GEASS;HEAD NOAH(後章) ◆hqt46RawAo
□ 視点A3:『偽り の チーム メイト』 □
「……来たか」
診療所のエントランスに訪れた秋山澪を迎えたのは、
ルルーシュと平沢憂の二人だった。
「心の整理とやらは付いたのか?秋山澪」
わざわざ澪の方向にソファの向きを変え、その上で足を組みながら言い放つルルーシュ。
今までとは違う不遜な物言いに、澪は怪訝な表情を浮かべる。
だが漠然と、コレがこの男の本性なのだろうと察した。
そして、男の問いが自分を試すものである事も推測できていた。
故に澪も神妙な顔で頷き、答えを返す。
「はい、もう大丈夫です。
私は戦う。逃げたりしない、その心は変わりません」
それにルルーシュは満足そうに頷き。
「そうか……ならば、これを受け取れ」
そう言って、澪へと二つの物体を投げ渡した。
少々戸惑いながらも、澪はそれを受け止める。
「これは……?」
「それは通信機と発信機。言わば仲間の証だ」
掌の上に乗った二つの機械を見つめ、
澪は一層怪訝な表情を見せる。
だが、ルルーシュと憂の耳に、
渡された通信機と同型のモノが掛かっているのを見て、大体の察しは付いていた。
自分が属していた集団は一枚岩ではなかったという事実に。
ルルーシュは語り始める。
ルルーシュ達がチームを組んだ意義。
集団内に潜む者達。
各自が各自を目的の為に利用し、利用される。仮初の協力関係。
メンバーの方向性はバラバラで。
故に、最終的には仲間割れで崩壊することすら是とする、偽りのチームメイト。
「俺たちは『黒の騎士団』。君を歓迎しよう」
そう言うルルーシュを見て、澪は思った。
――腐っている。
この場所は腐っていると。
「これでやっと、バンドが組めますね。澪さん」
そう言う平沢憂を見て、澪は思った。
――狂っている。
みんな狂っていると。
「よろしくっす」
そして最後に、
まるで影のように隣に立っていた少女を見て、澪は思った。
――上等だ。
利用しあう関係、望むところだった。
□
平沢憂が目覚め、秋山澪が覚悟を決め。
ようやく、この診療所の内部に居る者たちが一堂に会するときがやって来た。
両儀式、デュオ・マックスウェル、平沢憂、東横桃子、ルルーシュ・ランペルージ、秋山澪。
計6名。
ただし東横桃子だけはステルス状態で、両義式とデュオ・マックスウェルに気取られぬようにしていたが。
メンバー全員が現在、エントランスにてチーム建て直しの最終段階に入っていた。
二つのソファを向かい合わせて、各自で腰掛ける。
玄関方面のソファにルルーシュと憂、澪が座り、
診療所奥方面のソファにはデュオと式が腰掛けていた。
「体の方は、もう大丈夫なんですか?」
式とデュオにむかってルルーシュが問う。
「俺は大分持ち直したよ、けどコイツはまだちょっとキツイみたいだぜ」
デュオはそう答えて、親指で隣に座る式を示す。
式はこの場に着てからも、ソファにもたれたまま、一言も喋っていない。
「っていうかお前、本当に大丈夫か?起きてんのか?」
デュオがそう言って式の肩をゆするが、式は答えない。
代わりに、軽く手を挙げ、寝てはいない事を伝えた。
「まあ、こんな感じだ。あんたらは大丈夫か?」
「ええ、なんとか二人とも落ち着いてくれましたよ」
憂と澪は答えず、ルルーシュが対応したが、二人とも取り乱す様子は無い。
デュオも少し怪訝に思いながらも、一応は安心する。
「んじゃま、所持品の交換でもしますかね」
「そうですね、各自で使える武器と使えない武器がありますし……」
そう言って、彼らは互いが持つ武器の分配を始めた。
当然、お互いにそれほど深い信頼関係は無い。
バーサーカーとの戦いで共闘したとは言え、個々の事情を深く知るわけではないのだ。
よって、全員がデイパックをひっくり返したりなどせず。
「これはデュオさんが持っていてください」
このように、それぞれがディパックから取り出した物を人に渡す。
そういう形式で、交換は行なわれた。
「五飛が使ってたやつか……」
デュオは渡された、二挺の拳銃と双剣を見つめる。
そして、思い出す。
五飛の最後の姿、まともな死体すら残らずバラバラに散っていった男の姿。
だが、そんな凄惨な死の光景よりも、
五飛の、壮絶な剣舞がデュオの脳裏には鮮烈に残っていた。
「わかった。使わせてもらうぜ」
そう言って、デュオは拳銃と双剣を仕舞い、心の中で誓いを立てる。
――あの男の分も込めて、必ずこのゲームの主催者を叩きのめす。
「これも、俺が持ったままでいいのか?」
デュオは取り出した『COLT M16A1/M203』を指して言う。
