「ーーーーーどうして」
魔法少女暁美ほむらは、信じられないといった風に呟く。
話せば長くなるので割愛するが、彼女は参加者の一人、鹿目まどかという少女を守るために、幾度となく時間を遡った。
様々な悲劇を見てきた。仲間たちは次々と、ある者は敵に敗れ、ある者は魔女となり、ある者は友の為に散り。
そして最後には、大いなる絶望がほむらの運命を再び閉ざす。
繰り返す旅の中で、荒耶宗蓮なる人物が登場したことは一度もない。
増してや、このようなゲームなどあった試しはない。
イレギュラーの一言では片付けられないほどの、あまりにも大きすぎる世界の綻び。
更に厄介なのは、ほむらの能力ーーー時間停止の大幅な弱体化と、時間を遡る能力の完全な封印。つまり平たく言えば、コンティニューできない。
もう誰にも頼らない。
かつて繰り返す中で決めたこと。しかしこの先、本当にそれでまどかを守れるのか?
極限の状況下に置かれた人間は時に予測不可能な行動を取る。
かつての世界で、とある魔法少女が真実を知ったときのように。
もう、諦めるしかないのか。
運命の迷路は八方塞がりの行き止まり。
ほむらを待つのは、真の終わりだけなのだ。
ーーーーーそれでも、守りたい。
あの優しくてお人好しな、最高の友達を、守りたい。
暁美ほむらの戦う理由は、それだけでQ・E・D(証明終了)なのだ。
行き止まりの迷宮を抜け出す方法は、ただ壁を越えてしまえばいい。
「でも。さすがに私だけでこのゲームを潰すのは無理ね」
誰か仲間を探そう、と思い立った矢先。
林の中から、目立つ青色を基調とした格好をした男が現れたのだ。
「よう、嬢ちゃん。もし良かったら俺のマスターにならないか」
「………名も名乗らずにいきなりそんな事言われても信憑性に欠けるわよ」
「俺はクー・フーリン。クラスはランサーのサーヴァントだ。……おかしいな。嬢ちゃんの体から魔力を感じたんだが、魔術師じゃないのかい?」
ランサーは怪訝そうに言う。
ほむらも怪訝そうな顔をする。
英霊の居ない世界線の人間云々の前に、ほむらは魔法少女なため、魔術師という存在自体を知らないのだ。
「……魔術師?言葉の意味は分からないけれど、私に魔力があるのは本当よ。私は魔法少女、暁美ほむら」
「………まあいいか。とりあえず、魔力があるなら俺のマスターにならないか?優勝するも主催に楯突くも全力で支援するが」
確かに、魅力的な話であった。
ランサーの説明する契約は、インキュベーターのものよりずっと安心できると思えるに足るものであった。
彼を従わせるには、令呪なる力を使えばいいらしい。
「……分かったわ。その代わり約束して頂戴。鹿目まどかという少女を絶対に守り通して。あの子を守るために腐心してくれれば、私はそれで構わないから」
不思議な奴だ、とランサーは思う。
彼の前のマスターは、聖杯を手にするために多くのマスターを裏切り、最後にはあの黄金の英霊に自分を殺させた。
人のために英霊を使うマスターは、彼ら英霊にとって新鮮な感覚だった。
「ああ。宜しく頼む、ほむら」
【一日目/深夜/b-3】
【暁美ほむら@
魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]不明2
[思考・行動]
基本:鹿目まどかを守る。
殺し合いも潰す。
1:美樹さやかたちはひとまず保留。
※時間停止は数秒間だけ、一回ごとに30分インターバルが発生します
※ランサーと契約しました
※アニメ11話、ワルプルギスの夜と戦う前からの参加です
【ランサー@Fate/stay night】
[状態]健康
最終更新:2011年06月29日 22:53