5人と1人ともう1人(後編) ◆LJ21nQDqcs
この状況を踏まえてスザクとC.Cがまず思い浮かべたのが、
スイッチを押しながらあの悪役然とした笑みを浮かべるルルーシュの姿だった。
人を密集させ、一気に一網打尽。
さらに崩落と言うルルーシュ得意の必勝パターン。
直感でしか無い。だが、二人はルルーシュだと確信した。
人を惹き付けるカリスマ、口車。
周到に準備を行う粘り強さ。
そしてパフォーマンスにも似た示威行動。
参加者の密集と政庁の崩壊とを可能にする全てをルルーシュは持っている。
問題は何故このような行動を取ったかと言うことだ。
ごく単純に考えれば、ルルーシュが殺し合いに乗った、と見ることも出来るだろう。
◇
だがスザクは考える。
ゼロレイクエムの完遂にはルルーシュの存在は絶対だ。
それを最終目的とするならば、ルルーシュひとりの生還を狙うというのは至極当然の思考の帰結。
だが万難を排して自分の死に邁進していたルルーシュが、不確定要素しか無い優勝、そして生還などと言う道を選ぶであろうか。
そしてゼロレクイエムに必要なコマである自分や
C.C.をむざむざ殺した上で、あのルルーシュが死者の蘇生などと言うロマンチックな方法を取るだろうか。
そもそも蘇生自体、信じるだろうか。
彼ならばゲームそのものの転覆、乗っとりを狙うのではないのか。
自分の願望が混ざってるかも知れないな、とスザクはそこまで考えて思い返す。
いずれにせよ、ルルーシュの許には少しでも多くの戦力を集めねばならない。
そして自分の足ならば一足で届く範囲にルルーシュは居る。
おそらくは政庁の崩壊を見渡せる、この周囲に。
(一刻も早くルルーシュの許へ駆けつけねば)
スザクはすぐにでも政庁へ向けて走り出しそうになっていた。
◇
C.C.もスザクと大体同じような思考を辿っていた。
優勝狙いではなく、主催潰しの一環であろうと。
そして、元気そうだな、と上から目線でルルーシュの姿を思い浮かべる。
だが、どうやってレイと
戦場ヶ原ひたぎの二人をルルーシュと合流させたらいいものか、とぼんやり考えていた。
彼が9人もの人間を一網打尽にしたであろうことは、二人にも伝わっているだろう。
事情を知る自分やスザクならまだしも、他の二人にルルーシュが優勝狙いなはずはないと説明する事は相当に骨が折れるだろうことは容易に想像出来た。
せめて自分達が合流してから事を起こせなかったのかと、ここに居ない稀代のテロリストに対して文句も付けたくなる。
(やれやれ、相も変わらず性急な坊やだ)
C.C.は自分勝手に面倒事を起こすルルーシュに、いつも通りで何よりだ、とため息をついた。
そして出来る事なら面倒事は全部スザクに押し付けようと考えたが、このトーヘンボクに柔軟な説明など出来るものだろうかと、またもため息を付いた。
■
スザクは駆け出しそうになる足を必死に止めならがら、ひとまず高所にて政庁跡を観察しようと提案した。
言葉には出さなかったが砂煙で混乱する現場で見渡したところで、ルルーシュと出会える可能性は無きに等しい。
首輪の回収に崩壊した政庁の中を探索してくれたらバッタリ出くわすこともあるだろうが、さっさと政庁跡を後にする可能性も高い。
ルルーシュのことだ。逃走手段は確保しているはず。
ならば政庁周辺で動いた目標があれば、それがルルーシュだ。
それを聞いて、レイは首輪探知機で予めピックアップしていた程近くに建つ六階建てビルを指差す。
