のどかデジタル ◆6lyiPawAAI
状況を概ね把握できた僕が最初にした事は現在地の確認だった。
デバイスによるとここはF-7だそうだ。
地図を見るとF-7の建物はホールしかない。
という事は、ここはホールの中ということになる。
なんで政庁からいきなりホールに飛んでるんだろう?
何が起こっているか全くの理解不能だけど、そこはどこでも○アという事で深く考えないようにした。
「それに、もっと良く分からないのが目の前にあるんだよな……」
僕は部屋の壁際中央辺りに配置された巨神像を見上げる。
「本当になんだろうな、これ」
どうせまたろくでもない代物だろうとは思うけど、調べておく必要がある。
巨神像に近づいてみると、巨神像の正面には見慣れないものがあった。
「パネル、いやコンソールかな?」
そこには用途不明のコンソールがあった。
コンソールが置いてある台の後ろからは
ケーブルが数本伸びており、そのケーブルは巨神像に接続されていた。
いかにもこれを使うと巨神像が反応しますよ、といった風情がある。
「もしかして、これを操作するとあれが動いたりするのかな?」
そんなオーバーテクノロジーじみたものが存在するのだろうか?
しかし、事実ここにそれはある。
コンソールを念入りに調べると、何かを差し込むような穴を見つけた。
どうも起動に必要な物を差し込むところらしい。
生憎と僕は差し込むのに適した物を持ち合わせてはいなかった。
思い切ってコンソールの1パネルを押してみるけれども、何も反応はなかった。
「ふぅ……」
僕は軽く息を吐く。決して賢者タイムなんかじゃない。緊張していただけだ。
ともかく、どうにも僕の手に負えるものではないらしい。
適した物を差し込めば何かが起こるだろうけど、差し込めない以上どうする事も出来ない。
(一応、他の人に会った際に伝えておこう)
巨神像に見切りをつけ、再度部屋を見回してみる。
するとまた新しい物を見つけた。
僕はそれに近づいていく。
「随分と無造作に置かれてるけど……罠じゃないだろうな?」
そこには一脚の机があった。
3つほど目につくものがあるので、1つずつそれらを見ていこう。
まず1つ目。
机の横に立てかけられた円状の刃物。
ていうか、なんで円状なんだ?
こんな使いにくそうな物を好んで使うような奴がいるのか。
ブーメランのように投げるには大きすぎるしな……。
こんな非効率を追求した武器も珍しいと思う。
2つ目はノートパソコン。
これは役に立ちそうな気配がビンビンする。
少なくとも最初に支給された物よりはずっとましだ。
最後はUSBメモリ。
こんな場所に置いてあるってことは中に何か入っているに違いない。
「中に何もありませんよ」なんて事になったらここにある意味がないからな。
以上、3つ。
中々の当たりではないだろうか。
今後の為にも回収しておくのが無難だろう。
「それにしても、パソコンにUSBメモリか……一度中身を確認してみた方がよさそうだ」
ノートパソコンを起動してみると凄まじい速さで立ち上がる。
起動が終了すると、デスクトップ上にはいくつかのアイコンが並んでいた。
「さて、どうしようかな……ん?」
僕はある1つのアイコンに目を留めた。
そこには「バトロワ特設サイト」なる文字が躍っていた。
「特設サイトって……わざわざこんな物まで作るんだな」
帝愛のマメさには恐れ入るところだ。
もっと世の中の為になる事にそのマメさを使うべきだと思う。
他に何かないか見ると「新着メールが1通あります」という吹き出しが表示されていた。
「メールだって?」
僕がその吹き出しをクリックすると、メールソフトが起動される。
すると、そこには確かに新着のメールがあった。
「なになに……『バトルロワイアルサポート窓口へようこそ』か……」
サポートなんていうくらいだから、何かしてくれるのだろうか。
とりあえず、メールの差出人を確認してみる。
◇ ◇ ◇
飛行船の中のとある一室。そこに彼女はいた。
