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LOOK INTO MY EVIL EYES ◆dKv6nbYMB.


「チィッ、忌々しい女め...!」

エスデスとの戦いの後、避難した時計台で悪態をつきつつ舌打ちをする。
気分は最悪だ。
自分だけの『世界』。無粋にもその領域に足を踏み入れる者がいたのだから当然だ。

(まさか奴も我が領域にまで踏み込めるとは...これで『4人目』か)

だが、杏子から暁美ほむらの存在を聞いており、且つ空条承太郎も時間を止められる可能性を考慮していただけまだ"マシ"ではあったのが救いだろうか。
もしそれが無ければ八つ当たり染みた破壊行為を延々と繰り返していたことだろう。

(ジョセフ、金髪チビ、後藤、イリヤ、御坂、杏子、美樹さやか...そして私を含めた『4人』。これらを除いた33人の能力は未だに不明。...まさかとは思うが、全員『静止した時』の世界に入門しているわけじゃあないだろうな)

『4人』。自分しか入れないはずの世界に入門している者が、可能性も含めて『4人』もいる。
そんなことは有り得ないと思いつつも、エスデスのことがあればやはりと疑ってしまう。
全員はいなくとも、少なくとも一人か二人はいてもおかしくない。

(ええい、それがなんだというのだ!全員入門していようが、同じ土俵での勝負というだけにすぎん!ならば生き残るのは最も優れた者、即ちこのDIOだ!)

静止した時の中を動ける者はたった一人でなくてはならない。
もし、他にもこの『世界』に足を踏み入れる者が存在するのなら排除する。
そうすることによってDIOは『平穏』と『安心』を手にすることが出来る。
この殺し合いを脱出するにしろ優勝するにしろ、この領域へと干渉できる者は必ず殺す。


(エスデスとの戦いは、パワーもスピードも勝っていた。冷静に対処すれば殺せない敵ではなかった。反省しなくては...)

昔から、怒りっぽい性格であると自覚しているし、反省して克服しようとした。
しかし、生物という奴はどうにも渇いたペンキのようにこびりついた悪癖とでも言うべきモノは落ちてはくれないらしい。
頭を冷やす意味を込めて、ついでと言わんばかりに側にあったモノを殴りつけ、現状を確認することにした。

「放送で聞いた死者は花京院にアヴドゥル...ついでにまどかとクロエとかいうのもか」

己の部下、花京院典明
ジョースターの仲間であるモハメド・アヴドゥル
杏子の知り合いだという鹿目まどか
イリヤの家族だというクロエ・フォン・アインツベルン


取るに足らぬ。
どいつもこいつも、このDIOの前では路上の隅に転がる塵にしか過ぎない存在だ。
そんなちっぽけな存在など気に掛けるまでもない。


「イリヤの洗脳はもう解けたころか...ふふっ、さて何人殺したのやら」

操祈に書き込ませた、『イリヤ自身が「放置すれば死に至る」と認識する傷を負った者を見つけた場合、最善の殺傷手段で攻撃する』、『ルビーの制止・忠告を当たり障りのない言葉に誤認し、それを他者に指摘された時相手に対し強い猜疑心を持つ』命令。
この二つが噛み合えば、必ずや彼女は事件を起こす。
まだ生きているということは、おそらく多くの参加者の眼の仇にされていることだろう。
知り合いを全て失ったことから、つけ入るのも容易いほどにその心は傷ついているだろう。
仲間を蘇らせるために歯向かってくるかもしれないが、その時は容赦なく殺すだけだ。



「ああ、杏子のことを忘れていた」

放送では呼ばれていないため、おそらく生きてはいるのだろう。
言いつけすら守れないような駄犬をわざわざ探すような手間をかけたくないが、いまの自分の状況ではそんな駒でも惜しい。まさに猫の手ならぬ犬の手も借りたいというやつだ。
だが、肉の芽の制限についてのこともあり、絶対服従とまではいいきれない。
が、その時はその時だ。右腕をつけるのもよし、食糧にするのもよしだ。