政庁と言う重要性ゆえ、その周囲数百メートルは狙撃対策のためか高層ビルは立ち並んでいない。
高くて五階建て、あるいは戸建住宅があるのみである。
さらに政庁の周辺、特に南側は大きな広場となっている。
つまり多少離れるが、六階建ての屋上に陣取れば政庁周辺は観察可能なのだ。
加えてレイが想定していた
アーチャーを追う
ライダーへの狙撃も可能。
一行はガラスドアで閉ざされたビルの中に文字通り「割って」入り、電気の落ちているエレベーターを確認した後、急いで階段を駆け上った。
屋上に通じる扉はカギが締められていたが、弾数に余裕のある
レイ・ラングレンの銃でぶち壊し、一行は屋上へとたどり着く。
辺りにこのビルに匹敵する高さのものはない。
空が途端に開けて、冷えた風が吹きすさぶ。眼下には夕暮れに沈む街並みが見下ろせた。
スザクはすぐさま北西側に陣取り、政庁側を見る。
ルルーシュらしい高度かつ綺麗な発破だ。真っ直ぐに崩落している。あっさりと崩壊したのも道理だ。
あれならば砂煙で包まれるのは広場の中だけだろう。
素早く政庁周辺を見渡し、だがそれなりに遠くて見当がつかない状況に、双眼鏡が無いことを呪った。
するとC.C.が弄んでいたハロ達がマカセトケ!マカセトケ!と飛び出してスザクと南側に陣取るレイの元に馳せ参じる。
ドラグノフのスコープを使ってある程度の観察を終えていたレイは迷惑そうに、スザクは一縷の望みをオレンジハロに託し数分。
オレンジハロがイタ!イタ!と突拍子もない叫び声を上げて指を指す。
スザクは目を凝らし、そちらを見つめる。
するとなにやらうごめく人影らしきものが見えた。その中に見覚えのある一人!
「ルルーシュ!」
スザクの位置からは殆ど点にしか判別出来ぬはず。
しかし彼は確信した。あれはルルーシュだと。
すぐに屋上から降りようと階段へ向かうスザクをC.C.が手を横に広げて遮る。
せめて皆にどういう事か説明してから行け。わたしに説明させる気か、と。
スザクはなにを悠長な、とC.C.をはねのけようとすらしたが、戦場ヶ原の冷ややかな視線に我を取り戻した。
レイに至っては既に北西に向かって銃口を向けている。
そうだ、ここでルルーシュの元に行っても、レイも戦場ヶ原もルルーシュを爆破犯としてしか見ない。
記憶喪失とも言える今の状態のC.Cが、レイやひたぎに対して充分な説明が出来るとは思えない。ゼロ・レクイエムすら把握しているか分からない。
そしてスザクに裏切られたと言う思いは、ゲームに乗ったと思しきルルーシュへの怒りへと転嫁するだろう。
最悪の場合、スザクが現場に着いた頃には、レイの狙撃によってルルーシュの射殺体が転がる事になるだろう。
ルルーシュは自分と言う戦力を得る代わりに、レイや戦場ヶ原と言う作らなくてもいい敵を作る羽目になる。
この場において、ルルーシュに憎しみを集中させる意義は全く無いのだ。
スザクはオレンジハロにルルーシュの監視を命じて、ルルーシュと自分の関係性を軽く説明し始めた。
説明と言っても軽いものだ。
自分とルルーシュは盟友のようなものだと言う事。
不要な殺し合いをする人間ではなく、政庁の爆破に関しても主催側への反抗作戦か、おそらくは殺戮者からの自衛行為であろうこと。
そして今後の世界のためにルルーシュと自分は、なんとしてでもゲームから生還しなければならないこと。
だからといって自分もルルーシュもゲームに乗る気は毛頭ない。そう前置きしてスザクは続ける。
「ボクとルルーシュは、このゲームを破壊する」
