正義の味方 ◆MQZCGutBfo
―――この地に於いて疾走するのは幾度目か。
未来を信じ、か細い希望へ向かって爆進する一台のジープ。
その後部座席で、ひとりごちる一人の少女。
「……以前乗った時は、士郎さんが隣で支えてくれたんでしたわね。」
初めて会った時は、こんなにも自分の中で大きい存在になるとは思ってもいなかった。
彼を意識しはじめたのは―――お姉さまが居なくなってしまった時。
他人のことばっかり世話を焼いて。
無鉄砲で。
自身を全く省みなくて。
本当に危なっかしい男性。
でもとても真っ直ぐで。
優しくて。
あまやかしーで。
「……早く会いに来い、ですの。
士郎さんのおかげで、わたくしはこうしてまだ元気なんですから。」
前に座るグラハムやスザク、対面で何かに想いを馳せている
――恐らくは、亡くなった
戦場ヶ原ひたぎに対してだろうが――
阿良々木暦には聞こえないように、そっと想いを口に出す。
そう、士郎さんが、グラハムさんや衣さんに託して重傷の自分を助けてくれたのだ。
だが、何かが引っ掛かる。
―――パン!!
ピシリと自身の両の頬を叩き、腑抜けていた心に活をいれる。
……頬よりも包帯で巻いてある両手の方が痛い。
阿良々木さんが驚いた顔でこちらを見るが、気にしない。
テレポートを満足に使えない以上、戦闘力ではこのチームの力にはなれないだろう。
ならば、学園都市で鍛えた頭脳をフルで働かせるのみ。
重傷であった自身がこうして生きているのは、
グラハムさんや衣さんが薬局で治療サービスを使ってくれたからである。
―――そう、一気に4人も殺される羽目になった、罠とも言うべきあの施設。
薬局という名の希望に縋りつく者に、絶望を見せる憎き罠。
スザクさんの治療の為に襲撃時に退避できず、治療自体も時間稼ぎをされたのだ。
当然、自身の治療の際にもなんらかのリスクがあったと見ていいだろう。
揺れる車体の中で、前部座席に掴まりグラハムに尋ねる。
「グラハムさん、わたくしを治療した時のことを教えて下さいません?
阿良々木さん達との合流で有耶無耶になっていましたし。」
「ふむ?……前も言ったと思うが、薬局の施設別サービスで治療を…………なるほど。」
前を向きながら、得心したようにグラハムが頷く。
「あの時は急場だったので不問にしていたが。確かにおかしなところが多すぎる……!」
ハンドルを力強く握りしめながら、その時の状況を話す。
- 治療サービスには1億ペリカ必要で、手持ちの金額では足りなかったこと。
- 治療具を探している間に、主催の一人である禁書目録《インデックス》が天江衣のところに現われたこと。
- ペリカを一銭も支払わず、『善意』で白井黒子を治療したこと。
「…………ありえませんの。」
「まったくだ。本当に、私の無能さには―――反吐が出る!!」
ハンドルをドン!!と拳で叩く。
「……治療されたわたくし自身、能力に関しても身体に関しても不都合な個所はありません。」
「そして、この
グラハム・エーカーも、なんらリスクを負っていない。」
「……つまり、天江がリスクを背負っている……ってことか……。」
それまで黙って目を瞑っていた阿良々木暦が口を挟む。
天江衣と面識のない
枢木スザクは、会話に耳を傾けつつ辺りを警戒している。
「それでも衣さんは、一緒にいる間、一切そんなことは言っておりませんの。
―――おそらく、口止めされていると見ていいですわね。」
「……なんということだ。」
ギリギリと歯噛みするグラハム。
そして黒子は再び思考の海に入る。
――衣さんにどんなリスクを背負わせたというのか。
わかりやすいリスクで言えば、殺し合いを助長させる為に他人を制限時間以内に殺すことか。
だが、衣さんでは実現も難しいし、本人も納得しないだろう。
わたくしを助けるために、衣さん自身が納得し、できそうでできないものを提示して、足掻く様を嘲笑う。
――教会で会ったうさんくさい神父。あの男が去り際に見せた、愉悦に浸り笑っていた顔を思い出す。
まったく、下卑た主催の考えそうなことだ。
となれば―――
「あれは……!前方にKMF―――機動兵器がいます!!」
スザクの叫び声に、思考を中断する。
□
「さてさて、どうしたものか」
贋作なれど、真作と寸分違わぬ九字兼定。
刀匠としての魂を、その刀に感じられる。
元々刀が持っていたものとは違う、この少年の魂と言うべきモノ。
死を賭して作った刀ならば、その想いに応えてこそ、刀を振るう者の礼儀か。
「……まあ、白井黒子ってのを探してやるか。」
そしてもう一度、傍らに横たわる少年を見る。
> 人を殺せるのはただ一度だけ。
「…………」
なんとなく、あいつの顔と重なる。
そう。―――もう、背負ってくれる人はいないんだ。
「でもさ、バケモノ……だったんだよ。」
それでも、最期はヒトとして死んでしまった。
例えば、交通事故。
信号無視してきた車と安全運転していた車がぶつかって、
信号無視してきた車に乗っていたヒトが死んでしまったら?
