなんてないんだろう?」
一人救えば、一人生まれた事になるのか、
救った命は、他の命を奪わずにいられるのか、
答えは出ない。
「約束、したからな」
だが、彼は跪かない。過去と未来への誓いが、それを許さない。
胸を張って、弟の下へと帰るために。
「みくも言ってた――自分を曲げないって。俺も、そうでありたい」
猫はそれを聞くとやれやれと言わんばかりにかぶりを振った。
「それで、これからどうするつもりだ。具体的な展望はあるんだろうな」
「杏子の奴がもし俺と一緒に行くって言ってくれたら、ジョースターのじいさんと合流しようと思う」
「ジョースター?」
聞いた事のない名前に一瞬頭に疑問符を浮かべる猫だったが、研究所まで同行していた仲間だと聞き、納得する。
「さっき杏子の支給品こっそり見てみたら車があったんでな。俺の知ってるタイプの車じゃなかったけど、
研究所に向かうときにあのじいさん車があればいいのにってぼやいてたし運転できるかもしれねぇ」
「成る程、車を使えばあの嬢ちゃんにも追いつけるだろうな」
「もっとも、杏子の奴が一緒に行かねぇって言ったら御破算だけどな――っと、噂をすればなんとやらか」
コツコツと、通路の奥から赤いポニーテルの少女が現れる。
瞼がほんの少し朱を帯びている気がするが、きっと気のせいだろう。
「それでどーすんだ。お前」
杏子は答えない。
ただ、手に持っていた林檎をエドワードに投げ、
林檎は放物線を描き、エドワードの左手に納まった。
「あんたの誘いに乗ってやるよ。
でも、御坂の奴をぶっ飛ばして、
DIOの野郎をぶっ潰すまでだ」
まるで数時間前に自分と御坂が会話した時に戻った様だ。
最も、あの時と違う点は自分が協力を持ちかけた所か、
そんな事を思いながら、エドワードは苦笑する。
「恩を過剰に着せられる謂れは無いしね、後のことは私が決めるさ」
他に違う点があるとするならば、今の
佐倉杏子はあの時の
御坂美琴とは違い
憑き物が落ちたような、穏やかな表情だった。
「さっきまでしおらしかったのに、復活の早いこったな。直に治る体と言い魔法少女ってのは心身共に医者いらずか?」
「まぁね。何時までもしょぼくれてんのもあたしらしくないしさ」
もう少ししおらしくしていれば可愛げもあるだろうにと感じながら、
投げ渡された林檎へと視線を落とす。
「喰うかい?」
「後で返せって言っても、知らねーぞ」
エドワードは憎まれ口を叩くついでにあんぐりと大きく口を開け、林檎に齧り付く。
連戦で疲労が溜まっていた体には林檎の酸味が丁度良かった。
咀嚼音と共に減っていく林檎とエドワードを、杏子は目を丸くして見る。
「な、何だよ」
珍しいモノを見るような目で見てくる杏子にエドワードは怪訝そうな顔を浮かべた。
「……いや、そう言えば何の遠慮も無く渡された食いもんを喰う意地汚い奴は珍しいなーと思って」
「まったくだな」
「んだとコラ!お前が渡したんだろうが!」
自分の軽口と、猫の同調する声に炒られた豆がはじけるが如く怒るエドワードがおかしくて。
いつの間にか杏子ははにかんでいた。
―――君が本当はどうしたいのか、どう生きることが正しいと思うのか。その答えをはっきりとさせることだ。
この選択が正しいのかは分からない。また間違いを積み重ねただけなのかも知れない。
でも、独りでいる時より……楽、であるのは確かだった。
【C-1(病院)/一日目/午後】
【
エドワード・エルリック@鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)、全身に打撲、右の額のいつもの傷、精神的疲労(中)
[装備]:無し
[道具]:ディパック×2、基本支給品×2 、ゼラニウムの花×3(現地調達)@現実、
不明支給品×0~2、ガラスの靴@アイドルマスターシンデレラガールズ、
