009

魔性の男DIO!◆jk/F2Ty2Ks


「ウリリリリィィィーーーーッ!!それなりにハイってやつだぁーーー!!!!!」

闇夜に、DIOの哄笑が響く。
エジプトの館で本を読んでいたら急にバトル・ロワイアルに巻き込まれて驚いたDIOであったが、
己の支給品の中に「ジョセフ・ジョースターの血液入りパック」が入っていたのにはさらに驚いた。
とても満腹できるような量ではなかったが、とりあえず体の不調は完全に解消された。
「世界」の時間停止能力は著しく制限され、血を飲む前は一瞬も止められない有様。
しかし宿敵の血族の滾りを数百ミリリットルほど呑み干したことで、なんとか1秒くらいは止められそうだ。
ジョセフや承太郎から直に血を吸えば、これまでにないほど長く、時間の止まった世界に入門できる確信がDIOにはあった。

「でももう一つの支給品は訳が分からないぞ」

取り出したるは魔法のステッキ。いや、説明書にこう書いてあるのだ。
愛と正義のマジカルステッキ・マジカルルビー。持つと魔法少女(成人可、人外可)になる。
飛んだり跳ねたりして、不思議な力で敵を倒す。DIOのイメージではエンヤ婆が最も近い。

「魔法なんて見たことがない……さては子供の玩具か何かだな」

『失敬な!最高位の魔術礼装に向かってなんて言い草でしょう!』

「!?」

ステッキが喋った、可愛い少女の声で。まさか本当に説明のままのアイテムなのかとDIOは思った。
となると、説明書どおりに血液を吸わせて認証を行い、装備してみる価値はある。

『ファッ!?や、やめてください!私には人間と同じ権限があり、マスターを選ぶことができます貴方は嫌です!』

「そうなのか?」

『はい!本当はオトメのラヴパワーがないと契約はできませんのでこんな心配はいらないのですが……なにやら改造されたようで』

「まあ、いいではないか。血をここに塗りたくるのだな」

『WRY!多元転身!鏡界回廊最大展開!真性カレイドルビー、プリズマディオ爆誕!』

DIOの全身に凄まじいパワーが漲る。かって、波紋を流し込まれたときのような感覚が彼を襲ったが、肉体に害は及ぼさない。
服装は女児向けのみっともなく恥ずかしいアニメ調の物へと変化し、鍛え上げられたジョナサンの肢体がはっきりと浮かび上がる。
近くに鏡がないのでDIOには全体像は見えないが、知り合いに見られてはいけない姿だと直感できた。

(ザ・ワールドに持たせて使わせればよかった)

『KUUUUAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!』

「む!?」

ルビーの様子がおかしい。奇声を発しながら、危うい輝きを放ちつつDIOをぐいぐい引っ張ろうとしているのだ。
説明書によれば、本来可能な自立行動は出来ないはずだから離せば止まるはず……そうDIOが思うより早く、ルビーは宙へ舞った。

「これが飛行能力か。持ち手の想像力に比例するというが、このDIOにも空を飛べるというメルヘンなそれがあったのだな」

冷静なときならば、このような感想をもったであろう。飛んだというだけならば、僅かな感動だけで済んでいただろう。
しかし今やルビーはマッハに迫るかのごとき速度で、プリズマディオを天を衝く一矢と変えていた。
夜空に太陽はない。だが、このまま進めば間違いなく宇宙空間に到達し、DIOには太陽光が降り注ぐであろう。

「バッ、馬鹿な~!!このDIOが……このDIOが~~~ッ!!!」

狼狽したが、そこは魔性の男DIO。すぐさまルビーを放り投げ、落下地点を見落とさず自分もそこへ向かうべく空でクロール。
知り合いにはますます見せられない格好だったが、なんとか脱落の危機は退けた。
幸いそれほど離れていない場所に降りる事にも成功。
地面に激突した際足を捻ったが、吸血鬼であるDIOにとってはたいした痛手ではない。
それよりも、たまたま落下位置の近くに人間がいたことが問題だった。
可愛らしい少女。おそらくは、プリズマディオの姿を知り合いの次に見られてはいけない種別の者。
しかし少女は悲鳴も上げず、変質者から逃げる素振りも見せず。
ルビーを離したことにより転身が解けていくDIOを静かに見て、悟ったようにこう言った。

「ああ……また犠牲者が……」

・・・・・・・・・・・・

少女はイリヤと名乗り、DIOの前のルビーの持ち主だと語った。
自分にとってプラスにならないと判断したDIOはステッキの返還を申請。
始めは固辞したイリヤであったが、DIOのステッキがなくとも自分の身を守れるとの主張を聞き、ルビーを受け取った。
イリヤとルビーは再び契約を交わし、魔法少女の概念はあるべき存在へと戻った。
転身を確かめるイリヤの姿を見ながら、DIOは少女の処遇を考慮する。

