愛物語-閉ざされた空と乙女の心- ◆CgCz1GHD8o



私は渡されたパソコンを前にして、パソコンを手に入れた――阿良々木暦という人からのメールを待っていました。
モニター越しに阿良々木さんを見ていると何かを考えているようで、まだメールを打つ気はないみたいだった。

「ふぅ……」

そのことが分かった私は少し息を吐く。
やっぱり緊張してるんでしょうか。
当たり前……ですね。
もしマニュアルに載ってない質問をされて、そして私がそれに対して帝愛に対してとても不利な事を書いてしまったらお咎めは無しと言えどやはり不安です。

そうして手に少し出てきた汗を私は近くに置いてあったタオルで拭き、もう一度パソコンに向き直る。

★★★★★★★

どうするか……。
このサポート窓口を利用するか、このホールの探索をまだ続けるか。
質問もまだそんなには聞いてくれないだろうし。
それなら探索を続けた方がいいのか?
いやだけど――よし、決めた。
やっぱりサポート窓口を使おう。
まだこの質問は聞いてくれないかもしれないけど、それでも聞けるのなら――。


★★★★★★★

『あぁ カミサマお願い
二人だけのDream Timeください☆
お気に入りのうさちゃん抱いて今夜もオヤスミ♪』

来た……。
メールの着信音がし、新着メール一件と表示される。
私はマウスを手の中におさめ、カーソルを合わせ二度クリックする。

『From:沢村智紀
 To:原村和
 ―――――――――――
 はじめまして。
 僕は阿良々木暦。直江津高校三年。
 さっそくで悪いんだけど三つ質問をさせてもらいたいんだけど。
 一つ目は僕の恋人、戦場ヶ原ひたぎと後輩の神原駿河の居場所。
 二つ目は何でこの殺し合いに僕らが巻き込まれたのか? この殺し合いの目的とは?
 そして最後、三つ目は君、原村和君は帝愛の仲間なのか?
 ―――――――――――               』

一つずつ処理していきますか。
まずは一つ目、恋人と後輩の居場所ですね。
手元に渡された阿良々木さんの資料を確認すると確かにあった。
戦場ヶ原ひたぎ。
この人にとってこの戦場ヶ原さんは私で言うと咲さんぐらいに大事な人なんだろう。
そしてもう一人の人物である神原駿河。
この人はきっと阿良々木さんにとって近しい人物。私で例えるなら――部長とかでしょうか?
さて、ではマニュアルを見ないとですね。

今度はカーソルを質問対応マニュアルにあわせクリックする。
それが開き、最初に答えられる質問を見て少し驚きました。
そう、そこには参加者の居場所について一回目で答えてよいと書かれていたからです。

でも、なぜ。帝愛がそんな親切な事をするはずが――。
そうか……今彼がいる部屋は本来第六回放送が過ぎるまでは開かれる事はない部屋。
その時になると、自分の探したい人とはもう既に会えてる又はその人が死んで
だから書かなかった。
だから誰もその質問はしないだろうと思ったからここに配置した、というわけですか。
ただし一回の放送につき一人しかこの質問を出来ず、居場所を教えれる上限は二人までですか。
そしてその場所の危険性や本人の生死など書くのは自由とする。
なら阿良々木さんの一つ目の質問は答えられるということですね。

では二つ目の質問。
何でこの殺し合いに巻き込まれたのか。
この殺し合いの目的とは。
これはマニュアルを見ると四回放送を聞けないと答えてはいけない事になっている。
そして私のほうのファイルにもその理由は書かれていない。
帝愛は質問が答えられるようになったら、マニュアルに追加されると言っていたから。
そういう意味では私も参加者みたいなものですね。
そう思い一人自嘲気味に笑う。
ですけど、それでも構わない咲さんの為なら。