ピンク色の長い髪を二つに縛ったツインテールと呼ばれる髪型。
そしてほとんどの女性を屈辱に塗れさせるほどに圧倒的な大きさの胸。
原村和。麻雀界に名を轟かせる才女である。
そんな彼女が殺し合いの場の上空を行く飛行船に乗っている理由。
それは主催側の人間であるからだ。
もちろん和という一個人はこんな事を望んでいない。
だが、人質を取られていれば話は別である。
(咲さん……今も無事でいるでしょうか)
宮永咲。
和にとって運命とも言えるような出会いをした少女。
彼女は今、どことも分からぬ場所に捕らえられている。
そんな咲のことを守るため、和は主催陣営として参加することを決めた。
ここで、今までの原村和の動きについて簡単に触れておこう。
和は帝愛グループの手によって咲が捕らわれた事によって主催陣営への参加を余儀なくされた。
その際にこれが異世界の住人を集めたバトルロワイアルであるという事を聞かされている。
開催意図は一切不明。
ただ一方的にこれから行われる事についての説明と自分が担うべき役割を通達された。
主催陣営として和に与えられた仕事は会場で行われる麻雀の統括である。
ただ自分が打つだけではなく、それに用いるCPUのAIの作成なども担当した。
ちなみに、CPUのAIは知っている人間の打ち筋にするようにとの指示が出ている。
和にそこまでの技術はなかったが、帝愛の技術スタッフの指導でそれを可能にした。
そのような手間をかけるならば、技術スタッフをそのまま流用すればいいじゃないかとも思える。
だが、帝愛は人を苦しめる為ならば、手を一切抜かない。
ネット麻雀で人を殺すという事、知人の打ち筋を使うAIが無機質に参加者の血液を搾り取っていく事。
そういった事に対する和の苦悩を見世物として楽しもうというのだ。
現に、和の部屋には監視カメラが備え付けられており、和には一切の行動の自由がない。
ある意味では和も殺し合いの参加者なのだ。
時は流れて開会式が始まる少し前。
和にも参加者と同じく名簿が手渡された。
素早く目を通すと、そこには自分が知っている6人の名前があった。
その中の1人はよく知る人物。
すなわち、清澄高校麻雀部部長・
竹井久。
(部長!? ……あぁ、部長までこんな酷い催しに参加させられているなんて)
そう、こんな鬼畜外道な所業を考える人間が咲と和だけを狙うなんて事はありえなかったのだ。
打ちひしがれる和に容赦されることはなく、開会式が始まった。
和は遠藤と
インデックスが喋る様子をぼんやりと眺める。
その全てが事前に確認済みのルールだった。
―――ここに疑問を思った者も多いかもしれんが、4億ペリカで死人を復活させることができる。
遠藤が語った中の一部分。死者蘇生について。
これについても和は確認済みではあったが……。
(死者が蘇る。そんなオカルトありえません)
主催陣営で見た限り、意味不明な事が数多くあったが死者蘇生が出来るほどだとは思えなかった。
今の帝愛が出来る事はせいぜい異世界間の移動、もしくは異世界人の召喚くらい。
和はそんな風に考えていた。
(もっとも異世界に移動する事も立派なオカルトですから、どうなんでしょうね……)
現時点で答えを出す事はできない。
所詮、和はただの人間に過ぎない。
魔術だとか魔法だとか、そんなものは否定する事しか出来ないのである。
―――こんな馬鹿げた茶番劇は、今すぐおやめなさい!
ぼんやりとそんな事を考えていた和は聞いた事がある声が耳に届いたことでモニタに集中した。
そこには頭頂部に触覚みたいな物を生やした金髪の少女の姿。
その少女の名は
龍門渕透華。
「龍門渕さん? そんな、どうして……」
和の持つ名簿には透華の名前はなかった。
それが意味するもの。
それに思い至った和はハッとした様子で身を乗り出した。
「逃げて! 逃げてください!!」
だが、その声はあまりに遠く、そしてあまりに遅かった。
―――ボンッ!!
