解明への灯 ◆MQZCGutBfo
――第二回定時放送前、軍用車内――
白井黒子に促され、首輪の解析を試みることになった
衛宮士郎。
早速、黒子と向かい合い、首輪を対象に魔術行使による解析を始める。
集中して対面の黒子、そして黒子の首輪を見つめる。
(……な、なにか気恥ずかしいですの……)
そして所在無げに視線を逸らす黒子。
士郎の方も、そんな動作を見れば意識してしまう。
「いや、その……集中しにくいんだが……」
「な!……変な意識はしないで下さいまし」
ぽかり、と警棒で軽く士郎の頭を叩く。
「……だっ!」
「まったく……殿方は油断も隙もありませんのね。」
黒子はさっと立ち上がり、対面ではなく士郎の横に腰掛け、士郎とは逆方向を向く。
「……これなら、よろしいでしょうか?」
頭をさすりながら、ああ、と答え――
――先の無謀とも言える行動のように、
衛宮士郎は【自らを省みず】他人を助ける為に突っ走る傾向がある。
その為、とかく戦闘においては自身の技量以上の行動を取り、
返って仲間の足を引っ張ってしまう特性がある。
だが元来、学生生活における彼は
「穂群原のブラウニー」「偽校務員」「文連の修繕担当」
「弓道部の掃除機」「生徒会長のオプション装備」等々の二つ名で呼ばれ、
所謂後方支援、相手の影となり仲間をアシストする存在であった。
その中で特筆すべきが、校内の故障してしまったストーブやらビデオデッキやらを
いとも簡単に修理してしまう特技を持っていることである。
『解析魔術』により、その対象の構造を解析し、問題個所を特定できてしまうのだ。
【構造把握能力】
これこそが衛宮士郎が他人に秀でた能力。
独学で日々魔術の鍛練を行い、特化した能力。
剣の丘にて連鉄する魔術師の土台はここにある――
「解析――開始――(トレース・オン)」
撃鉄を落とし、魔術回路を起動させる。
まずは基本骨子、次に構成材質の情報――
「……くっ!」
「どうかなさいまして?」
「……いや、大丈夫だ、続ける」
――流れてくる情報の量が多すぎる、と言おうとして止めた。
恐らく盗聴されている。不用意な発言はやめておくべきだ。
後で纏めて紙で伝えるべきであろう。
改めて解析を行う――
創造の理念――相手の支配、抑制、行動の把握。
基本骨子――機械による制御。そして魔力の流れが外面上を覆っている。
構成材質――外面には視覚による情報の偽装・抑制を行うことに特化した概念物・礼装が埋め込まれている。現在も機能している。
視覚妨害以外にも礼装が存在……恐らく魔術行使に対する防御、ただし魔力供給がされていないため、現在機能していない。
中心部には金属……知る限りの材質において該当するものがない。
トランシーバーに似た構造の装置が存在……エミヤシロウの知識では機能の断定は不可能。
ICチップらしきものが存在……エミヤシロウの知識では機能の断定は不可能。
電磁石と共に液体が存在……知る限りの液体に該当するものがない。
製作技術――技術と工程。車、電化製品といった現代の技術の範囲外で作られている。
その技術品に対し、視覚妨害・魔術妨害の機能を持つ限定礼装によって保護を行っている。
――エミヤシロウ単身では首輪の解除は不可能。
科学技術に精通した者の助力が必要。
また、外面の魔術的防御を解除できれば、
技術者単身による解析も可能であろう――
「……ふぅ……」
「ひゃう!」
解析終了で気が緩んだか、士郎の吐息がかかり、首輪を持っていた手が黒子のうなじに触れる。
そして、即座に飛んでくる白井黒子の右の手の平。
(……手の平は……無事だったんだ……)
――薄れゆく意識の中、そんなことを思った。
「なるほど……」
(少年にこんな【力】があったとは……)
左頬を真っ赤に腫らした士郎からメモを受け取り、グラハム、そしてゼクスが内容を読む。
――放送の直前ではあったが、これ程重要な情報を共有しておかないわけにはいかないと、
一瞬意識が飛びかけた士郎は、怒りを納めた黒子と共に、車外のグラハム達の元へ伝えに来たのだった――