――ちょっと考えすぎました。
とにかくこれは『今はまだお答えできません』ですね。

最後の質問。
私についてですか――。
これは確か三回放送を越さないと駄目でしたね。
ならこれも『今はまだお答えできません』

こんな感じですね。
なら、戦場ヶ原さんと神原さんの居場所は……。

そうしてモニターに移る景色を切り替える。
まずは神原さん。
そしてモニターに移った画面で繰り広げられたのは――オカルトだった。

「ありえません」

同時に神原さんの資料を見ると彼女についているのはレイニーデビルという悪魔らしい。
ありえない……悪魔だなんてそんなオカルト的なもの。

そう思いながらみているともう一人の人物戦場ヶ原ひたぎと接触した様子でした。

だけど、彼女についているという――信じませんが悪魔のせいで彼女の自我はないはずなのになんで。
分からない、だけど多分これは自分で言うのも非科学的ですけど、『愛』の力なんでしょうか?

そして、再び画面に意識を向けるとすさまじい事になっていた。
例えるならば魔王。
それがやってきて、彼女たちが逃げそして――神原さんは死んだ。
首が無くなった死体を見るのはとても辛い、だけどなぜか私はそのやりきった顔から目が離せなかった。

何であんな顔を……。
それはやっぱり、戦場ヶ原さんを守れたからなんですか?
分からない、だけど好きな人の為に文字通り命を懸けたあの人にオカルトなんてありえませんとはもう思えなかった。

私も頑張らなくちゃいけませんね。
この仕事が辛くてもこれは咲さんの為なんですから……。

次に戦場ヶ原さんに視線を移す。
どうやら彼女は電車を降りる際、気絶させられたらしい。
その理由は分かりませんが、それが神原さんのためだったら良いなと思います。
そして、彼らは雑居ビルの中に入っていきました。
その後今まで一緒にいた黒髪のツンツン頭の人が出ていき、新たにひとが来る以外は目立った動きは無く、危険性はないだろうと思いながらも全体の地図を開く。
その地図はリアルタイムで更新され、殺し合いに乗っているのかが色で分かるようになっている。
なぜ、私がここまで余計な事をするのだろう自分でも疑問に思いながら私は地図へと目を移す。

「っ!」

地図を見た瞬間驚きの声が私の口から洩れる。
そう、だって今戦場ヶ原さんがいる場所は危険な場所なのかもしれない。
そのまま西へと向かえば政庁にいる、東横さんに。
さらに、北東には赤色――この殺し合いに乗っているとされる集団がいました。
何故、こんなにも殺し合いに乗っている人が多いんですか……。
このゲームが始まってから思っていた疑問を解消するために、私はこの殺し合いに乗っている人の資料とパソコンに送られてくる参加者の行動を見てみることにした。

平沢憂
今東横さんと一緒に居て、このゲームの始めから殺し合いに乗っている人。
その理由は姉の平沢唯という人の為らしい。
大好きな姉の為の殺人ですか……。

東横桃子
東横さんの理由は見ないでもわかる。
それは加治木さんの為だろう。
思いを寄せていた先輩への為の殺人。それが東横さんの理由。

浅上藤乃
東横さんがこの殺し合いに乗る事を決意した加治木さんの死。
その張本人であるこの人。
それほど親しいわけではなかったですけど、この人に殺された。
だけどこの人も愛しい先輩の為に……ですか。

ライダー
不可解なんですがなぜか今まで一緒にいた浅上さん達を尾行するかのように動いている。
この人は、そう元の世界に居る大事な者の為に殺し合いに乗っている。

ここまで私は資料を見るのをやめる。
とても大事な事に気付いたからだ。

「メールの返信を忘れてました」

★★★★★★★★

メールを送って数十分たった。
いまだに返信なし。
体の傷もだいぶ楽になってくるぐらい待った。
もしかしたらこれは本当にさっきの予想があたったのかもしれない。
原村和は絶対こう思ってる。

