37話 信じる事で憎しみを消して欲しい
「何だって、長谷川さんに沖田さんが死んだなんて……!?」
死亡者の名前として長谷川泰三と沖田総悟の名前が呼ばれた事にショックを受ける志村新八。
信じられない、あの二人が死んだなど。ただ単に放送で名前を呼ばれただけで。
しかし主催者が嘘を言うとは思えなかった。首輪が爆発すると言う事を開催式の時実演してみせたのだから。
「くそっ、何て事だ…!」
「新八君…」
「…すみません、フラウさん…」
「い、いや、謝る事は無いよ」
悲しむ新八を気遣うフラウ自身もまたクラスメイトの名前が数人放送で呼ばれていた。
そんな彼女に心配をかけさせている事は新八は申し訳無く思う。
「…怪我の方は、大丈夫? 相馬さん」
「何とか…動けるぐらいにはなったよ、ありがとう」
医務室のベッドの上に座るピューマ獣人の女性相馬祐実にフラウは声を掛ける。
発見した時、重傷を負い血塗れになっていたが、新八とフラウによる応急処置が功を奏し、一先ず歩けるようになるまで回復した。
彼女の知り合い二人は放送では呼ばれなかったが、だからと言って祐実は安心する事は出来ない。
一度死に掛け、祐実は更に二人に会いたいと強く思い始める。
「…移動しましょうか、そろそろ」
「どこへ行く…?」
移動を提案する新八に大崎綾が訊く。
「…うーん…東の方に行くと、市役所があるみたいだから…そこに行きしょうか」
「市役所…分かった、大崎さん、相馬さん、良いかな」
「大丈夫」
「分かった…」
次の行き先が決まり、四人はそれぞれ荷物を纏め始める。
……
黒い毛皮を持つ魔犬、関直哉は絶望し、悲嘆に暮れていた。
先刻、市役所で虎獣人の少女に襲撃され、同行者を殺されたが、その襲撃者も彼自身が返り討ちにした。
だが、その後、一旦冷静になった直哉は、最悪の光景に出くわす。
最初は気付かなかった。ただ単に、市役所の中に複数死体が転がっているとしか思っていなかった。
だが、その、転がっている死体の一人に見覚えがあった。
「英里佳……俺は……もうどうしたら……」
細田英里佳、自分の恋人。
幾度となく身体を重ねる仲にまでなっていた。
この
殺し合いに呼ばれているのだと分かった時から絶対に捜し出して守ってやらねばならないと思っていた、のに。
「…ああ、痛いなぁ」
銃撃され失明した左目と、胸元が痛んだ。
◆
とある夜。
英里佳の家の二階、英里佳の自室に予定通り忍び込んだ黒い魔犬は、
持参した毛布の上に英里佳を全裸で四つん這いにさせ、圧し掛かり激しく味わう。
「ああ、気持ち良いよ、直哉ー」
「グルル…英里佳、今日も、沢山、種付けしてやるからな」
「うん、ズボズボ突っ込んで、ビュクビュクってして…直哉の濃いの、奥に欲しいの」
「興奮させる事言うね、それじゃ遠慮無く沢山注いであげるから…」
「ああー」
ぐちゅぐちゅと淫らな水音、そして少女と獣の声を押し殺した喘ぎが部屋に響く。
◆
「…もう出来ないんだな、英里佳とは…」
在りし日の思い出に胸を馳せ、いつしか残った右目から涙が溢れていた。
「…あはははっ、あははははっ、なーんかあれだな! もうどーでも良くなってきたな!」
そして何か吹っ切れたように笑い始める。
「ははははっ……もう良いや……英里佳もいないし、頑張る必要無いな……みんな殺してやろーか、うん」
そして己の支給品の一つを魔力により背中に構える。
対戦車ライフル、PTRD1941。
前方に見えるはショッピングセンターの正面入口。
そして、中から人が出てくるのを確認した。
「ははははは、もう何も怖くない」
乾いた笑いを浮かべながら、直哉はPTRD対戦車ライフルの照準をショッピングモール内から出てきた、
四人の参加者に向けた。
……
ドゴォォン!!
まるで爆発音のような音が市街地に響く。
「えっ…」
志村新八が言葉を失う。
フラウも。
相馬祐実も。
大崎綾の頭部が破裂して無くなった。
ドゴォォン!!
次に、相馬祐実の身体が下半身と上半身に分かれ肉片と血が飛び散った。
「…う、あ、ああああぁああああ!!!?」
突然の、同行者二人の凄惨な死に様に新八が悲鳴をあげた。
「新八君、こっち!」
フラウが新八の首根っこを掴みすぐ近くに停まっていた大型トラックの陰に走る。
とにかく、銃撃してくる襲撃者から身を隠さねばならないと、フラウはそう思った。
しかし。
ドゴォォン!!
「きゃああぁあ!?」
「ひっ!?」
三発目の銃声と同時にトラックのコンテナに大きな穴が空く。
銃弾が貫通したのだ。相手が使っている銃は銃声や威力からして普通の銃などでは無いと、
新八とフラウは悟る。
「一体どんな銃使ってるんだ!?」
「銃って言うか、何て言うか、対人用じゃないと思う、もしかしたら対戦車ライフルとか…」
「嘘おおお!? そんなもんで撃たれたら一溜まりも無い…」
新八とフラウの脳裏に、ついさっきの、綾と祐実の死に様が蘇る。
自分達もああいう風に、頭が破裂したり、身体が真っ二つになって死ぬのか。
ドゴォォン!!