(我が友、ビリー・カタギリがこの場に居ないのが惜しいな……)
シロクロコンビの青い春に付き合うつもりは毛頭なく、解析内容について嘆息する乙女座の男。
彼の駆る愛機フラッグは、常に親友のビリー・カタギリに整備を任せており、
グラハム・エーカー自身は士官学校時代の一通りの機械工学知識しか持っていない。
(少年における「現代の技術の範囲外」となれば、恐らくは「ガンダム」が存在するこちら側の技術か)
【技術者】の単語を隠しながら会話を続ける。
「残念ながら、私には参加者の中ではアテがない。
ゼクス・マーキスよ、そちらはどうか。」
メモを読み、考えるゼクス。
(トールギス、そして「ガンダム」を作ったあの老人達であれば可能であろうが……)
ゼクス自身の知識は、あくまでパイロットとしての域を出ない。
(あの老人達のことだ、例の少年達には機械工学についても叩きこんでいる可能性が高い、か……)
「……そうだな、ガンダム・パイロットであれば、あるいは……」
【ガンダム】の名にピクリと反応したグラハムだが、
まずは一度置いておくのか、視線を白井黒子に向ける。
「残念ながら、そのような知り合いは、こちらには来ていないようですの。」
ようやく落ち着いた白井黒子も会話に参加する。
学園都市も科学に特化した場所ではあるが、あの
上条当麻はとても科学に精通しているようには見えない。
「ふむ……」
グラハムが時計を見ると、時刻は正午1分前。
これ以上の考察は放送後に、と口を開きかけると――
「……ぐっ!!!」
何の前触れも見せず、突如、衛宮士郎の左手が光り、残り一画の令呪が消えていく。
「―――セイ、バー……?」
そして、この場に居ない少年と異口同音に、衛宮士郎が紡ぐ。
気高き剣の英霊にして、ハッとするほど綺麗な美少女。
こんな自分を守り、どんな時も傍にいた、強く、凛々しい剣士。
ごはんを作ってあげた時の笑顔など、年相応の表情も見せ始めていた。
蔵で最初に出会った時の姿
傷つきながらも怪物と戦う姿
道場での静かに佇む姿
おかわりを要求してくる姿
光の奔流を剣から放つ姿
令呪の喪失は、即ちセイバーがこの世界から消えてしまったということ。
どんな状況で、どんな想いでセイバーが消えてしまったのか、知る由もなく……
「衛宮さん……」
何か大切なものを突然奪われたような、少し前の自分と同じような表情をした少年。
恐らくは、衛宮士郎にとっての、大切な人間が失われてしまったのであろう。
そんな彼に対し、自分は何ができるのだろうと考えようとした時―-
放送が、流れる――
□
では、俺からは以上だっ……! 諸君らの健闘を祈るっ……!」
「な……」
ゼクス以外の三人が絶句する。
エスポワールで待機していたはずの二人の名が呼ばれている。
そして迷わず、グラハム・エーカーが叫ぶ。
「ゼクス・マーキス!申し訳ないが行き先が決まった!
我々はこれからすぐに船に引き返さなければならん。貴公はどうされる!!」
先程の話から、恐らくは非戦闘員を残してきた船が、何者かに襲撃された可能性が高いのであろうと考えるゼクス。
車での移動であれば、移動中に詳細な情報交換も可能であろう。
「ああ……私も動向させて頂く。」
ゼクスの答えに頷き、グラハム・エーカーは衛宮士郎の目を見る。
「少年、行けるか?」
心配そうに見守る黒子に礼をいい、両の手で自身の頬を叩く。
「はい……!向かいましょう、エスポワールへ!」
(そうだ……こんなところで、立ち止まったら駄目だよな。
必ず、こんなふざけた事を仕組んだ奴らを倒す。
――だから、どうか見ていてくれ、セイバー……)
脳裏に映る、凛々しく屹立する少女に向け
そっと、黄金の剣を握りしめ、衛宮士郎は誓う――
□
「……な、ななななな、なんでささささ」
疾走する、いや爆走する一台のジープ。
「ぐぐぐグラハムささん!ここ、もうすぐ禁止区域になななるんじゃ!?」
「黙っていろ少年!!舌を噛むぞ!!」
浜辺の道を、迷彩色の彗星が駆け抜ける――!!
