1話 冷眼下瞰
森の中で意識を取り戻した少年、太田太郎丸忠信が最初に発した一言。
不機嫌そうな顔で周りを見渡すが周囲は森。
すぐそこに赤いポールのような物が突き刺さっていた。
「あぁ…?」
よく見るとそのポールは一直線に、等間隔で何本も設置されているようだった。
試しにそのポールの向こう側へ足を踏み入れてみる。
ビーッ、ビーッ……。
「!」
一歩出た瞬間、首にはめられた首輪から警告音が鳴り響いた。
急いで元来た道を戻ると警告音は鳴り止んだ。
(あー成程な…この赤いポールは会場の果てを分かり易くするためって事か)
赤いポールの意味を知った太田は、近くの木の根元に座り、
デイパックを開けて中身を漁り出す。
「名簿…」
参加者名簿を取り出し開く。五十音順で自分を入れ48人の殺し合いの参加者の名前が記載されていた。
覚えのある名前も幾つかある。
(餓夫、吉良、壱里塚もいんのか…エルフィ、ノーチラス、フラウ、シルヴィア、へぇ、仲販…お、
テトの奴もいんのかよ。へぇー…あと銀鏖院か…死んだ奴までいんなぁ。まあ、俺もだけど)
以前の別の殺し合いで死亡したはずのクラスメイトの名前もある。
だが、太田自身、一度死んだ身だったため、大して驚く事は無い。
(テトは…今度会ったらまたヤってやろうか。仲販…あん時はさっさと殺しちまったしな…今度は…。
…まあ良いや、それより…ランダム支給品とやらは何だァ?)
邪な思考を後回しにしランダム支給品を確認する太田。
出て来た物は菊一文字RX-7と言う妙な名前の日本刀。
内部にデジタル音楽プレイヤーが内蔵されているらしい。
(何だこりゃ…音楽プレイヤー付きの刀って聞いた事ねーよ…まあ、本物の刀っぽいし良いか。
…あ、まだ入ってんな)
ランダム支給品はもう一つあるようだった。
「ハーモニカじゃねぇか」
何の変哲も無いハーモニカ。しかし、名前が書いてあるようだった。
(どいつ…じん…変な名前だな…あ? 待てよ)
ハーモニカの主は「どいつ じん」なる人物。
参加者名簿に「土井津仁」と言う名前があった事を思い出す。
こんな珍妙な名前で同姓同名の別人だとは考えにくい。
(ハーモニカなんて役に立たねぇだろうな…良し、そろそろ行くとすっか)
支給品の確認を終えた太田は菊一文字RX-7を装備し、デイパックを引っ提げ、
赤いポールとは反対方向に歩き始める。
……
「うう…殺し合いなんて嫌らむ…怖いらむぅ」
中学二年なのだがとてもそうは思えない言動を取る少年、花丸木は怯え切っていた。
気がついたら首に首輪をはめられ殺し合いを強要されると言う異常状況に放り込まれているのだから無理も無いだろうが。
「ちびっ子ギャングがいるらむか…? 他にも知ってる人がいるみたいらむ」
名簿を見て、知っている名前を幾つか見付ける花丸木。
いつも自分を酷い目に遭わせてくる小学生の子供達、その子供達の担任教師、
売れないホラー漫画家(余り良く知らない)、計6人。
「桜ちゃんはいないらむね…僕は、ランダム支給品何らむ…?」
デイパックの中を調べる花丸木。
「これ…」
そして出てきた物は短刀――ドス。
しかしなぜか、血のような乾いた物が付着していた。
鞘から抜くと、刀身はやはり血のような物で錆びが浮き出ている。
「何で、こんなに汚れてるらむ…!?」
明らかに物騒な用途に使われたとしか思えないそのドスに花丸木は恐怖する。
投げ捨てたかったが他にはランダム支給品は入っていない。
このドスが現時点での花丸木唯一の武器だった。
やむを得ず花丸木は血で汚れたドスを装備する。
「ここはどこらむ…森ばかりで分からないらむ」
「おい」
「……え?」
急に声を掛けられ、花丸木が振り向く。
そこには学生服姿の、自分より少し年上くらいと思われる長身の少年が立っていた。
その手には日本刀らしい物を握っている。恐らく模造刀などでは無い。
「…俺は太田太郎丸忠信、お前は?」
「は、花丸木らむ…」
「『らむ』? ……ケッ、きめぇ」
花丸木の独特な口調と語尾、その挙動に不快感を露わにする少年――太田太郎丸忠信。
「まあ良いや…花丸木…俺さあ、この刀支給されたんだ」
「……?」
「お前でどれだけ斬れるか、試させてくれよ」
そう言うなり、太田は刀、菊一文字RX-7で花丸木に斬り掛かる。