それは安全運転していたヒトがヒトをコロシタことになるんだろうか?
例えば、臓器移植。
移植を望んで、その臓器が不適合で、それによってヒトが死んでしまったら?
それは臓器提供したヒトがヒトをコロシタことになるんだろうか?
例えば、怪物退治。
怪物を退治したらヒトに戻って。戻った後に死んでしまったら?
それは怪物を退治したヒトがヒトをコロシタことになるんだろうか?
「なあ……おまえ、怒ってないよな……?」
途方にくれたまま、白み始めたソラを見上げる―――
□
「
浅上藤乃が言っていた機械兵の砲撃、か。警戒して進むべきだな。」
狙い撃ちの可能性がある車を止め、グラハムさんがバッグに収納し、徒歩で警戒しながら近づいていく。
「あれはサザーランド……僕の世界の量産型機動兵器です。
……もう実際に手に入れている参加者がいるのか。」
「流石に生身じゃ戦闘は厳しそうですよね……」
僕の発言に枢木はあっさり首を振り。
「いえ、サザーランドの銃撃程度ならば、僕がかわせます。
グラハムさんはコックピット……後部のバックパックを狙って牽制して下さい。」
なんてことをのたもうた。
「……承知した。」
『あの』
一方通行と生身で近接戦闘を行った枢木に異論の出るはずもなく。
枢木がイングラムを、グラハムさんがSIGを構え戦闘体制に移行する。
―――そして合図と共に、人間業とも思えぬスピードで左右ジグザクに走っていく枢木。
「いや『程度』って。あんなロボに追いかけられたら普通死ぬでしょ……」
何故か僕がロボに追いかけられるイメージが頭の中で再生され、慌てて首を振る。
だけど、枢木が近づいて行ってもロボは反応しない。
と、枢木がこっちに来いと手招きしてる。
近づいて行くと、明らかに乗り捨てられた形のロボがあるだけだった。
「船を攻撃した後、何かと戦闘にでもなったんでしょうか?」
「そうだな……あちこちに戦闘の傷痕がある。」
僕たちが近づいていく間に枢木がロボを調べるが、特に爆弾をしかけられている様子もなく。
「本当に、乗り捨てて逃げたような感じですね。
……ところどころ被弾していますが、まだまだ使えますよ。」
片腕で器用にコックピットに乗り込み、ゆっくりと立ち上がるサザーランド。
そして近くに打ち捨てられていたキャノン砲を担ぐ。
『大型キャノンとスタントンファは正常稼働。スラッシュハーケンはワイヤーが切れて使えない、か。
武装は十分……とはいえ、やはり片腕では戦闘機動は無理ですね。』
なんとか歩行程度はできるものの、自分の操縦ではとても戦闘は無理だろうと枢木が伝える。
「ふむ……だが戦力増強はやはりありがたい。天江衣らと合流した後、活用方法を考えることとしよう。」
「しかし本当にロボットが動くんだなあ……ホールで見たやつよりは小さいっぽいけど。」
サザーランドってロボを見上げながら溜息をつく。
「ホール、ですの?」
「あ、ああ。あの南東のホールにもこういう感じでデブいロボが……」
『……あれは、
両儀式?』
「へっ?」
話の腰を折った枢木の不意打ちに、思わず間抜けな返しをしてしまう。
ちょうど一年前に……いや、一日前に。
駅でチームを組むことになった6人。
僕、枢木、
セイバー、真田、デュオ、そして両儀式。
―――その両儀がいると言うのだ。
□
―――スザクさんの乗るサザーランドが腕を上げ、指で示し。
白み始めた空の下、指した先に和服の少女が立っている。
手には刀らしきものを持ち。
そして、その近くで誰かが横になっている。
赤い髪をした少年が、横になっている。
あれは―――――――――
「―――士郎さん!!!!!!!!」
グラハムの制止も聞こえず、出鱈目なテレポートで一心不乱に駆けて行く。
何故動かないんですの?
何故倒れたままなんですの?