先の戦闘でデュオが扱った物だが、元は憂の所持品だった。
「ええ、貴方が使うのが一番有効でしょう。
憂には代わりになる銃器を渡しておきます」
そう言った後、
ルルーシュは憂に自分が持っていた『S&W M10“ミリタリー&ポリス』を手渡した。
「あんたは銃を使わねえのか?」
「元より両手が使えないので。
良い銃を持っていても大して活かせませんよ。
それに、一応これを持ってますので……」
ルルーシュは左手でニードルガンを摘み上げてみせる。
「先程、秋山澪から受け取りました。
これなら、反動も無く片腕でも十分に扱えます。
――たとえ女性でも、簡単に人の命が奪えますよ……」
ルルーシュはほんの一瞬だけ、鋭く目を細める。
まるで積年の恨みでも有るかのように、
忌々しそうな目つきでニードルガンを見つめていた。
「……刀は全員が一本ずつ持つ事にしましょう。
まとめて持つより、その方がなにかと都合がいいでしょうし」
だが、すぐに元の表情を取り戻し、そう提案する。
しばらくの間、彼らの武器交換は続いた。
日本刀は全員に行き渡る。それぞれが得意とする武器を持つ。
銃器も式以外の全員が所持しておくことになった。
□
そうして所持品の交換はとりあえず終了となり。
話題は首輪についてへと移る。
「随分集まりましたね」
床に積み上げられた首輪を見て、憂がそんな声を上げる。
各自がディパックから取り出した首輪の数。
それは今や、合わせて10個にまで及んでいた。
式とデュオが所持していた三つ。
元々ルルーシュ達が所持していた二つ。
そして、政庁の戦いの後に回収した四つ。
「こんだけありゃ、幾つかは換金に使って良いかもな」
デュオの言葉にはルルーシュも同意見だった。
彼は解析用サンプルとして、荒耶宗蓮のダミー首輪と、他にもう一つだけ通常の首輪を所持し続けようと考えていた。
しかし、流石に10個にまで増えてしまっては、内の幾つかを換金に使うほうが効率が良いと言える。
とは言え、まとめて換金してもペリカがかさばるだけである。
それに、以前ルルーシュが桃子に話した通り、武器を買い込みすぎても、奪われた時のリスクを高めるだけだ。
よってどれだけ換金に使用するかは、購入できる商品を実際に見てから、臨機応変に対応することになった。
「それじゃあ、デュオさんはダミーの首輪と他になにかもう一つ、通常の首輪を持っていてください。
残りの首輪はどこかの施設で必要な分だけ換金に当てましょう」
ここまでの会話で、ルルーシュはデュオが技術者に該当する人間であることを知っていた。
よって、解析用の首輪はデュオが持っているのが妥当と判断する。
「りょーかい」
デュオはダミーの首輪と五飛の首輪を受け取り、見比べる。
「なにか分りそうですか?」
「…………いや」
デュオは首輪について、以前から考えていたことを話す。
「解析しようにも、この金属を切り開いて解体する術が無い。
ボルトなんてもちろん溶接の跡も、継ぎ目もねえんだよな、この首輪。
どうやってこんなもん作って、俺達の首にはめ込んだのかはわからねえけど……。
この首輪は……式曰く『見えにくいようにする魔法』が施されているらしい」
「……ようするに、その魔法を解かないと解体は難しい……と?」
つまり、この首輪は仕掛けられた魔法によって、解体されないように細工されている可能性があるということ。
逆に言えば、その魔法さえ解呪出来れば、首輪解体への道が開けるということだ。
「ああ、この金属を直接ぶった切れる物でもありゃ別だけどな。
そりゃ無理だろうさ。多分コレ、ただの金属じゃねえぜ?
俺の世界にあった、ガンダニュウム合金ってやつだとしたら、力ずくの解体は無理だろうな」
おそらく、銃弾にも耐えかねない強度。
そうでなければ、先のバーサーカーとの戦いはもっと楽に終わっていただろう。
「では、その魔法を解く方法の目星は付いているんですか?」
「それに関しては……式に話して貰った方が早いだろうな」
その言葉に、全員の視線が式に集まる。
だが、式は疲労のためか、ソファにもたれたまま動かない。
デュオに肩を揺すられてようやく上体を起こし、気だるそうにしながらも、ポツポツと話し出した。
この島の各所に仕掛けられた結界について。
式がもと居た世界における荒耶宗蓮の存在。
式はそれらを若干早口で、この場に居るメンバーに伝えていく。
「別に……結界をすべて壊したら、この首輪が『視える』ようになる、なんて保証は無い。
けど、荒耶がこの場所に居て、しかも主催者側の人間だったんだろ?