パイプ爆弾×4(ディパック内)@魔法少女まどか☆マギカ、
前川みくの首輪
[思考]
基本:主催の広川をぶっ飛ばす
0:ジョセフと合流し、南へ向かい、御坂をボコしてでも殺しを止めさせる。
1:大佐や
アンジュ、前川みくの知り合いを探したい。
2:
エンブリヲ、DIO、御坂、
エスデス、ホムンクルスを警戒。ただし、ホムンクルスとは一度話し合ってみる。
3:ひと段落ついたらみくを埋葬する。
4:首輪交換制度は後回し。
[備考]
※登場時期はプライド戦後、セントラル突入前。
※前川みくの知り合いについての知識を得ました。
※ホムンクルス達がこの殺し合いに関与しているのではと疑っています。 関与していない可能性も考えています。
※仕組みさえわかれば首輪を外すこと自体は死に直結しないと考えています。
※
エスデスに嫌悪感を抱いています。
【マオ@DARKER THAN BLACK 黒の契約者】
[思考]
基本:…手のかかる奴らだ。
0:エドと杏子と共に行動する。
『自分だけの現実(パーソナル・リアリティ)』と言う言葉がある。
自分の認識世界と、現実世界のミクロなズレを観測し、実際に反映させる、
学園都市に在住する学生たちが行使する超能力の源とも呼べる能力だ。
本来ならば能力者だけが持つこの力だが――この世界では様々な自分だけの現実に類似する力が見られる。
例えば、自分だけの真理と構築式、地殻エネルギーを用いて万物を異形へと変える錬金術師。
例えば、自分だけの現実そのものと言える、自信の精神エネルギーを観測し、実体あるヴィジョンとして反映させるスタンドやペルソナ使い。
そして、魔法少女である
佐倉杏子もまた、自分だけの現実に近しい力を持っていた。
自らの信じた祈りによって時に世界に影響を及ぼす力を。
しかし、このバトル・ロワイアルは“魔法少女としての”
佐倉杏子の自分だけの現実を真っ向から否定し、闘いの濁流の中に飲み込んだ。
何度も何度も敗北の苦渋を舐めさせ、彼女の大切な人間を、矜持を、自信を壊した。
壮絶な過去を背負ってるとは言え、まだ年端もいかぬ少女にとってそれは筆舌に尽くしがたい苦しみだっただろう。
故に、肉体が小康を得た後も、彼女のソウルジェムは呪いを生み、
一人の少年がまた自身の無力さを痛感するに至ったのだ。
しかし、結局灰被りの少女が遺したグリーフシードによって
佐倉杏子が魔女と化すことは無く。
彼女の自分だけの現実は、また性質を変えた。
その結果―――、
佐倉杏子はあの日失った、本来得意としていた魔法を、取り戻しつつある。
その事を、まだ彼女は知らない。
【
佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康
[装備]:自前の槍@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]:基本支給品一式、医療品@現実 大量のりんご@現実 、グリーフシード×4@魔法少女まどか☆マギカ、
アストンマーチン・ヴァンキッシュ@やはり俺の青春ラブコメは間違っている、不明支給品0~1
[思考・行動]
基本方針:殺し合いについて考える。
0:
御坂美琴は―――
1:DIOはぶん殴る。
2:
巴マミを殺した参加者を許さない。
3:殺し合いを壊す。
4:エドワードと組む。
※参戦時期は第7話終了直後からです。
※DARKER THAN BLACKの世界ついてある程度知りました。
※首輪に何かしらの仕掛けがあると睨んでいます。
※封印状態だった幻惑魔法(ロッソ・ファンタズマ)等が再び使用可能になりましたが、本人は気付いていません
【アストンマーチン・ヴァンキッシュ@やはり俺の青春ラブコメは間違っている】
奉仕部顧問平塚静の愛車。
女性が運転すれば婚期を逃すとか逃さないとか。
最終更新:2024年07月26日 19:16