「あ、あぁ……」
龍門渕透華の首から上が飛んだシーンを正面から見てしまった。
真っ赤に染まるカメラ、そして焼き焦げた切断面……。
「う、うぷっ……!!」
吐き気を覚えた和は洗面所に駆け込み、大量に吐いた。
ただただ気持ち悪く、主催陣の狂気が理解できなかった。
「どうして、どうしてこんな事を平然と出来るんですか!!」
和はしばらくそこで泣いていた。
戻った和はモニタを食い入るように見つめていた。
和の部屋には大量のモニタが備え付けられており、それで自由に島内の様子を見る事が出来た。
モニタの数台はネット麻雀が可能な部屋で固定し、他のモニタで主に自分と同じ世界の人間を追っていた。
せめて知り合いだけは死んで欲しくない。
透華は死んでしまったが、他の人間はまだ手遅れではない。
祈るような気持ちで見ていた。
しかし、殺し合いという場において少女の祈りは何の力にもならなかった。
―――開始から2時間。和が知る中の3人が死んだ。
風越の
池田華菜、鶴賀の
加治木ゆみ。
そして、部長の竹井久。
部長がいなくては元の世界に戻っても団体戦に出ることはできない。
「もう取り返しのつかないところまで来てしまったんですね……」
部長以外の他の2人も
福路美穂子、
東横桃子とそれぞれ親しい。
放送の際には深い衝撃を受ける事だろう。
それにしても、わずか2時間で3人。
酷い有様だった。
主催である帝愛が外道の集まりである事は分かっていたが、
まさか参加者の中にこれほど殺し合いに乗る者がいるとは思わなかった。
ただただ、信じられなかった。
その後、和は自らの担当であるネット麻雀のシステムやCPUのAIの最終点検を行っていた。
兵藤和尊が麻雀に挑んできたのはそんな時の事だった。
(兵藤和尊……帝愛グループの元会長……!!)
当然の事ながら、和は帝愛に深い怒りを感じていた。
今は参加者の身分であるとはいえ、帝愛を立ち上げた兵藤和尊という人間。
その人間に怒りの矛先が向くのも無理はなかった。
和はCPUにハギヨシ・UNKNOWNを選択して本気で潰しにかかる事にした。
結果、オーラスに至るまで兵藤以外ほぼノーミス。
もう一押しで兵藤を死に至らしめるところまで来た。
(帝愛を生み出したあなたがいけないんですよ……)
和は止めをさすべく動き出す。
だが、それを止めたのはUNKNOWNだった。
オーラス、UNKNOWNが兵藤に振り込んだことで決着。
兵藤は死なずに済んだのだ。
「咲さん……私に殺しをするなって言うんですか?」
UNKNOWNは宮永咲のAIの1つ。
そんなAIが和に殺しをさせない終わり方をさせた。
もちろん、プログラムで±0を狙う事を組んでいるが、
和にはそれが咲の意思であるように感じられた。
「そうですね……人は殺せない。殺せるはずがないんです。
なにより殺してしまえば、咲さんに合わせる顔がない……」
ここで和は決意した。人は殺さないと。
そんな時だった。新たな乱入者が現れたのは。
さっきまで麻雀風呂でCPUに打たせていた相手だ。
結果を見ると全て勝利しているようだった。
油断は出来ない相手、という事になる。
始まる対局。
和はとにかく安く早く和了することを心がけ、プレイヤーに打撃を与えない打ち方をした。
だが、トレーズの打ち方は常人のそれではなかった。
和の早和了に乗っかるようにして南入時に兵藤の血液が搾取されるように仕向ける。
明らかに殺す意図を持った打ち方。
そして、兵藤和尊は死んだ。
(どうしてそんな酷い事ができるんですか……?)
兵藤の支給品を手にして後にするトレーズの姿を見やりながらそんな事を思った。
人は殺せないと決意して臨んだ一局。
しかし、皮肉にも死者を出す結果となった。
和自身が直接の死因となった訳ではないが、殺しに加担したのと同義だった。
「狂ってる……何もかもが」
自分の無力さを感じつつ、その後は淡々と島内の様子を見つめていた。
そして第一回放送。
案の定、放送を機に色々な人間が色々な反応を見せる。
和モニタを合わせているうちの1人である桃子も、今までの消極的な動きから一転して動き始めた。
(これから優勝を目指すのでしょうか……)
和は合宿の時の加治木と桃子の親密ぶりを目撃している。
あそこまでの仲なら死者蘇生に踊らされて優勝を目指す事もありえる。
(私も咲さんが死んだらそうするでしょうね。それよりも……)
ちらりと見た先は美穂子を追っているモニタ。
死亡者が読み上げられている途中、いきなり地面に頭を打ち付け始めた。
「風越の福路さん……一体どうしたのでしょうか?」