ドクンドクンと心臓が早鐘を叩いている。
黒髪の和服女は空を見上げたまま微動だにしない。
だが、そんなことはどうでもいい。
士郎さんのそばに駆け寄り、呼びかける。
「士郎さん、黒子です!!士郎さん!!」
あの暖かかった士郎さんの身体が冷たい。
呼びかけても返事をしてくれない。
そうだもしかして来るのが遅かったから怒ってるのかもしれない
だったらはやくきがつかせてあげないと
わたくしはここにいるって
もうずっとはなれないって
「士郎さん士郎さんしろうさんしろうさん!!!!」
「ん…………。」
式がようやく気がついたように声をかける。
「こいつの知り合いか?…………こいつなら。さっき、私が殺したよ。」
―――わたくしの中で何かが弾け。
ペーパーナイフを両手に3本ずつ取り、和服女の人体の『内側』に向け転移させる。
「…………よくも」
―――が、狙った個所とは別の場所―――女の頭上に出現する。
「……お前も、変わった技を使うんだな。」
事もなげに刀でナイフを弾かれる。
「………………よくも」
続けて空のワインボトルを2本転移させるも、あさっての方向に出現し、音を立てて地面で破裂する。
「……………………よくも」
包帯を長く伸ばし、和服女を『両断』するイメージで包帯を転移させる。
既に読まれていたのか、後ろに跳躍され
「よくも、士郎さんを!!!!!!!!!!!」
そこに、私自身がなんとか想定した場所に転移し、渾身の力で警棒を振るう。
―――が、その警棒も一閃で弾き飛ばされる。
続けて―――
「……なあおまえ。もしかして白井黒子って奴か?」
「…………だったらどうだって言うんですの」
こんな女。1秒だって生かしておきたくはないが。
「そいつとの約束でな。お前を守ってくれとさ。」
「…………なにを、馬鹿な」
すると、その女は持っていた刀を掲げこう言うのだ。
「なにって。この刀を造って貰ったんだ。その代りにお前を守ると約束したんだよ。」
「つくって、って…………」
―――力なく膝をつく。
刀をつくる。間違いなく士郎さんの技だ。
「なん……で……」
わかりたくないのにわかってしまう。
……きっと、わたくしを守らせると同時に、気付かせるためだ。
この女は悪くないと。
でなければ、なぜ殺される相手に、わざわざ刀を造ったというのだ。
―――膝立ちのまま、衛宮士郎だったモノの身体に縋りつく。
「酷い……ですわ、士郎さん……
わたくしだけ置いていって
仇すら奪ってしまって
それじゃわたくし、これから何を支えに生きていけばいいんですの……
わたくしにはもう何も無い
士郎さんがいないのに
お姉さまだっていないのに
復讐心すらわたしから奪っていこうとするなんて」
―――教会近くでの誓いを思い出す
「……それなら、約束して下さいまし。」
「ん……?」
「一緒に、『生きて』ここから出るってことを、ですの」
「……ああ、分かった、約束する。
―――衛宮士郎は、白井黒子と共に、この世界から出るって。」
「うそつき…………士郎さんは大うそつきですの…………」
涙を零しながら、子供のように縋りつく。
□
追いついていたグラハム達は、近づくことができず、少し離れて見守っている。
「……なんということだ、衛宮少年まで……」
「…………」
「…………」
かける言葉もなく、3人の男達は衛宮士郎の亡骸と白井黒子を見ている。
そこへ、両儀式が近づいてくる。
「…………えっと、一日ぶりかな。」
阿良々木暦が声をかけ、枢木スザクが軽く黙礼する。
「ああ……おまえ達も生きてたんだな。」
そっけなく式が答える。
すると、二人を制しグラハムが前に出る。
「私はグラハム・エーカー、軍人だ。
…………まず、衛宮少年が亡くなった顛末を聞きたいのだが。」
「…両儀式。さっきあいつにも話したけど、私が殺した。」
「……その顛末を聞きたいのだが。」
はぁ、と式は溜息をつくと、面倒そうに答える。
「恐らくは『
荒耶宗蓮』に操られていたんだろう。
あいつはまるで化物そのものだった。
それであいつを殺したら、人間に戻って、白井黒子ってのを守れと。」
本当にざっくりと話す式。
「荒耶宗蓮……確か、亡くなったのではなかったかな?」
グラハムがデイパックから名簿を取りすと、確かに×印で書いてある。
「ああ、なんか私の知り合いの女性の姿になっていたよ。
多分魔術で転移ってのを使ったんじゃないか。よくは知らないけど。」
3人で顔を見合わせる。
「転移……それでそいつは?」
スザクが尋ねる。
「北の方に逃げて行ったよ。ちょっと考え事してて、追えなかったけど。」
「……一方通行、
織田信長以外にも警戒しなければいけない人物が増えちゃいましたね……」