今まで決心が出来ていなかった部分もある。
しかし政庁の崩壊で確信した。
ルルーシュも自分も思いはこのゲームに対する最終目標は同じ。
それが分かっただけでも、あの政庁の爆破を見た価値はある。
だからこそ決意を込めてレイや戦場ヶ原に説明出来た。
自分を偽らずに言う事が出来た。
これで信用されないのなら、それは自分の能力不足だ。
諦めざるをえないだろう。色んなものを。これまでレイに対して培ってきたものを。
「分かった」
とレイは答えた。
その釈明がなければ、この場からルルーシュとやらを狙撃していただろうが。とそこでレイは言葉を一旦閉じた。
戦場ヶ原といえば、あぁそうなの、と興味がなさそうな雰囲気だが、とりあえずはルルーシュに対する攻撃の姿勢はないようだ。
ただ、と戦場ヶ原は言葉を続ける。瞬間、屋上が何とも言えない緊迫した空気に包まれる。
「もし。もし、あの場に阿良々木君が居て。そして考えたくも無いけれど、あの爆破に巻き込まれていた場合。わたしはその男を殺すわ」
いつ取り出したのか、バールを床に叩きつけて宣言する。床がビシリとひび割れる。
足元の三匹の子猫が震え上がり、鋼鉄の女王の出現に空気が悲鳴をあげ、周囲の窓ガラスがビリビリと震える。
そこに一切の躊躇はない。やると言ったのならば、どんな状況であろうと彼女はやり遂げるであろう。
ルルーシュがよく言っていた、《覚悟》が、そこには存在した。
(彼女を敵に回してくれるなよ、ルルーシュ)
スザクはそう願わずにはいられない。
ルルーシュは殺し合いに乗るような人間ではないが、目的のためになら手段を選ばない人間だ。
うっかりと。そう、うっかりと阿良々木君なる人物を犠牲にする手段に出ていないとは限らない。
だがここでそれを口に出す事は出来ない。
まぁそもそも阿良々木君なる人物はごく一般人のようなので、わざわざ巻き込む事はないだろう。
万が一、戦場ヶ原がルルーシュを襲うような状況に陥った場合も、その時処理すればいいだけの話だ。気は重いが。
よって精一杯の笑顔で、ソレハアリエナイヨ、と返すのが本当に精一杯であった。
後ろでC.C.がため息をついたのを、スザクははっきりと感じた。
スザクも心の中でため息をついた。なぜこんな説明をさせるんだ、C.C.、と。
◇
ロスト!ロスト!というオレンジハロの声を聞いたのはその直後だった。
なんだって!とスザクが駆けつけるが、自動車のエンジン音が響き渡る他はなにも見えない。
アチラコチラに音が反響しているのか、どこから聞こえてくるのか分からない。
そして折悪く、日が沈む前特有の現象なのだろうか、屋上には強風が吹きすさんでいる。
やがて発生源を確かめることが出来ぬまま、エンジン音は途絶えた。
もう探す手立てはない。
なんてこった!とスザクに拳を振り下ろされた手すりが、哀れにもへしゃげる。
潜伏の得意なルルーシュのことだ、一旦身を隠されたら探しようが無い。スザク悔恨の至りである。
「やけに落ち込んでいるではないか、スザク。安心しろ。お前が独りではないように、あいつもおそらくは独りではない」
「感動的な慰めに聞こえるけど。それって私達足手まといが居るように、向こうにも足手まといが居るだろうってことよね」
スザクにとって戦場ヶ原が自分を足手まといと認めたことは密かに驚きであったが、それ以上にC.C.が自分を励ましているだろうことが驚きであった。
魔女にも人を思いやることがあるのか、などとルルーシュは軽口を叩くのだろうな、と思いながらスザクは素直に気を取り直した。