ライトニング・カウント(閃光の伯爵)と呼ばれたゼクス・マーキスも、
グラハム・エーカーの操縦技術に舌を巻く。
(成程このグラハムと言う男……他の「ガンダムが存在する世界」でのエースパイロット的存在なのであろう。)
「――飛ぶが如く!飛ぶが如く!!飛ぶが如く!!!」
砂塵を舞い上げ突き進む軍用車両。
文字通り、飛んで――いや、「跳んで」――邁進する。
極限状態までGがかかるトールギスを操っていたゼクスにはなんともないが――
(情報交換は目的地に着いてから、だな。……後ろの少年達では辛かろう。)
助手席から後部座席を見やる。
――行きの対面での座り方ではなく、横に並んで座っている士郎と黒子。
シートベルトがない以上、ラッキースケベだ何だと言っている状況ではなく、
素直に黒子は士郎にしがみ付いている。
「ええええ衛宮さん、今度どどどどどさくさにまぎれて変なことをしましたら、
こここ今度はスタンンンガンを使いますのののよよよ!!」
「わわわわかってる!わかってるからけけけ警棒はしまって!あああ危ないから!!!」
彼女なりに士郎を元気付けようとしているのか、私はここだとばかりにしがみ付く。
――それに応えるような器量を、へっぽこ士郎は持ち合わせていないのだが。
そんな後部座席を省みず、グラハム・エーカーは運転に集中する。
――砂浜を抜け、廃墟と化した集落を、愛機フラッグの如き疾さで駆け抜ける――
「――改めて言う、
天江衣だ。その……衣も連れて行ってくれ、お願いだ!」
「承知した。このグラハム・エーカーが君の身の安全を保障しよう」
状況はわからないが、きっとあの少女は不安で泣いているだろう。
あの船ならば、あの人数ならば安全だろうと、どこかで油断してしまっていた。
『君の身の安全を保障しよう』などと、良くも言ったものだ。
「このグラハム・エーカーは、嘘をつく人間などではないと言うことを、証明せねばなるまいな!」
この唾棄すべき世界で少女が頼れる人間は、このグラハム・エーカーをおいて他にはいないのだ。
「――待っていろ、天江衣――!!」
【B-6/廃村エリア/一日目/日中】
【衛宮士郎@Fate/stay night】
[状態]: 健康、額に軽い怪我(処置済み)、左頬が腫れる(軽傷)
[服装]: 穂村原学園制服
[装備]: カリバーン@Fate/stay night
[道具]: 基本支給品一式、特上寿司×20人前@現実
[思考]
基本:主催者へ反抗する
0:まずは黒子らと共にエスポワールへ戻る
1:首輪の情報を技術者へ伝え、解除の方法を探す。
2:黒子を守る。しかし黒子が誰かを殺すなら全力で止める
3:女の子を戦わせない。出来るだけ自分で何とかする
4:
一方通行、
ライダー、
バーサーカーを警戒
[備考]
※参戦時期は第12話『空を裂く』の直後です
※残り令呪:なし
※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました
※エスポワール会議に参加しました
※帝愛の裏には、黒幕として魔法の売り手がいるのではないかと考えています。
そして、黒幕には何か殺し合いを開きたい理由があったのではとも思っています。
※衛宮士郎の【解析魔術】により、首輪の詳細情報(魔術的見地)を入手しました。
上記単体の情報では首輪の解除は不可能です。
【白井黒子@とある魔術の禁書目録】
[状態]:健康、精神疲労(中)、空虚感
[服装]:常盤台中学校制服、両手に包帯
[装備]:スタンガン付き警棒@とある魔術の禁書目録
[道具]:基本支給品一式
[思考]
基本:なるべく普段通りに振舞う(スタンスは決めあぐねている)
0:衛宮さん達と共にエスポワールへ戻る
1:衛宮さんが解析した首輪の情報を技術者へ伝え、解除の方法を探す。
2:お姉さまを生き返らせるチャンスがあるなら……?