『あいつ、こんな質問してきやがったよ、HAHAHA!』

「くそー!」

一人突然叫ぶ男子高校生がここにいた。
僕だった。

いや、落ち着こう。こういう時こそ落ち着くべきだと誰かが言っていた気がする。

「そう別に返信が来なくて辛いわけじゃないんだからな」

急に誰もいないのにツンデレ風に喋る男子高校生がそこにいた。
ていうかそれも僕だった。
……ツンデレ風に言ってみてもやっぱり駄目か。
どうすれば――

『おねがい! アツアツ お皿のカレー
スパイスひとさじ刺激ちょうだい☆
甘口じゃなく 今日は中辛なの
大人味なの☆』

「はっ!」

ホール内に鳴り響いた音楽の歌詞に色々な突っ込みどころがあったが、そんことはどうだっていい。大事なのはただ一つ。
画面に移った文字。

『新着メール一件』

その後の事はよく思い出せない。
たしかそのパソコンを持ちあげたとこまでは覚えている。
だけど、そこからの記憶が抜け落ちていた。
何をしていたのか分からない恐怖に駆られる。
体には少しの疲労感。
そこまで考えて少し思い出した。
自分は踊っていた。一人で。
多分叫んでいた。
一つのメールに歓喜し踊って歌まで歌った男子高校生がここにいた。
というよりそれも僕だった。

さてこのメールには何が書かれているんだろう。
雰囲気を真面目な風にしてメールを開く。

『From:原村和
 To:沢村智紀
 ―――――――――――
 二つ目と三つめの質問には今はまだ答えられません。
一つ目の質問ですが戦場ヶ原ひたぎの場所はE-6です』

E-6。よかった、案外近いとこにいる。
これなら直ぐにあえそうだ。
戦場ヶ原の居場所が近くて、内心とても浮かれていた。
戦場ヶ原ひたぎは普通の女の子なのだから、早く会わなくてはと思っていたからなおさらだ。
だけど、その下の文を読んで僕の心は一気に沈む。

『神原駿河の居場所はD-6です。死亡しています』

一瞬その意味を理解できなかった。
いや、正確には理解するのを拒んだ。
神原駿河=死亡。
どうしても頭の中にその等式が成り立たない。
あの神原が死んだ……。
また僕は救えなかった。
僕は正義の味方などではない。
だけど、それでも知り合いを大事な後輩を守るぐらいはできたはずだ。
だけど、頭ではもう一つの考えが浮かんでいた。
神原は二回目の放送の後に死んだ。
そして、近くにいる戦場ヶ原。
頭の中に嫌なイメージが浮かぶ。
戦場ヶ原は今とても危険な目にあっているのではないだろうか?
それを加速させるかのようにメールの最後にこう書かれていた。

『E-6は危険です』

分からない。
この原村和という少女が何を考えて行動しているのか。
なぜわざわざそんな事を教えてくれたのか。
だけど、今はこの言葉を信じるしかない。
だから僕は返信のメールにこう書きパソコンを閉じる。

『ありがとう』

そして、荷物をバックにいれ立ち上がる。
もう一回言おう。
戦場ヶ原ひたぎは毒舌な普通の女の子なのだ。

「待っててくれ……戦場ヶ原」

【F-7/ホール内『 』/1日目/午後】

【阿良々木暦@化物語】
[状態]:疲労(小)、全身に打ち身(治癒中)、左手に裂傷(治癒中)、頭に小さなタンコブ(治癒中)
[服装]:直江津高校男子制服
[装備]:なし
[道具]:デイパック、支給品一式、ギー太@けいおん!、エトペン@咲-Saki-
     沢村智紀のノートパソコン@咲-Saki-、毛利元就の輪刀@戦国BASARA、USBメモリ@現実
    (政庁で使った物品は適当に回収したため他に何が残っているかは不明、後の書き手にお任せします)
[思考] 誰も殺させないし殺さないでゲームから脱出。
基本:知り合いと合流、保護する。
0:E-6へと向かい戦場ヶ原と合流する
1:憂をこのままにはしない。
2:モモ、ルルーシュを警戒。
3:……死んだあの子の言っていた「家族」も出来れば助けてあげたい。
4:支給品をそれぞれ持ち主(もしくはその関係者)に会えれば渡す。
5:千石……八九寺……神原……
6:太眉の少女については……?
[備考]
※アニメ最終回(12話)終了後よりの参戦です。
※回復力は制限されていませんが、時間経過により低下します。
※会場に生まれた綻びは、あくまで偶発的なものであり、今後発生することはありません。
※巨神像はケーブルでコンソールと繋がっています。コンソールは鍵となる何かを差し込む箇所があります。
※原村和が主催側にいることを知りました。
※サポート窓口について知りました。