だったら、結界を壊していけば必ず何かが起こる。
オレはそう確信してるよ……」
そうして、喋り疲れた式は「もう限界だ」と呟いて再びソファに沈み込む。
やはり、彼女の体力消耗は深刻なようだ。
脱力状態の式を見つめながらルルーシュは考えていた。
(これは俺達の動きを決める重大な情報だな。
スザクを生還させる上で首輪の解除は必須課題。
結界の破壊がそれに繋がるのなら、積極的に行なうべきか……)
だが、ルルーシュにはもう一つ首輪解除の心当たりがある。
(それに内通者の存在……。そいつはダモクレスの存在を俺達に知らせ、危機感を煽るだけか……?
もっと確固たる形の援助はないのか……?
結界の仕掛け場所は地図に記された要所の施設。
同じように、ホール以外の施設でも内通者の援助が得られる可能性がある。
それこそ、首輪の解除に繋がるような……。
おそらくは手軽に得られるような手段ではないだろう、ホールと同じように何らかの条件が課せられる可能性が高い。
だが、探してみる価値はあるな……。)
一方、考え込むルルーシュを見ながら、デュオは更なる不信感を募らせていた。
ルルーシュのさわやかな笑顔といい。丁寧な敬語といい。
普通の人間なら好感を持つところだ。
しかし、デュオ・マックスウェルはガンダムパイロットとして、卓越した手腕を備える工作員である。
その手の装いにすんなりと騙されることなど無い。
政庁での巧妙な手際を見た後であれば尚更だ。
あの一件で、ルルーシュの頭の回転、手回しの良さはデュオにもよく伝わった。
ならば、この丁寧な対応や、『協力しよう』という態度も、すべて計算の内ではないか?
そのような疑念が湧き上がる。
それで居て、デュオがルルーシュと協力していけると踏んでいるのは、
ルルーシュの隣に座る少女達の存在が大きい。
更に深読みすれば、彼女達すら疑う対象だったが。
デュオの結論としては『今はまだ協力できるだろう』という事だった。
油断はできない、とは言え彼ら彼女等が戦力不足に陥っていたのは事実である。
己と式が負傷したルルーシュと少女達を守護できる存在である以上、すぐに後ろから刺されるような状況には陥るまい。
「こいつの解除はまだまだ時間が掛かりそうだな……。
で、これからどーするんだ?ルルーシュさんよ」
だが、警戒は怠らないよう心がけることを決め、デュオは話を一つ進めた。
「そうですね……」
武器の交換、首輪の考察ときて、最後に残る話題は次の移動場所。
要するに、これからの行動である。
『象の像』という一応の目的地は有る。
もう、どれだけ急いでも放送前に到着することは不可能と言えたが。
正確な集合時間は『放送前後』である為、少しくらいなら遅れることは許容された。
しかし、デュオもルルーシュも象の像が殺し合いに乗った者に襲撃される可能性は考慮している。
移動するならば、全員の体勢を万全に整えてからが望ましい。
「この状況で、陸路は危険ですね……。
診療所を出て少し南の海岸に、揚陸艇が隠してあります。
それに乗って海上を移動しましょう。
象の像へ向かうかどうかはその後、放送を聞いて、状況を見て決めます」
「揚陸艇って……船なんか持ってたのかよ。
政庁を爆破するやら、避難見越して車を配備するやら、アンタちょっと物持ちすぎじゃねえか?」
流石にここまで準備が良いと、デュオも少々舌を巻く。
この集団内に置ける、最大戦力である両儀式の体調回復にはまだまだ時間が掛かる。
北上し、おそらく危険であろう政庁方面通る陸路は危険と判断された。
よってルルーシュは海路を進むことを提案する。
海上ならば、襲撃の危険性は縮小され、移動中にも式の休息を続行出来るのだ。
ただし、この時間から海路で象の像に向かえば、集合時間には大きく出遅れることになるだろう。
「とりあえずは危険地帯を避け、海上を西に回って進みましょう」
なので、今は兎に角、政庁から距離を取ることを優先した。
海路で政庁から離れつつ、象の像へと近づく。
実際にどうするか決めるのは放送を聞いた後だ。
象の像へと接近した際に、付近の状況と式の状態を見て判断することにした。
「なるほどね。
それじゃあ、そろそろ移動開始と行きますかね……」
「そうですね、この場所に留まり続けるのもそろそろ限界だ」
そして彼らは診療所を後にする。
各々胸中に渦巻くものを抱えたまま、揚陸艇へと足を進めた。
□ 視点FINAL:『NOAH』 □
揚陸艇は動き出した。
それはさながらノアの方舟の如く。
乗り込んだ6人を災厄に混沌とした地上より逃がす。
だが、果たしてその船が向かう先は安息の地か?