後輩が亡くなった。それだけにしては少々反応が大きすぎる。
というより、様子がおかしくなったのは「竹井久」と読み上げられてからだった。
「もしかしたら、部長と何か関係を持っていたのかもしれませんね。
部長がどこまで顔が広かったのか知りませんけど」
いずれにせよ、もう何もかもが手遅れ。
狂気に染まった福路美穂子を見るに耐えず、和はそのモニタから目を逸らした。
その後は何もすることがなく食事などをして時を過ごす。
和に再び出番が訪れたのは開始より10時間と少しが経過した頃だった。
ギャンブル船で仲間割れが起き、死者が連鎖的に発生。
その中にいた衣は殺人者の手を振りきってギャンブルルームへ逃げ込んだ。
そして、開始を告げる麻雀。
「どうして殺人者と麻雀を打つという流れになるんでしょうか……」
卓に着く衣と
伊藤開司。
どのようなやり取りがあったかは分からない。
和の部屋では映像だけで音声まで捕らえることは出来ないようになっていた。
「1人の人間の死に関わってしまった身ですが、
それでも、友達の為に戦えるならそんな風に戦いたい……」
衣は友達だった。友達になった時の嬉しそうな顔がまだ目に焼きついている。
和はそんな衣を守るため、カイジを徹底的に叩く事に決めた。
その決意通り、カイジを完膚なきまでに叩きのめした。
後一歩でカイジを討てるところまで来たのだが、
他ならぬ衣が紫炎姫を飛ばして終了させたためにそれはできなかった。
(衣さん、いったい何が目的で麻雀をしたんですか?)
和にはいまいち意図がつかめなかったが、その後の様子から和解したのが見て取れた。
とりあえず、一安心という所か。
ふと桃子と美穂子を追っていたモニタを見ると急展開になっていた。
桃子は政庁でジョーカーである
荒耶宗蓮を殺していた。
美穂子はカメラが「C-4-1」を映しているので、闘技場から北に向かったらしい。
闘技場のカメラを見たら酷いことになっていたので、逃げていったのだろう。
「どこも酷い事になってますね……」
疑心暗鬼、狂気、欲望。
それらが入り混じり、もう誰も心に余裕は持っていないだろう。
そんな中で行われる第二回放送。
「とはいえ、私には関係ありませんね……」
知り合いが死んでいない以上、特に思うことはない。
和は自分の役割を果たすだけだと呟く。
ところで、和の仕事は麻雀の統括とは別にもう1つあった。
しかし、そのもう1つの方はまだまだ行う事はないだろう。
そう考えながら、それに関係ある部屋をモニタから見やる。
そんな奇跡的なタイミングでその部屋にいきなり現れた人間こそ、
阿良々木暦だった。
◇ ◇ ◇
「原村和だって?」
原村和って言ったら確かあのペンギンの持ち主だったような。
僕はデイパックからそのペンギン、エトペンを取り出す。
見れば見るほどに丸くて愛らしい形状。
こんなぬいぐるみの持ち主が主催側に参加してるって言うのか?
他の支給品の元々の所有者の名前は名簿の中にあるから、
何らかの形で関わっているかもしれないと思っていたけど、
まさか主催側で働いているとは思わなかった。
「とりあえず、メールの中身を読んでみよう」
件名:バトルロワイアルサポート窓口へようこそ 差出人:原村和
この先は業務用の言葉がずらずらと並んでいるので肝心なところだけを抜き出す事にする。
手抜き? いやいや、読みやすさを考慮した結果さ。
まず、差出人の原村和という人物は「麻雀運営統括及びサポート窓口担当」なんて役割らしい。
サポート窓口はともかく、麻雀?
なんで殺し合いの場で麻雀なんて単語が出てくるんだろうか。
まさか炎が出たり槍が降ってきたりして戦うわけでもないだろうし。
次にこのノートパソコンについての説明があった。
このパソコンではいくつかのアプリケーションソフトと
バトルロワイアル、この殺し合いの情報が閲覧できるサイトが使えるらしい。
ただし、アプリケーションソフトに関しては用途不明で、サポート窓口で質問しても答えられないそうだ。
……あれ? 質問? 質問とか出来るのか?
そういう訳で、次にサポート窓口についての説明があった。
どうやらこの差出人「原村和」のメールアドレスに質問を送れば、ある程度は回答してくれるそうだ。
ただし、答えられる質問の範囲は最初だとそこまで広くないらしい。
ここで最初って言ったのは、初起動した瞬間から放送を迎えるごとに出来る質問が増えると書いてあるから。
「質問か……とりあえず、何か送ってみようかな」
でも、いきなり質問なんて言われても思い浮かばないよなぁ。
そもそも本当に答えてくれるのかな?
