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うp主失踪

40話 うp主失踪

「……う……ああ」

壱里塚徳人はようやく意識を取り戻す。
酷く頭痛がする。完全には覚醒し切れていない。
気絶させられてから一体どれだけの時間が経ったのか、時計を見ようとした。

「よう、また会ったな」
「! あんたは……」

しかしその時、見覚えのあり、そして出来れば会いたく無い顔が見えた。

「…名前言ってなかったな、俺、三田村圭人って言うんだ。お前の名前も聞きたいんだが」
「…壱里塚徳人、だ」
「へー……」
「…俺を殺しに来たのかよ」

徳人が圭人に問う。
先刻、ホテルにて、徳人は圭人の目の前で一人の獣人の少女を殺害し怒りを買った。
だが圭人の足を銃撃し、後頭部を殴って気絶させた。
恐らく恨まれているだろうとは徳人自身も思ってはいた。

「…殺してやろうって思ったんだけどな」
「……」

よく見てみると、圭人の顔色は非常に悪く見えた。
足の傷には包帯が巻かれてはいたが、出血は止まってはいないようでズボンが血塗れになっている。
歩いてきたと思われる道路には赤い点が延々と続いていた。
声にも元気が無いように聞こえる。出血多量でまずい状態であると徳人にも予想はついた。

「血がな、止まらなくて…多分助からないな、俺、お前を殺せるだけの力も残ってねーや…けどな」
「……?」


ビーッ、ビーッ


「!?」

二人の首輪から警告音が鳴り響く。

「お前、放送聞いてないだろ、その様子だと。ここら辺、禁止エリアになるらしいよ」
「なっ」
「もうすぐ俺もお前もあの世行きって訳だ。わざわざ俺が手を下す必要も無くなったって事」
「そっ、そんな、くそっ、ふざけんな!! 死んでたまるか畜生!!」

焦った徳人は圭人を無視して走り出した。

「……無理だって。間に合わないって」

徳人の背中を見ながら圭人が嘲笑うかのように言う。
そして、その場にへたり込んだ。もう足に力が入らず、一歩も動けない。
もしこの辺り一帯が禁止エリアに指定されていなくとも、自分は出血多量で死ぬだろう。
どっちにしても、もう自分は助からないのだ。圭人は覚悟した。

「美帆、祐実、出来ればもう一度、会いたかったな」

殺し合いに呼ばれた二人の友人の事を思い出す。
放送で名前は呼ばれ無かったのでもしかしたらまだ生きているかもしれない。
出来る事なら二人は生きて帰って欲しい。

「……ああ、くそ」

ふと、圭人は上を見上げた。
青空に白い雲が浮かんでいた。
こんなに空は綺麗なのに、どうしてその下でこんな血みどろの狂ったゲームが催されているのだろうと思う。
まだやり残した事は沢山あった。ゲームの実況動画も途中までのがある。
きっとタグに「うp主失踪シリーズ」など付けられるのだろうと、圭人は思った。

「死にたくねぇなー……」

……

走った。ただひたすらに徳人は走った。
首輪の警告音は段々と間隔が短くなりその時が近付いているのを嫌でも知らせてくる。
死にたくない。折角生き返れたのに、また死ぬのは嫌だ。

(嫌だ、嫌だ、嫌だ、畜生、死んでたまるか、死にたくねぇ!)

だが、いくら走っても、首輪の警告音は止まない。
それどころか、自分がどっちに走っているのかすら分からなくなってきた。
焦りと混乱が、彼を更に追い込む。思考を狭める。

「嫌だ、嫌だあああああああああぁあ!!! 俺はっ、俺は生き」



ピーーーーーーーーーーッ



ボンッ



【三田村圭人@オリキャラ:死亡】
【壱里塚徳人@自作キャラでバトルロワイアル:死亡】
【残り:7人】



039:失われた日々 目次順 041:猫耳デストロイヤー

028:単独? 孤独? どっちだろう 三田村圭人 GAME OVER
027:EGO-IZUMU 壱里塚徳人 GAME OVER

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最終更新:2011年07月20日 21:58
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