「うあああああ!!」
「きゃああ!」
今度は運転席下のタイヤが炸裂してしまった。
もしガソリンタンクでも撃ち抜かれたらこのトラックは大爆発を起こすのでは。
ドゴォォン!!
フラウのすぐ傍を大口径銃弾が貫通しトラックの破片が飛び散る。
「ぐぅっ」
「フラウさん!?」
フラウが苦鳴をあげる。
破片が左肩に突き刺さったのだ。
「しっかり!」
「い、痛い……!」
破片が突き刺さったフラウの肩からはドクドクと鮮血が溢れ、
フラウは涙を滲ませ苦痛に苦しむ。
ドゴォォン!!
再び爆音のような銃声が響き、トラックと荷台の連結部分が破壊されてしまった。
(くそ、ここまでなのか……!?)
下手に身を出せばあの強烈な破壊力の銃撃に身体を粉砕される。
既に二人殺され、一人は重傷、残る一人――自分は、持っている物は先刻綾から譲り受けたスティレットと、
巫女服。フラウは銃を持っているが新八が扱っても命中率はたかが知れているだろう。
状況は最悪。新八は半ば諦念を抱いていた。
しかし、爆音のような銃声は突然聞こえなくなった。
代わりに足音が新八とフラウの耳に入る。獣が走って近付いてくるような音。
「……っ、フラウさん、待ってて」
「……?」
新八はスティレットを構え、覚悟を決めたかのように前方を見据える。
……
PTRD1941を全弾撃ち尽くし放棄した直哉は二人が隠れていると思われる大型トラックへ走る。
大型トラックはPTRD1941の銃弾を何度も受け、穴だらけになり大破している。
恐らく向こう側へ貫通しているだろう、二人が無事でいるとは考え難い。
銃器が無くとも、直哉には魔犬としての俊敏性と、鋭い爪と牙がある。
相手が生きていて、銃を持っていたとしてもある程度ならかわせる自信があった。
「はははは」
笑いを浮かべながら、直哉がトラック運転席側から二人がいると思われる方へ回り込む。
「は―――」
笑い声が止まる。
「うおおおおおおおおおおおおおお!!!」
眼鏡を掛けた、着物姿の少年が自分に向かって突進してきた。
身構えるが、次の瞬間、その少年の姿は消えた。
いや、消えたのでは無い。跳んだのだ。
それに直哉が気付き上を向こうとした。
しかしそれよりも前に、後頭部に衝撃を感じた。
「……ァゥ」
身体が動かせなくなった。喉の奥から何か熱い液体が込み上げる。
首からしたの感覚が消え失せ意識が遠退く。
喉の下あたりから、何かが突き出しているような――感覚が消え失せる一瞬前に感じた。
(英里佳、えり、か、えりかえりかえりか――――――ごめん、な。)
絶命する間際の、最後の脳の働きが彼にさせた事は、愛していた少女を守れなかった事に対する懺悔だった。
……
襲撃者の、黒い大きな犬は倒した。
後頭部から刺し貫いたスティレットを引き抜く志村新八。
すぐにフラウの元へ駆け寄る。既に破片は引き抜いていた。
「しっかりして下さい、フラウさん」
「う、う」
手に入れていた手拭いで傷口をしばり止血をする新八。
「…襲撃者、は」
「…倒しました、僕が」
「そう……」
「……」
「死んじゃった…二人…」
「……はい」
目を背けたくなるような有様となっている綾と祐実の死体。
ついさっきまで会話していたと言うのに。
不可抗力だったのかもしれないが、守る事が出来なかった。
それが、新八がとても悔しかった。
【相馬祐実@オリキャラ:死亡】
【大崎綾@オリキャラ:死亡】
【関直哉@オリキャラ:死亡】
【残り:16人】
【午前/D-3ショッピングモール「トヨミツ」:周辺市街地】
【志村新八@銀魂】
[状態]肉体疲労(中)、悲しみ、やり切れない思い
[装備]スティレット(血塗れ)
[持物]基本支給品一式、テトの巫女服@自作キャラでバトルロワイアル
[思考・行動]
0:銀さん達と合流し殺し合いを潰す。
1:……くそっ……。
[備考]
※原作ラブチョリス編以降からの参戦です。
※春巻龍の知人の情報、フラウのクラスメイト、相馬祐実の知人の情報を得ました。
【フラウ@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]肉体疲労(中)、左肩負傷(応急処置済、出血多)、悲しみ
[装備]Cz85(15/15)
[持物]基本支給品一式、Cz85のマガジン(3)、レミントンM870(0/4)、12ゲージショットシェル(8)、
スタームルガー スーパーレッドホークアラスカン(4/6)、.480ルガー弾(6)、パワーバングル
[思考・行動]
0:殺し合いを潰す。
1:……。
[備考]
※本編死亡後からの参戦です。
※春巻龍の知人の情報、万事屋トリオ及び長谷川泰三、沖田総悟の情報、相馬祐実の知人の情報を得ました。
最終更新:2011年07月20日 23:33