3:衛宮さんが心配
4:衛宮さんはすぐに人を甘やかす
5:一方通行、ライダー、バーサーカーを警戒
6:少しは衛宮さんを頼る
[備考]
※本編14話『最強VS最弱』以降の参加です
※空間転移の制限
距離に反比例して精度にブレが出るようです。
ちなみに白井黒子の限界値は飛距離が最大81.5M、質量が
130.7kg。
その他制限については不明。
※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました
※エスポワール会議に参加しました
※美琴の死により常に空虚感があります
空間転移は正常に使用できない可能性が高いです
※帝愛の裏には、黒幕として魔法の売り手がいるのではないかと考えています。
そして、黒幕には何か殺し合いを開きたい理由があったのではとも思っています。
※衛宮士郎の【解析魔術】により、首輪の詳細情報(魔術的見地)を入手しました。
上記単体の情報では首輪の解除は不可能です。
【グラハム・エーカー@機動戦士ガンダムOO】
[状態]:健康
[服装]:ユニオンの制服
[装備]:コルト・パイソン@現実 6/6、コルトパイソンの予備弾丸×30、軍用ジープ@現実
[道具]:基本支給品一式、五飛の青龍刀@新機動戦記ガンダムW
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。断固辞退
0:エスポワール組が心配。特に天江衣。飛ぶが如くエスポワールへ戻る。
1:衛宮士郎が解析した首輪の情報を技術者へ伝え、解除の方法を探す。
2:ゼクスと情報交換し方針を決定する。
3:ゼクスからガンダムについて詳しく聞きたい
4:
張五飛と接触したい
5:主催者の思惑を潰す
6:ガンダムのパイロット(刹那)と再びモビルスーツで決着をつける
※刹那の名を知らない為、相手が既に死んでいることを知りません。
7:地図が本当に正確なものかどうかを確かめるために名所を調べて回る
8:衣の友達づくりを手伝う。ひとまずは一万ペリカを手にいれ、『麻雀牌セット』を買ってやりたい
【備考】
※参戦時期は1stシーズン25話「刹那」内でエクシアとの最終決戦直後です
※バトル・ロワイアルの舞台そのものに何か秘密が隠されているのではないかと考えています
※利根川を帝愛に関わっていた人物だとほぼ信じました
※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました
※エスポワール会議に参加しました
※張五飛がガンダムのパイロット、少なくともソレスタルビーイングのメンバーであると知れないと考えています
※帝愛の裏には、黒幕として魔法の売り手がいるのではないかと考えています。
そして、黒幕には何か殺し合いを開きたい理由があったのではとも思っています。
※ゼクスから駅周辺で戦闘が行われていることを聞きました。
※第三回放送の前後に『E-3 象の像』にて、参加者同士で集まるというプランをゼクスから聞きました。
※衛宮士郎の【解析魔術】により、首輪の詳細情報(魔術的見地)を入手しました。
上記単体の情報では首輪の解除は不可能です。
【ゼクス・マーキス@新機動戦記ガンダムW】
[状態]:健康 新たな決意
[服装]:軍服
[装備]:
真田幸村の槍×2
[道具]:基本支給品一式 、ペリカの札束 、おもちゃの双眼鏡@現地調達、その他デパートで得た使えそうな物@現地調達
[思考]
0:グラハムらに同行しエスポワールへ向かう。
1:グラハムらと情報交換し方針を決定する。
2:衛宮士郎が解析した首輪の情報を技術者、またはガンダム・パイロットへ伝える。
3:新たな協力者を探す。どんな相手でも(襲ってこないのなら)あえてこちらの情報開示を行う。
4:第三回放送の前後に『E-3 象の像』にて、一度信頼出来る人間同士で集まる
5:集団の上に立つのに相応しい人物を探す
[備考]
※学園都市、および能力者について情報を得ました。
※MSが支給されている可能性を考えています。
※主催者が飛行船を飛ばしていることを知りました。
※知り合いに関する情報を政宗、神原、
プリシラと交換済み。
※悪人が集まる可能性も承知の上で情報開示を続けるようです。
※サーシェスには特に深い関心をしめしていません(リリーナの死で平静を保とうと集中していたため)。
※ライダーと黒服の少女(藤乃)をゲーム乗った特殊な能力者で、なおかつ手を組んでいると推測しています。
※ギャンブル船で会議が開かれ、参加者を探索していることを知りました。
※グラハムから以下の考察を聞きました。
・帝愛の裏には、黒幕として魔法の売り手がいる。そして、黒幕には何か殺し合いを開きたい理由があった。
※衛宮士郎の【解析魔術】により、首輪の詳細情報(魔術的見地)を入手しました。
上記単体の情報では首輪の解除は不可能です。
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最終更新:2010年01月24日 23:54