迷い路-其の先に在るモノ- ◆IVe4KztJwQ



騎兵の英霊ライダー
彼女は今、阿良々木暦浅上藤乃を見失ってしまった
F-6エリア沿岸部から離れ、今はE-6エリアの海岸線を疾走していた。
その姿は何処か焦燥に駆られているようにも見える。

「フジノ…」

頭痛がする。
あの時何故、政庁から響く轟音に気を取られてしまい
海へと落下していく二人からその眼を離してしまったのか。

「もし、天の鎖さえ間に合っていれば
 フジノを見失う事にはならなかったはずなのに」

たかが一般人と油断して藤乃に暦の相手を任せてしまった
自分の軽率さが悔やまれる。
まさか、藤乃の歪曲を受けてなお、反撃に転じる事ができるとは。
だが、よくよく考えてみれば既に参加者の半数が死亡している
この島において、本当にただの一般人がここまで生き残って
いられるのだろうか。セイバーを倒したであろう殺人者と対峙し、
その後に不可解な転移をしたとは言っていたが
結果的に無事に生き延びた事、さらに今回も。
それらを考えると暦は見た目通りの一般人ではなかった
という事なのかもしれない。

頭痛がする。

私の目の前から藤乃を奪い海へ消えた阿良々木暦。

「もし生きていたならば、次は私が必ず殺します」

その眼が一瞬強烈に輝き。魔眼殺しの眼鏡に微かな罅が入る。
暦への怒りに震えるその身を抑えながら
藤乃が無事であれば何処かの海岸に漂着するはず、
その可能性を考慮、その姿を求めて彼女は沿岸部を駆け抜ける。

そこまで考え。藤乃の事を利用する以上に、
その安否を気遣ってしまっている自分に再び気付く。

「ふぅ…」

ため息というより、微かな吐息が漏れる。

「いい加減、認めるべきなんでしょうね」

バトルロワイヤル開始より18時間。ここまで行動を共にしてきた彼女。

D-6駅での戦いの後、死にそうになっていた藤乃を助け。
サーシェスと二人、行動させていた藤乃の様子を影ながら見守り。
その後サーシェスと別れた藤乃の元へと急いで駆けつけた事。
そして今、こうして必死に藤乃を探しているという事実。

私はフジノに対して使い捨ての駒。それ以上の感情を抱いてしまっている。

「でも、最終目的を忘れてはだめ」

その事を反芻し別の事を考えるため。、
これからどうすべきかを再度整理していく。

どちらにしても、藤乃の存在を欠いてしまった以上、
南ルートで象の像を襲撃する案は没だった。
何故なら、その案の基本には支給品である
「簡易版・魔女狩りの王」による罠の設置と起動による場の混乱。
それに乗じた藤乃の魔眼による遠距離からの攻撃。
その二つが不可欠であり。
私が逃げ惑う対主催メンバーの撹乱、及び各個撃破をする。
という作戦だったのだが。その中核を成す藤乃を欠いてしまった現状で
象の像に集まる対主催メンバーを相手にたった一人で戦うメリットはない。

それに加え、先程轟音が聞こえ倒壊した政庁は
この島の東部から象の像へと向かうその中間に位置する場所に存在した。

今までの情報から推測すれば、戦国武将である、魔王織田信長
彼はアーチャーとの戦い後、禁止エリア方面に向かい、、
その前に信長を戦闘行為を行っていた一方通行上条当麻らは
政庁崩落とは無関係だろうと除外することができる。

という事は、元々D-6駅周辺に集まっていた対主催チーム、
ライダーと藤乃が交戦した枢木スザクレイ・ラングレン
サーシェスの話していた両儀式やデュオ・マクスウェル、張五飛らが
象の像への移動上にある政庁で何者かと戦闘行為になった結果、
あの崩落が起きた、と考えるのが自然だろう。

その彼らが戦った相手は果たして誰なのか。
候補としてはバーサーカー、若しくは信長以外の戦国武将らが
その相手といった所ですかね?

ともあれ、あれだけの轟音を響かせ倒壊した政庁から察するに、
その戦闘が相当激しい物だった事に間違いない。
ならば、政庁にいた人間が今弱っている可能性が高い。
更にはその政庁方面へと向かったサーシェスが彼らと合流していたならば、
ライダーに手傷を負わせた枢木スザク達を一網打尽にする機会でもある、
そして今回の騒動で政庁にいたであろう疲弊した人間が
そのまま象の像へと向かうかどうかも解らない。

あのまま一人で象の像へと向かうより
政庁方面を調査する方が余程いいプランですね。
その間に藤乃を発見できれば僥倖なのですが。

そこまで思考して。あまりに自分に都合の良い解釈をしているとも思う。
それでもその考えは強ち間違いでもないだろうと考える。
政庁で何があったのかを確認する事は第三回の放送を前にして、
決してマイナスではないはずだろう。