(潜伏するにしても、いずれどこかに移動するはずだ。ルルーシュ一人ならともかく、数人を引き連れて移動するなら、比較的容易に発見出来るはず)
それがいつになるか。首輪探知機の再起動が早いか、ルルーシュが動くのが早いか。要はそれだけの話だ。
(最長で再起動まで、か。待てるかな)
自分をなんとか食い止めてはいるものの、今すぐにでも走りまわってルルーシュ、ルルーシュと叫んで回りたい気分だ。
だが、それは出来無い。もしルルーシュが今のC.C.と同じように記憶喪失になっていた場合。
皇帝ルルーシュに忠誠を誓う前にまで記憶が戻っていた場合。
ルルーシュは自分を警戒するだろう。お世辞にもあの時まで、自分はルルーシュの味方であるようには見えなかった。
その時、オレンジハロがアラームをあげる。
「ミツケタ!ミツケタ!カイガンセン!カイガンセン!」
スザクは立ち上がると、オレンジハロの許へ向かい、目を凝らす。オレンジハロは何時の間にやらビルの南西部分に位置を変えていた。
そのマニピュレーターが指さす先を見れば、ルルーシュを先頭に、数人が海岸線に向かっている。
「ルルーシュ!」
スザクは再び叫ぶと、オレンジハロをディバッグに入れ、今度は手すりから身を投げ出した。
そして隣のビルの壁を蹴って、隣のビルに向かい、またも壁を蹴り、壁を蹴り、とジグザグと降下し、減速しながら着地する。
そのまま南西へと駆け出していった。
◇
一瞬の早業。
レイも戦場ヶ原も、そしてC.C.ですらもあっけにとられるしか無かった。
先程オレンジハロが指さした方角、そして海岸線というキーワードを元に、ある程度の場所の見当をつけて、レイはドラグノフを構えてスコープ越しに海岸線を見る。
(全部で6人、か?先頭に立つ白いローブを着た男がルルーシュだろうか)
足取りからして、女性のうち2人は確実に素人。さらに重傷なのだろうか、ぐったりとした少女一人を背負うという無茶をしているが為に、こちらでも捕捉出来たと言える。
周囲にどうやらそれ以外の人影はない事を確認すると、しかし万が一のことも考えてスザクとルルーシュ一行を交互に監視する。
せわしなくライフルを動かすレイに対して戦場ヶ原は一応だけど、と質問する。
「阿良々木君はそこにいるかしら」
その後身体的特徴をつらつらと述べられるが、該当する人間はいない、とレイは遮って伝えた。
それを聞くと戦場ヶ原は、では政庁の跡地に阿良々木君が居るかも知れないわね、と言って階段を降りようと歩くが、それをレイは止める。
死体の確認はいつでも出来る、と。
「なら象の像に行きましょう。そこに人が集まるのでしょう?単独行動をするような低能など放っておいてもいいんじゃないかしら」
「確かに道理だが、俺はスザクの結果を見届けると決めた。放っておく事など出来無い」
レイを勧誘出来なかった時点で、戦場ヶ原の行動は未遂に終わった。
狙撃出来る位置に居る人間を前に、的になるつもりは毛頭ないからだ。
そして戦場ヶ原はレイが仮想アーチャーとした目標を、なんとなく追おうと南東に向かったその時、赤ハロが突然跳ねながら叫ぶ。
「マッテイロ、ルルーシュ!」
なんとも恥ずかしい叫び声ね、と率直な感想を戦場ヶ原が持ち、どういうことなのかしらと赤ハロに問いただすと、ドーキ!ドーキ!と答え出す。
あぁ同級生という意味の同期と、通信の同期を掛けていたのね、と戦場ヶ原はこの珍妙なマスコットを作った人間のセンスを、本気で哀れんだ。