『WRY……イリヤさんと出会えて嬉しいです……』

「うわーーーー!!ただでさえアレだった衣装の露出度がやたら上がってるーーー!!それになんか様子おかしいよルビー!?」

(素直で純粋、芯は強いが扱いやすくステッキでの戦闘経験もある。すぐに殺すのは惜しいな)

「君さえよければ、この馬鹿げた殺し合いに生き残るために協力してくれないだろうか?」

「これ全部見え……あっ!そ、それはこちらからお願いしたいといいますか、おじさん足大丈夫なんですか?」

「迅速な手当てのお陰でね。なんとか歩けそうだよ」


快諾を得たDIOは、とっくに完治している足を引きずりながら微笑んだ。
イリヤはこの殺し合いに臆さず、名簿に名を連ねる二人の仲間と共にこの事態を切り抜ける覚悟を持っていた。
この手の人間を利用するなら、傀儡とするのではなく誘導し不要になるまで好意的な関係を保った方がいい。いざという時の手段もある。

「親友と……家族か。私にも大事な部下と親戚、それに大事なペットがいてね、この殺し合いに参加させられているようだ」

「一緒に探しましょう!」

「ああ……それと実はもう一人、ここに来て知り合った者がいるんだ」

「DIOさーん!車の用意、できたわよぉ……って、アラ?」


DIOの言葉を証明するかのように現れた金髪の少女は、名前を食蜂操折といった。
広川という男に知人を殺され、錯乱状態に陥っていたところをDIOに発見されたのは幸運だったのか不運だったのか。
ひとまず落ち着かせるために彼女の額に肉の芽を植え込んだDIOは、食蜂の特異な能力を聞き出して上条少年の記憶を自ら消す様に勧めた。
多少の悶着はあったが、最終的に説得に応じて錯乱の元を断ち切った食蜂は正気に戻り、DIOへの協力を承諾した。

(私には通用しなかったが、彼女の心理操作は非常に有用だ。忠実とはいえない性格だが、メリットは寝首をかかれるリスクを上回る)

上々の手はずで協力者を増やし、ほくそ笑むDIO。
だが、全てが彼の思うように行くはずもない。

「……操折ちゃん、これは?」

「なかなかの高級力な車よねぇ。外車だし」


食蜂に支給された高級車には、サンルーフ機能が完備されていた。



【F-4 道路/1日目/深夜】

【DIO@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダーズ】
[状態]:疲労(小) まあまあハイ!
[装備]:イリヤのハンカチ
[道具]:ディパック×1 基本支給品×1
[思考]
基本:生き残り勝利する。
1:ジョースター一行を殺す。(アヴドゥル、ジョセフ、承太郎)
2:部下との合流。(ペット・ショップ、花京院)

[備考]
※禁書世界の超能力、プリヤ世界の魔術についての知識を得ました。
※参戦時期は花京院が敗北する以前。
※『世界』の制限は、開始時は時止め不可、僅かにジョースターの血を吸った現状で1秒程度の時間停止が可能。
※『肉の芽』の制限はDIOに対する憧れの感情の揺れ幅が大きくなり、植えつけられた者の性格や意志の強さによって忠実性が大幅に損なわれる。
※『隠者の紫』は使用不可。

イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:健康
[装備]:カレイドステッキ・マジカルルビー(混沌・善)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
[道具]:ディパック×1 基本支給品×1 不明支給品1~3
[思考]
基本:美遊、クロと合流しゲームを脱出する。
1:美遊、クロとの合流
2:DIO、操折と協力する。

[備考]
※参戦時期は2wei!の調理実習終了後。
※『カレイドルビー』の制限は、自立行動禁止、引き出せる魔力の絶対量低下。
※『カレイドルビー』には、誰でも使える改造が施されており、さらに吸血鬼の血を吸った事で何がしかの不具合が起きているようです。

【食蜂操折@とある科学の超電磁砲】
[状態]:額に肉の芽、『上条当麻』の記憶消失。
[装備]:家電のリモコン@現実
[道具]:ディパック×1 基本支給品×1 サンルーフ付きの高級車@現実 不明支給品0~1
[思考]
基本:生き残り脱出する。
1:とりあえずDIOと協力する。

[備考]
※参戦時期は超電磁砲S終了後。
※『心理掌握』の制限は、洗脳力の低下。
※『肉の芽』を植えつけられた事によりDIOに信頼を置いているが、元々他者を信用する神経を持ち合わせていない事もあり、
  毎時毎分DIOへの信頼は薄まっていく。現時点で既に「バイト先の店長」に対する程度の敬意しかないようだ。
※高級車でDIO、イリヤと共に移動していますが、車を運転できる者がいない為『世界』が高級車を担いで運んでいます。


『上条当麻』と食蜂操折について
アニメ中では語られなかったが原作コミックで示唆され、小説「新訳 とある科学の禁書目録」シリーズにて、食蜂操折との関わりが明示された。



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食蜂操祈
DIO
最終更新:2015年06月07日 11:50