夜明けのゼロ ◆1U4psLoLQg



F-7、そこには巨大なホールが建っている。
周囲の都市部中央に位置するそこには、人の気配が全く無い、あたりは静寂に包まれている。
しかし、その静寂は、そこへ近づく一台のバイクが発する騒音によって破られた。
ゲーム開始より誰も立ち入らなかったその場所に、最初の訪問者が訪れようとしている。

「ただのホールにしてはあまりに大きすぎるな……やはり、この地図に記された施設には何かあるのか?」

そう言ってバイクを降りた男の名は張五飛、しかし今はゼロと名乗っている。
彼は、F-6地点で船井達とすれ違った後、バイクでこのホールの前までやって来ていた。
その理由は一つ、武器の調達である。
彼の行動方針は参加者の脅威となる事、そのためにゼロを名乗り、参加者全員の抹殺を宣言した。
しかし、それだけでは十分な脅威とは言えないだろうと彼は判断したのだ。

真に脅威足りえるには絶対的強者であることが前提として必要だ、そのためには中華刀と拳銃だけではまだまだ火力不足と言える。
なにより己がが脅威となる前に、殺し合いに乗った者に倒されてしまったら話にならない。
早急に強力な武器を手に入れる必要がある、と彼は判断した。
そのためにどう行動するべきか?
彼は考えた結果、ある仮説を立てた。

『この地図に記された施設には、何か主催者側からの「仕掛け」が施されているのではないか?』

そもそも「殺しあえ」などとのたまい、ゲーム開始からやたら手の込んだ演出をしてきた連中だ。
この島の各所に殺し合いを煽る仕掛けが施されていてもおかしくない、いや寧ろその可能性が高いくらいだ。
その仕掛けとはおそらく「隠された武器」
もちろん武器であるという確証は無い。
しかし、その仕掛けが弱者に勝ちの目を見せる程の物であるならば、恐らく武器の類だろうと踏んだのだ。
そして、本当に「仕掛け」が有るとすれば、それは地図に記される施設に違いない。
殺し合いに乗った者の手に渡る前に確保し、火力不足を補う。

そうして彼はこのホールにやって来た。

「周囲に人の気配は無いな…。」

そう呟きながらも警戒を解くことはなく、彼は自動ドアの前に立った。

ウイーン・・・

無機質な音をたてて、ガラスの扉は何の抵抗も無く彼を施設の中へと受け入れた。
入ってすぐの広々としたエントランス内部には、五つの扉があった。
扉の配置は正面の壁にに三つ、左右に一つずつ。

「……これは何だ?」

五飛は思わず呟いていた。
扉にはそれぞれ対応する広間の名前が記されてある。
どうやらこの施設は全部で五つの広間を有しているらしい。
そして彼は更に奇怪な物を発見する。

「入場条件・・・だと・・・?」

それぞれの扉にはその先の広間の名前だけでなはく「入場条件」までもが記されていた。


右の扉から順に

1『平和の広間:参加者を一人も殺害していない者のみ入室可能、ただし同行者2人以上が必要』

2『四暗の広間:参加者を四人以上殺害した者のみ入室可能』

3『一発の広間:ゲーム開始から6時間以内のみ入室可能、6時間経過後に室内に居る者の首輪は爆破される』

4『国士の広間:第六回放送後のみ入室可能』

5『 』

となっている。

「最早、ここがただのホールじゃない事は明白だな。」

何故か、最後の扉だけは名前も入場条件も記されては居なかった。
不可解だったが、それは今考える事では無いだろう。
彼はまず『平和の広間の扉』に手を掛けた。

「…?」

しかしドアノブを回せない、どれだけ力を込めても手が表面を滑ってしまうのだ。

「……っなぜだ!?」

ためしに一発、銃弾を打ち込んでみてもドアには傷一つ付かない。

「馬鹿な……本当に、魔法だとでも言うのか!?」

二番目と四番目そして五番目の扉も同様だった。
しかし三番目の扉に手を掛けた時。

ガチャリ・・・。

扉は呆気なく開いた。

「やはり条件を満たした扉しか開ける事が出来ないのか、ならば急いだほうがいいな。」

条件が本当ならば首輪爆破の件も事実なのだろう。
早急に探索して脱出すべきだ。
彼は意を決して、扉の内側へと侵入した。

扉の向こうは非常に狭い廊下になっていた。
二人並んでは通れないだろう窮屈な通路が続いている。
いくつかの曲がり角を曲がった後、彼はようやく廊下の突き当たりのドアにたどり着いた。
ここが広間の入り口らしい。