阿良々木暦が嘆息する。
「ああ、エスポワールで合流したら、体勢を立て直し、対策を練らなければならないな。
それに…………」
グラハムが被弾している豪華客船を見上げる。
「彼女は僕が見ています。グラハムさんと阿良々木くんは先に行って下さい。」
天江衣、浅上藤乃との縁から二人が行くのが都合が良いと考えスザクが申し出る。
「……すまないが、その甘言には潔く乗らせてもらう。連絡を頼む、阿良々木暦。」
「わかりました。」
レシーバーを取りだし、船内へ連絡を取る。
『……はい』
「あ、えー。もしもし、こちら阿良々木暦。今船の近くまで来たよ。」
『あ、はい、浅上藤乃です。天江さんも今のところ無事です。』
その発言にホッと安堵の顔をするグラハム。
「了解。そっちの部屋番号は?」
『362号室です。』
「OK、すぐに向かうよ。」
通信を切り、阿良々木はスザクにレシーバーを渡す。
「では先に行きます。何かあったらそれですぐ連絡して下さい。」
「了解。
グラハムさん、ついでにサザーランドも持って行って下さい。
……一方通行や織田信長の襲撃が来た場合、今の僕ではかえってコレは対処しにくいですから。」
「ふむ、わかった……」
基本動作をスザクが口頭で伝え、グラハムがサザーランドに乗り込む。
「流石に操縦方法は全く違うのだな……さて、動かせるか」
立ち上がり、歩行を始めるサザーランド。
『ふむ、動かすくらいはなんとかなるか。阿良々木暦、手に乗るといい』
「えっ……あの……本当に……?」
サザーランドの左手を差し出され、その上にこわごわ乗りこむ阿良々木暦。
「……まるで鉄人2○号とか、ジャイアント○ボみたいだな……」
『では枢木スザク、先に行っているぞ。』
そのままサザーランドはランドスピナーを降ろし、船に向け地面を進んでいく。
その様子を見送るスザクと、泣いている白井黒子を見つめる式。
□
ロボの手の上で、衛宮のことを考える。
クレーターで助けてくれた衛宮。
彼がいなかったら僕やグラハムさんは既に死んでいたかもしれない。
その衛宮に……白井はずっと会いたがっていたんだ。
僕はなんとか立ち上がることができた。
……でも、もしかしたら白井は……
『こうして若い者が先に逝き、私のような年長の者が敗残兵として生き延びる……どうにもやるせないな……』
下手な慰めを言おうとしたが、やめた。
きっとグラハムさん自身、気持ちの整理をつけているのだろう。
そのまま無言で船の駐車場に入り、ロボの手から降りる。
グラハムさんもロボのキーを抜き、降りてくる。
そのまま互いに頷き、3階を目指して駆けあがる。
□
くすくすと少女は笑う。
「……うふふ、そうですの。
なんでこんな簡単なことに気が付けなかったんでしょう。
優勝して、士郎さんを、生き返らせればいいんですの。
そうだ、たくさん殺してたくさんお金を稼げば、お姉さまだって生き返る。
そして3人でわたくしの世界に帰還すればいいんですの。
うふふ、そうですの、みんな殺して、殺しつくして、優勝すればいいんですの!!」
―――幻視する。
わたくしは学園都市に戻って。
そこでお姉さまと一緒に寮で暮らして。
一緒に常盤台に通って。
お姉さまとじゃれ合いながら、いつも通りの平和な日常を送る。
そして学校が終わったら、ジャッジメントのお仕事だ。
固法先輩が、今日は新人が来るんだという。
初春が、どんな人なんでしょーねーと朗らかに言う。
高鳴る鼓動。
どんな能力なんですの、と先輩に尋ねる。
刀鍛冶<<ブラックスミス>>というレアスキルの持ち主だと言う。
『もしかして』が『やはり』に代わる。
事務所をノックする音。
わたくしは急いでドアを開け。
現れた男性に、わたくしは思わず抱きついてしまうのだ。
そして、その男性は照れたようにこう言うのだ。
『ただいま、黒子』 と―――
□
362号室に来たグラハムは、ドアをノックし名を告げる。
ガチャリと鍵の音がした後、扉が開く。
「すまない、遅くなった。」
「いえ、無事でよかったです。……阿良々木さんも。」
「あんまり無事……とはいえないけどね。」
苦笑いしつつ阿良々木が藤乃に答える。
「グラハム……か?」
ベッドに横になっていた天江衣が起き上がろうとする。
「天江衣、私はまた、約束を破ってしまった……本当に、本当にすまない。」
ベッドの傍に屈み、起き上った衣をきゅっと抱きしめる。
「いいのだ……いいのだグラハム……また会えたのは、僥倖ともいうべきなのだ。
それに、ふじのがずっと手を繋いでくれていたから平気だったのだ。
衣は、こどもじゃないから、泣いたり……ひないのだ。」
抱きしめられて安心したのか、その大きな瞳から涙が零れはじめる。