そうは言い切れないだろう。
逃げた先が更なる地獄だった。そんなことはよくある話だ。
そもそも、この船が内包する集団は実に剣呑だ。
策を弄する者、それを利用せんとする者、それを知らずしかし警戒を怠ってはいない者。
今や彼ら自体が混沌と言えた。
ならば、彼等こそが地獄をもたらす存在となるのか。
船内の者達は思い思いの行動をとっている。
□
ルルーシュ・ランペルージと平沢憂は操縦席に居た。
ルルーシュは船を操縦しつつ、秋山澪から回収した『バトルロワイアル観光ガイド』を開いている。
象の像とは別に、訪れる価値がありそうな施設をチェックする。
結界の破壊と平行して、首輪の解除に繋がるような、内通者に繋がるような施設が無いかを調べていた。
その後ろで、平沢憂は返り血を浴びた体を流す準備をしていた。
湯は既にルルーシュが準備してある。
彼女は今、ルルーシュの後ろで、次に着る服を選んでいる。
澪から渡された『コスプレセット』の中にある服か、デュオから渡された『メイド服』、どちらを着ようか悩んでいる。
「俺達の進行方向上には【廃ビル】があるな……」
「そこには何かあるんですか?」
ルルーシュの呟きに憂が反応する。
コスプレセットから目を離し、ルルーシュの背後からガイドブックを覗き込む。
「まあ、何かあると決まっている訳ではないが……。
このゲームが始まった当初から注目していた施設の一つさ。
機会が有れば訪れたいと思っていた」
「そうなんですか……。
じゃあ、何かあると良いですね」
「そうだな、象の像行きが断念される場合は行ってみるか……。
というか、お前は早く体を流してこい。
服選びにどれだけ時間を掛けているんだ」
言われた憂は「はーい」と元気よく返事を返し、選んだ服を掴んで、とてとてと走り去っていく。
立ち去る寸前、憂の表情は笑っていた。
しかし、本人がそれに気づいているのかいないのか。
彼女の瞳の奥には、いまだ苦痛の色が濃く残っている。
それを見送った後、ルルーシュは再びガイドブックに視線を落とした。
「そろそろ、放送の時刻か……俺も少し疲れたな」
だが迫る放送を前に、彼に気を抜く時間など、まだまだ与えられそうに無かった。
□
一方その頃。
揚陸艇の格納庫の中では、秋山澪が東横桃子にばったりと出くわしていた。
二人の視線が交錯したまま、しばらく沈黙が流れる。
数秒間、時間だけが過ぎ。
結果、最初に口火を切ったのは東横桃子だった。
「こんな所に、一体何の用っすか?」
問われた澪は背負っていたモノを下ろしながら答える。
「唯はここに寝かせてやれって、ルルーシュさんが……」
澪が格納庫の床に下ろしたのは平沢唯の遺体だった。
彼女は唯の遺体を診療所に放置する事が出来なかった。
とはいえ、憂の傍に置くことはルルーシュに止められていた。
なので彼女は遺体をこの場所へと、安置しにきていたのである。
「貴女こそ……こんな所で何をしてるんだ?」
問い返した澪に、桃子も答えを返す。
「ステルス解除っすよ。
解除できるときに解除しといたほうが、後々楽になるっすから……」
桃子がこの場所に隠れていた理由は、デュオと式に見つからずにステルスを解除する為である。
船井と共にいた際に6時間以上のステルス持続が実証済みとは言え、
やはり小まめに解除して、持続時間を稼いでおくに越したことは無い。
また、今回は船井や平沢唯の様な一般人相手とは状況が違う。
戦いなれている、侮れない観察力や洞察力を持つ者達にステルスを仕掛けているのだ。
ステルス精度はなるべく高く保ちたかった。
「……そう」
澪は素っ気無く言って、唯の遺体の隣に座り込む。
以前この格納庫に収納されていた蟹は、今は憂のデイパックの中に収納さていている
なので、現在の格納庫の中は閑散としていた。
桃子も澪と向かい合うように床に座り込む。
共に大切な者の蘇生を望む者同士。
しかし、その道はいつか必ず対立の形を描くだろう。
互いがそれを分っているからか、それきり会話は途切れてしまった。
再び立ち込めた静寂を切り裂くのは、どちらかの言葉か。
それとも三回目の定時放送か……。
二人きりの格納庫。
今はただ、沈黙が流れている。
□