「ぴゃむううううううう!!?」
ギリギリと所で斬撃をかわす花丸木だったが、シャツの腹の部分が切れてしまう。
「助けてらむうううううううううううううううう!!!!」
悲鳴を上げて全速力で逃げ出す花丸木。
「ひゃはははは! 待てよオイー」
笑いながら花丸木を追う太田。
花丸木は普段の生活でちびっ子ギャングその他に追われている時のように必死に走って逃げる。
しかし今は、背後から本物の殺意を持った人間が追跡してくるのだ。
追い付かれれば、待っているのは、確実な死。
「らむうううううううううううううう!!!!」
森に少年の奇声――もとい、悲鳴が木霊した。
……
「チッ、逃げられたか」
どれくらい時間が経っただろうか。太田は花丸木を見失ってしまった。
思っていた以上に逃げ足が速かったのだ。
「まあ良い。あんな奴…放っておいてもすぐに死ぬさ…ん?」
前方、木々の向こうに何かを発見する太田。
どうやら規模の大きい建物のようだ。
「行ってみるか…」
その建物を太田は目指す。
……
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…も、もう、追ってきてないらむ?」
太田から必死で逃げ回った花丸木は市街地の近くまで来ていた。
数百メートル先の木々の間から街が見える。
周囲を見渡すが太田の姿はもうどこにも無い。撒く事に成功したようだ。
「痛いらむぅ…」
後頭部に出来た瘤をさする花丸木。
背後の太田から何か固い物を投げ付けられたのだ。
もし当たり所が悪かったら卒倒しそのまま殺されていたかもしれない。
「…もうこうなったらちびっ子ギャングでも良いらむ…会いたいらむよ…」
涙声でそう言いながら花丸木は街の方へ歩いて行った。
【早朝/A-6森:南部】
【太田太郎丸忠信@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康
[装備]菊一文字RX-7@銀魂
[持物]基本支給品一式
[思考・行動]
0:取り敢えず自分優先。女の奴隷を手に入れたい。
1:クラスメイトや仲間は特に捜す気は無いがテトと仲販遥は会ったら…。
[備考]
※本編死亡後からの参戦です。
※花丸木の容姿、名前を記憶しました。
※B-6健康センターに向かっています。
※土井津仁のハーモニカ@浦安鉄筋家族は花丸木に投げ付け放棄しました。
※会場と外界を仕切る目印がある事に気付きました。
【早朝/A-5森:東南部】
【花丸木@浦安鉄筋家族】
[状態]健康、上着の腹の部分が切れている
[装備]ドス@自作キャラでバトルロワイアル
[持物]基本支給品一式
[思考・行動]
0:死にたくないらむ。帰りたいらむ。
1:ちびっ子ギャングでも良いから会いたいらむ…。
2:もうさっきの怖い人(太田太郎丸忠信)には会いたくないらむ…。
[備考]
※原作最終話~元祖!の間からの参戦です。
※太田太郎丸忠信の容姿、名前を記憶しました。
※B-5市街地方面へ向かっています。
≪支給品紹介≫
【菊一文字RX-7@銀魂】 支給者:太田太郎丸忠信
真選組一番隊隊長・沖田総悟が使用している刀。渋谷界隈のオシャレ侍達がこぞって腰に下げているというブランド物の刀、
長船M-IIの倍の価格で売られている大業物。最大の特徴は内部にデジタル音楽プレイヤーを搭載している点で、
連続再生時間は最大でなんと124時間(日数にすると5日と4時間分)にも及ぶという。柄の部分にイヤホンジャックがある。
【土井津仁のハーモニカ@浦安鉄筋家族】 支給者:太田太郎丸忠信
土井津仁が持っているハーモニカ。馬鹿教師春巻龍が小学校屋上で遭難し干からびていた時、
学校に忘れたこのハーモニカを取り帰宅途中の仁が校庭で演奏していた。春巻は屋上からパイプ椅子を落とし、
仁に気付いて貰おうとしたが失敗した(と言うか下手すれば仁の命に関わっていた)。
【ドス@自作キャラでバトルロワイアル】 支給者:花丸木
自作キャラでバトルロワイアルにおいて、倉沢ほのかが海野裕也と北沢樹里の殺害に使い、
その後北沢樹里の遺体の切断にも使用した曰く付きの代物。使用後の物で血と人間の脂で錆びてしまっている。
最終更新:2011年06月26日 21:22