送ってもあっちで「あいつ、こんな質問してきやがったよ、HAHAHA!」とか言って、
何の音沙汰もなかったら送った僕の立場がない。
原村和って人にメールを出すべきか。
それとも、このホール内の探索に戻るべきか。
どちらの行動を取るべきか、今一度良く考えてみよう。
【F-7/ホール内『 』/1日目/午後】
【阿良々木暦@化物語】
[状態]:疲労(中)、全身に打ち身(治癒中)、左手に裂傷(治癒中)、頭に小さなタンコブ(治癒中)
[服装]:直江津高校男子制服
[装備]:なし
[道具]:デイパック、支給品一式、ギー太@けいおん!、エトペン@咲-Saki-
沢村智紀のノートパソコン@咲-Saki-、毛利元就の輪刀@戦国BASARA、USBメモリ@現実
(政庁で使った物品は適当に回収したため他に何が残っているかは不明、後の書き手にお任せします)
[思考] 誰も殺させないし殺さないでゲームから脱出。
基本:知り合いと合流、保護する。
0:原村和にメールを出すか探索に戻るか、どっちにしよう?
1:戦場ヶ原、神原と合流したい。他にも知り合いがいるならそれも探す。
2:憂をこのままにはしない。
3:モモ、ルルーシュを警戒。
4:……死んだあの子の言っていた「家族」も出来れば助けてあげたい。
5:支給品をそれぞれ持ち主(もしくはその関係者)に会えれば渡す。
6:千石……八九寺……
7:太眉の少女については……?
[備考]
※アニメ最終回(12話)終了後よりの参戦です。
※回復力は制限されていませんが、時間経過により低下します。
※会場に生まれた綻びは、あくまで偶発的なものであり、今後発生することはありません。
※巨神像はケーブルでコンソールと繋がっています。コンソールは鍵となる何かを差し込む箇所があります。
※原村和が主催側にいることを知りました。
※サポート窓口について知りました。
【沢村智紀のノートパソコン@咲-Saki-】
咲-Saki-世界屈指のネトゲ廃人として知られる沢村智紀のノートパソコン。
ネトゲを快適にプレイできるほどの廃スペックだが、
ロワ仕様にデータを書き換えられているのでその性能をフルに発揮する事はない。
現在、いくつかの用途不明のアプリケーション、「バトロワ特設サイト」ページ、メールソフトが使用可能。
【毛利元就の輪刀@戦国BASARA】
中国地方の雄・毛利元就が用いている刀。
輪刀の名が示すとおり、その形は円状。
取っ手の部分で半分に分割する事が出来る。
◇ ◇ ◇
暦が転移してきた時、和は心底から驚いた。
阿良々木暦という人物は桃子を追っていたモニタに映っていたはず。
一体何が起きたらこんな事になるのだろうか。
ともかく、こうなった以上はこちらの仕事も開始されるという事だろう。
和がサポート窓口において質問の回答をするにあたり、運営から回答マニュアルなるものが用意されている。
マニュアルから質問に適応した内容を取り出し、質問者へ回答するシステムになっている。
そのマニュアルの各回答には「起動時から放送○回後」という表記があって
それ以降にしか回答してはいけないと指示を受けている。
もとより、そんなつまらない事で逆らって人質である咲を害されてはたまらないので、
和はきちんとそれに基づいて回答するつもりでいる。
ところで、マニュアルがあっても想定していない質問が
来ることもあるんじゃないのかと思う方もいるかもしれない。
それはその通りで、回答マニュアルに記載されていない質問をしてくる者もいるだろう。
そういった場合はどうするのか?
当初の運営の方針ではマニュアルにないものは「お答えできません」の一点張りで通すつもりだった。
だが、主催の協力者の一人である
忍野メメがそれを聞きつけてから一気に方針が変わってしまった。
忍野が言うには
『答えられないの一点張りじゃつまらないんじゃないかい?