そのまま何も言わず、衣を抱きしめるグラハム。
その様子に、緊張の糸が切れたのか、へなへなと藤乃が座り込む。
「浅上もご苦労さん。頑張ったな。」
「いえ……私が、恐れず能力を使っていれば……。」
「それでも頑張ったんだろ、ありがとな。」
浅上の頭を阿良々木が撫でる。
「あ……」
「私も感謝する。浅上藤乃。」
安心しきったのか、天江衣はグラハムに抱きかかえられたまま、スヤスヤと寝息を立てる。
「……さて、まずは天江衣の輸血だな。早速移動しよう。それと浅上藤乃。」
「はい?」
「なんでもいい、天江衣に不自然な行動などは見受けられなかっただろうか?」
「……?どういうことでしょう?」
【F-3/ギャンブル船・スイートルーム/二日目/早朝】
【グラハム・エーカー@機動戦士ガンダムOO】
[状態]:疲労(中)、全身にガラスによる刺し傷(処置済み)、天江衣を抱っこ中
[服装]:ユニオンの制服(破損:小)
[装備]:コルト・パイソン@現実 6/6、コルトパイソンの予備弾丸×30 、GN拳銃(E残量:小)、ゲイボルグ@Fate/stay night
[道具]:基本支給品一式、サザーランドのキー、SIG SG552(30/30)@現実(予備弾30×3)、軍用ジープ@現実、ゼクスの手紙、
双眼鏡、手術用の針、手術用の糸、消毒用エタノール、
ヴァンのテンガロンハット、水着セット@現実、
サンドイッチ@現実×10-×、ピザ@現実×10-×、ミネラルウォーター@現実×20-×、
ギャンブル船商品カタログ(機動兵器一覧)第3回放送分@オリジナル、『ガンダムVSガンダムVSヨロイVSナイトメアフレーム~
戦場の絆~』解説冊子、
ペリカード(3000万ペリカ)、1億7757万ペリカ(端数変動)、包帯(20m)×5-×(変動)、治療に使えそうなもの(1万ペリカ分)
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。断固辞退。
0:天江衣の治療を―――!
1:薬局での天江衣のリスクを調べる。
2:ギャンブル船で、対一方通行戦での迎撃策の検討。及び効果がありそうな武器の購入。
3:サザーランドはどう活用するか。
4:ルルーシュ(とスザク)には最大限の譲歩を。もし対立が不可避なら……。
5:天江衣をゲームから脱出させる。脱出までの間は衣の友達づくりを手伝う。
6:主催者の思惑を潰す。
7:首輪を解除したい。首輪解除後は『ジングウ』を奪取または破壊する。
8:荒耶宗蓮への警戒。
9:浅上藤乃を見直し始めている。
10:ガンダムのパイロット(刹那)と再びモビルスーツで決着をつける。※刹那の名を知らない為、相手が既に死んでいることを知りません。
11:モビルスーツが欲しい。できればフラッグ。更に言うならオーバーフラッグ。
12:可能ならば、クレーターと遺跡の隠し通路を調査したい。
13:……どれだけ私は無力なのだ。
【備考】
※バトル・ロワイアルの舞台そのものに何か秘密が隠されているのではないかと考えています。
※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました。
※エスポワール会議に参加しました。
※衛宮士郎の【解析魔術】により、首輪の詳細情報(魔術的見地)を入手しました。この情報だけでは首輪の解除は不可能です。
※『黒子の仮説』を聞きました。
※
原村和が主催者に協力している可能性を知りました。
※ヒイロ・ファサリナと情報交換し、今まで判明した情報を『エスポワール・ノート』で整理しました。
※エスポワール船底に『ジングウ』が存在していることを知りました。
※ヒイロから【憩いの館】にある遊技台、『戦場の絆』について聞きました。
※衣の負債について、直接内容は分かっていませんが、何らかのリスクを負ったと想定しています。
※サザーランドはエスポワール内の駐車場にあります。手と足の部分が多少腐食して稼働率が下がりましたが、まだ稼働可能です。
スラッシュハーケン(使用不可)、スタントンファ、大型キャノン
【阿良々木暦@化物語】
[状態]:疲労(中) 、全身に銃創(処置済み、治療中)、失血(大)
[服装]:直江津高校男子制服(破損:大)
[装備]:ベレッタM1
934(5/8)
[道具]:基本支給品一式、毛利元就の輪刀@戦国BASARA、マウンテンバイク@現実、拡声器@現実
ギー太@けいおん!、ピザ@現実×10、衛宮邸土蔵で集めた品多数
[思考]
基本:戦場ヶ原だけじゃなく、個人の意思としてこのゲームから生きて脱出。
0:天江衣の救助。