両儀式は船内で眠りについていた。
揚陸艇に乗り込むなり、すぐに横になり、診療所から持ってきた毛布を被っている。
その隣で、デュオ・マックスウェルはダミーの首輪を弄くっていた。
結局のところ、これからの行き先はルルーシュに任せ、自分は首輪の解析に集中することにしている。
「爆発の危険が無いなら……いっそ壊してみるのも一つの手かねえ……。
いやでも、やっぱ強度的に難しいか、くそっ厄介なもん作りやがるぜ」
やはり、現状では首輪の解析は不可能に感じられた。
とはいえやれる事、考え付くことは試してみようと思い立ち、一人うなり続ける。
「魔法を解かずに首輪を解除するには、この金属を剥がせる装置か何かが必要になるのか……。
しっかし、そんなもんこの島にあるのかよ」
頭を掻き毟りながら暫くの間、デュオはうなり続けていた。
「そういや、あの女は結局、何だったんだろうな……」
考えに詰まったデュオはふと、先の戦闘の中で見た、一人の少女の姿を思い出す。
巨人の顔面へとグレネードを打ち込む寸前、巨人の足元に突如現れた少女。
デュオ以外の誰もが『見ていない』と言っていた。
式すら、『オレはあのとき、満身創痍で敵以外を見るような余裕は無かった』と話していた。
しかし女の存在は兎も角、女が持っていた武器はデュオにとって非常に馴染み深い物だった。
故に、デュオは見間違いでは無いと確信していた。
「鬼が出て巨人が出て、次は『消える女』か……」
この島は異常な奴でいっぱいだな、と。
船内でデュオは一人、苦笑いを浮かべたのであった。
□
それぞれの思いを乗せて、船は進む。
それぞれの思いに関わらず、日は沈む。
オレンジ色の海面は黒く染まり始める。
黄昏の時は終わりを告げ、夜の闇が近づいてくる。
それは、この島に存在する全ての人間へと、均等にもたらされるモノだ。
そして、均等に与えられるものはもう一つある。
――放送。
誰かが安堵し、誰かが絶望する時刻。
このゲームを催した者と参加者の数少ない接点。
もう、すぐそこまで迫っていた。
【E-5/揚陸艇(海上&放送直前)/1日目/夕方】
【ルルーシュ・ランペルージ@コードギアス反逆のルルーシュR2】
[状態]:疲労(大)、右腕の骨折、思し蟹の力覚醒
[服装]:歩く教会@とある魔術の禁書目録、
[装備]:イヤホン@現地制作、ニードルガン@コードギアス 反逆のルルーシュ、ククリナイフ@現実
[道具]:基本支給品一式×2、盗聴機×8、発信機×6@現地制作、単三電池×大量@現実、
通信機×5@コードギアス反逆のルルーシュ、パソコン、CDプレイヤー型受信端末、リモコン、
USBメモリ(会場地図)@現実、USBメモリ(ダモクレス設計図)@現実
アッシュフォード学園男子制服@コードギアス反逆のルルーシュR2、
死亡者・おくりびと表示端末@オリジナル、【第1回放送までのおくりびと】のメモ、
首輪×8(セイバー・明智光秀・兵藤和尊・田井中律・キャスター・バーサーカー・ヴァン・竹井久)
蒼崎橙子の瓶詰め生首@空の境界、荒耶宗蓮の工房から回収した不明品多数、和泉守兼定@現実
“夜叉”の面@現実、ゼロの仮面とマント@コードギアス、バトルロワイアル観光ガイド、不明支給品(0~1)
[思考]
基本思考:枢木スザクは何としても生還させる。
0:廃ビル……か。
1:次にどこへ移動するかを検討中。放送を聞き、チーム全体の状況を見て移動場所を決める。
象の像に向かわない場合は、ガイドブックを参考にして、結界の破壊及び、内通者に繋がりそうな施設を目指す。
2:デュオと式を上手く利用する。
3:殺しも厭わない。東横桃子、平沢憂、スザク、C.C.、ユフィ、澪以外は敵=駒。利用できる物は利用する。
4:阿良々木暦を排除したい。
5:スザク、C.C.、ユフィと合流したいが、参戦時系列の考察により、相応の警戒を持って接する事にした。
6:両儀式を警戒。荒耶宗蓮の工房から回収した品を見せる?式に既視感?
7:ライダー、織田信長、浅上藤乃、白髪の少年(一方通行)、顎の尖った男(伊藤開司)を警戒。
8:“金で魔法を買った”というキーワードが気になる。
9:首輪の解除方法の調査、施設群Xを調査する?