とにかくも通信手段を得たのは心強い。
戦場ヶ原は赤ハロを持ち上げてレイの元に持っていこうとしたその時、視界の端っこにE-5を走る小さな点を見つけた。
◆
上条当麻を見失ったサーシェスは自身の探索能力に失望しかけたが、色々と悪条件が重なっただけのことだと気を取り直す。
プロの傭兵は少々のことで弱音や失望などしていられないのだ。
まずい飯や、泥沼の行軍、整備もしっかりしていない旧世代MSが支給された時、連携も取れない未熟な手駒しか無かった時。
不満を漏らしたいときはいくらでもある。
だが不利な状況を与えられた時や失敗を犯した時にこそ、傭兵の真価は問われる。
そして、いつもそれを乗り越えてきたという自負こそが、彼を数多の戦場で生き残らせ、戦果を挙げさせてきたのだ。
そう、そもそもツンツン髪を見失ったところで基本方針は変わらない。
象の像へ向かい、お利口さん達に紛れ込む。それだけだ。
ただ比較的楽な手段を取り逃がしただけの話。次善の策はいくらでもある。
そしてまた走りだす。象の像に向かって。
◆
レイはスコープを覗きながら、舌打ちをした。
ルルーシュ一行がそのまま崖に隠れたかと思うと、揚陸艇らしきものが海岸線を離れたからだ。
まず間違いなく揚陸艇にはルルーシュ一行が乗っている。スザクは間に合わなかったのだ。
延長線上にスコープを滑らすとスザクは必死の追跡を続けている。
肩を落として帰ってくるスザクを幻視して、レイもややため息をついた。
一方、戦場ヶ原は赤ハロを手に、スコープを持つレイの元に駆け寄った。
それまでスザクが間に合うかどうかだけを気にして、壁の花を気取っていたC.C.も、
(どうやらルルーシュに合流するのは先のことになりそうだな)
と深い溜息をついて、気を取り直すことに決めたらしく、なにやら面白そうだと戦場ヶ原、そしてレイに近づく。
「これ、通信機能がついているようだけど、貴方に貸してあげるわ。利子はいらないけど、代わりにそのスコープを貸してくれないかしら」
言うや否や赤ハロを手渡し、ドラグノフを持ち去ろうとするが、予想以上の重さにたたらを踏む。
戦場ヶ原を軽く睨みつけたレイは、どっちを見張ればいい、と南東部に移動する。
そして戦場ヶ原が指さした方角をスコープで覗き見たレイは、ツンツン頭の黒髪の少年の姿と、その後方に迫る
アリー・アル・サーシェスの姿を確認した。
◆
走り出したサーシェスはある程度蛇行しつつも順調に橋に向かっていた。
ビルの谷間を抜け、ふと視界が開ける。
そこでサーシェスは信じてもいない神に感謝した。
なんという巡り合わせ。
見失ったと思っていたツンツン髪の黒髪の少年の姿がそこにあった。
しかも息が上がって呼吸を整えている。
声を掛けるならば今だろう。そう思って近づこうとしたサーシェスの目にある見覚えのある風景が映った。
崩壊した一軒家。
そう、驚異的な戦闘力を誇る、今は亡きアーチャーとの一戦を繰り広げた一画。
あの時、ガトリングガンの奇襲で、あの一軒家はぶち壊され、中にいた人間に対して痛撃を与えたはず。
その後、なにやらレールガンのような光によって、完全に崩壊したが。
この光景と、そしてツンツン髪の少年がアーチャーと共にいた事。
組み合わせ的に偶然とは彼には思えなかった。
(つまりよぉ、あそこで死んだんだか重傷負った人間を、墓参りだか見舞いに来たってことかぁ?
これってつまりよぉ、首輪二つ労せずしてゲット、つまり宝の山ってことじゃねぇのか?)