1:対一方通行戦の準備。
2:―――戦場ヶ原……。
3:浅上も無事で良かった。
4:ルルーシュ達との確執は最大限妥協する。特に憂の事は結果はどうあれ決着を付ける。
5:支給品をそれぞれ持ち主(もしくはその関係者)に会えれば渡す。原村和とは一方的な約束済。
6:落ち着いたら【ホール】を再調査してみる。
[備考]
※アニメ最終回(12話)終了後から参戦。
※回復力は制限されていませんが、時間経過により低下します。
※サポート窓口について知りました。また、原村和が主催側にいることを知りました。
※衛宮邸の土蔵にあったガラクタを多数回収しました。武器の類は入ってません。
ひょっとしたらなんらかの特別な物が混入してる可能性もあります。
※衣の負債について、直接内容は分かっていませんが、何らかのリスクを負ったと想定しています。
【補足備考】
※薬局、遺跡で何か買ったかどうかは後の書き手の自由です。ペリカの差し引きはお忘れなく。
※
C.C.の荷物(赤ハロ、基本支給品一式 阿良々木暦のマジックテープ式の財布(小銭残り34枚)、ピザ(残り52枚))
は完全に紛失しました。
【天江衣@咲-saki-】
[状態]:頭部失血中(応急手当済)、血液1000ccマイナス、グラハムに抱えられ睡眠中、首輪爆発まであと3~4時間(現在の負債:2億ペリカ)
[服装]:いつもの私服
[装備]:チーズくんのぬいぐるみ@コードギアス
[道具]:麻雀牌セット、エトペン@咲-Saki-、水着セット@現実、サンドイッチ@現実×10、ミネラルウォーター@現実×20
ペリカード(残金0ペリカ)
[思考]
基本:殺し合いには乗らない、麻雀を通して友達を作る。
0:Zzz……
1:グラハムとまた会えて嬉しい。
2:ギャンブルルームで麻雀をする。
3:誰にもバレないように負債を返済する。
4:グラハムを信じる。
5:《はらむらののか》と《清澄の嶺上使い》を救い出したい!
6:ギャンブルではない麻雀をして友達をつくる。
7:チーズくんを持ち主である『しーしー』(C.C.)に届けて、原村ののかのように友達になる。
8:インデックスと友達になりたい。
9:浅上、白井とは友達になれた……?
10:東横を止めたい
[備考]
※利根川を帝愛に関わっていた人物だとほぼ信じました。
※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました。
※エスポワール会議に参加しました。
※ユーフェミアの外見的特長を把握しました。
※『黒子の仮説』を聞きました。
※ヒイロ・ファサリナと情報交換し、今まで判明した情報を『エスポワール・ノート』で整理しました。
※エスポワール船底に『ジングウ』が存在していることを知りました。
※帝愛グループに1億ペリカの借金をしました。借金は定時放送を迎えるごとに、倍額になります。
7時32分までに借金を返済出来ない場合、首輪が爆破されます。
【浅上藤乃@空の境界】
[状態]:頬に掠り傷(処置済み)、全身に軽い刺し傷(処置済み)、力を使うことへの僅かな恐怖心・及びそれを克服する覚悟
[服装]:浴衣@現実
[装備]:軍用ゴーグル@とある魔術の禁書目録、沢村智紀のノートパソコン@咲-Saki、レイのレシーバー@ガン×ソード
[道具]:基本支給品一式
[思考]
基本:今までの罪を償っていく
0:衣に輸血をしたい。
1:天江さんに変わった様子……?
2:衣のことを守りたい。でも、歪曲の力を使うのは……
3:今まで自分が殺してきた人の知り合いを捜す。
4:阿良々木さん、天江衣、白井黒子を守る。
5:サーシェスを敵視。
6:人を凶ることで快楽を感じていた事を自覚し、その自分に恐怖する。
7:……生きる―――。
8:織田信長を警戒。
[備考]
※式との戦いの途中から参戦。盲腸炎や怪我は完治しており、痛覚麻痺も今は治っています。
※藤乃の無痛症がどうなっているかは後の書き手にお任せします。
※魔眼を使おうとすると過去の殺人の愉悦の感覚 を思い出してしまいます。
ですがそれらを克服する覚悟も決めています。
※衣の負債について、気づいていません。
※帝愛グループは、ギャンブルに勝ちすぎた参加者側を妨害すべく動いていると推測しています。
□
「みんな……ころして……ゆうしょう……すれば……」
力なく座りこむ黒子。
「……………………………………なんで
……なんで、止めてくださらないんですの……
馬鹿なことはやめろって
死んだ人間は生き返らないって
どうして怒ってくださらないんですの……」
衛宮士郎の身体を揺さぶる。
だったら、わたくしを、叱りにきてください!