しかし、全く懸念事項が無いわけでもない。

藤乃の安否と行方。今まで行動を共にしてきた彼女が
居なくなってしまった事で多少弱気になっているのか。

恐らく中盤戦に突入しているであろうこの殺し合い。
もし藤乃が無事でなかった場合。

本来人智を超えた存在である自分がたかが人間と侮り
スザク達との戦闘により負傷を受けた事や、
英霊と対抗しうる戦国武将の存在、不可解な力を使う一方通行等、
自分にとっての不安要素が数多くあった。

この先を最後まで、たった一人で戦い抜く事は
如何にライダーとしても避けたいところが本音である。

此処に来て、藤乃を欠いた事が痛い。利用出来る仲間が欲しい。

しかし、新たに藤乃のような相手を見つける事は至難の業だろう。
逆に数人でチームを組んでいる対主催、彼らの多くは既に私が
殺し合いに乗っている事をスザクやアーチャーから聞いて
知っているはず。

あまり考えたくない事だったが、今のライダーには藤乃以外には
あの男をうまく利用する他に考えが及ばない。

傭兵アリー・アル・サーシェス
一足先に政庁方面へと向かい、私と藤乃を間違いなく利用しようと
考えていた決して油断と信用の出来ない相手。
それでも一度はあちらから共闘を申し込んで来た以上、他の対主催を潰す、
その利害が一致している間は協力できない事もないだろう。
とはいっても、こちらをの事を都合よく利用する腹なのは間違いないが、
此処に来てのそれはもう、お互い様と言う他ない。

後は仮に上手くサーシェスとの合流、協力が出来たとして、
姿の見えない藤乃の事をどう説明するか、だが。
それはその時にでも臨機応変に考えればいいでしょう。

ある程度これからの方針を頭の中で整理したライダー
はいつの間にかE-5エリア沿岸へと到達していた。その時。

「あれは?」

その行く手、遠い海の上を走る揚陸艇の姿を発見する。
甲板に何人かの姿を捉える事ができるが、
しかし遠く離れた此処からでは船上に見える人影が
誰であるかを特定する事までは出来なかった。

「まさか、あんな物までがこの会場に用意してあるとは」

その事に多少の驚きがあるものの、船が現れた方角から見て
政庁付近の人間が乗っている可能性が一番高いのだろうとも思う。

さて困りましたね。もし政庁を探るとしてそこが既にもぬけの殻で
あればそちらに向かうメリットが少なくなる。あとは、私と同じように
崩落を目撃した人間がその場に駆けつける可能性だが。

はたして政庁へ行くべきか。藤乃を探す事に専念するか。あるいは…。

そこまで思考していた、その時。

ライダーが向かう道の先。住宅街の合間から一発の銃声が鳴り響く。

「なにっ!!」

自分の姿を発見され、何者かに狙撃されたのか。咄嗟に身構えるライダー。

いや、音が聞こえてきたのは此処よりわずかに西側からだった。

この後、ライダーが取った行動は──。

時刻は第三回目の放送が目前へと迫っていた。

【E-5 南東/一日目/夕方(放送直前)】

【ライダー@Fate/stay night】
[状態]:右腕に深い刺し傷(応急処置済み) 若干の打撲 、両足に銃痕(応急処置済み) 、雑音(小)
[服装]:自分の服
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式x3、簡易版魔女狩りの王@とある魔術の禁書目録、ライダーの眼帯、不明支給品x0~4、眼鏡セット(魔眼殺しの眼鏡@空の境界 を含む)@アニロワ3rdオリジナル、
    天の鎖(エルキドゥ)@Fate/stay night、デリンジャーの予備弾薬@現実、
    ウェンディのリボルバー(残弾1)@ガン×ソード 、参加者詳細名簿@アニロワ3rdオリジナル、デリンジャー(0/2)@現実
[思考]
基本:優勝して元の世界に帰還する。
0:政庁で何が起きたのか確認したい。
1:フジノ…無事でいてください。
2:サーシェスを上手く利用する。
3:サーヴァントと戦国武将に警戒。
4:魔力を集めながら、何処かに結界を敷く。
5:戦闘の出来ない人間は血を採って放置する。
6:できれば首輪を回収したい。
7:阿良々木暦が生きていたら今度は私が確実に殺す。

[備考]
※参戦時期は、第12話 「空を裂く」より前。
C.C.の過去を断片的に視た為、ある種の共感を抱いています。
※忍者刀の紐は外しました。
※藤乃の裏切りに備えて魔眼で対応できる様に、眼帯を外しています。
※藤乃の千里眼には気づいていない様子です。
※戦国BASARA勢の参加者をサーヴァントと同様の存在と認識しました。
※以下の石化の魔眼の制限を確認しました。
 通常よりはるかに遅い進行で足元から石化。
 魔眼の効果を持続させるには魔力を消費し続けないといけない。
 なお、魔力消費を解除すれば対象の石化は解ける。
※E-3の象の像の前に、第三放送前に対主催派の人間が集まる事を知りました。


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220:ふじのスパイラル ライダー 233:街の灯り潤んで揺れる


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最終更新:2010年04月11日 00:11