「しかし、ここまで入り組んでいるとは…もしかすると本当に存在するのかもしれんな。」


彼が武器の調達場所にホールを選んだのは、比較的近所に在ったからという理由だけではない、この島にMSが存在する可能性を考えてのことだった。
殺し合いの道具としては強力過ぎるゆえ、その可能性は低いかもしれない、しかしゼロではない。
更に、一体だけでなく複数あると仮定するなら、そう強力すぎることもないのではないか。
少なくとも、『隠された武器』としてこれ以上強力な物は無いだろう。
彼の価値観ではそう感じられた。

ならばもしMSがあるとして、隠せる施設があるとしたらそれはどこか?
彼は『太陽光発電所』『城』『敵のアジト』そしてこの『ホール』に目星をつけたのだった。
結果、距離的に一番近かった『ホール』にやってきたわけだが、どうやらこれは正解だったらしい。

「ただのホールにしてはあまりに大きすぎること」

「手の込んだ仕掛け」

そして何より、『一発の広間の扉』の内側に入ってから聞こてきている

「謎の機械音」

「間違いない・・この施設は何かとんでもない物を隠している…」

口元を期待に歪めながら彼は目の前のドアを開いた。

結果から言うと、そこに彼が期待した物は無かった。
施設全体に比べて、かなり小さな広間の中央に一つ机がある。
その上に、USBメモリと防弾チョッキ、それに妙な布が置いてあるだけだ。
広間の中には入り口以外に扉は無い。
「ここはまだホール全体の中央部にも達していないはずだ、ハズレだったのか?」
結局彼は、この施設に何が隠されているか分からないままホールを出ることになった。

「他の扉を開く条件を満たしてからまた来れば言いだけのことだ、幸い収穫が無かったわけではない。」

あの広間で見つけた物だけではない。
実在する仕掛け。
魔法と思わしき不可解な現象。
これらを見ることが出来ただけでも価値があった。

「魔法か・・・とても信じられないが、ただのトリックにも思えない、何にせよ油断は出来ないな。」

そう呟いた彼は、再びバイクに跨り次の目的地に向かって走り出す。

周囲はまだ薄暗い。
しかし、青みがかった空の色は夜明けが近いことを告げていた。



【F-7/市街地/一日目/早朝】


【張五飛@新機動戦記ガンダムW】
[状態]:健康
[服装]:マリーメイア軍の軍服   分厚いマント
[装備]:ラッキー・ザ・ルーレットの二丁拳銃(銃弾2発消費)@ガン×ソード ゼロの仮面@コードギアス 刹那のバイク@機動戦士ガンダム00 防弾チョッキ@現実
[道具]:デイパック、基本支給品、干将・莫耶@Fate/stay night USBメモリー@現実  ファサリナさんの三節棍@ガン×ソード
[思考]
基本:オレが参加者の脅威となる!
1:殺し合いに乗ったものは倒す。
2:ゼロとして『戦う意思』のない者達を追い詰める。……それでも『戦う意思』を持たなければ――
3:『太陽光発電所』『城』『敵のアジト』のどれかを目指し移動する
4:移動する過程で人の集まる場所に立ち寄り、参加者を見つけ次第、1か2の行動をとる
5:扉を開く条件を満たしたらまたホールに戻りたい
6:人間の本質は……
[備考]
※参戦時期はEndless Waltz三巻、衛星軌道上でヒイロを待ち構えている所です。
※バイクはデュオの私物だと思っています。
※船井たちの顔をはっきりと確認できたかどうかはわかりません。
※主催側が語る「魔法」について真剣に考え始めました。
※島にMSが隠されているのではないかと疑っています。
※妙な布が三節棍だと気づいていません。

支給品解説
【ラッキー・ザ・ルーレットの二丁拳銃@ガン×ソード】
ラッキー・ザ・ルーレットがロシアンルーレットで使っていたもの。
リボルバータイプのため、銃弾の装填数は6つ。
予備弾薬が一緒に支給されているのかは不明。



【ホールについて】
内部に五つの広間を有する巨大な施設、各広間にはそれぞれ入場条件がある。
右の扉から順に

1『平和の広間:参加者を一人も殺害していない者のみ入室可能、ただし同行者が2人以上必要』
2『四暗の広間:参加者を四人以上殺害した者のみ入室可能』
3『一発の広間:ゲーム開始から6時間以内のみ入室可能、6時間経過後に室内に居る者の首輪は爆破される』
4『国士の広間:第六回放送後のみ入室可能』
5『 』

条件を満たした者に同行していれば、誰でも入室可能?
扉の内部では謎の機械音が響いている。
『一発の広間』は一番小規模な広間で、机が一つとアイテムが三つ有るだけの部屋、アイテムは現在、五飛がすべて回収済み。
それ以外の広間の中身は後の書き手さんにお任せします。
『 』の入室条件に関しても後の書き手さんにお任せします。


USBメモリの中身も後の書き手さんにお任せします。


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089:乗り損・エスポワール・スタンダード 張五飛 112:ウーフェイ再び


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最終更新:2009年11月30日 11:12