ずるいです、酷いですの、士郎さん……
一緒に……一緒に生きて帰るって約束したのに!!!!」
それでも、衛宮士郎は何も言わない。
死んだ者は喋らない。死んだ者は生き返らない。
そんな、当たり前のこと。
だから、誰もが一生懸命に生きるのだ。
それを、人を殺し合わせるように、懸命に生きる人を嘲笑うかのように、このゲームを仕組んだ主催。
だからこそ―――
「……約束を破った罰ですの。」
冷たい唇に、そっと唇を重ねる。
「だから―――
―――士郎さんの夢は、わたくしが。」
涙を拭い。
自身の右腕を衛宮士郎に見せる。
「この風紀委員<<ジャッジメント>>の腕章にかけて。
わたくしが。
この白井黒子が誓いますの。
衛宮士郎の代わりに、正義の味方になるって。
正義の味方になって、主催者どもを懲らしめてやりますの。
だから―――」
―――士郎さんの力を、貸してくださいまし。
もう一度だけ、そっと口づけた。
□
衛宮士郎の遺体をバッグに入れ。
散らばっていた自身の武器を掻き集め。
立ち上がり、痛ましげな表情の枢木スザク、やや憂いを見せる両儀式を振り返る。
「さあ、エスポワールに向かいますわよ。
式さん、わたくしを守ってくださるのでしょう?」
「ああ……。約束だからな。」
「スザクさんも。」
「……急ごう。一方通行から襲撃を受ける前に体制を立て直したい。」
レシーバーでグラハム達の現在地を聞くスザク。
天江衣に輸血する為、ギャンブルルームに向かうとのこと。
「それにしても……」
―――首輪解除での重要なファクターであった士郎さんが死んでしまった。
そもそも、魔術を解除できるよう人間はもう残っていないかもしれない。
「魔術の解除、ないしは解析できる方法を考えないといけませんのね……」
「ん?よくわかんないけど。魔術を解除したいならコレが使えるぞ。」
両儀式が出したのは、一振りの短剣。
―――衛宮士郎をコロシタ七色の剣。
「……え?」
【F-3/ギャンブル船前/二日目/早朝】
【白井黒子@とある魔術の禁書目録】
[状態]:疲労(大)、全身に切り傷、刺し傷、擦り傷(いずれも処置済み)、右肩口貫通(麻酔処置)、転移能力精度低下
[服装]:常盤台中学校制服(破損:大、右襟排除)、両手に包帯
[装備]:スタンガン付き警棒@とある魔術の禁書目録
[道具]:基本支給品×6、ペーパーナイフ×6@現実、USBメモリ@現実、ティーセット@けいおん!
ルイスの薬剤@ガンダムOO、特上寿司×37@現実、空のワインボトル×2@現実
ピザ×8@現実、シャトー・シュヴァル・ブラン 1947 (1500ml)×25@現実、麻酔注射器、痛み止め、
落下杖(故障)、
伊達政宗の眼帯、基本支給品外の薬数種類@現地調達 、ペリカード(残金5100万)
[思考]
基本:士郎さんの夢は、わたくしが。
0:主催の打倒。
1:士郎さんを殺した両儀式に守られる……
2:この短剣で魔術を解除できる……?
3:グラハム達と合流する。
4:薬局での天江衣のリスクを調べる。
5:対一方通行の作戦を練る。
6:スザクに頼もしさと警戒。ルルーシュとの同盟は何としても成功させたい。
7:士郎さんが解析した首輪の情報を技術者へ伝え、解除の方法を探す
8:お姉さまが死んだことはやはり悲しい。
9:
アリー・アル・サーシェス……
10:イリヤって士郎さんとどういった関係なのでしょう?