10:刹那と本田忠勝の想いを受け継ぐ。
11:桃子と憂の2人を、必要以上に大切に思わないように気をつける。
[備考]
※参加者が異なる時間平面、平行世界から集められている可能性を考察しています。
※モモから咲の世界の情報を得ました。主要メンバーの打ち筋、スタイルなどを把握しました。
※自分のギアスも含めて能力者には制限が掛っていると考えています。
※モデルガン@現実、手紙×2、遺書、カギ爪@ガン×ソード、ミサイル×2発@コードギアス反逆のルルーシュ
ジャージ(上下黒)、鏡×大量、消化器、ロープ、カセットコンロ、
混ぜるな危険と書かれた風呂用洗剤×大量、ダイバーセット、その他医薬品・食料品・雑貨など多数@ALL現実
揚陸艇のミサイル発射管2発×1機、皇帝ルルーシュの衣装(マント無し)@コードギアス反逆のルルーシュR2、
現在支給品バッグに入れています。
※揚陸艇の燃料…残り10キロ分。
※荒耶宗蓮が主催者側の魔術師である事を知りました。
※トランザムバーストの影響を受け、刹那・本田忠勝・バーサーカーの戦い。
及びその記憶と想いを呼び覚ましました。
(どこまで記憶の影響を受けたかは後述の書き手さんにお任せします。
ただし、何か特殊な力に目覚める。イノベイターに覚醒する等は一切ありません)
※荒耶宗蓮の工房から不明品多数を回収しました。
(何を回収したのかは後述の書き手さんにおまかせします)
※荒耶宗蓮の工房内に在った大極図の魔方陣がルルーシュにより傷付けられ力を失いました。
(今後各所の結界等に何らかの影響が出るかは後述の書き手さんにおまかせします)
※発信機により東横桃子と平沢憂、秋山澪の位置を把握出来ています。
※式、デュオ、五飛と情報交換をしました。3人に阿良々木暦は殺し合いに乗ってると吹き込みました。
※ダモクレスが会場内にある可能性を危惧しています。また主催内に自分達を援護する工作員の存在を考えています。
【平沢憂@けいおん!】
[状態]:拳に傷、重みを消失、疲労(中)
[服装]:血濡れのゴスロリ@現実、皇帝ルルーシュのマント
[装備]:ギミックヨーヨー@ガンソード、騎英の手綱@Fate/stay night+おもし蟹@化物語、拳の包帯、
S&W M10 “ミリタリー&ポリス”(6/6)、遠坂凛の魔力入り宝石@Fate/stay night×10個(in腰巾着)、
洗濯紐、発信機@現地制作、通信機@コードギアス反逆のルルーシュ
[道具]:基本支給品一式、日記(羽ペン付き)@現実、桜が丘高校女子制服、カメオ@ガン×ソード、
ゼロの剣@コードギアス反逆のルルーシュR2、包帯と消毒液@逆境無頼カイジ Ultimate Survivor 、
鉈@現実、阿良々木暦のMTB@化物語、ファサリナの三節棍@ガン×ソード、 燭台切光忠@現実、、
“泥眼”の面@現実 、.38spl弾×46、メイド服@けいおん! 、さわ子のコスプレセット@けいおん!
