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気付いてた「もう…戻れない」

38話 気付いてた「もう…戻れない」

「マダオとあのドSが死んだアルか…信じられないけど」

マダオと呼ぶ男とサド王子と呼ぶ真選組一番隊隊長の少年の死を、
神楽は放送で知る。実感が湧かなかったが、恐らく本当なのだろう。

「……」

無言で神楽は放送で呼ばれた名前を消して行く。
「長谷川泰三」「沖田総悟」の名前も横線を引いて消した。

「……銀ちゃんと新八は生きてるアルか……早く見付けよ……っていうか、
最近全く、他の参加者と会って無いネ……」

最初にエーリアルと言う狼と遭遇して――そいつも死んでしまったが――から随分と時間が経つが、
未だエーリアル以外の参加者と一切遭遇していない。はっきり言って寂しい。

「…飯食べてから行こ」

取り敢えず腹が減ったと、神楽はデイパックの中に入っている支給品の食糧品を取り出し食べ始めた。

……

食事をした後、神楽は隠れていた民家を出て市街地を歩き始める。

「市役所にでも行ってみるアルか…ショッピングモールや学校も気になるけど」

そして何気無く次の行き先を市役所に決めた。

神楽の背中を見て、とある人物が手にした謎の物体のピンを引き抜く。
そして、それを中華風の格好の少女目掛けて投擲した。

「え――――」

それに神楽が気付いた時はもう手遅れ。

ドゴォォォォォン!!!

大きな爆発が巻き起こり、衝撃波が周囲の建物にもダメージを与えガラスを吹き飛ばす。
爆炎と煙で市街地の道路は覆われた。

「やりましたかね…?」

曲がり角から投擲主である少女が通りに出る。
吉良邑子はもうもうと煙があがる爆発現場にゆっくりと近付く。
奇妙な見た目からは想像もつかないような威力を、ジャスタウェイは邑子に見せ付けた。

「…この爆発で生きているとは思えないですが…」
「…おい」

邑子の耳に低い少女の声が届く。
その声の主を捜そうと周囲を見渡すが誰もいない。

「…てめぇ」

いや、いる。
いるではないか、ついさっきの少女。
だが、邑子はその可能性は考えていなかった。かなりの大爆発を起こしたのに生きているとは思えなかったから。
しかし現実は時として常識を遥かに超える。

「何してくれとんじゃコラアアアアアアアア!!!!」

煙を掻き分け鬼の形相の中華風娘が飛び出してきた。

「う、そ――――!?」

何度も言うがかなりの大爆発だった。道路の舗装が抉れ、周囲の建物の窓ガラスが割れるぐらいの。
そんな中から爆発地点のすぐ近くにいたはずの人間が勢い良く飛び出してくるなど普通では考えられない。
少なくとも邑子の世界での常識では、だ。

ドォ――――。

怒りの力が合わさった渾身の殴打が邑子の左頬にヒットし、彼女は激しく回転しながら、
ゆうに三十メートルは吹き飛び、身体をアスファルトに擦りながら止まった。

「いきなり爆発物投げてきやがって殺す気かゴラァ!! そんなもんでこの神楽様を殺せるとか思ってんじゃねぇぞォォォ!!
おい、聞いてんのか!! …………あれ…?」

激怒しながらずいずいと倒れた少女に近付いていた神楽だったが、その怒りは急速に消えていった。

怒りに任せて、全く力をセーブせず生身の人間を殴打してしまった。
神楽――夜兎族の力は、普通の人間の比では無い。

少女の首が有り得ない方向に曲がっていた。

殴った時の衝撃で首の骨が粉砕したのだ。

「……あ、あ……私……」

殺すつもりは無かった、精々、叩きのめす程度のつもりだったのに、殺してしまったのだ。
かつて、地球に密入国し、チンピラ集団の手先となっていた時も、吉原で同じ夜兎族の男と戦い我を失った時も、
今まで経験した数々の戦いの中でも相手を殺す事はしなかったのに。

殺したくは無かったのに。

「あああぁああああぁぁあああああ……!」

自分がしてしまった事の重みに耐えかね、神楽はその場で泣き崩れた。


【吉良邑子@自作キャラでバトルロワイアル:死亡】
【残り:15人】


【午前/E-3市街地】
【神楽@銀魂】
[状態]身体中に軽度のダメージ、大きな後悔
[装備]ナックルダスター
[持物]基本支給品一式(食糧消費)、???(銃器)
[思考・行動]
0:殺し合いには乗らない。万事屋メンバーを捜す。
1:……。
[備考]
※原作ラブチョリス編以降からの参戦です。



037:信じる事で憎しみを消して欲しい 目次順 038:失われた日々

028:単独? 孤独? どっちだろう 神楽 042:例え全て失っても
028:単独? 孤独? どっちだろう 吉良邑子 GAME OVER

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最終更新:2011年07月20日 23:33
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