11:危険人物を警戒。藤乃のことは完全に信用したわけではないが、償いたいという気持ちに嘘はないと思う。 [備考]
※本編14話『最強VS最弱』以降の参加です
※空間転移の制限
・距離に反比例して精度にブレが出るようです。ちなみに白井黒子の限界値は飛距離が最大81.5M、質量が
130.7kg。
※エスポワール会議に参加しました。
※帝愛の裏には、黒幕として魔法の売り手がいるのではないかと考えています。
そして、黒幕には何か殺し合いを開きたい理由があったのではとも思っています。
※衛宮士郎の【解析魔術】により、首輪の詳細情報(魔術的見地)を入手しました。
上記単体の情報では首輪の解除は不可能です。
※原村和が主催者に協力している可能性を知りました。
※衛宮士郎の能力について把握しました。
※衣の負債について、直接内容は分かっていませんが、何らかのリスクを負ったと想定しています。
※帝愛グループは、ギャンブルに勝ちすぎた参加者側を妨害すべく動いていると推測しています。
※傷の痛みで空間転移の精度が落ちています。程度は後の書き手次第に。
【両儀式@空の境界】
[状態]:疲労(小)・ダメージ(小)・切り傷多数
[服装]:白い和服(原作第五章・荒耶との戦いで着たもの)
[装備]:九字兼定(投影)@空の境界
[道具]:基本支給品一式(水1本消費)、首輪、ランダム支給品0~1 、ルールブレイカー@Fate/stay night 、武田軍の馬@戦国BASARA
陸奥守吉行@現実、鬼神丸国重@現実
[思考]
基本:私は死ねない。
0:……幹也、怒ってないよな……?
1:士郎との約束に基づき、白井黒子を守る。
2:澪との約束は守る。殺そうとしてくるヤツを……殺す?
3:澪に衛宮士郎の遺言を伝える。
4:そういえばデュオを置いてきてしまった。
5:荒耶は確実に殺す。
6:刀を誰かに渡すんだっけ?もったいないな……。
7:浅上藤乃……殺し合いに乗ったのか。
8:荒耶がこの殺し合いに関わっているかもしれないとほぼ確信。荒耶が施したと思われる会場の結界を壊す。
9:首輪は出来るなら外したい。
[補足]
※A-5の敵のアジトが小川マンションであると分かりました
※以下の仮説を立てています。
・荒耶が殺し合いの根幹に関わっていて、会場にあらゆる魔術を施している。
・施設に点在している魔法陣が殺し合いの舞台になんらかの作用がある。
・上の二つがあまりに自分に気付かせんとされていたこと自体に対しても疑念を抱いている。
・首輪にはなんらかの視覚を始めとした五感に対する細工が施されてある。または魔眼の効果を弱める細工がある。
※ルルーシュと情報交換をしました。阿良々木暦が殺し合いに乗っていると吹き込まれました。
※
平沢唯から聞いた信頼できる人間に刀を渡すというプランを憶えています(引き継ぐかは不明)
※荒耶が生きていることを知りました。
【備考】
※F-3/ギャンブル船前にミニミ軽機関銃(0/
200)@現実が放置されています。
※今の九字兼定は投影品です。耐久力や存在していられる期間などは後の書き手にお任せします。
【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュR2】
[状態]:疲労(大)、左腕切断(処置済)、
[服装]:ナイトオブゼロの服(マント無し)
[装備]:レイのレシーバー@ガン×ソード、アゾット剣@Fate/stay night
[道具]:基本支給品一式×2、鉈@現実、
スフィンクス@とある魔術の禁書目録、あずにゃん2号@けいおん!、アーサー@コードギアスR2
イングラムM10(9mmパラベラム弾32/32)イングラムの予備マガジン(9mmパラベラム弾32/32)×4
シグザウアーP226の予備弾倉×3@現実、M67破片手榴弾×2@現実、シャベル@現実
軽音部のラジカセ@けいおん、お宝ディスク、Blu-ray Discドライブ搭載ノートパソコン、水着セット@現実
サンドイッチ@現実×10、ピザ@現実×10、ミネラルウォーター@現実×20)、
[思考]
基本:生きて、ユーフェミアの約束(命令)を果たす。
0:グラハム達と合流する。
1:態勢を立て直す。当面の目的はルルーシュとの合流。
2:阿良々木とルルーシュとの間の仲裁に入る。その際ルルーシュがギアスを使える状況を作る。対立が決定的ならルルーシュに付く。
3:ギャンブル船で、対一方通行戦に効果がありそうな武器の購入。
4:ユフィ……。
[備考]
※ラウンズ撃破以降~最終決戦前の時期から参戦。
※主催が不思議な力を持っていることは認めていますが、死者蘇生が可能という点は全く信じていません。
※一回放送の少し前に、政庁で五飛が演じるゼロの映像を見ました。また、ビデオメールの送信元と受信時間を確認しました。
※飛行船についての仮説、
ライダーの石化能力と藤乃の念動力についての分析を一方通行から聞きました。
※二日目深夜に、ルイスの薬剤@ガンダムOOを飲みました。
※一方通行の反射の壁を越える方法を理解しました。
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最終更新:2010年10月14日 01:18