「...そういえば、広川は首輪交換制度がどうとか言っていたな」

広川の言っていた首輪交換制度。
なんでも、『闘技場』『武器庫』『アインクラッド』に設置されている首輪交換BOXに参加者の首輪を入れれば、情報や武器と交換できるらしい。

(つまり、そこにいれば必ず何者かは訪れるというわけだ...特に、ゲームに乗った参加者はな)

首輪を持っているということは、誰かを殺害ないし死者から回収したということだ。
そして、ゲームに乗っているのなら、よほどの阿呆でない限り武器の補充や情報を求めるだろう。

(そいつらと手を組むのも悪くないか。認めたくはないが、このゲーム...一人では乗り越えることが困難なようだからな)

空条承太郎、ジョセフ・ジョースター、エスデス、後藤、暁美ほむら、御坂美琴、金髪チビ、田村怜子...必ずや殺さなければならない者たちはまだ多い。
彼らを一人で相手にするのは些か骨が折れる。
ならば、手を組んで数を減らすのがベストだろう。尤も、決して対等などではなく、どちらが上かハッキリとさせた上でだが。

(待っていろ、エスデス。それに後藤。貴様らがどんな力を持っていようが、全ての生物の頂点はこのDIOだ。次に会った時こそが、貴様らの最期だ)

あの高慢な態度をとるエスデスの顔を絶望に染め上げ生血を吸い。
あの忌々しい寄生生物共を叩き潰して。
ちょこざい小細工を仕掛けてくるジョセフや金髪チビたちを正面から捻り潰す。
そんな光景を思い描きながら、DIOはくつくつと笑みを浮かべる。

捨てきれなかった怒りに身を任せるかのような破壊音が時計塔内に響いたのは、その数分後のことだった。


【A-2/時計塔/一日目/午後】
※DIOの八つ当たりで内部がそれなりに荒れています。


【DIO@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダーズ】
[状態]:疲労(小~中)、右腕欠損 、怒り(大)、全参加者が時間停止を持っているのではないかという警戒心
[装備]:悪鬼纏身インクルシオ@アカメが斬る!
[道具]:ディパック×1 基本支給品×1
[思考]
基本:生き残り勝利する。 最早この帝王に油断はない。
0:しばらく時計塔に籠城する。(最低でも行動を開始するのは夕方から)
1:ジョースター一行を殺す。(ジョセフ、承太郎)
2:エスデス、寄生生物、暁美ほむらは必ず殺す。
3:右腕の確保。
4:食糧または協力者を確保するために武器庫を目指す。
5:イリヤと杏子との合流。自分に逆らわなければ手ごまにするが、逆らうのであれば問答無用で糧にする。
[備考]
※禁書世界の超能力、プリヤ世界の魔術、DTB世界の契約者についての知識を得ました。
※参戦時期は花京院が敗北する以前。
※『世界』の制限は、開始時は時止め不可、僅かにジョースターの血を吸った現状で1秒程度の時間停止が可能。
※『肉の芽』の制限はDIOに対する憧れの感情の揺れ幅が大きくなり、植えつけられた者の性格や意志の強さによって忠実性が大幅に損なわれる。
※『隠者の紫』は使用不可。
※悪鬼纏身インクルシオは進化に至らなければノインテーターと奥の手(透明化)が使用できません。
※暁美ほむらが時間停止の能力を持っていることを認識しました。また、承太郎他自分の知らない参加者も時間停止の能力を持っている可能性を考えています。
※魔法少女についての基礎知識を得ました。
1.魔法少女とは奇跡と引き換えにキュゥべえと契約してなるものである。
2.ソウルジェムは魔法を使う度に濁り、濁りきると魔法が使えなくなる。穢れを浄化するにはグリーフシードが必要である。
※エスデスが時間停止の能力を持っている、或いは世界の領域に侵入出来ることを知りました。




127:ならば『世界』を動かす DIO 160:その血の運命
最終更新:2016年01月16日 22:05