42話 例え全て失っても
同行者二人の凄惨な死を乗り越え、新八とフラウの二人は市役所へとやってきた。
(銀さんに会いたい、神楽ちゃんにも……どこにいるんだ二人共)
自分が慕う銀髪の天然パーマ侍と、家族も同然の大食い毒舌チャイナ娘の事を思い浮かべる新八。
市役所の入口を潜ると、そこには想像を絶する光景が広がっていた。
「!?」
「な、何、これ……」
ロビーは、死屍累々と言う言葉が正にぴったりな、地獄絵図と化していた。
見えるだけで、十人以上の死体が転がっている。
床は血だらけで迂闊に歩けば滑って転んでしまう、そのぐらい血が溢れている。
死臭が凄まじく新八とフラウの二人は鼻を覆った。
「…新八? 新八アルか?」
「!」
背後から、新八にとって聞き覚えのある声が聞こえ、新八は振り向いた。
「…! 神楽ちゃん!」
少し衣服がボロボロになっていたが、確かにそれは自分が捜していた二人の内の一人。
「新八、新八ぃぃぃいいいい!!」
「神楽ちゃん!!」
大粒の涙を流し駆け寄ってくる少女を、新八もまた涙をその目から溢れさせながら受け入れようとした。
ダダダダダダダダダダッ!!
だが、その再会は三人の背後から放たれた銃弾により引き裂かれる。
「がっ……」
「な……」
「え……?」
フラウと新八、そして神楽がその場に倒れ込む。
その三人に、ゆっくりと、ナース服を着た灰色の猫獣人の少女が歩み寄る。
その手にはイングラムM10短機関銃が握られていた。
「あ、あなたは…テト、さん」
「…フラウさん、だったかな…」
傷口を押さえながら、フラウは自分達を銃撃した主の正体を知る。
「どうして…あなたはこの
殺し合いに…?」
「ええ、乗ってるわ…だから、あなた達も殺す」
ダァン!
フラウの頭を.45ACP弾が貫通し、フラウは絶命した。
「ふ、フラウ、さ……何て事、を」
血を吐きながらテトを睨む新八。
テトは意に介さず、次に新八に銃口を向ける。
「やめろ、やめるアル…!」
神楽がテトを睨み、警告する。
立ち上がろうとしたが、銃弾が食い込んだ身体は言う事を聞かない。
夜兎族の特徴の一つである驚異的な治癒能力も上手く働いていないようだった。
それでも何とか動こうともがいている時、神楽は死体の山の中にある物を見付けた。
(――え?)
一瞬、自分の見間違いかと思った。なぜならそれは死体の山の中にあって良い物では無いから。
死ぬはずが無い。今までどんなに危険な戦いでも、死にそうになった時でも、生き延びてきたではないか。
一緒にいつもの万事屋に帰ってこれたじゃないか。
銀髪の、天然パーマ。
死体の中に、あって良いはずが無い。
(う、そ)
ダァン!!
「あ」
頭の中が絶望の思考で満たされる中、目の前で、新八の頭部から赤いものが噴き出し、新八が倒れ動かなくなった。
眼鏡の奥の瞳の内、一つが真っ赤になりそこから血が溢れ出していた。
「新、八?」
全ての希望を失った少女の、掠れた声が響いた。
テトは銃をベレッタM92FSに持ち替え、神楽に向け引き金を引いた。
三発の銃弾は、神楽の命の灯をあっさりと吹き消し、終わらせた。
……
『…はい、これにて殺し合い終了です。第二回放送になる前に終わるとは。
おめでとうございます、テトさん。あなたが優勝ですよ。
それでは今から迎えをよこしますので、その場で待ってて下さい』
【志村新八@銀魂:死亡】
【フラウ@自作キャラでバトルロワイアル:死亡】
【神楽@銀魂:死亡】
【残り:1人】
【ゲーム終了】
【優勝者:テト@自作キャラでバトルロワイアル】
最終更新:2011年07月21日 00:06