少年一人に、多くても重体の人間ひとり。どう見積もっても時間はかからない。
象の像にたどり着く前のちょっとしたボーナスタイム。
またしても存在不証明な神に感謝しつつ、宝の在処を示してくれる水先案内人を物陰で見守った。
だが、不信心者に祈られた神の怒りだろうか。
彼には天罰が降ろうとしていた。
◆
状況を説明したレイは、アリー・アル・サーシェスと言う人物の説明を軽くした後、どういう事だ、と女性陣を見上げて言う。
「上条くんが
御坂美琴の死体を引き取りに来た、と言う事で間違いないわね」
「なんとも律儀な坊やだ。そしておそらく。そのアリー・アル・サーシェスとやらは私を襲った赤毛の男で間違いないだろう」
根拠は三つ。
・立ち止まっている人間に対して、攻撃するでも無く話しかけるでもないと言うことは、何かを横取りするつもりであろうと予想出来ること。
・あの場所になにがあるか予想出来るのは、あの戦いに関係した人間と、その場に立ち寄った戦場ヶ原ひたぎと上条当麻だけであること。
・女の勘
特に最後の三つめが決め手だった。
戦場ヶ原もそれに関しては完全に同意し、レイもそれなら仕方ないな、と納得せざるを得なかった。
ならどうするか。
「決まっている。あの坊やの許にスザクを急行させ、お前も救援に向かえ」
「あなたと意見が合致するなんて、気持ち悪いわね」
状況は逼迫している。対応出来る、最も確実で素早いスザクに第一陣。後詰にレイを向かわせるのは理にかなっている。
ここから狙撃サポートするにしても、途中障害物が多く、さほど助けにならないことも確かだ。
早速レイは赤ハロを通じて、スザクに連絡を付ける。向こう側のスザクは突然の呼び掛けに戸惑っていたようだが、すぐに冷静さを取り戻していた。
赤ハロがオソカッタカ!やらナンダッテ!などと叫び、どうやら通信を終えたレイは、しかし、と疑問符を浮かべた。
赤毛の男に対して個人的な恨みがあると思われるC.C.の意見はまだわかるが、なぜ戦場ヶ原も赤毛の男に対処することに同意なのか、と。
戦場ヶ原も、また自問していた。何故そのように答えたのかと。
多分、と理由を考える。
神原を犠牲にすることに、本気で怒ってくれたからでしょうね。
夕陽は遠く頭を隠しつつあり、月は光り、夜の世界が顔を出していた。
【E-5北東/六階建てビルの屋上/一日目/夕方(放送直前)】
【戦場ヶ原ひたぎ@化物語】
[状態]:ポニーテール
[服装]:直江津高校女子制服
[装備]:文房具一式を隠し持っている、ヘアゴム スフィンクス@とある魔術の禁書目録、
アーサー@コードギアス 反逆のルルーシュR2、あずにゃん2号@けいおん!
[道具]:支給品一式 X2 不明支給品(1~3、確認済) 、バールのようなもの@現地調達
[思考]
基本:
阿良々木暦と合流。二人で無事に生還する。主催者の甘言は信用しない。
0:レイとスザク、そして上条当麻が帰ってくるのを待つ。
1:その後、なるだけ急いで象の像へ向かう。
2:ギャンブル船にはとりあえず行かない。未確認の近くにある施設から回ることにする。
3:正直、C.C.とは相性が悪いと思う
[備考]
※登場時期はアニメ12話の後。
※安藤から帝愛の情報を聞き、完全に主催者の事を信用しない事にしました。
※安藤の死亡によりギャンブル船に参加者が集められているかは怪しいと考えています。
【C.C.@コードギアス 反逆のルルーシュR2】
[状態]:健康
[服装]:血まみれの拘束服
[装備]:
[道具]:基本支給品一式 阿良々木暦のマジックテープ式の財布(小銭残り34枚)@化物語
ピザ(残り55枚)@コードギアス 反逆のルルーシュR2、赤ハロ@機動戦記ガンダム00
[思考]
基本:ルルーシュと共に、この世界から脱出。
不老不死のコードを譲渡することで自身の存在を永遠に終わらせる――?
0:赤ハロを使ってスザクとレイのサポートをする
1:その後、おそらく象の像に移動したルルーシュと合流する
2:利用出来る者は利用するが、積極的に殺し合いに乗るつもりはない
3:正直、ひたぎとは相性が悪いと思う
[備考]
※参戦時期は、TURN 4『逆襲 の 処刑台』からTURN 13『
過去 から の 刺客』の間。
※制限によりコードの力が弱まっています。 常人よりは多少頑丈ですが不死ではなく、再生も遅いです。
※赤ハロとオレンジハロ間で通信が出来るようになりました。通信とは言えハロを通しているため、声色などはハロそのものにしかなりません。
【E-5東/一日目/夕方(放送直前)】
【レイ・ラングレン@ガン×ソード】
[状態]:疲労(中)、肋骨を数本骨折(処置済み)、左肩に銃創(処置済み)、脇腹に浅い銃創(処置済み)、ツッコミ属性獲得?