それなら、窓口を担当する彼女の判断で答えてもらうのも面白いんじゃないかな』
との事である。
その際、和が何を書いてもお咎めなしにするとも付け加えた。
最初は渋った運営陣だが、重要な要項に関する回答を用意しておけば問題はなかろうという事で、
重要事項の回答をマニュアルに載せる事、
和が質問以外のことをメールに記載しない事を条件に忍野の提案を受け入れた。
だが、そんな事を勝手に決められた和本人はたまらないと思って、提案した張本人である忍野に詰め寄った。
「どうして私の負担を増やすような事をするんですか!」
「元気良いねぇ。何かいい事でもあったのかい?」
「茶化さないでください!!」
「別に他意はないさ。でも、責任が重くなるという事はそれだけ権利も大きくなる。
……そうは思わないかい?」
「何が言いたいんですか」
「さて、なんだろうね。それは君自身が考える事だ」
そんなやり取りで有耶無耶にされてしまった記憶が残る。
和から見ると、忍野メメという男はどうにも胡散臭く映る。
何を考えているか全く分からない、というのが現在の印象である。
とにかく、肝心要なのはマニュアル外の質問は和の独断で答えていいことになっているという事だ。
「どんな質問をしてくるのでしょうか、緊張しますね……」
和は膝の上にある偽りを抱え、本物を持つ暦をモニタから見続けていた。
【???/飛行船・原村和の部屋/1日目/午後】
【原村和@咲-Saki-】
[状態]:健康
[服装]:私服
[装備]:エトペン@現実
[道具]:デスクトップPC×数台、会場監視モニタ×数台、質問対応マニュアル(電子ファイル)
[思考]
基本:帝愛に従い、咲さんを救う
1:役割(麻雀・サポート窓口)をこなす
2:咲さんが心配。一目だけでも無事な事を確認したい
3:どうせ打つなら守る為の麻雀を打ちたい
4:忍野メメを警戒
5:従ってはいるものの、帝愛は許せない
6:ここにはオカルトが多すぎます……
[備考]
※登場時期は最終回の合宿終了後です。
※宮永咲は人質としてどこかに捕らわれています。
※基本的に自分の部屋から離れられません。
※自分の部屋に監視カメラがついていることは知っています。
※参加者は異世界を通して集められていると知っています。
※以下の事柄はSOA!と思っています。
・死者が蘇る。
【エトペン@現実】
現実において量産されたエトペン。
保温性に優れていて、抱いていると温かいと専らの評判。
【サポート窓口について】
沢村智紀のノートパソコンからサポート窓口(原村和)宛に質問が出来ます。
送られてきたメールは質問対応マニュアルに則って回答されます。
質問未解禁時は「まだ受け付けられません」、マニュアルにない場合は和の独断で回答できます。
放送を迎えるごとに深いところまで質問が出来るようになります。
各放送ごとにどこまで解禁になるか、またどのような質問ができるかは後の書き手にお任せします。
【麻雀について】
プレイヤーが入ってきたら、自分やどのCPUを卓に着かせるかまで全て決めます。
こちらに関しては完全に自分の裁量で動く事が出来ます。
【会場監視モニタについて】
地図に書かれている施設内には相当数のカメラが仕掛けられています。
屋外は重要と思われる特定箇所にカメラが仕掛けられています。
和が監視できる範囲はこの程度ですが、他の主催もこれだけかどうかは不明です。
◇ ◇ ◇
ここでノートパソコンと質問対応マニュアルについて補足を加えておく事にする。
実はこれらのものが活躍するのは設置する場所の関係上、2日目も半ばに入ってからの事だと想定されていた。
その頃になってからノートパソコンを初起動させても大した放送の回数を迎える事は出来ない。
つまり「救済と見せかけてその実まともに救済する気はない」という帝愛のいつものやり口のはずだった。
しかし、暦が1日目も終わる前からノートパソコンを起動させてしまう。
それが意味するものは「想定よりも早く重要な質問が出来てしまう」という事。
とはいえ、帝愛グループが易々とそれを許すのか?
許さない。許したくはないだろう。
だが、帝愛がいくらそう思ってもどうする事も出来ない。
忍野メメが和を利用する事で帝愛は重要事項を緻密に記載せざるを得なくなった。
二重三重の罠がそこには張り巡らされていた。
暦がルールを守らずに部屋に入ってきたのはイレギュラーだった。
しかし、主催側で作られた小さな綻びを一気に広げるようなこの行為、あるいは必然だったのかもしれない。
かくして主催にとっては遊びに過ぎなかったはずのサポート窓口は参加者にとって有効に機能しうる存在となった。
これだけが唯一ここで起こった事実である。
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最終更新:2010年02月18日 11:33