[思考]
基本:ルルーシュとバンドを組みたい。皆を殺す。阿良々木さんはもう絶対殺す。
0:体を流しに行く。その後、新しい服に着替える。
1:辛いことは考えない、ルルーシュさんを信じる。
2:ルルーシュさんの作戦、言う事は聞く。
3:桃子ちゃんは友達。
4:阿良々木さんをブチ殺して、お姉ちゃんのギー太を返して貰う。
5:澪さんとバンドが組めて嬉しい。
6:梓を殺した荒耶宗蓮への憎悪。
7:ライダー、織田信長、浅上藤乃(と思われる黒髪の少女)、白髪の少年(一方通行)、顎の尖った男(伊藤開司)、ユーフェミアを警戒。
8:ユーフェミアに対して『日本人』とは名乗らないようにする。
9:思いを捨てた事への無自覚な後悔。
10:お姉ちゃんは私の――。
[備考]
※ルルーシュの「俺を裏切るなよ」というギアスをかけられました。
※中野梓についていた「おもし蟹」と行き遭いました。姉である平沢唯に対する『思い』を失っています。
※第2回放送をほとんど把握していません。
※ユーフェミア・リ・ブリタニアの外見的特長を把握しました。
【東横桃子@咲-Saki-】
[状態]:ステルス解除、疲労(中)
[服装]:鶴賀学園女子制服(冬服)、ポンチョのようなマント@オリジナル(現地調達)
[装備]:FN ブローニング・ハイパワー(自動拳銃/弾数15/15/予備30発)@現実、果物ナイフ@現実(現地調達)、
双眼鏡@現実(現地調達)
[道具]:デイパック、基本支給品×2(-水1本)、FENDER JAPAN JB62/LH/3TS Jazz Bass@けいおん! 、
シティサイクル(自転車)@現実、蒲原智美のワゴン車@咲-Saki-(現地調達)、
小型ビームサイズ@オリジナル(現地調達) 、キャンプ用の折り畳み椅子@現実
七天七刀@とある魔術の禁書目録、通信機@コードギアス反逆のルルーシュ、発信機@現地制作、
“狐”の面@現実、不明支給品(0~1)、
[思考]
基本:加治木ゆみを蘇生させる。
0:……。
1:ルルーシュを利用し(利用され)、優勝する。
2:もう、人を殺すことを厭わない。
3:覚悟完了。ステルスを使う時は麻雀で対局相手の当り牌を切る時の感覚を大事にする。
4:先輩が好きだ。それだけは譲らない。
5:……憂ちゃんは一応、友達ってことで。秋山澪は……。
6:バーサーカー、ライダー、織田信長、浅上藤乃(と思われる黒髪の少女)、白髪の少年(一方通行)、顎の尖った男(伊藤開司)、ユーフェミアを警戒。
7:浅上藤乃と思われる黒髪の少女に出会った際に、冷静であるように努める。
8:ルルーシュの能力とは?
9:ユーフェミアに対して『日本人』とは名乗らないようにする。
[備考]
※登場時期は最終話終了後。
※カギ爪の男からレイに宛てて書かれた手紙は中身を確認せずに破り捨てました。
※荒耶宗蓮が主催者側の魔術師である事を知りました。
※自分の起源を知りました。
※ユーフェミア・リ・ブリタニアの外見的特長を把握しました。
※闘技場で伊達政宗達よバーサーカーの戦いの顛末を見ました。
※【A-7】での爆発に気付きました。
【秋山澪@けいおん!】
[状態]: 疲労(中)、両頬に刀傷
[服装]: 龍門渕家のメイド服@咲-Saki-
[装備]: 田井中律のドラムスティック、影絵の魔物@空の境界、ミニミ軽機関銃(183/200)@現実
[道具]:基本支給品一式×9、千石撫子の支給品0~1個(確認済み)、
桃太郎の絵本@とある魔術の禁書目録、2ぶんの1かいしんだねこ@咲-Saki-、
法の書@とある魔術の禁書目録
純白のパンツ@現実、下着とシャツと濡れた制服、桜が丘高校軽音楽部のアルバム@けいおん!、
モンキーレンチ@現実、忍びの緊急脱出装置@戦国BASARA×2、軽音楽部のティーセット、
シアン化カリウム入りスティックシュガー×5、特上寿司×10人前@現実、ゼロの仮面、
ジャンケンカード×十数枚(グーチョキパー混合)、ナイフ、薔薇の入浴剤@現実、
一億ペリカの引換券@オリジナル×2、ヒートショーテル@新機動戦記ガンダムW、発信機@現地制作、
通信機@コードギアス反逆のルルーシュ、刀身が折れた雷切 @現実、平沢唯の遺体
[思考]
基本:もう一度、軽音部の皆と会うために全力で戦う。
0:……。
1:この集団を利用し、目的を果たす。
2:軽音部全員を救う方法を見つける。
3:見つけ次第、実行する。
4:手段を選ぶつもりはない。
5:一方通行、ライダー、を警戒。
6:福路美穂子は大嫌いだ。
7:ユーフェミアに対して『日本人』とは名乗らないようにする。
8:正義の味方なんていない……。
[備考]
※本編9話『新入部員!』以降の参加です
※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました
※エスポワール会議に参加しました
※光秀が一度は死んだ身であることを信じています。
※トレーズへの拷問と死に様を見ました。
※刹那の声を聞きました。