[服装]:武士のような民族衣装(所々破損)
[装備]:レイ・ラングレンの銃@ガン×ソード
[道具]:基本支給品一式×1、デイパック、ドラグノフ@現実(10/10)、 GN首輪探知機@オリジナル、平バール@現実、
麻雀牌@咲×31個、ユンケルスター@現実×8、パチンコ玉@現実×大量、コンビニの商品多数(内容は後の書き手さんにお任せします)
[思考]
基本:もう少し生きてみる。
1:スザクの救援に向かう。
2:
枢木スザクの『結果』を見届ける。
3:あるものは使う。
[備考]
※参戦時期は第8話~第12話のどこかです。
※ブラッドチップ・3ヶ@空の境界は円形闘技場に置いてきました。
※三回放送の前後に『E-3 象の像』にて、信頼出来る人間が集まる、というゼクスのプランをスザクから聞きました。
※スザク、神原、アーチャー、
一方通行と情報を交換しました。
※飛行船についての仮説を一方通行から聞きました。
※ライダーの石化能力と藤乃の念動力についての分析を一方通行から聞きました。
◆
ようやくと息を整えた上条は歩を進める。。
一戸建てが並ぶ住宅街。その中の一つにはっきりと意志をもって向かい、扉を開ける。
予測が正しかったことを確信したサーシェスは隠れながら、その後をついて行く。
無用心にもカギも締めずに扉を閉めた上条に注意しながら感謝して中に入る。
どうやら上条は二階に上がっていったようだ。
さて階段を登るか、戻ってきたところを詰問するか。
扉の中に入って贅沢な二択に思い悩んでいた、その瞬間、気配を感じて身を潜める。
ドアの覗き窓から外の様子を伺う。
よくアパートなんかにある鳥の目ではなく、カーテンを敷いた比較的横長な覗き窓だ。
ある程度の範囲は見渡せる。
こちらへ向かってくる人影は1つ。
真面目くさった東洋人の少年。信長にぶつけた奴だ。まだ生きていたとは予想外だな、と手早く記憶を引っ張り出す。
あれならば気づかれても交渉の余地はある。上手くすれば合流することも容易。
ひとまずは安心か。
スザクはまっすぐサーシェスがこの家に向かってきている。
あいつ、何が目的で、と思考をめぐらしすぐにピーンと来る。
そうか、あいつもアーチャーからここの場所を聞き出していたのか。
結構したたかじゃないか、とサーシェスはスザクに対する評価を改めた。
まぁある程度同類の方が紛れ込みやすいか、と考え、まずはスザクと合流することを決断する。
もし合流を否定されたら、ガトリングガンを不意打ちで撃ち放てばいい。
1人だけなら不意を付けば一瞬だ。
身だしなみを整えて、息も整える。
設定はこうだ。
たまたま入った家でくつろいでいる所を、来訪者。慌てるサーシェス。もてなすサーシェス。
なんだかんだで意気投合。一緒に行動しようじゃないか、いいだろう。
フゥ、と一息つく。
成功のイメージを掴んだサーシェスはソファーに寝転び、スザク達の来訪を待つ。
やがて来訪者来る。
わざとらしくソファーから飛び起きようとしてずり落ちて、相手の油断を誘う。
ソファー越しにある程度時間をかけてスザクを確認してみせたサーシェスは、立ち上がって鷹揚に手を広げ、スザクを迎え入れる。
「おぉ、誰かと思ったらあんたか、俺だよ、アリー・アル・サーシェスだ」
その瞬間、スザクは右腕で隙なくベレッタを構え、引き金を引いた。
【E-5/一軒家/一日目/夕方(放送直前)】
【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュR2】
[状態]:疲労(中)、左腕骨折(処置済み)、「生きろ」ギアス継続中
[服装]:ナイトオブゼロの服(マント無し)