★★★★★★★★

「ふぅ」

目の前で阿良々木さんが謎の踊りを踊った後、メールを開いてくれた。
私自身もなぜ場所の危険性を送ったのかは分からない。
確かに違反はしてないがなるべく避けるべき事だっただろう。
だけど――

「仕方ない……ですよね、咲さん?」

そう自分と同じく愛しい人が危険な目にあっているのにどうしても書かずにはいられなかった。
でもそれを言うとこの島にいる全ての人がそうなのではないか。
ここで、さっき資料を見て思った仮定を考える。
それはもし自分と咲さんがこの殺し合いに参加者として巻き込まれたら? というIFの話。多分ありえた可能性の話。
咲さんが死んだらきっと殺し合いに乗るだろうと思う。死者が蘇る。それはただのオカルトです。ありえません。
だけど、咲さんが死んだら私はその可能性に賭けるかもしれない。
それほど大事な存在なのだから。
そう思うから阿良々木さんに戦場ヶ原さんの居る場所は危険ですと送ったのだと思う。
さっきみた資料の人達みたいに殺し合いに乗ってほしくなかったから。
あの資料の人たちは大事な人が死んでしまったから、会いたいから、守りたいから殺し合いに乗っている。
そして帝愛には吐き気を覚える。
殺し合いに乗る人が多くなるようにそれぞれの大事な人を連れてくるなんて。
人の誰かに対する『愛』をこんな形で踏みにじるなんて。利用するなんて……。
でも、私は帝愛に逆らうことのできない。私にはその帝愛に対して何かをする事が出来ない。
咲さんがとらわれている限り。
だから部屋の中に作られたたったひとつだけの窓から空を見上げる。
この下に広がる島にいる、人たちと咲さんの為に。
この閉ざされた部屋の中で一人。
どうかこれ以上悲しい事が起こらないようにと願いを込めて……。

【???/飛行船・原村和の部屋/1日目/午後】

【原村和@咲-Saki-】
[状態]:健康
[服装]:私服
[装備]:エトペン@現実
[道具]:デスクトップPC×数台、会場監視モニタ×数台、質問対応マニュアル(電子ファイル)
[思考]
基本:帝愛に従い、咲さんを救う
1:役割(麻雀・サポート窓口)をこなす
2:咲さんが心配。一目だけでも無事な事を確認したい
3:どうせ打つなら守る為の麻雀を打ちたい
4:忍野メメを警戒
5:従ってはいるものの、帝愛は許せない
6:ここにはオカルトが多すぎます……
[備考]
※登場時期は最終回の合宿終了後です。
宮永咲は人質としてどこかに捕らわれています。
※基本的に自分の部屋から離れられません。
※自分の部屋に監視カメラがついていることは知っています。
※参加者は異世界を通して集められていると知っています。
※以下の事柄はSOA!と思っています。
 ・死者が蘇る。

【質問について】
判明している質問
  • 参加者の居場所
※但し一回の放送ごとに利用できるのは一人までで、居場所が分かるのも二人までです。
  • 殺し合いに巻き込まれた理由、殺し合いの目的
※但し起動してから四回目の放送以降なので第六回放送以降ではないと聞けません
  • 原村和についての質問
※但し起動してから三回目の放送以降なので第五回放送以降ではないと聞けません


時系列順で読む


投下順で読む



193:のどかデジタル 阿良々木暦 207:ペンギンの問題
193:のどかデジタル 原村和 228:主催にさえなれば俺だってラスボスになりますよ猿渡さん!


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2010年03月25日 18:13