※ブラッドチップ(低スペック)の影響によって己の起源を自覚しました。 高揚しやすくなっています。
※起源は『畏怖』と『逃避』の二つ。
※自分の望みのために、起源を乗り越えて戦う覚悟を決めました。
※黒の騎士団全員の情報を得ました。
※ルルーシュたちの作戦を把握しました。
【(腹)黒の騎士団の作戦】
1:戦力増強のため、超人レベルか達人レベルの戦力を有する対主催派集団に入り込む。または作り出す。
2:ルルーシュと憂と澪は無害を装い。桃子はステルス状態で同行。
3:内側からギアス等で集団を都合よく操る。策を弄する際の連絡役は桃子。万が一の不意打ち役も桃子。
4:出会う参加者に阿良々木暦の悪評を伝える。
5:邪魔になる人物や戦場ヶ原ひたぎ、神原駿河は排除する。
6:桃子は集団内の人間をよく観察する。
7:集団内に殺し合いに乗った人間が居たら、懐柔するか排除する。
8:阿良々木暦に遭遇した場合は混乱に乗じて排除する。
9:戦力にならない集団とは阿良々木暦の悪評だけ伝えて分かれるか、そもそも関わらない。
10:『おくりびと』は見られないようにする。
【デュオ・マックスウェル@新機動戦記ガンダムW】
[状態]:疲労(中)
[服装]:牧師のような黒ずくめの服
[装備]:フェイファー・ツェリザカ(弾数5/5)@現実、15.24mm専用予備弾×60@現実、
COLT M16A1/M203(突撃銃・グレネードランチャー/(20/20)(1/1/)発/予備40・9発)@現実
[道具]:基本支給品一式×2、デスサイズのパーツ@新機動戦記ガンダムW、
BMC RR1200@コードギアス 反逆のルルーシュR2、 桜舞@戦国BASARA(一本のみ)、
ラッキー・ザ・ルーレットの二丁拳銃(4/6)@ガン×ソード、干将・莫耶@Fate/stay night、
中務正宗@現実、首輪(張五飛)、ダミーの首輪(荒耶宗蓮)
[思考]
基本:ガンダムパイロットとして主催を潰す。
0:首輪の解析について、後の段階で出来ることも考える。
1:五飛の分も込めて、主催者を叩きのめす。
2:アイツ(ルルーシュ)、手際良すぎねえか?
3:『消える女(桃子)』に警戒。
4:ルルーシュ・ランペルージ、平沢憂には用心する。
5:首輪の解析は現状の段階ではお手上げ。
6:デスサイズはどこかにないものか。いやこんなリアル鎌じゃなくて、モビルスーツの方な
そういえばあの女(桃子)ビームサイズ持ってたな……。
7:式……マジで大丈夫なのか?
[備考]
※参戦時期は一応17話以降で設定。ゼクスのことはOZの将校だと認識している。
正確にどの時期かは後の書き手さんにお任せします。
※A-5の敵のアジトが小川マンションであると分かりました。
※以下の情報を式から聞きました。
・荒耶が殺し合いの根幹に関わっている可能性が高い。
・施設に点在している魔法陣が殺し合いの舞台になんらかの作用があるかもしれない。
・首輪にはなんらかの視覚を始めとした五感に対する細工が施されてあるかもしれない。
※ルルーシュと情報交換をしました。阿良々木暦が殺し合いに乗ってると吹き込まれました。
【両儀式@空の境界】
[状態]:疲労(大)、 ダメージ(大)、睡眠中
[服装]:私服の紬(上着排除)
[装備]:九字兼定@空の境界、毛布@現地調達
[道具]:基本支給品一式、首輪、ランダム支給品0~1 、ルールブレイカー@Fate/stay night 、
武田軍の馬@戦国BASARA
[思考]
0:―――。
1:私は死ねない。
2:幹也のためにできることを考える。
3:刀を誰かに渡すんだっけ?もったいないな……。
4:浅上藤乃……殺し合いに乗ったのか。
5:荒耶がこの殺し合いに関わっているかもしれないとほぼ確信。
6:荒耶が施したと思われる会場の結界を壊す。
7:荒耶が死んだことに疑問。
8:首輪は出来るなら外したい。
[補足]
※首輪には、首輪自体の死が視え難くなる細工がしてあるか、もしくは己の魔眼を弱める細工がしてあるかのどちらかと考えています。
※荒耶が生きていることに関しては、それ程気に留めてはいません。
しかし、彼が殺し合いに何かしらの形で関わっているのではないかと、確信しています。
※A-5の敵のアジトが小川マンションであると分かりました
※以下の仮説を立てています。
・荒耶が殺し合いの根幹に関わっていて、会場にあらゆる魔術を施している。
・施設に点在している魔法陣が殺し合いの舞台になんらかの作用がある。
・上の二つがあまりに自分に気付かせんとされていたこと自体に対しても疑念を抱いている。
・首輪にはなんらかの視覚を始めとした五感に対する細工が施されてある。
※ルルーシュと情報交換をしました。阿良々木暦が殺し合いに乗ってると吹き込まれました。
※平沢唯から聞いた信頼できる人間に刀を渡すというプランを憶えています(引き継ぐかは不明)
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最終更新:2010年04月16日 23:19