[装備]:ベレッタM1
934(7/8)、GN拳銃(エネルギー残量:中) 、鉈@現実
[道具]:基本支給品一式、ノートパソコン@現地調達、オレンジハロ@機動戦士ガンダムOO、9mmショート弾(22発)
救急救命セット@現実、柳刃包丁@現実、工具一式@現実、雑誌@現実×多数、
真田幸村の首輪
[思考]
基本:この『ゲーム』を破壊し、ゼロレクイエムを完遂する。
0:サーシェスを倒す。
1:ルルーシュと合流する
2:首輪を外せる技術者を探したい。
3:ルルーシュに危険が及ぶ可能性のある要素は排除する。
4:
明智光秀、
織田信長、平沢憂、
バーサーカー、ライダー、黒服の女(藤乃)に用心する。
5:確実に生きて帰る為の方法を探す。
[備考]
※ラウンズ撃破以降~最終決戦前の時期から参戦。
※主催が不思議な力を持っていることは認めていますが、死者蘇生が可能という点は全く信じていません。
※もしかしたら『敵のアジト』が『黒の騎士団のアジト』ではないかと少し疑っています。
※三回放送の前後に『E-3 象の像』にて、信頼出来る人間が集まる、というゼクスのプランを政宗と神原から聞きました。
※政庁で五飛が演じるゼロの映像を見ました。また、ビデオメールの送信元と受信時間を確認しました。
※アーチャーとC.C.が行動を共にしていることを知りました。
※政宗、神原、レイ、アーチャー、一方通行と情報を交換しました。
※飛行船についての仮説を一方通行から聞きました。
※ライダーの石化能力と藤乃の念動力についての分析を一方通行から聞きました。
※赤ハロとオレンジハロ間で通信が出来るようになりました。通信とは言えハロを通しているため、声色などはハロそのものにしかなりません。
【アリー・アル・サーシェス@機動戦士ガンダムOO】
[状態]:疲労(小)、腹部にダメージ、髭をそった、髪を少し切ってイメチェン
[服装]:ジャケットとズボンと靴(動きやすさは抜群)
[装備]:ガトリングガン@戦国BASARA 残弾数50% 果物ナイフ@現実 作業用ドライバー数本@現実 タバコとライター@現実
[道具]:基本支給品一式、 ガトリングガンの予備弾装(3回分) ショットガンの予備弾丸×78 文化包丁@現実
[思考]
基本:この戦争を勝ち上がり、帝愛を雇い主にする。
1:どうにかしてこの場を切り抜ける
2:更に周辺を見て回り、できれば組める相手を見つける。 それが最適な選択になるならば、組んだ相手を騙すことも。
3:殺し合いをより楽しむ為に強力な武器を手に入れる。
4:ゼクスは胡散臭いが、彼の知り合いに接触する価値はある。 恩を売っておきたい。
余裕があれば暦に接触してみたい。
【備考】
※セカンドシーズン第九話、刹那達との交戦後からの参戦です。
※五飛からガンダムWの世界の情報を取得(ゼクスに関してはやや誤解あり。ゼクス=裏切りもの?)。真偽は保留にしています。
情報収集のためにヒイロ、トレーズ、デュオ、
伊達政宗、
神原駿河と接触する方針を続行。
※この世界の違和感(言語の問題等)は帝愛のせい、ということで納得しているようです。
※D-6のデパートには駐車場(車あり)があるようです。
※スザク、レイ、一方通行がアーチャーに接触した可能性があるとみています。
※E-3へ奇襲を仕掛けるか、逆に離れるかは、ライダーと藤乃の出方次第です。
※ライダーとはアーチャーが、藤乃とは式が、それぞれに共通した敵であると伝えました。
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最終更新:2010年04月14日 00:35